星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

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半分くらい捏造です


わらしべピアポイント(その2)

「おっ、こいつ「支社」の課長じゃん。ラッキー」

 

 カンパニーのとある支店。その中にはインシァンの薬品によって気絶させられた社員が屍のように積まれている。バイトの制服から正社員の物に着替えた彼女達はその中を探索していた。そして失神状態の社員の胸元をまさぐり、社員証を手に入れた銀狼は「これで「ハブ」までショートカットだ」と少し嬉しそうに呟いた。

 

「すごいなぁ……あたしだったらこんな綺麗に出来ないや……」

「そういえば、銀狼ちゃん、「ハブ」ってなんですか?」

「「ハブ」って言うのは「支社をまとめる支社」。ちょうどいいし、ここらでチャートを確認しよう」

 

 そう言って銀狼はオフィスのモニターを乗っ取ると、スライドのようなものを映し出した。

 

「この作戦にはチェックポイントが二つあるの。それが「支社」と「ハブ」。私達が今いるのは「支店」、要は一番最初のステージ。ここがP1〜P10まで。確か支店長が10だったはず。それで、P8、支店の課長以上になると、今度は星を管理する「支社」に入れるようになる。P8からP20までで、そこの課長がP17なんだけど、課長クラスになると今度は星系をまとめる「ハブ」に入れるの。ハブはP17〜30だったかな。そしてハブの部長になるとようやくP25で、ようやく本社のピアポイントに入れるようになるってわけ」

「うわぁ……道のりは長いね……」

「ところがどっこい、そうでもない。今P17が手に入ったから、後はハブで1回交換するだけで本社までひとっ飛び。しかも、「支社」の課長以上だとカンパニーの社用宇宙船のグレードがアップして、個人で使えるようになる」

 

 そして銀狼はマップを確認しながら「ここがウェリタル-Ⅻだから……「ハブ」はクローウディニアかな」とチャートに書き加える。そんな中、カンパニーの社用端末をインシァンは「銀狼ちゃん」と声を掛ける。

 

「流石のカンパニーでも、社員証を勝手に使ったらバレませんか?」

「問題ない。社員証の個人情報の方は書き換えるの簡単だから。現にこの2枚はもう私達の名義にした」

「……あ!じゃあさ、数字の方も書き換えちゃえば良いんじゃない?P25?にしちゃえばもうピアポイントまで行けるんでしょ?」

「それは無理。数字の方はアナログ管理なの。専用の機械とかで物理的に彫り込みが入れられてるから、私の方じゃどうしようもない。今確認したけど、読み取りもアナログありきだからハッキングも無理」

「そっか……」

「ま、そんな顔しなくてもいいよ。とりあえず、今カンパニーには確かに「インシァン」とか「ホタル」って社員が在籍してるってことになってるから」

「あれ?銀狼は?」

「無理に決まってるでしょ?あなた達と違って私は顔が割れてるの。このチャートだと今回はサポートに徹して、あなた達に助けてもらうしかない」

 

 そして一時的に星核ハンターからカンパニーのP17に転職したインシァンとホタル。インシァンは冗談交じりでカフカやルアンに「就職が決まりました」と制服姿でのホタルとのツーショットを送りつける。カフカからは「あら、ならもうお小遣いはいらないわね」との返信。彼女は急遽取り消した。ルアンはスタンプを押すと、黙ってその写真を保存していた。

 

「じゃ、行くよ、二人共。1時間後に「ハブ」行きの宇宙船を手配した」

「片道、どれくらいでしょうか?」

「ここからだと5時間ってところ。ゲームでもしてたらすぐに着く」

 

 彼女達は沈黙した支店を後にし、その首からカンパニーの社員証を掛けて堂々と社用車で宇宙船ターミナルまで出発した。

 

◇◇◇

 

「インシァン様、ホタル様、大変お待たせしました。宇宙船は26番ゲートに入港しております。短い間ではありますが、どうぞ宇宙の旅をご堪能下さい」

 

 この星最大の宇宙船ターミナル。手荷物検査を突破すると、そう言って一切疑うこともなくインシァン達を通した受付。偽造であるはずなのに読み込んでも自分たちの名前と身分が表示され、身元を保証してくれる社員証に彼女達は少し不思議な感覚を覚えながらもかなり大きなキャリーケースを抱えたまま出星ゲートを通過し、社用の高級宇宙船に乗り込んだ。

 

「……なるほど、これは……」

「豪華だね……」

 

 中を見回して、2人は呟く。ホテルの一室のようになった内装はまさしく高級、星の数ほどいるカンパニーの社員の内わずか数%しか利用できないという事実に相応しいものだった。ふわふわのカーペットにふかふかのソファ。それ以外にもホームシアターやキッチン、ワインセラーなども備え付けられている。そんな宇宙船に乗り込んだ彼女達。置いたキャリーケースがドンドンと鳴り、「そろそろ出ても良い?」と声がして、インシァンがそのロックを外すと、中から銀狼が現れた。

 

「じゃじゃーん。潜入成功〜。X線検査なんてしたって、タイミングさえ分かればその結果なんてどうにでも書き換えられる」

「おつかれ、銀狼」

「では、出発しましょうか」

 

 そう言ってインシァンは制帽とジャケットを脱ぎ、壁の端末を軽く操作した。

 

「自動運転システム、オン。目的地、「ハブ」クローウディニア。航行時間、4時間47分。間もなく当機は出港します」

 

 こうして彼女達は奪った制服と偽った身分と共に次のステージへ向かった。




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