星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

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全て、収束の頂へ(その3)

 「「秩序」の墓、建てに来てあげたよ」、そう出会い頭に「秩序」への敵意を示した星に、サンデーは「皆さんの選択をとても残念に思います」と静かに答える。

 

「やはり、この「調和セレモニー」の舞台で決着をつけるしかないようですね」

「最初からそのつもりだよ。あんたをぶん殴りに来たんだから」

「……分かりました。改めて、アナタ達星穹列車を歓迎しましょう──美しい夢の中心、夢境を創り上げた星核、調和セレモニーの頂──ようこそ、ピノコニー大劇場へ」

「まさか……大劇場そのものが星核ってこと……!?」

「ええ、その通りです。ですが、星核の真なる力を目撃するには、この舞台で皆さんの信念を示してもらわなければいけません。ワタシ達は信念を以てこそ、世界を真なる幸福へと導けるのですから」

「あんたがそのつもりなら、私も何度だって言い続けるよ。「「停滞」は「悪」だ」ってね」

 

 それこそが「開拓」の存在意義であると、「秩序」による平等を掲げるサンデーに星は強く言い切る。

 

「もちろん、あんたの語る言葉は理想的だよ。でもそれも当然の話でしょ?だって他人を操り人形にして「理想」を演じさせてるだけなんだから」

「星の言う通りよ。いくら言い方を変えたって、永遠の眠りにつくことが幸福とイコールで結びつくはずがないわ。夢の中で神の玩具にされるのなら、尚更ね」

「……どうやら、皆さんはワタシの意図を何処か誤解しているようです。改めて伝えておきますが、ワタシの理想はワタシが神になることでもなければ、「秩序(エナ)」を復活させることでもありません。ワタシの理想は唯一つ、神の死した「秩序」の下に、全ての人が自らの尊厳を守り、望んだ幸福を手にすることが出来る──「人の、人による、人のための楽園」を創り上げることなのです」

「でもそれっておかしくない?ウチだったら、絶対的な何かに支配されてるって考えるだけで気が滅入っちゃうよ……」

「もしあんたがその楽園を管理するってんなら、それはもう「神になる」と同義だよ。その理想は決定的に矛盾してる」

「……ええ。ワタシ達はどちらの信念が相手を上回るのか、この舞台で決着をつけることでしか相手を納得させることが出来ないのですよ。互いの力を以て、宇宙に正しい道、正しい「運命」が何であるのかを示さなければ。……ですが──」

「……な、何!?」

「──まだ、考える時間は残っています」

 

 星達の前に立ちふさがるのは三つの人形。囚われの身の過去、宴に酔いしれる現在、調律された未来。更にその奥、ピノコニー大劇場の中心、真っ赤なカーテンの隙間から漏れる眩い光。それに背を向け、その手を広げ、サンデーは問いかける。昼と夜は対等か、善人と悪人は対等か、そして、人が生まれつき軟弱ならば──

 

「──弱者はどの神から安寧を得ればいいのでしょうか──!」

 

 人形は語る。偉大な力を持つ「秩序(エナ)」、其が世界を定義したことによって、人々は自分が其の操り人形でしかないことを知ることになったと。過去の持つ鉄鞭が唸り、現在の持つグラスからワインは溢れ、未来の持つ弓は音を奏でる。しかし、星達はミハイルから受け継いだ帽子と共に、その答えを示す。過去も現在も未来も、決して人形が演じられるようなものじゃない。全ての人の生き方は全ての人が決めるものであり、誰かが操り、支配するようなものではない、「開拓」は英雄の特権ではないと。

 

◇◇◇

 

 彼女達が人形を退けたその瞬間、舞台の明かりが消えた。全ての人形は俯き、その動きを止める。そして彼の、「夢の主」のように反響する声が響いた。

 

「「「アナタ達の決意は伝わりました」」」

 

「「「故に、今こそ太陽を仰ぎ見る権利を授けましょう」」」

 

 その時、目の前で止まった「過去」「現在」「未来」、そして大劇場にある全ての人形が、開きつつある大劇場の幕の奥へと消え、そして燃え上がる。

 

「「「ここにある120544の礎の上」」」

 

「「「全能なる「調和」の弦を以て、「秩序」の楽章を奏でよう」」」

 

「「「今こそ、気高き調律に全てを捧げる時──」」」

 

 そしてその全てが燃え尽きたその瞬間、それは姿を現した。荘厳なる者。歓喜なる者。協奏たる者。黄金の巨躯と指揮棒を備えた全ての指揮者。「調和」であったはずのその姿は「秩序」となり、今ピノコニーの頂点に君臨する。人の願いを受け、人の願いを叶えるもの。その名は──

 

「「「──「ハルモニア聖歌隊」ディエス・ドミニクス・ハレルヤ──!」」」

 


 

 「「ハルモニア聖歌隊」ディエス・ドミニクス・ハレルヤ」

 とある司祭が誰よりも人の不幸を憎み、人の幸福を祈り続けた果てに、本来は「調和」の化身たる「「ハルモニア聖歌隊」ドミニクス」の力を以て、星核と、夢境にある人々の願いの下に「秩序」の旋律を奏でる者として降臨した姿。幾星霜にも積もり続けた人々の願いは彼の指揮する旋律によって星々へと響き渡る新たな世界の「秩序」となり、彼等はその賛歌の下に永遠たる安息を得ることになる。すなわち、新たなる創世の七日を創り上げる者である。

 

 「永劫の願いへの賛歌」

 人々の遺した、家族、友人、縁ある者への記憶の余韻。長い夜、永い夢の中でもそれは響き続けている。過去、現在、未来、永遠に変わることなく。

 

 「リソルート」

 指定した味方単体に虚数属性ダメージを与える。

 

 「ノービルメント」

 味方全体に大量の虚数属性ダメージを与える。

 

 「レリジオーソ」

 指定した味方単体を「異夢*1」状態にする。

 

 「スフォルツァンド」

 チャージ状態に入り、次のターンで「フリオーソ」を発動する。

 

 「フリオーソ」

 味方全体に大量の虚数属性ダメージを与え、さらに行動可能な全ての「永劫の願いへの賛歌」が味方全体に大量の虚数属性ダメージを与える。スキルを発動した後、「永劫の願いへの賛歌」の靭性が回復する。

 

 「ポンポーソ」

 「汝、光を信じよ」状態に入り、大量のバリアを獲得する。バリアが存在する間与ダメージがアップし、受けるダメージがダウン、さらに靭性は削られなくなる。

 

 「オ・ウーモ・シー・ネル・ミル・ソーニョ」

 「「ハルモニア聖歌隊」ディエス・ドミニクス・ハレルヤ」が「永劫の願いへの賛歌」を4体召喚する。「永劫の願いへの賛歌」が受けるすべてのダメージは「「ハルモニア聖歌隊」ディエス・ドミニクス・ハレルヤ」が代わりに受ける。自身と「永劫の願いへの賛歌」が弱点撃破される時の行動順がさらに遅延する。さらに自身の靭性が1層撃破されるごとに、味方に「暗闇の中に光あり*2」を付与する。

*1
行動不能となり被ダメージ増加。ターンが回ってくるとHPを回復する。攻撃を受けた時解除される。2ターン継続。

*2
大量の全体バリア。永続。

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