星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

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「開拓」の記憶

「人々は「開拓」を高尚な使命、困難な道だと捉えることがありますが、人生をそれに捧げたナナシビトとして、ボクはそうは思いません」

 

 「エナの夢」を抜け、現実へと繋がる道の中、ロビンに「開拓」について尋ねられたミハイルはそう答える。彼がロビン達に申し出た「協力」、それは「虚構歴史学者」のように、人々に残ったありったけの「開拓」の意志を以て現実への道を拓き、二人を列車組の下まで送り届けること。星達が訪れた「稚児の夢」にもよく似た空間を進みながら、彼は残された僅かな時間で「開拓」についての自身の考えを言葉に変え、伝えていた。

 

「最も簡単に言えば、「開拓」とは「変化を望む心」。「未来」なんて大層なものでなくてもいい、いつもとは違うメニューを頼んでみる、いつもとは違う道で帰ってみる、いつもとは違う本を読んでみる……そうして得られる違う味わい、違う景色、違う知識……それこそが「開拓」の意義なのです。「選択の権利」、そう言うこともできるかもしれません」

「「選択の権利」……」

「あははっ!サミュエルちゃんが言ってた奴だ〜!でも花火もそういうの好き〜!おんなじ演目ばっかじゃつまんないもん!」

「ええ、私もよ。同じツアーだったとしても、決して同じプログラムは組んだりしない。私はステージを見てくれるお客さんに、毎回新しい経験をしてほしいから」

「それもまた「開拓」の在り方かもしれませんね」

 

 そう二人の意見を肯定するミハイル。その瞬間、彼女達の進んでいる廊下、その左右の壁が突如として破壊された。まるで、船体が荒波に破られるかのように。そしてそこから姿を現したのは「過去」、「現在」、「未来」の三体の人形と、彼等の率いるナイトメア劇団。

 

「「秩序」の人形……!」

「あっはは!手羽男くん、ちょっと仕事が早いんじゃないかな〜?」

「「秩序」の侵食が加速しているようです。二人とも、ボクの後ろに下がっていてください」

 

 「まだアナタ達の本番ではありませんから」とミハイルは使い込まれたコンパス片手にその前へと立ちふさがった。

 

◇◇◇

 

 「生きるため」、「生かすため」、かつて星がそうしたように宇宙ステーション「ヘルタ」を駆け回っていたホタル。列車の出発時刻が迫る中、彼女は星が体験したあの場面へと辿り着く。

 「終末獣」、反物質レギオンが「古獣」と人々の恨み、悲しみ、憎しみを以て創り上げた戦争兵器。それが宇宙ステーション「ヘルタ」のサポート部分のホームで「壊滅」を為さんと暴れる中、ホタルは彼女がかつてそうしたように終末獣と相対する。

 

「あたしが、あなたと同じように誰かに創られた兵器なのだとしても……あたしはいつか、「ホタル」という1人の人間として死にたいの。だから──」

 

 そして彼女がバットの代わりにデバイスを天に掲げると、辺り一面が激しい炎に包まれ、そして美しい、幻想的な緑色の炎に満たされた。

 

「──あたしは、負けない」

 

 

◇◇◇

 

「開拓」の記憶:宇宙ステーション「ヘルタ」

 弱点撃破ダメージを発生させる度に撃破特攻+100%、弱点撃破効率+50%。「完全燃焼」状態の時、弱点撃破状態の相手を攻撃するとさらに追加で削靭値の100%を超撃破ダメージに変換する。

 

◇◇◇

 

 常冬峰、ヤリーロ-Ⅵ「ベロブルグ」で最も天に近い祭壇。その地で「星核」を用いて新世界を創り上げ、寒波の災いを退けようとした大守護者、カカリア・ランド。その成れの果ての「虚妄の母」に、彼は今対峙しようとしている。

 ピノコニーで彼にもたらされた体験は、彼に決意を抱かせた。「過去(カカワーシャ)」を背負い、「未来(アベンチュリン)」へと辿り着く覚悟を。そして彼は彼女へと恩を返すため、彼女の為した「存護」を、「開拓」をなぞる。

 

「人の明日っていうのは、サイコロの目くらい僕らにはどうしようもないものだ。……でも、一つだけ確かなことがある」

 

 そして彼が槍の代わりにサイコロを構えると、その意志に答えてチップ降る黄金の空が広がった。

 

「そのサイコロは、自分達で振らないといけないってことさ」

 

◇◇◇

 

「開拓」の記憶:ヤリーロ-Ⅵ

 獲得する「堅固なチップ」の耐久値+100%。攻撃を受けた時、与ダメージ+30%。「堅固なチップ」があるなら更に追加で「ブラインドベット」+2。

 

◇◇◇

 

 かつて仙舟同盟が建木を封じた地、鱗淵境。そこにインシァンは1人で立っていた。星が仙舟「羅浮」の人々や星核ハンターと関わりながら続けた冒険の、「仙舟「羅浮」」という場所における一つの終着点。その果てまでなぞったインシァンに、対するは「壊滅」の使令、絶滅大君「幻朧」。余計なことはいらない、余分なことは求めない。彼女の思考にあるのはただ一つ、一刻も早い撃破と合流である。

 そして「幻朧」の目の前まで辿り着いた彼女は、軽やかにその扇子を開いた。

 

「進まない研究は塵屑ですし、終わらない研究は塵芥に過ぎません。「停滞」こそが最大の「悪」である、と」

 

 そして彼女が扇子を振るったその瞬間、鱗淵境の全てを飲み込むほどの桜吹雪が巻き起こった。

 

「……ですから、終わらせましょうか。「役不足」ではありますが」

 

◇◇◇

 

「開拓」の記憶:仙舟「羅浮」

 行動前にSPを全回復する。SPを1つ消費する度に、与ダメージ、攻撃力、会心ダメージ+5%。

 

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