ついでに「桜花」も半年経ったそうです
「見てください!銀河の歌姫、ロビンさんが登場しました!」
調和セレモニーのライブ中継を担当する、スターピースエンターテインメント所属のレポーターの声が響く。「秩序」を巡るピノコニーの一連の騒動もひとまず収束を見せ、今回は彼女がファミリーの代表としてセレモニーを取り仕切ることになっていた。
「あっ、ロビンさんだわ!」
「嘘!?本物!?」
「キャ〜〜ッッ!!」
「ロビンさん最高!!ロビンさん万歳!!」
「ファミリーに栄光あれ!!」
「調和万歳!!シペ万歳!!」
万雷の喝采とともに迎えられたロビン。身分を偽ったり、ガッツリ警備員を洗脳したりで突破した例外がいるとはいえ、基本的にはファミリーの検査を通過した招待客しかいないにも関わらず、そのステージを囲む観客は甲板から溢れそうなほどの満員御礼。ステージに立ったロビンは「こほん」と小さく咳払いした。
「親愛なる調和の仲間たち、招待状を受け取った皆さん、今見ている星々羅の皆さん──「調和セレモニー」へ、ようこそ!!」
彼女の言葉に答えるように、観客からは大歓声が上がり、スターピースエンターテインメントのライブチャットも大きな盛り上がりを見せる。星と、それに合流したなのかも「「おおーー!!」」とハンズアップでそれに応えていた。
「その琥珀紀において、「調和セレモニー」はピノコニー最大の式典として扱われ、ピノコニーのファミリー及び五大クランもその力を遺憾なく注ぎ、こうして今日の開催へと至ることが出来ました。その代表として、そしてロビンという一人の人間として、皆さんと同じ時間を過ごせること、とても嬉しく思います!!」
その一挙手一投足に拍手が送られる中、彼女はさらに「これだけの規模で開催されるというのはピノコニーの歴史においても未曾有であり、この一瞬一瞬が未来へと残る歴史なのです」と言葉を重ねる。会場に押し寄せた人々は、さらに熱気を放った。
「これは紛れもない各クランの努力であり、また私達の招待状に応えてくれた数多くの客人のおかげでもあります。一時、暉長石号は美しい夢の異変によって航行を止めざるを得なくなりました。それは12の刻を駆け巡り、暫くの間はその話題を攫ったほどです。しかし、ピノコニー内外より集まった人々が力を合わせ、立ち向かったことで美しい夢は本来あるべき姿を取り戻しました。そして、それが調和セレモニーと重なったことで、今回のセレモニーを一層特別なものへと位置づけたのです。暉長石号の旅立ちこそ、ピノコニーの新たな旅立ちであると!」
「ああ、なんて素晴らしいの……!!」
「ピノコニー万歳!!調和万歳!!」
「そして、この調和セレモニーは最後にもう一つ、大きな意味を持っています。それは、私達「調和」の最も親しい友人……「開拓」へ、最大限の感謝と、祝福を贈ること!」
ロビンがそう言うと、星はなのかの方へ振り返り、「ねえ、私かな?私だよね?私だよね!」と、もし彼女が狐族とかだったら尻尾ブンブンになってそうなくらいに目を輝かせる。なのかは「はいはい、気持ちは分かるけど」と彼女をなだめた。
「ピノコニーにその名を刻んだ大人物、「時計屋」。ピノコニーの歴史は彼から始まった、そう言っても差し支えはありません。彼はまだ宴の星ですらなかったアスデナへと、仲間と共に降り立ち、人々へ「開拓」、すなわち未来を望む意志を伝え、そして自らその先頭に立って美しい夢を切り拓きました。それが今日の「美しい夢」へと繋がっていることは、言うまでもないでしょう。皆さんもどうかもう一度……「ピノコニーの父」ラグウォーク・シャール・ミハイルへ、盛大な拍手を!!」
彼女の言葉に応え、その場に集った観客は広がる宇宙へとその手を鳴らす。それを聞き届けたのか、一つの星が満足そうに強く輝いた。
「もちろん、その「開拓」は今もなお失われてはいません。彼の後輩たる今を生きるナナシビトは私達と共に戦い、本当の夢を取り戻すための戦いに大きく尽力してくれました。今日はそんな英雄もこの調和セレモニーへと足を運んでくれています。「開拓」を代表し、ぜひ登場してもらいましょう──「星穹列車」の星さん!!」
どうやら観客席の彼女にはとっくのとうに気付いてたらしいロビンが星の方へ手を伸ばすと同時に、なのかも「ほら、お望みの展開だよ!」と彼女の背中を思いっ切り押す。まるで海が割れたみたいに彼女の前の観客が道を開け、星は押し出されるようにステージへと上がった。
「あ、えっと……ママ、また私テレビに出たよ!!」
「ふふっ、相変わらずね、星さん。見て、これがあなたの取り戻した、本当の夢の在り方よ」
「悪くないね。うん、実に悪くない」
そして星は観客の方を軽く見渡すと、「調和セレモニー、楽しんでるかーー!!」と思いっ切り右手を突き上げながら呼びかける。これまた勢いある手振りとともに、「「「「「おおーーー!!!」」」」」とそれに応える大歓声が響き渡った。
「今日は今までの「開拓」への感謝と、この先も続く親愛を示すべく、全銀河のファミリーを代表し、私達から星穹列車へと贈り物をすることに決めました。どうぞ、お受け取りください──この、「暉長石号」を!!」
「えっマジ?」
「嘘、ヤバすぎでしょ……!?」
「さあ、この場の皆さん、ご覧の皆さん……どうか身を以て「未来」を勝ち取った「
彼女の言葉と共に巻き起こる割れんばかりの拍手とナナシビトコール。それを浴びるのはステージの上の星と、彼女についてったなのか。異変を知らせるメールが届いてることなどつゆ知らず、彼女達はありったけの祝福を受けていた。
一通のメッセージが届いています。
まだ見ぬ君へ
はじめまして、では無いかもしれませんが、はじめまして。開拓者さん。
列車があなたを乗せてから、もう2年が経ったそうです。きっと、良い時間を過ごせたんですよね。
時間は常に、思っているよりも短くて、思っているよりも長い。遠い過去は振り返ればそこにあり、近い未来は決して見えない果てであなたを待っているんです。だから、何も怖がらないでください。
あなたがどう生まれて、何を背負っていたとしても、そこに生きているのは、紛れもない「開拓者」という一つの生命です。それだけは決して、誰にも揺らがせるものじゃないんですから。
ああ、少し面倒な話をしそうになりました。何が言いたいかって、私はただ、少し祝福したかったんです。あなたと、あなたのこれまでの軌跡と、あなたのこの先の旅路を。
手紙のページが足りなくなりそうですから、これくらいで。改めて、2周年おめでとうございます。そしてこの先、私の研究と、あなたの旅路が、どこかで交わりますように。
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