「ぱんぱかぱーん!「暉長石号を救え!ドキドキ爆弾探しゲーム!」の時間だよ〜!実況は花火で、解説は〜?」
「私、ロビンでお送りするわ」
いつの間にか花火が用意していたらしい、まるでスポーツ解説のような特設セット。ロビンもさもそれが当然であるかのように彼女の隣でマイクチェックを行っている。インシァンとアベンチュリンも「やれやれしかたない」と体よく設けられた芸能人席的なスペースに移動した。
「というわけで……あ、早速芦毛ちゃんが「与力」人形と接触したみたいだよ〜!」
「999個あることを考えると、あまり一つ一つに時間を掛けている暇は無いわね。いかに花火人形との対話を拒絶するか、といったところかしら。二人はどう思う?」
「そうだね、取り敢えずあのロビンがそっち側の人間だとは思わなかったかな」
「慌ててる星ちゃんも中々悪くないな、と」
しかし彼女達がそんなワイプの中の芸能人みたいな受けている間にも星はいつもの合言葉「速戦即決」の名の下に「与力」人形を暴力によって破壊し、その中をこじ開ける。しかし、その中にあったのは爆弾なんかではなく、「君、もっと女心ってやつを学びなよ〜!」なんて情けないスタジオの花火の声を届けるだけの遠隔スピーカー。彼女は割とマジでキレそうらしく、綿の溢れた「与力」人形を無慈悲に床へと叩きつけた。
「ああ、可哀想な花火人形……っと、ここでメモキーパーちゃんが大発見!なんとニセ爆弾を131個も見つけたんだって〜!これで残りの花火様人形は867個〜!」
「あら、思ったよりもハイスピードね。これは面白くなりそうかしら」
「ねえ桜花ちゃん、僕も「パブ」の誘いを受けてたらああなってたのかな?」
「知りたいですか?」
「……いや、やっぱり良いかな。何を失うか分かったもんじゃない」
「やっと、「失う」のが怖くなってきた」と自嘲気味に笑うアベンチュリン。インシァンも「だれだって、それが普通です」と優しく肯定する。そんな二人に実況席の花火は「ここでちょっとエモい会話しなーい!」と押しボタンを投げつけた。少し情けない2つの声が響いた。
「ほら、二人がそんなことを話してる間に、芦毛ちゃんは「フモ」人形の前に到着しちゃった〜!」
「フモ?」
「なんですかそれ」
「愚者の代わりに、私が説明するわ。「フモ」というのは彼女の言葉で「もふもふの人形」という意味なの。昔は「もふもふの」という形容詞だったそうだけれど、現代において変化したそうよ」
「何で知ってるんですかロビンさん?」
「愚者の台本に書いてあったわ」
「僕達それ貰ってないんだけど」
「手羽子ちゃんの分しかないんだ〜、二人はアドリブ頑張ってね!」
「桜花ちゃん、もしかして僕達は無茶ぶりをされてるのかな?」
「何かと言われたら無茶ぶりですよね、これ。……っていうか「フモ」人形って「もふもふの人形」人形じゃないですか?」
「……あ、確かにそうね。この用法であってるのかしら?愚者」
「花火知らなーい」
「想定外みたいだね」
しかし彼女達が安置でそんな話をしている間にも星の必死の爆弾解除作業は進む。「フモ」人形は星のフルスイングによって雲海の彼方へと消し飛ばされた。
「あっ、あの人形は会心の出来だったのに……」
「ああこの期に及んで可哀想な面が」
「よく考えたら、これを自力で仕込むって中々苦労してるんじゃないかな?」
「ねえ愚者、あなたさえ良かったら、あの人形をピノコニーのお土産にしてみない?」
「……桜花ちゃん、ロビンは疲れてるのかな?」
「まあ疲れてはいますよね」
そんなことはさておき、気を取り直して爆弾解除実況へ。現在はブートヒルやアルジェンティ、レイシオが協力して追加で217個を発見したところ。これで残り649個。あまりにも中途半端な数に「素数かい?」とアベンチュリンが尋ねると、インシァンは「11×59です」とキッチンの方から拝借してきた茶菓子を頬張りながら答えた。