星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

147 / 190
原作:崩壊スターレイル、総合評価1位ありがとうございます
次は総合評価5000目指して邁進していくので、これからも皆さんよろしくお願いします


休息:たまには親孝行も
インシァンの里帰り(その1)


 ある日の午前。ルアンは普段よりもだいぶ早く実験を切り上げた。時計を見てもまだ時間にはだいぶ余裕があるが、彼女には少し待ち遠しく、少し逸る心に従って、彼女は家を出た。

 

 サンデードライバーの彼女にとって、車を運転するのは楽しいことだった。何故なら、彼女が免許を取ってから15年、運転には常に心躍る理由があったから。ルアンは助手席を見て、かつてそこにあったチャイルドシートを思い出した。

 

 ルアンの自宅兼研究所は、街とは遠く隔てられた自然の中に位置している。人々は何も無いと思っているが、それは彼女が隠しているだけ。足を踏み入れれば、そこにはうっとりするほどに美しい、彼女の作った生存圏が広がっていた。しかし、その立地のために、最寄りの宇宙船ターミナルへは車で3時間以上はどうしても掛かってしまう。けれど、彼女にとってその時間は都合が良いものだった。もうこの道を通るのも何度目かのことになるが、その度に彼女はかつての日々のことを思い出し、少し幸せな気分になった。

 

 丁度帰省シーズンも終わった頃で、ターミナルは到着する客よりも、出発する客の方がずっと多い。それでも満室近い立体駐車場に車を止めると、彼女は連絡通路を渡って星間線の到着ロビーへと向かった。

 

「あの子達の便は……ふふっ、そろそろ、ですね」

 

 時計を見て、ルアンは呟く。到着まではまだ1時間以上あるが、彼女が今日をどれほど楽しみにしたかと考えると、その程度の時間は誤差も誤差。送られてきたピノコニーでの写真の数々を眺めながら、彼女は到着を待った。

 

 そしてそれからもうしばらく、預け荷物などの回収も含めると2時間ほど。今か今かとその時を待つルアンの前に、彼女達は姿を現した。

 

「楽しみだな〜、インシァン家。ルアンさん、また改築したんでしょ?」

「はい。お風呂を大きくしたとかで……どんな感じなんでしょうか」

「インシァン」

 

 ゲートから出てきた彼女達に、ルアンは手を振り、「こちらですよ」と声を掛ける。それに気がついた彼女の愛娘、インシァンはぱあっとその顔を明るくし、その手を振り返した。

 

「ただいま帰りました、お母様!」

「はい。おかえりなさい、インシァン」

「久しぶり、ルアン・メェイ」

「わざわざお迎えまで来てもらっちゃってありがとう、ルアンさん」

「いえ、こちらこそ来てくれてありがとうございます。ホタルちゃんも銀狼ちゃんも、元気そうで何よりです」

 

 「どれくらい泊まっていきますか?」と尋ねると、ホタルは「しばらくゆっくりしようってインシァンが」と答える。ルアンは満足げに「ぜひそうしていってください」と微笑んだ。彼女にとって、ホタルと銀狼は娘の親友以上娘未満といったところ。インシァンにとってかけがえのない存在である彼女達は、ルアンにとってもとても大事にしている存在なのである。

 

「そういえば、カフカさんと刃さんは?」

「二人はお仕事被っちゃってパス。「よろしく伝えておいてくれるかしら」って」

「そうですか、分かりました。そういえば、3人とも、お昼はもう済ませましたか?」

「ううん、機内食は軽く食べたけど……」

「まだまだ」

「食べたいです、お昼」

 

 彼女達がそう口にすると、ルアンは「でしたら、さっき美味しそうなお店を見つけたんです」と空港で遅めのお昼を食べることを提案する。3人もそれに賛成し、彼女達はルアンが見つけた天ぷら屋の方に移動した。

 

「遠慮せずに頼んでくださいね」

 

 そう言って、ルアンはメニューを回す。ピノコニーの高級店ほどではないにせよ、3人でご飯を食べる時には決して選ばない値段であったが、もはや遠慮するような間柄ではない彼女達。ホタルは上天丼の鶏天追加、銀狼は天せいろの上に川海老の唐揚げ、インシァンはせいろの大盛りと特上天ぷら盛り合わせ。ルアンは彼女達が選んだ後、天せいろの上に紅生姜天を付けて注文した。

 

 少し経って、やってきた揚げたての逸品に彼女達は目を輝かせる。金雲みたいな衣、見るからに大振りな頭付きの車海老、具沢山のかき揚げ……それぞれの注文が揃うと、彼女達は「いただきます」と手を合わせた。

 

「ごちそうさま」

「ごちそうさまでした、ルアンさん」

「ご馳走様でした、お母様。……そういえば、晩御飯はどうするんですか?」

 

 店を出ると、インシァンはそうルアンに尋ねる。彼女は微笑み、「とても良い牛肉があったので、今日はすき焼きです」と答える。

 

「ルアン・メェイ、こっち来る度に美味しいもの食べさせてくれるよね」

「はい。お母様の料理も、お母様が連れてってくれるお店も、どちらも絶品ですから」

「そう言ってもらえると嬉しいです。そうそう、季節の果物も沢山ありますよ」

「あたし達もピノコニーのお土産とかあるから、それも一緒にどうかな?」

「それは……はい、ぜひいただきます」

 

 そして彼女達は話しながら、車の方へと向かった。




皆さんの感想とか、めちゃくちゃ嬉しいです!
あと、ハーメルンに原作スタレの推薦はまだ無いらしいのでそれの一番乗りもこっそり狙ってます

ついでにこの先原作の後日談(八日目の旅立ち)とか回収してからオンパロスまでの間にどっちかを書く予定なので投票よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。