私立星穹高校の日常(その1)
「星ー!早くしないと遅れちゃうよー!」
午前8時前。
「姫子」と書かれた玄関からホタル*1はおそらくまだ寝ているであろう星*2へと呼びかけていた。
「星ちゃん昨日何時まで起きてました?」
「ログイン履歴見る限り3時前くらい」
X(旧Twitter)の通知を確認しながら問いかけるインシァン*3に、ログインボーナス、デイリークエストを回収しながら答える銀狼*4。
ホタルが呼びかけ始めてから3分くらいした辺りで玄関のドアが半分くらい開き、丹恒*5がひょこっと頭を出した。
「すまない、ホタル。今大急ぎで星に朝食を食わせているからもう2分ほど待ってくれ」
「相変わらずお疲れ様だね……」
申し訳なさそうに言う丹恒にホタルは苦笑いしつつ彼のことを労った。
その後ろでは「ちょっ、あんた今からガーリックトーストはヤバいって!!」と必死ななのか*6の声も聞こえてくる。
そしてもう数分のドタバタ音が聞こえた後、一足先にサンデー*7が出てきて、それから準備を終えたらしい星達がようやく玄関から出てきた。
「あ、来た」
「主役は遅れてくるって言うしね」
「あんたはもう少し申し訳なくするとかさ……!ごめんね、ホタル……明日こそは早起きさせるから……」
「でも星ちゃん、前早起きした時はレイシオ先生の授業で居眠りしてチョークぶつけられてましたよね」
「あったね、そんなこと。日本史の授業だっけ?」
「あれマジでヤバかったよ。脳割れるかと思った」
「お前は反省をしろ」
「皆さん、そろそろ行かないと本格的に遅刻してしまうかと……」
サンデーがそう言うと、時刻は既に8時7分。
8時15分からホームルームで、姫子宅及びそのお隣のカフカ宅から星穹高校までは頑張れば6~7分といったところ。
「結局こうなるじゃん〜〜!!」
なのかの叫び声と共に、7人は星穹高校へと駆け出した。
◇◇◇
「照合:8時14分。7人とも、今日もなんとか間に合いましたね」
教壇に立った星穹高校2年B組担任、スクリューガム*8が彼女達を出迎える。
わりかし全力疾走していたにも関わらず全く以て息を切らさないどころか汗さえ流さないホタルとインシァン、流石運動部といったスタミナで息を整える星と丹恒、毎度全力疾走しては死にかけている銀狼、なのか、サンデー。
彼らが席に着いた頃、教室の外を二つの人影が駆け抜けていった。
「今日こそは僕の勝ちだね、モーディス!」
「教室に入るまで気を抜くな、救世主!」
「諦めて下さい。2人とも等しく遅刻です」
星達の遅刻未遂くらいおなじみの光景である星穹高校2年A組(通称黄金A組)のファイノン*9とモーディス*10の廊下並走を尻目にスクリューガムは丁寧かつ簡潔に連絡事項について説明していく。
とはいえ体育祭も文化祭もまだ遠いこの時期では内容も大したことなく、マダム・ヘルタ*11の昨日のベスト賛辞が発表されたくらい。
「結論:これにて朝のホームルームを終わります。アスターさん、挨拶をお願いします」
「起立、気を付け、礼」
「「「ありがとうございました!!」」」
級長のアスター*12がホームルームを締めると、生徒達は我先にと机を立つ。
そして彼らと入れ替わるように、彼女がB組に足を踏み入れた。
「……あ」
「おはようございます、インシァン」
一限の生物担当、ルアン・メェイ*13は、愛娘に微笑んだ。
他にもいっぱい出てきます、多分。