星穹列車のわくわくお泊まり会(その1)
セブンアンドアイ星系、セブン-Ⅺ。
何でもそろうと噂の商業惑星でサンデーは星達と共にお買い物に励んでいた。
「丹恒さん、お肉はどれくらい入れましょうか」
「そうだな、三月や星は早く食べようとして生焼けで取ることがしばしばある。人数も多いし、生焼けでもどうにかなる牛肉や海鮮を多めに買っておこう。逆にたこ焼きのたこはそれほど入れなくてもいい。ウインナー、チーズ、海鮮ミックス……色々試せる方があいつらは盛り上がるからな」
「承知しました。でしたら焼けやすく食べやすい牛タンなどが良さそうですね」
「ねえ丹恒!この子ったらスナックとかおつまみばっか買おうとしてるの!もっとチョコレートとかそういうのも必要だと思わない?」
「いや、甘いものならインシァン達が大量に持ってくるだろう。だとすれば俺達はしょっぱい菓子類を揃えておくべきだ」
「あ、それもそうだね……」
彼らが何をしているかというと、この後のお泊まり会のための買い出しである。
普段であればジャン負け一人に押し付けるところであったが、今回は珍しいくらいに誘った連中の予定が合って大人数になったため、こうして皆で仲良く、といった感じになっていた。
「っていうか買い物カートすごいことになってるね。こんな大量のお肉とかウチ初めて見たかも!」
「そう、ですね。ワタシもこれほどの量を自分で用意するのは初めてです」
「あ、丹恒。ホタテのバター醤油食べたい」
「分かった。ならベビーホタテを2パックほど取ってきてくれ」
そして2台の買い物カートと二つの買い物かごをパンパンにし、のべ5万信用ポイント以上の会計の後、彼らは星穹列車へと帰還した。
◇◇◇
「……まずいですね。どうやらたこ焼き用のソースを買い忘れてしまったようです」
「なにそれ!ソースがないたこ焼きなんてたこがないたこ焼きみたいなもんじゃん!」
「三月、サンデーを混乱させるような例え方はやめろ」
「……あ、アベンチュリンがピアポイントの帰りに買い出し行ってくれるらしいよ!」
場所は変わって星の部屋。
パーティ車両の2階という騒ぎやすい立地、めちゃくちゃ広いスペース、お風呂まで完備という利便性まで相まってまるでお泊まり会のために作られたかのような超絶優良物件で彼らがお泊まり会の準備を進めていると、列車に来客を知らせるインターホンが鳴り響いた。
それと同時に星は「そろそろ着くよ」というホタルからのメッセージに気がつき、「私出てくる!」と部屋を飛び出した。
「……それで、こっちがカフカさんからのお持たせで、こっちがお母様のです」
「ありがとう、皆で頂くわね」
「……あ、星!」
パーティ車両から姿を現した星に、旅行カバンを抱えたホタルが手を振った。
その隣にはいつものように銀狼とインシァンの2人。
相変わらず小さめのカバンにゲーム機を詰め込んだ銀狼とは対称的に、インシァンはレザーのトランクに加えて、一般的な45Lのゴミ袋くらいはあろうかという大きく膨らんだ白いポリ袋を抱えている。
星がその中身を覗くと、案の定お菓子コーナーに並んでいるような市販のチョコレートやらクッキーやらキャンディやら和菓子やらがぎっしりと詰め込まれている。
「インシァン、よくこんなに食えるね……」
「まあ、好きなので」
「私もお菓子好きなはずなんだけどなぁ」
「星、あたし達が一番乗りだよね。なんか手伝うこととかある?」
「だったらたこ焼きの生地作りとかお願い。丹恒が蒼龍しようとして大変なんだよね」
「へー、意外。ツッコミ役だと思ってた」
◇◇◇
「それにしても、焼肉もたこ焼きもやるとか最高に欲張りなお泊まり会だね」
「そうですね、下手にご飯類とか買ってこなくて良かったです」
「……あ!たこのつまみ食いはナシって言ったでしょ!」
「ルールは、破るためにある!」
時刻は現在14時過ぎ。
そろそろおやつタイムだと大量に買い込んだおやつをつまみながら準備をしていると、今度は突然部屋のドアが開く。
そして「サプラーイズ!!」という大変元気のよろしい声が星の部屋に響いた。
「皆お待ちかね、花火様のご到着だよ〜!」
「ふふっ、ここが星さんの部屋なのね。お邪魔します」
「やあ。待たせたね、マイフレンド」
さっきはお馴染みの星核ハンター三人娘だったのに対し、今度は花火、ロビン、アベンチュリンというウルトラスーパーダストボックスオブキングエックス号、略してUSDX号(星命名)(旧暉長石号)での爆弾騒ぎの実況メンバーが揃って姿を現した。
何でも途中のターミナルで偶然遭遇し、そこから合流してきたとのことである。
「それにしても随分と顔色が良くなったじゃないか、サンデー。あの時の君に見せてやりたいね」
「ええ、ピノコニーにいた頃とは一味も二味も違った生活を送っていますが……不思議と、悪い気はしていません」
「ふふっ、兄様が楽しそうで何よりだわ」
「ねえアベンチュリン、たこ焼きソース買ってきてくれた?」
「ああ、もちろん。それも業務用だ」
仕事帰りにそのまま参加しに来たらしいアベンチュリンはそう言ってカバンの中からどデカいお好みソースを取り出し、ドンと机の上に鎮座させた。
ちなみにピアポイントを出るタイミングで一度シャワーを済ませるという配慮も出来るラッキーボーイアベンチュリンである。
「これで全員揃ったな」
「そうだね!ウチももうお肉焼き始めちゃうよ!」
「うん、あたしも手伝うよ」
「でしたら、私はたこ焼きをやりましょうか。昔お母様に教わったんです」
「分かってるよね、桜ちゃん?こういうのはハズレを入れるんだよ!」
「……そうだ、「時間があったら皆で見るといい」とヴェルトさんから「ガ◯ダムユ◯コーン」というロボットアニメをお借りしたのですが……」
「あ、それ超面白いやつだよ。上映会だ上映会」
「ふふっ、こうして皆で集まるとなんだか新鮮な感じね」
「全くだね、ロビン。こうして皆でホットプレートを囲んでるだけで肩の荷が全部降りるような気がするよ」
そして彼女達は大きめの紙コップに思い思いの飲み物を注ぎ、「「「かんぱーい!!」」」とコップを打ち合わせた