私は3割くらいエリオだったのかもしれません
「あったぞ、ミュリオン!」
「相棒、図書館からありったけ借りてきたよ!」
「おまたせしました!星ちゃん!」
「こちらも見つかりました……!」
オクヘイマ中を駆け回り、クレムノスに関する記録、それにまつわる人々の痕跡を掻き集めていく星達5人。
ミュリオンはそれらから少しずつ記憶を抽出し、クレムノスの過去を形作っていく。
そしてある瞬間、甲高い鳴き声が響いた。
「きおく、あつまる……できた!くれむのす、いく!ともだち、たすける!」
ミュリオンの言葉を星が皆に伝えると、ファイノン達は収集を止めて星の下へと戻って来る。
「それじゃあ、ここからは決めた通り役割分担だ。僕と丹恒は今からモーディスの援軍に向かう。アーロディッタはオクヘイマに留まってアグライア達と連携をとってくれ。キャストリスさん、相棒、ニカドリーは君達に任せるよ」
「大丈夫です。このアーロディッタ、しかと承りましたよ」
「任されました。頑張りましょう、星さん」
「もちろん!ファイノン、丹恒、私達が行くまで負けないでね!」
「ああ、当然だ」
こうしてそれぞれの役割のために、ファイノンと丹恒はトリビーの力を借りてモーディスの下へ向かい、星達もミュリオンの開いたゲートを抜けて過去のクレムノスへ向かおうとする。
その直前、何かを思い出したように星はアーロディッタへ声を掛けた。
「ねえ、1つだけ頼みたいことがあるんだけど」
「頼みですか?良いですよ。私に出来ることだったら、ですけど」
「じゃあさ、このカメラでオクヘイマの写真を撮っておいてほしいんだ。こんなに綺麗な街なんだもん、写真に撮っとかないと損だから」
「別に良いですけど……それ、星ちゃんのお友達のやつなんですよね?そんなの、私が預かって良いんですか?」
「うん。言っとくけど、私はあんたが思ってるよりあんたのことを信用してる。ほら、受け取って」
差し出されたカメラを少し遠慮がちにしながらも、落とさぬようにしっかりと受け取るアーロディッタ。
それから星は「じゃ、いってくる!」と彼女に別れを告げ、キャストリス、ミュリオンと共に過去のクレムノスへと旅立っていく。
アーロディッタはぎゅっとカメラを抱き締め、雲石の天宮へと向かった。
◇◇◇
「誰かと思えば。あの盲目の小間使いじゃないか」
雲石の天宮、黄金裔のバルネアへと向かっていたアーロディッタの背に声が掛けられる。
振り返ると、そこにいたのは黄金裔とは事実上の敵対関係にある司法機関「元老院」に属する元老にして数多の黄金裔を始末してきた粛清者、カイニス。
冷静を装っているが、瞳で見ると浮かぶのは「憎悪」「憎悪」「憎悪」。
理性の欠片もないその様子にアーロディッタは「ああ、あなたでしたか」と嘲笑うようなトーンで口を開く。
「また稚拙な謀で負けちゃったんですか?カイニス様。あいにく、私は今日もオクヘイマの皆さんのファッションを牽引するので忙しいんです。依頼なら承りますけど、報酬の出ない愚痴を聞く暇はないんですよね、流石に」
「少し目を話した内に口を聞くようになったじゃないか、アーロディッタ。大好きな先生は礼儀というものを教えてくれなかったらしいな」
「ま、誰かさん達が嫌がらせばっかしてくるせいでそんな時間も取れなかったんじゃないですか?っていうか、元老院ってホワイトなんですね。「金織」への嫌がらせどころか、まさか記憶喪失の半人前の小娘に大した事ないお小言をネッチネチ言う暇まであるなんて」
「……それ以上は戯言では済ませないぞ。貴様ら黄金裔が何故大手を振って道を歩けるのか、誰がそれを許しているのか、もう一度知らしめる必要があるようだな」
「良いですよ。お好きにどうぞ。あなた達が何をしたって、私は必ずこの旅を終わらせます。それから、もう一度先生と、天外の星さえ眩むほどのドレスを仕立てるんです。……どうか、その邪魔だけはしないよう」
それだけ言い残して、アーロディッタは軽やかな足取りでその場を去っていく。
その後に、大きく、不機嫌な舌打ちが響いた。
◇◇◇
不死のニカドリーと対峙し、奮戦する丹恒、ファイノン、モーディス。
栄光と勝利に溢れた過去のクレムノスを巡って手がかりを集める星、キャストリス、ミュリオン、そして現地で出会った謎多き兵士ゴーナウス。
金糸を以て街に潜んだニカドリーの「悪意」、そして元老院の謀略を取り除くアグライア。
一方その頃、アーロディッタは奇妙な生物……カメラから飛び出してきた水色のクラゲのようなものと遭遇していた。
「──!──、──♪」
「……え、何これ?」
実は他にも色々書いてます
良かったら読んでください
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