ついでに繁殖再現で全ユーザーに配ってください
「いやあ、最高だね!ピノコニー!」
「この銀河打者の勢力下に加えて上げてもいいよ!」とすっかり有頂天気分の星はウッキウキの明るい顔で「黄金の刻」を回っていた。模擬宇宙の手伝いや各地での博物館や運送会社の経営によって身不相応な財を築くことに成功していた彼女は隅から隅まで満喫し、塗り潰すように街を回っていく。そして次はいよいよ彼の有名なショッピングセンターだ!と星が意気込んだ、そんな時だった。
「ピノコニー超楽しい!ピノコニー超楽しい!」
「……逃がすか!密航者め!」
「……?まさか私のピノコニーで諍いが……?」
彼女は「自らのテリトリーで揉め事なんてあっちゃいけない」と騒がしい声の方向へ走り出す。そこでは、二人の警備員と一人の少女がトラブルを起こしているようだった。そして少女は、星を見つけるなり彼女の方へ駆け寄った。
「ご、ごめんなさい!少しだけ、あなたの手を貸して……!」
「当然!私と同じくらいの美少女なんて滅多にいないからね!」
そうドヤ顔で応えた星に「あ、ありがとう……!」と礼を言い、少女はその背中に隠れる。そして彼女を追って警備員も星の方へ迫ってくる。
「お前ら、どうやらあいつも奴の共犯者みたいだぞ!」
「丁度いい!まとめて捕まえてしまえ!」
「ねえ、私暴力でしか解決できないけど大丈夫?」
「うん、多分そうするしかないし……」
「いや、その必要はない」
そんな言葉とともに、一人の男が姿を現した。ワインレッドのシャツと家章のついた白いベストは鍛えられた胸筋でパンパンになっていて、口には無精髭を生やしている。警備員達はその声に聞き覚えがあるのか、驚いたように振り返った。
「ちょ、長官……?!何故ここに……?!」
「……ったく、お前ら何やってんだ?その目をちゃんと開けて、もう一度よーく見てみろ……このお嬢さんは、俺達が探してる密航者だと思うか?」
「ねえ、助けてもらってなんだけど、アンタは誰なの?」
「ああ……そうだな」
そして彼は警備員達を「もういい、見回りを再開しろ」とどこかへ追い払うと、星と少女へ向けて謝罪した。
「本当に申し訳なかったな、ご客人。俺はハウンド家のギャラガー。ファミリーに頼まれて、この「調和セレモニー」の保安官を務めている。ハウンド家ってのは、文字通りにピノコニーの「猟犬」を務めてる家だ。んで、あいつらは俺が育ててる子犬なんだが……全く、「銀色のやつ」って密航者の目撃情報で何故か銀髪のお嬢さんを追いかけるのに躍起になってたらしい」
「ってことは、最悪私もターゲットだったって訳だね」
「そうなるな。あいつらにはキツく言っておく。改めて、ハウンド家の者が無礼を働いて申し訳ない」
「にしても、「調和セレモニー」でごちゃついてるってなったら、猟犬の仕事も大変そうだね」
「ああ。恥ずかしい限りだが、つい先日も身元不明の無法者がホテル・レバリー、即ちピノコニーの夢境に侵入したという知らせがあったばかりでな。実際、セレモニーを利用して良からぬことを考える輩も少なくないんだろうな。仕事は増える一方だ」
「ええっと……それは……」
「気にする必要はない、お嬢さん。ウチの者が早とちりしただけだ。普通に考えれば、こんなに可愛らしい密航者がいるはずないだろう」
「……そっか。ありがとう、ギャラガーさん。ギャラガーさんが来てくれなかったら、あたしはどうすればいいか分からなかったから」
そう少女が礼を言うと、ギャラガーはその首を横に振る。
「大した話じゃない。俺は用が立て込んでるからそろそろ行かせてもらうが、もし何かトラブルがあったら、近くの「ハウンド家」を通して俺を呼んでくれ。それじゃ、君達もこのピノコニーで良い夢を見てくれよ」
そう言って去っていくギャラガー。その背中を見届けた後、少女は改めて星の方を向いた。
「さっきはありがとう!君のお陰で助かっちゃったよ!危うく、あの人達に連れて行かれるところだったから……」
「任せて。弱きを助け強きを挫くのがこの銀河打者だからね」
「ふふっ、面白いこと言うんだね。っていうか……君って、あの「ナナシビト」?初めて会っちゃったな」
「この私ならともかく、ナナシビトってそんなに有名なの?」
「そうだよ。銀河を巡り、色んな場所を「開拓」する……色んな人達が、君達のファンなんだ。ところで、君も「調和セレモニー」に招待されてるんだよね?だったら、あたしに君のことを案内させてよ!さっきのお礼に!」
「えっ良いの?」
「うん、もちろん!……あ、そうだ。自己紹介がまだだったね。あたしは「ホタル」って言うの。今は、アイリス家で役者見習いをやってるんだ。さっきは密航者に間違われちゃったけど、地元の人間なの」
「へー、夢の住人ってやつだね」
「まあ、そうとも言うのかな……?それで、あたしは役者の仕事がない時はこの近くでガイドの仕事も務めてるの。もしよかったら、君を色んな面白いところへ連れてってあげるよ。ちゃんと仕事をしてたら、ハウンド家の人達にも怪しまれないだろうしね」
「っていうことは、今日は仕事じゃなかったの?」
「うん。今日は公演が無かったの。それに、ガイドの仕事だって常にあるわけじゃないんだ。ここに来るような上流階級のお客さんは、皆お付きの人を連れてきてるから。だから、今日はこの後友達と会う予定だったんだけど……大丈夫。君を案内しても十分間に合うから」
「どうかな?」と首を傾げるホタルに、星は「美少女の案内がタダなら安いね!」と彼女の提案に乗っかった。
「分かった。じゃあ、あたしのオススメスポットを回るね」
「うん、お願い!」
そして二人は、並んでピノコニー「黄金の刻」の街並みを歩き出す。ホタルは小さく、小さく「……ふふっ、久しぶりだなぁ」と呟いた。
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桜花ピックアップ楽しみですね