星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

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ガール・ミーツ・ガール(その2)

「ほら、ここだよ!」

 

 ホタルが真っ先に案内したのは、黄金の刻のショッピングセンターだった。高い天井、広い道、大きな噴水、どれをとっても豪華絢爛なその光景に星は「おお」と感嘆の声を漏らす。

 

「ここは「オーディ・ショッピングセンター」!ここを目的にピノコニーに来る人もいるくらい有名なんだよ。特に、ここの「夢境ショップ」は黄金の刻でも一、二を争うくらい人気なの!」

「へえ、確かに超やかましいもんね。ここ」

「いっつもここには人が集まってるからね。それに、夢境ショップだけじゃないんだよ。色んなブランドショップも揃ってるんだから。洋服、宝石、流行りのおもちゃ、カーディーラーなんかもあるんだ。十分なお金さえあれば、ここで手に入らないものなんてないのかも。しかも、ここで買った商品は追加サービスを使えば現実の方に「持ち帰る」ことまで出来ちゃうんだ。……あ、でも今はカーディーラーの窓口は閉まってた気がするから……車を買うなら、別の機会にね」

 

 彼女の言葉に星は「金でも解決できないかぁ」と首をひねる。それと同時に、彼女のお腹がぐうっと鳴った。

 

「あ、もしかしてお腹が減った?」

「うん。減った。でも、私ついさっきまででっかいドーナツを食べてたはずなんだけど」

「じゃあ、君はここでいっぱい美味しいものが食べたいんだね。それが夢境での身体に反映されてるんだと思う。あっちにいいレストランがあるんだ、良かったら行ってみない?私がごちそうするから!」

「え、良いの?」

「うん。ほら、行こう!」

 

 そして少し駆け足でショッピングセンターの外の方に向かうホタルと、それを追いかける星。肝心のレストランは、ショッピングセンターの外へ繋がる道の途中にあった。

 

「ほら、ここがさっき言ったレストランだよ。夢の中で一番料理に合うスパイスは「飢え」だって言われてるの。今の君にはぴったりなんじゃないかな。クロックピザに、オークロールに、ルーサンサラダにフライドポテトサンデー!有名なピノコニー料理は全部このお店に揃ってるんだ。あ、もちろん、定番のスラーダも!君が好きなのを選んで良いよ、あたしが奢るから!」

「もう1回聞くけど、本当に良いの?私、育ち盛りだよ?」

「だ、大丈夫……だと思う。この前、お給料をもらったばっかりだから……」

「じゃあ遠慮なく」

 

 その言葉に、ホタルは「あっ、まずいかも……」とようやく気づくがもう遅い。彼女が気がつき、財布の中身を覗いたその時には、既に星は店員に看板を指差し、「こっからここまで持ってきて」と自分の金でしか許されないであろう暴力的な購入に及んでいた。トリプルのドリームアイス、ホールのオークロール、Lサイズのピカ白ぶどうソーダ、これまたLサイズのフライドポテトサンデー、Mサイズホールのクロックピザに、デラックスサイズのUFOバーガー……その会計は丁度20000信用ポイント。そしてその金額は、奇しくもホタルの財布の中身と完全に一致していた。

 

「……や、やっぱり随分食べるんだね……君……」

「ごめん、いつもの癖で。私超健啖家だから。健啖の悪魔って感じだよ」

「そ、そっか……じゃあ、お会計するね……」

 

 そうは言うものの、いくら全宇宙にその名を轟かす銀河打者とは言え目の前で美少女にここまで落ち込まれてしまったら流石にどうにかしないとという健全な感情が湧き出てくる。健全な精神は健全な肉体に宿るのは当然であり、直面してきた問題の九割をバットで解決してきた彼女の肉体に崇高なる道徳の精神が宿るのもこれまた自明の理。彼女はアイスを口に押し込みながら辺りを見回し、そして近くにアクセサリーショップを発見すると、ホタルの手を引っ張っていった。

 

「えっ、ちょっ、急にどうしたの……?」

「今のご飯のお礼!銀河打者は義理深いからね!」

 

 そして星は「たのもー!」とアクセサリーショップへ突入した。しかし、店員は「店内では飲食禁止ですので……」とそれを咎める。「なるほど、それも一理ある」と納得した彼女は一旦出直すことにした。

 

「……あ、ホタルも何か食べる?ホタルのお金だけど」

「じゃ、じゃあ、オークロールはんぶんこしようよ。あたし、このオークロールが大好きでね。絶対毎日一つは食べてるんだよ」

「へー。……あっ、ホントだ。極限状態に食べたらどっちかと言えば美味しいと言えなくもないかもしれなくもないって感じの木みたいな味する」

「えっと……?まあ、君が気に入ってくれたのなら嬉しいな」

 

 こうしてテイクアウトした料理を全て平らげ終えた星は再びホタルを連れて、リプレイのように「たのもー!」とアクセサリーショップへ突撃した。

 

「えっと……何かご入用でしょうか?お客様」

「この美少女に似合う良い感じのやつ持ってきて!あ、美少女って言っても私じゃなくてこの子だから!」

「か、かしこまりました……」

 

 そして店員はバックヤードの方へ向かうと、いくつかの箱を持って戻って来た。

 

「こちらが星間彗星を加工した最新のイヤリングで、こちらが……」

「どうする?全部買う?」

「い、いや……そもそも奢るってあたしから言ったんだし……」

 

 そう柔らかく断ろうとしたホタルだったが、その目に値札が映ってしまう。先程とは二桁以上違うその金額にホタルは「こんな高いの買ってもらえないよ!」と強く拒絶した。

 

「そう?じゃあなんかリーズナブルなやつある?」

「でしたら……」

 

 「そちらの棚はお求めやすくなっております」と店員はガラスケースを指し示した。星は、そっちの方へ駆け寄った。

 

「うーん……ああは言ったものの実は私、こういうのよく分かんないんだよね」

「うん、あたしも……だから、君が選んでほしいな」

「オッケー。……あ、じゃあこれで」

 

 そう言って星が指したのは、合金製の虫の羽のようなデザインがあしらわれたネックレスだった。

 

「そちらですか?そちらは極めて耐火性の高い合金を使用して作られたもので……」

「じゃ、これもらえる?」

「かしこまりました。お会計、20000信用ポイントとなります」

「おっ丁度だ」

 

 そして会計を済ませると、星はホタルに「はい」とそのネックレスを手渡した。彼女は少し遠慮がちになりながらもそれを受け取り、首に掛けて「ど、どうかな……?」と恥ずかしそうに星に問いかけた。

 

「超絶似合う。やっぱこの銀河打者の目に狂いは無かったね。私と同じくらい美少女」

「そ、そっか……ありがとね、星!」

 

 そうお礼を言うホタルに、星は「やっぱ美少女の笑顔は夢の中でも最高だなぁ」と他に誰もいないのにうんうんと頷く。

 

「じゃあ、次の場所を案内するね。ついてきて!」

「了解」

 

 先程のように、少し駆け足で次の目的地へ向かうホタル。星も、その後を追った。

 

「……あれ、そういえば、私自己紹介したっけ……?」

 


 

【おまけ】

 

年齢イメージです。肉体的なやつです。

 

インシァン19
ホタル17
銀狼16
カフカ29
38
ルアン34
17
アベンチュリン20
花火16




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