目の前で、彼女が死んだ。その感触は現実における「死」とは程遠いものであると頭では理解するが、それと同時に、それが確かに「死」であると、また頭は理解する。一瞬、また一瞬と、浅い肺呼吸が続いた。
「あなたは、大丈夫か?」
跪き、そしてふらり、ふらりと力なく立ち上がった星に、黄泉は声を掛ける。彼女はそれに答えず、「今の……夢……?」とその掌と、ネックレスを見つめ、ぎゅっと握った。黄泉はもう一歩、彼女の方へ近づくいた。
「こっちを見て……そして、深呼吸をするんだ。……いいな?」
「……代わって。私がやるわ」
そう言って、ブラックスワンは彼女の頬を優しく撫でた。そして星と目を合わせると、ゆっくりと、ゆっくりと言い聞かせる。
「落ち着いて……そう。呼吸と、鼓動に意識を集中するの……あなたは、大丈夫」
彼女が言い聞かせる言葉に、星はうろ覚えな「聞いて」という声を思い出した。彼女の視線が少しだけ潤んだように揺れると、ブラックスワンはその目に手を当てた。星は、瞼を閉じた。そして、ほんの一瞬を挟んで、星は目を開けた。さっきよりも、その視界ははっきりとして見えた。
「……うん。もう、大丈夫。……多分、大丈夫……」
星はそう答えるも、いつものような「銀河打者」なんて悩みも何もなさそうな立ち回りは鳴りを潜めていた。しかし、ブラックスワンは少し憂いを残したような表情で言う。
「申し訳ないのだけれど……私はしばらくここを離れるわ」
「あの「死」から、姫子さんと三月さんを守らないと」、そう続けるブラックスワンに、星は「……うん、お願い」と首を縦に振る。彼女は黄泉に星を任せると、ゆっくりとその場を去っていった。
「……こんなことになってしまって、すまなかった。あの少女に気を取られて、見過ごしてしまった……。彼女が死んだのは、私の躊躇いによってのものだ……」
「ううん、黄泉のせいじゃないよ。……でも、どうして、その刀を抜かなかったの?」
星が尋ねると、黄泉は僅かに目を瞑って考える。そして、彼女は申し訳無さそうに「すまない、私に、それを選ぶ余地は無かったんだ」と、再び謝罪した。
「……分かった。取り敢えず、今の状況を確認しよう」
「……そうだな。まだ「
「心の、傷?」
「ああ。私は、かつてこのように諭された。「敵に情けをかける必要はない、それは己に対する残酷な行為だからだ。だが、真の敵が誰なのかは、しっかり見定めなければいけない」、と。……あなたも同じだ。その力を振るう意味と、その代償。それらは、あなたが知るべきものなのだから。……余りにも多くを代償に捧げ、「血の負債」を抱え過ぎた人間から、あなたへ贈る、ただ一つの忠告だ」
星は、その言葉を意味を理解するよりも先に記憶の片隅に刻み、ゆっくりと咀嚼する。その意味を、僅かに知れたか、やっぱり気の所為か、そう思ったところで、彼女は再び姿を現した。
「……ただいま。二人共」
「あ、ブラックスワン」
「その様子だと……また少し、落ち着いたみたいね。そうそう、ナビゲーターさんから伝言を預かっているの」
「姫子から?」
「ええ。悪いニュースと、良いニュース。どちらとも、ね」
そう言うと、ブラックスワンは一つの憶泡を星に差し出した。「それを額に当てて」という指示に従って、言われた通りの動作を取ると、頭をゆっくりと、細く長い、冷たい針が貫いていくような感覚に星は陥った。そしてその針は彼女の脳へ溶け込むと、鮮明な映像を映し出した。
そこでは、姫子となのかがファミリーに見つかり、行く手を阻まれているのが見えた。ブラックスワンも彼女達のそばにいるが、ファミリーはそれに気が付いていないようだった。
「……なるほどね。状況は理解した。星はあんたに頼むわ。安全が確保できるなら、そのホタルって子について調べてもらっても構わない。互いの用が済んだら「クロックボーイ」の前で集まりましょう」
姫子がそう言い終わると、憶泡の映像はぷつんと切れた。そしてそのタイミングを見計らっていたかのように、ブラックスワンは口を開く。
「そういうことだから、彼女の頼み通りに、あなた達を連れて現実に戻ろうと思うの。あのお嬢さんのことは残念だけれど……あなたが無事で、本当に良かったわ」
「そうとなれば、早く出発しよう。安全な場所で、もう少し話したいことがあるの」
「ええ、そうね。ここでは話しきれないこともたくさんあるもの」
「ならブラックスワン、あの転送ゲートを開くのか?」
黄泉が尋ねると、彼女は「今の星さんの精神状態だと、あの「乱暴」なやり方では決して無視できないリスクがあるわ」とその首を横に振った。
「それと……あなたには、ホタルさんのために、まだ出来ることがあるでしょう?」
「……あ、ホタルの記憶……!」
「ええ。何らかの、彼女の痕跡はまだ残っているはずよ。それを辿れば、何か分かるかもしれないわ」
「道すがらの調査、か。悪くないな」
「だが、少しだけ、私に時間をくれないか」、そう言った黄泉に、二人は静かに頷く。そして彼女は、ホタルが死んだ、その場所に、再び歩いていった。星の脳裏には、まだ鮮明にその瞬間が焼き付いているが、不思議と、目を逸らそうという気にはならなかった。黄泉は、ちょうどその地点へと辿り着くと、その唇を結び、目を瞑った。また少しの隙間を挟み、彼女は腰をかがめ、地面から何かを拾い上げ、また身を起こした。それは、何かを掬い上げたようにも見えた。
「死が、あなたの長い夢を終わらせますように。そして、あなたを目覚めの世界へと運びますように」
彼女なりの弔いなのだと、星は理解した。ふと、彼女であった憶質の欠片から、音楽が聞こえたような気がした。
「……すまない、行こう」
そして、彼女達は再び歩き出した。
じゃじゃ〜ん!!ここで花火様のチェックリスト〜!!このとーっても難しいお話をみんなが理解するのを、花火が手伝ってあげるね!
まずは〜……芦毛ちゃんとその仲間達!芦毛ちゃん達の目的は、このピノコニーで「時計屋の遺産」っていうのを見つけることなんだって!普段は5人組だって聞いてるけど、どうやら1人は列車でお留守番みたい!1人だけこーんな楽しい夢を見れないなんて可哀想〜!今はメモキーパーちゃんと巡海レンジャーちゃんと協力してるみたいだけど……ふふっ、花火だったらもーっとたくさん巻き込んじゃうかも!
次は〜……孔雀ちゃんと桜ちゃん!カンパニーの奴隷と、カンパニーに史上最悪認定された星核ハンター、それに花火様っていう天才愚者のチームなんて、なんでも出来ちゃいそう!みーんな分かってると思うけど、芦毛ちゃんと仲良くしてた女の子、芦毛ちゃん二号もここに入るんだよ!芦毛ちゃん達と組んでピノコニーをどっかーん!ってふっ飛ばしても良いし、ファミリーと組んで中からバラバラにしても楽しそう!可能性は無限大なんだ〜!
最後は〜……みなさんご存知「ファミリー」〜!メインになるのはもちろん、手羽男ちゃん手羽子ちゃん兄妹!「調和」の派閥だ〜って言い張ってるみたいだけど、桜ちゃんは違うと思ってるみたい!花火?花火はね〜、面白いほうが良いな〜!それにしても、年がら年中夢見っぱなしなんて最高に楽しそうだね〜!もちろん、誰かが寝てるみんなのお守りをしないとなんだけどさ!
今のところはこんなもんだよ〜!みんな、簡単なおさらいはできた?もしかしたら、みんなが知ってるお話よりももーっとすごいことになっちゃうかも!ふふっ、みんな愉しみにしててね〜!
みんなの高評価とか感想とか!入れてくれたら嬉しいな〜!
あ、そうだ!TwitterとかXとかに感想を上げてくれたらとっても喜んじゃう!