星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

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原作改変が多量に盛り込まれています


接触

「はじめまして、星穹列車の皆さん」

 

 そう言って姿を現した星核ハンター「桜花」。警戒し、武器は取り出さないまでも身構える列車組に対して、彼女は「ああ、そんなに警戒しないでください」と微笑んだ。

 

「別に、あなた達の手を煩わせに来た訳ではないんです。今は……少々、手加減も難しいかもしれませんから」

「なにそれ?それって脅し?」

「やっぱいい度胸だね、あんた」

「ああ、ごめんなさい。少し、言葉選びが苦手なんです。私は、あなた達が知るべき幾つかの情報を伝えに来ただけですから」

 

 「だから、バットを下ろしてください、星ちゃん」と彼女が唇に人差し指を当てて言うと、「しかたない」と星は大人しく従う。そして「さて、何から話しましょうか」と考えながら呟く桜花。その姿、立ち振舞にどこか既視感を覚えながらも明確には思い出せないヴェルトが僅かに考える中、その隣の姫子は口を開いた。

 

「その前に少し良いかしら。あんたがアベンチュリンと組んだって話は聞いたわ。でも、それじゃあサムが星達を襲った説明がつかない。私には、あんた達がマッチポンプを仕掛けたように思えるの」

「ああ、その話ですか。その件は、もう星ちゃんに伝えたのですが……ごめんなさい、まだ、思い出せてないみたいですね」

「あんたのせいじゃん」

「星ちゃんの耐性を、少し信用し過ぎていたみたいです。そもそも、あの力は人間には向いていませんから。それを、すっかり失念していました。……ああ、そういえば、まだ答えを聞いていませんでした。どうでしたか?「繁殖()」の力は」

「正直……よく覚えてない。でもなんか、別の生き物になったみたいだった」

 

 「あ、あの扇子、まだ持ってるよ」とコートのポケットからそれを取り出した星。その一面に込められたただならぬ力を悟り、僅かにその目を見開いたヴェルトに桜花は「一瞥(これ)くらいのことなら、私にも出来るんです」と微笑んだ。

 

「……それで、サムが、星ちゃんを襲った理由ですか?……ええ。とても簡単です。星ちゃんを襲撃することが、「星穹列車と敵対する」には最も簡単で、迅速な手段ですから」

「「星穹列車と敵対する」って……やっぱりウチらの敵じゃん!」

「そのことについては、「脚本」にそう書かれている以上、否定するつもりも、その必要もありません。ただ、サムはいつも、出来るだけ早くに「脚本」を満たそうとするんです」

「「脚本」……ねえ、サムってなんでそんなに急いでるの?」

「その方が、「アドリブ」の尺が作れますから。サムは、私達の中で最も「脚本」に忠実ですが、最も「脚本」から外れている。その「脚本」はいつも独自解釈と想像性にあふれています」

 

 「まあ、この程度では「信用」にはならないでしょうか」と少し自嘲気味に笑う桜花。その一挙手一投足は見た目通りの少女のものでありながら、常に人外的な「何か」を纏っているようにも見える。そんな中、「いや、気にしていても仕方がないな」とヴェルトは顔を上げ、そして彼女に尋ねた。

 

「一つ質問してもいいだろうか」

「ええ。答えられることであれば」

「「星核ハンター」が現れたということは、この異変は「星核」に由来するものなのか?」

「「はい」であり「どちらとも言えない」です。確かに、前提条件には存在していますが、今回については、星核は「リソース」にすぎません。そもそも、誰もが気付いていながら見逃しているのですから、その重要度は他の要素に比べれば圧倒的に劣ります」

 

 そう答えてから、彼女は懐中時計を見る。そして桜花は「ああ、少しだけ、急ぎましょうか」と本題を切り出した。

 

「それでは、二つ、あなた達にお伝えします。「あなた達は、順当に間違った道を進んでいる」「今日は、七日目である」」

「……え?それだけ?」

「はい。これ以上は、伝える意味がありません。解答冊子とは、問題を解くのではなく答え合わせの時に使うものです。まずは、星穹列車が自分達の答えを探す方が、私が与えるよりも遥かに有意義ですから」

 

 「それでは、先約がありますので」と微笑む桜花。次第に、周囲を黒い花弁の桜吹雪が覆っていく。

 

「あ、そうそう。アベンチュリンさんが、あなた達からの答えを楽しみにしてますよ」

 

 そう言い残して、彼女は跡形もなく消えた。星の手の中の扇子が、街の灯りで煌々と照らされていた。




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