セイアちゃん実装おめでとう!!
ヤクソク×ト×ノロイ
人は皆夢を見る
夢とは人が心の内に秘める無意識の欲求や葛藤が反映された集合的無意識の表れとされている
しかし、とある一説によると、夢とはパラレルワールドであるとされている
『もしも』という非現実的な仮想世界
一つの選択肢から生まれる無限の世界
『百合園セイア』が持つ未来予知の能力は、パラレルワールドを観測することはできなかった
「・・・・・・」
何もない真っ白な空間
夢と現実の狭間で、セイアは1人ただずんでいた
この空間はセイアの思うがままに支配することができた
セイアは望んだ
それは、いつも親友と交わすティーパーティーだった
何もなかった空間にティーテーブルが現れ、その上には香り漂う紅茶とそれに見合う数々お菓子の並んでいる
真っ白だった背景は、見慣れたトリニティ学園と移り変わっていた
しかし、そこに親友の姿はなかった
物質は想像できても、生物を想像することはできないのだ
カップから漏れる湯気が、セイアの心情を表すかのように物寂しく天へと消えていく
セイアはカップを手に取り、ひとりぼっちのティーパーティを開始する
だが、その表情に寂寥感は無かった
何かを期待しているような
誰かを待ち焦がれているような
セイアは胸を弾ませながら、紅茶を味わっていた
「おねえちゃん!」
「やあ、少年。待っていたよ」
百合園セイアはパラレルワールドに干渉することができない
しかし、百合園セイアが観測できる世界の中に、別世界の者が介入することは可能であった
目の前でお菓子を美味しそうに頬張る少年を見て、セイアは安らぎを感じていた
現実世界では滅多に味わうことができない平和な時間
セイアと少年だけが共感できる安息の地
セイアは頬を緩ませながら、いつものように少年へ声をかける
「それで、今日は何の話をしてくれるんだい?」
「今日はねー、渋谷ってところを教えてあげるー!」
目の前の少年はセイアとは違う世界、パラレルワールドの住人だった
少年の世界は現代社会の世界だ
人々が銃を持つことはなく、老若男女様々な人間が暮らしているごく普通の一般社会
しかし、キヴォトスという銃が当たり前な世界の住人であるセイアからすると、少年の世界は想像もつかないほどの非現実的な世界だった
セイアはこの狭間の世界で少年の世界の話を聞くのが日課となっていた
「ひゃくきゅう?って建物があってねー、人がいっぱいいるすごいところなんだよ!僕は行ったことがないんだけどね!」
「ほう、私の世界にも似たようなところがあるよ。最近は友人と一緒に買い物に行くことも多くなったんだ」
「いいなー!僕の住んでいるところは山の中だから、そういうところは行ったことがないんだー!」
「少年も大きくなったとき、今住んでいるところから出るかもしれないな。それまでお楽しみだな」
「うん!!」
少年は山奥の集落に住んでいた
そこは、現代社会から切り離され隔離された村社会
都会はおろか、村の住人以外の人間を見ることすらない狭き世界
その世界で少年が外の世界を知ることができたのは、少年が持つ未来視の力のおかげだった
「でもね、渋谷は怖いおばけたちでいっぱいになっちゃうの。おばけたちが人間をどんどん食べちゃって、渋谷は怖いところに変わっちゃうんだ・・・・・・」
「そうか・・・・・・。だが少年。未来というものは変えられるんだ。一つの選択で。一つの意思で。悲劇的な未来は希望へと変えられるんだよ」
「未来は・・・・・・変えられる・・・・・・」
「今の少年には難しいかもしれない。だが、いずれこの言葉の意味が分かる時が来るだろう。少年が辛い時、苦しい時。私はここで待っている。少年が言葉の意味を理解できるまでずっとね。だから、そう悲観的になるな少年」
「・・・・・・うん、わかったよおねえちゃん」
セイアが想像した物質が消えていく
2人の時間に終わりが訪れているのだ
「明日もここに来てもいい?」
「勿論だとも。お互いが認識する明日に違いはあれど、私は明日もここで少年を待っているよ」
「うん!!約束だよ!!」
セイアと少年は指切りをする
また明日会えるようにと
世界が再び白に染まっていく
薄れゆく意識の中、セイアは来る明日に期待を膨らませるのだった
これが少年との最期の別れとなるのも知らずに
未来視
あるいは千里眼
それは、その世界の人間にとって誰もが羨望する力であった
少年が住む村に変化が現れたのは、とある人物が村に迷い込んだ日からであった
その人物は、普通の人間とは異なる特別な力を持っていた
そしてこの村は、現代社会から追放された人々が集まって形成された隔離社会
特別な力を持たないが故に社会から排除された哀れな人間達の集まりだった
村人達にとって、その人物の来訪はチャンスだった
我々を貶めてきたもの達への復讐のチャンスだ
村人達はその人物を殺害し、異能の力を我が物にしようと錯誤した
だが、村人達に特別な力が宿ることはなかった
そして村人達は気がついた
この村にも、特別な力を持つ人間がいると
村人達はすぐに行動に移した
その人間は特別な血を持っている
ならば、その血を我が物としよう
村人達は生きたままその人間の血を抜き取った
しかし、村人達に特別な力は宿らなかった
その人間は全てを見通す目を持っている
ならばその目を我が物としよう
村人達は生きたままその人間の目を抉り抜いた
しかし、村人達に特別な力は宿らなかった
その人間は特別な脳を持っている
ならばその脳を我が物としよう
村人達は生きたままその人間の脳を取り出した
しかし、村人達に特別な力は宿らなかった
その人間は特別な———
その人間の生命力は凄まじかった
いくら臓器を抜かれようとその命が尽きることはなかった
しかし、命は永遠に続くことはない
そしてついに、その瞬間が来た
「ぁ・・・・・・ぅぁ・・・・・・」
「———猿共が」
「だれか・・・いる・・・の・・・?」
「・・・・・・」
「だれだか・・・わからない・・・けど・・・」
「ぼくの・・・かわり・・・に・・・つたえ・・・て・・・」
「ごめん・・・ね・・・おねえ・・・ちゃ・・・・・・」
「うゔっ、オ゛ェェェ・・・・・・ッ!!」
吐瀉物がセイアの純白なドレスとベッドを汚していく
あの日から、セイアが少年に会うことがなかった
狭間の空間は消え去った
そして未来予知による悪夢がセイアを襲う
キヴォトスに存在しない人間の悪意と憎悪
少年がセイアに残した
それらがセイアをじわじわと蝕んでいくのだ
逃れる術はない
頼れる人物もいない
呪いは消えることはないのだ
【アツコの場合】や【ヒナの場合】みたいにオリ主くんが他作品の世界観や能力を持っているのは?
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あり
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なし
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好きにしていいから黙って曇らせを書け
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好きにしていいから黙って救済しろ