ブルアカ曇らせ性癖もりもりハッピーセット   作:龍角散ガム

33 / 34
幕間②

 

『待ちなさい便利屋68!!』

 

街中を一台の車両が走り抜ける

その車両を風紀委員会が追いかけるも車両は一向に止まる様子は見られない

車両からは爆弾が放たれ、追跡をしている風紀委員会たちを再起不能にしていく

 

 

『この道を抜けると先回りできる!!急げ!!カチッ…え?』ドゴーン!!

 

 

他の部隊が別ルートから追跡しようとするも、巧妙に仕掛けられた爆弾によって阻まれる

以前の便利屋68はここまで厄介な存在ではなかった

何故、彼女たちは突然ここまで力を付けたのか

指令室から現場を指揮するアコの額から汗が流れ落ちる

 

 

バサリと翼が羽ばたく音が通信機越しに聞こえた

ヒナ委委員長だ

ヒナは空へ羽ばたき、デストロイヤーを構え便利屋の車両に狙いを定める

 

キラリと車両の窓から光が見えた

その光の正体はスナイパーのスコープによる反射だった

 

スナイパーは顔を出していない

片手で窓からスナイパーだけをこちらに向けている

 

車のバックドアガラス越しにそのスナイパーを構える主を確認できた

 

 

 

陸八魔アルだ

 

 

 

彼女はこちらに見向きもしていなかった

後部座席でヘッドホンをしながら車の正面を見ている

しかし、スナイパーの銃口は正確にヒナを捉えていた

 

 

ダンッ!!

 

 

放たれた弾丸はデストロイヤーを弾く

そして跳弾した弾丸はヒナの頭部へと向かう

 

 

『ぐっ……!!』

 

 

「ヒナ委員長ッ!!」

 

 

弾丸をもろに受けたヒナは体をのけぞらせながら墜ちていく

ガシャーンと風紀員会の戦車に墜落した

 

ヒナに大きな怪我は無い

だが、ヒナを一撃で仕留める陸八魔アルの実力に、アコは戦慄していた

 

 

「便利屋68………貴方たちに一体何が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車両の中は静寂に包まれており、車のエンジン音だけが響いていた

アルは目を閉じながら腕を組み、ムツキは顎に手をのせ外を見ている

助手席のハルカも顔を俯かせ言葉を発しない

 

昔の便利屋ならば、あの空崎ヒナを退けたことに大騒ぎしていた

けれど、今はそんな素振りすら見せない

さも何もなかったように誰も声を上げていないのだ

運転していたカヨコは、変わってしまった自分たちを見て涙ぐみそうになり唇を嚙みしめた

 

 

「カヨコ課長、貴方また病院へ行っていたわね」

 

 

静寂を切り裂くようにアルが言葉を発した

あまりに冷たい声にカヨコは肩を震わせた

 

 

「いい加減現実を見なさい。○○は死んだのよ」

 

 

「………ッ!!」

 

 

思わず急ブレーキをかけ、カヨコは後部座席を振りアルを睨みつける

しかし、アルの冷酷な視線に声を詰まらせた

 

 

「まだ生きているって言いたそうな顔ね。確かに生物学上では○○は生きているわ。でも、あの姿を見て貴方は本当に生きていると言い張れるのかしら?」

 

 

カヨコだけではなかった

ムツキとハルカもアルの言葉にただ体を震わせることしかできなかった

 

 

「○○は生きているんじゃない。生かされているのよ。プラスチックのチューブに繋がれて、見るに堪えない姿で生かされているだけ」

 

「もう認めなさい。○○は死んだの」

 

 

アルは再び○○の愛用していたヘッドホンを身に着ける

○○がいつも流していた音楽を聴き、一人の世界に入っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………助けて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カヨコの今にも消えそうな声が車の中で溶けていく

それを聞いたムツキとハルカも顔を背け、静かに涙を流した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちの正義の味方はもう存在しない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

長年整備をされていないボロボロな地道を抜け、広場のような場所へとたどり着いた

その広場は周りが石の壁で囲まれており、どこからか流れついた水漏れている

天井が抜けており、広場の中心だけが日の光を浴びて神秘的な雰囲気を醸し出している

 

しかし、その中心に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

何もない広場の中央を大空は残酷なまでに照らし続けている

 

広場から数十分歩き、美しい花畑にたどり着いた

ここの景色はいつまでたっても変わらない

 

暖かい風がアツコを包み込んだ

 

アツコはいつものように定位置に向かい、折り畳み式のキャンバスを広げた

狭く小さいパレットの上に絵の具を出す

絵の具に水を垂らし、絵筆に色を付けたアツコは真っ白なキャンバスに彩を付けていく

 

描くのはアリウススクワッドのみんな

アズサや聖園ミカ、先生の姿も次々に描かれていく

表情を描いてはいないが、みんな幸せそうに花畑を囲んでいる

 

そして、何も描かれていなかったアツコの隣に男性の姿を描いていく

その足元には炎のたてがみをなびかせる小さなライオンの姿

二人は手をつなぎ、幸せそうに寄り添っている

 

 

アツコの瞳から一筋の涙が流れ、パレットの絵の具に混ざりあう

 

 

彼とかかわった時間はそれほど長くはない

 

 

しかし、その短い時間はアツコの冷たい心を温かく包んでくれた

 

 

そんな彼との日々が頭の中で溢れ出す

 

 

一度流れ出した涙は止まることを知らない

 

 

涙はパレットの絵の具に降り注ぎ、全ての絵の具と混ざり合う

 

 

 

「うぅ………ッ」

 

 

 

カランと絵筆とパレットが地面に落ち、絵の具と混ざり合った涙を花たちが吸い取っていく

 

 

もう彼はいない

 

 

夢と現実の狭間でアツコは一人、静かに嗚咽を漏らした

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ある日を境に、美食研究会はその活動を行うことがなくなった

 

テロとも呼べる彼女たちの行動がなくなったことに多くの人々は安堵の声を上げた

 

しかし、たった一人だけ心を傷める人物がいた

 

シャーレの先生である

 

先生は、やせ細っていく美食研究会のみんなを見ていることしかできなかった

 

彼女たちはまともな食事を摂っていない

 

一度、彼女たちを食事に連れて行ったことがあった

 

しかし、店の前に飾られた食品サンプルを見て彼女たちは胃の中のものを吐き出してしまった

 

そして、うわごとのように誰かに謝罪をする

 

彼女たちに何があったのか

 

先生には分からなかった

 

 

 

ただ一人だけ

 

まともに食事を摂ることが出来ない三人とは異なりいつも通りの生活を送っている生徒がいた

 

黒舘ハルナである

 

彼女だけは今まで通り食事を摂っている

 

しかしその様子は不気味なほどまでに異常とも呼べるものであった

 

ハルナは食品サンプルを見て吐き出すことは無かった

 

それどころか、吐瀉物を手に取り自分の口の中に詰め込み始める

 

先生はすぐさまハルナの奇行を止め、美食研究会のみんなを病院へと連れて行った

 

病院の先生曰く、彼女たちは精神に何か異常をきたしているとのことらしい

 

ジュンコ、アカリ、イズミは病院で生活することとなった

 

3人は固形物を口にすることが出来ない

 

さらに、肉料理を目にすると再び発狂し、誰かに謝罪をし始めてしまう

 

先生にはどうすることもできなかった

 

ハルナだけは通常通りキヴォトスで生活をしている

 

いや、通常通りと言ってよいのだろうか

 

先生はハルナとたい焼きを食べながら道を歩いていた

 

しかし、ハルナの瞳は曇ったままである

 

そして、いつものように彼女は独り言をつぶやく

 

 

 

 

 

 

 

「うふふ……どう?美味しいかしら、○○?」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

【???の場合】

 

 

 

 

 

 

砂漠の熱気を感じ、彼女はただ迫りくる死を覚悟していた

 

 

あの時、コンパスと水筒を準備すればこうはならなかったのに

 

 

もっと考えて行動すればこのようなことにはならなかったのに

 

 

後悔だけが溢れていく

 

 

そして、想うのはアビドスに一人残してしまう大切な後輩

 

 

彼女との最期が喧嘩別れになってしまったことに、枯れ果てたはずの涙が零れ落ちる

 

 

もう手を動かすことすらできない

 

 

視界が真っ白に染まっていき、暑さすら感じなくなっていく

 

 

最期の力を振り絞るように、彼女は消えかかった声を漏らした

 

 

こんな砂漠に人なんているはずがない

 

 

けれど、最後の最後に()()を信じて——————

 

 

 

 

 

 

 

「……………助けて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこの君!!!!今助けてと言ったな!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の願い(想い)が神様に通じたのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奇跡が起きる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心しろ!!!!助けを求める人のところに必ず駆け付ける!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正義の味方、『アルティメット・デビル』ここに参上!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 






お前、冒頭と最後を繋げるの本当に好きだな

と呆れる人もいるでしょう

でも、みんなこういうの好きでしょ?

私は大好きです!!!!

【アツコの場合】や【ヒナの場合】みたいにオリ主くんが他作品の世界観や能力を持っているのは?

  • あり
  • なし
  • 好きにしていいから黙って曇らせを書け
  • 好きにしていいから黙って救済しろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。