『被検体Xの血圧、心拍数共に正常。結合した部位も全て問題ありません』
『治癒因子の方は?』
『そちらも問題ありません。完全に細胞と結合しています』
誰かの話声が耳に入り、徐々に意識が覚醒していく
話声は籠もっており、反響している
背後から数多の小さな泡が空へ浮かんでいく
今俺がいるのは水の中のようだ
周囲を確認しようとするも動けなかった
ゆっくり目を開き、周囲を確認する
最初に入ってきたのは強い光だった
幾つものライトが俺に向けて光を放っている
視線を体に向ける
どうやら俺は、仰向けの状態で水槽のようなものに入れられているらしい
身体のいたるところが鎖で固定されており、完全に身動きが出来なかった
口にはチューブのようなものが加えられており、窒息しないように施されていた
「(俺は……なぜこんなところに……)」
記憶が徐々に蘇ってくる
『私、アンタのこと気に入ってたんだ……でも、聖園ミカと強い繋がりがあるなら話は別。悪く思わないでね』
「(そうだ……俺はあの女に呼び出されて、それで……)」
ズキリと腹部に痛みを感じた
痛みは腹から両腕、両足へと移動し、最後に喉に……
『しかし、左腕だけは見当たらず、結合できるサンプルも用意できませんでした。ですが、代用として義手を取り付けています』
義手……?
先ほどから左腕だけ感覚が無かった
心臓の鼓動が早くなる
視線をゆっくりと左腕に移す
そこには、見たこともない鋼鉄の腕が取り付けられていた
「(ッッッ!!!)」
口から酸素が漏れ、空気の泡が空へ浮かんでいく
そんな俺を気にすることなく、会話は続く
『アビドス砂漠の地中に埋まっていた特殊合金でできたアームです。様々な実験を行いましたが、決して破壊することはできません』
『その特殊合金をこれから被検体の骨格と融合させるのだな?』
『はい、おっしゃる通りです。生物兵器の誕生です』
水槽が揺れ始め、視界には小さなドリルのような機械が入り、こちらに迫ってくる
ドリルから逃れようとするも、身体は固定されているため身動きが取れない
ドリルが水槽の中へ入ってきた
不快な回転音が耳を支配する
ドリルは俺の身体の右腕、両足、上半身、そして頭部に狙いを定めた
肉を裂き、骨を削っていく
尋常ではない痛みが全身に襲う
瞳孔が開き、全身が痙攣する
骨を削るドリルから、液体のような何かが注入された
痛みと共に凄まじい熱が襲い始める
『脈拍が限界を超えました!血圧も300を超えています!』
『問題ない!続けろ!』
身体から発せられる熱が水槽の水を沸騰させ、泡が噴き出す
増していく痛みと共に俺の中の何かが泡と共に消え去っていくのを感じた
『うわっ……ゴリラじゃん……』
『……失礼じゃんね☆』
『あいたたた……』
『なんで何もない廊下で転んでんだよ。歳か?』
『うっさい!』
消えていく
『う~ん!このプリン美味しい!ナギちゃんのロールケーキとは大違い☆』
『そんなんばっか食べてるから太るんだぞゴリラ~』
『むぐっ!?なんでここに!?というか私は太ってないよっ!!』
『ミカさん!!貴女は女の子なのですから、もう少し淑女としてですね……!!』
『流石に今回の事件は見過ごせないよ、ミカ』
『うぇ~セイアちゃんまで~……』
『ぷぷぷっ……怒られてやんの!』
『ううううう~~~~!!』
愛する人との記憶が
『どうしてここに……』
『ゴリラがこんな群れることしか能がないボスザルごときにやられてんじゃねぇよ』
『…………サルを倒したくらいで調子乗るなんて、本当に頭チンパンジーじゃんね』
『はぁ?チンパンジーなめんなよ?4歳児の人間レベルの知能はあるからな』
『ごめんね先生、私はここまでかな……』
『テメェら……俺の大切な姫様に何してんだ!!』
『………わーお』
ミカとの記憶が
すべて
きえていく——————
『被検体の状態は……?死んだのか?』
『いえ、徐々に脈を取り戻しています!!実験は成功です!!』
『合金はすべて使い果たしました。拒否反応もありません』
『よし!成功だ!!』
「ミカ、今何処にいるんだ?」
『う~ん………キヴォトスの中?』
「はぁ?規模がデカすぎんだろ」
『キミは宇宙飛行士じゃないでしょ?なら、大丈夫。少なくともオゾンより下だからね☆』
「そんなの当たり前だろ!!大体いつもお前は……って切れてるし!!」
まったくミカにはいつも世話を焼かされる
だけど、嫌な気がしないのは惚れた弱みだな
困ったもんだよ全く……
どうせ、いつもの丘だろう
満開な星空を見渡すことが出来る俺とミカだけの秘密の場所
ほらな
やっぱりいた
『私がどこにいても、キミは必ず私を見つけ出してくれる』
『そうでしょ?』
「オォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
『なんだ!?』
『ひっ、被検体が意識を取り戻し暴走しています!!』
『銃だ!!銃を持ってこい!!』
『だ、駄目です!!銃が全く効きません!!』
『融合したアダマンチウムの影響か!!』
『それに、凄まじい速さで再生しています!!このままじゃ……ぐわああああ!!』
『くそっ……全員ここから避難だっ!!』
『む、無理です!!被検体が止まりません!!うわああああああ!!』
『お、おいっ!!落ち着け!!お前の望むものをやろう!!武器か!?金か!?地位か!?』
『なぁ、待ってくれ……私はまだ死にたくな
夜の砂漠のド真ん中で、俺は独り立ち尽くしていた
俺の記憶には何も残っていなかった
残っているのは怒り
そして、誰かを見つけ出さなければならないという使命感だけ
その誰かは全く覚えていない
けれど
その使命感だけが俺を突き動かす
夜空に浮かぶ
俺は孤独に歩み始めた
【アダマンチウム】
MARVELコミックに出てくる特殊合金
有名なキャラはウルヴァリン
要するに○○君は、爪が飛び出さないウルヴァリン+ウィンターソルジャー化したってことです
【アツコの場合】や【ヒナの場合】みたいにオリ主くんが他作品の世界観や能力を持っているのは?
-
あり
-
なし
-
好きにしていいから黙って曇らせを書け
-
好きにしていいから黙って救済しろ