降谷零に成り代わったが原作をクリアできない   作:ラムセス_

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ベルモットとお買い物

 

 本日はベルモットとお買い物である。

 

 原作通りに大枚を叩いて買った俺の車であるFD……RX-7の助手席にベルモットを乗せ、百貨店へとエスコート。

 車に乗る彼女の横顔はいつも通りに美しく、これでX0歳だとは思えないなという感想しか出ない。

 

 ちなみに。

 他幹部の私用にわざわざ付き合う義理は本当は無いのだが、彼女の買い物については別だ。

 付いていってよく観察すれば、珍しい外見系スキルの成長効率が上がる可能性大。

 つまりはうま味のランダムイベなのである。

 

 ここで、俺のスキルシステムについて説明しておこうと思う。

 

 俺のスキルは基本的にスキルツリー式で、膨大な数のスキルをスキルポイントを割り振る形で習得していくものになっている。

 

 しかし、スキルポイントとは別に成長効率という項目があり、それが少しばかり難解だ。

 これは俺のリアル知識を反映したようなもので、たとえば俺が頑張ってボクシングのコツと知識とを身につけていけば、そのぶん成長効率はアップする。

 成長効率がアップすると、少ないスキルポイントでも習得が可能になるというわけだ。

 

 雀の涙みたいなEXPから産出されるスキルポイントなんてたかが知れてるからな。

 この成長効率をどう伸ばしていくかが効率的なスキル習得における鍵となっている。

 

 まぁ、なんだ。

 俺は万物に勤勉であらねばならないということである。

 

 ベルモットが目の前で吟味して選んだらしい三着目のパーティドレスを着ながら唸っている。

 常のように美しいとしか思えないのだが、何か引っかかるところがあるらしい。

 

 俺は読み上げるが如くに平坦な声で心の篭らない賛辞を贈った。

 

「随分とお似合いですね」

「そう?でも少し……そうね。こっちの方がいいかしら」

 

 今回は次の会場に着ていくための新しいパーティドレスの調達だ。

 一個目も似合っていたが、そうだな。確かにすこし会場の雰囲気に対してシック過ぎるかもしれない。

 

 おれの想定が合っているかは分からないが、念の為想定を口にしてみる。

 

「二つ目の方が華やかになりますから、会場の雰囲気には合うかも知れませんね」

「!そう、あなたもそう思うのね。ならこっちにしましょう。頼んだわ」

「はい。会計と荷運びはお任せください」

 

 おっしゃ、正解。

 外見系スキルはクソ強有用スキル「変装」の前提スキルになってるから、早急なスキルLv上げは必須なのだ。

 

 幼少期に黒羽盗一に師事しても、前提スキルが足りなさすぎて身にならなかったからな。

 それでも鍵開けとか逃走とかの基礎Lvを短期間で上げられるのでうま味ではあるけれど。

 

 スマートに機械的に歩み出て、そのまま会計を済ませる。カードは事前に渡されていたベルモットのものだ。

 そして畳まれ袋に入れられた服たちを店の出入り口で受け取って執事の如く礼をする。

 

 これで五袋目。そろそろ手がいっぱいなので、車の後部座席に置いてくるべきだろう。

 

 持っている資産の量を思えば百貨店の方から家に来てもくれるだろうが、ベルモットはそういうのを好まないらしい。

 こうした都会のデパートでのショッピングが趣味のベルモットは、よくこうして俺を連れては買い物に来てきた。

 

 ……そのせいで、一時期「ハリウッド女優に男の影!謎の金髪の男は今季に予定されている映画撮影関係者か!?」とかになりかけたがな。

 火消しは大変だった。

 男女関係に注ぐメディアの情熱の深さは何なんだ一体。

 

「ベルモット、荷物を車に置いてきます。しばらく待っていてください」

「ええ。あの店で次の服を選んでるから、終わったら来なさい」

「かしこまりました」

 

 そんなことがあった以降も、俺を連れてきてくれる意図はよく分からない。

 そのおかげでスキルが揃ってきている現状、ありがたいことこの上ない。

 

 ただ、それが少しばかり不思議だったりするのである。

 

 

 

 

 

 組織の機械人形、一部にはオートマタだとか陰口すら叩かれる男。

 名をバーボン。

 

 彼には赤子の如き自我しかなく、また知恵はあっても意思はない。

 

 ベルモットはかねてより、この機械人形を憐れんでいた。

 プログラムされたような足取り、自由意志の存在しない瞳、決められた所作一つ一つ。

 全てが全て、己の意思というものを否定しているようで、見ていられない。

 

 事実、この男の意思は弱く薄い。

 

 ベルモットが都合よく側仕えとして使い倒しても何の文句も口答えもなく、奴隷のような忠実さを見せるのみ。

 ジンが以前に戯れにこの男の左腕を撃ち抜いたのだが、それでも痛がるそぶりすらなく、ただ無感動に自身へと応急処置を施しただけだった。

 

 全てにおいて能面のような色のない表情で、ただ静かに命令を待っているだけの機械人形。

 手足をしばり耳を塞ぎ、鳥籠で幼い赤子を育てたなら、はたしてこうも育つのだろうか。

 

 ふと戯れに男の顔を撫ぜる。

 

 バーボンはピクリとも動かずに指の動きを享受し、しばらくののち口を開いた。

 男の耽美な表情も長いまつ毛も、作り物めいて美しい。

 

「どうかされましたか、ベルモット」

「いえ。なんでもないわ。そろそろ行きましょうか」

「かしこまりました。ホテルまでお送りします」

 

 意思のないこの男が暗闇で都合よく消費されているという事実は、まるでベルモット自身の境遇すらも示しているようで。

 

 どうにも、ベルモットはこの男を放っておけないでいた。

 




降谷主「何故突然撃つ!?!?クソランダムイベめ!!!」
ジン「やっぱバーボン良いな(ニチャア)」
ベルモット「可哀想…」
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