亜人:ゼロから始める異世界生活   作:ZAT23

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運命は止められないの 夕日が沈むのを止められないのと同じ


【FILE:101】第四の権力④

 

街を牛耳る大商会が襲撃を受け、代表が凶刃に倒れる。そんな悲劇の噂が一晩で街を駆け巡った。

 

翌朝の混乱が最小限であったのは、領主が意外なほどに落ち着いた対応をしたことと、その事件が悲劇で終わらなかったことが理由だろう。

 

襲ってきた卑劣な強盗を後継が見事に討ち取って、仇を取ったのだ。複数の死体が晒されそれが証明となった。

 

これは市民に対しては安全を意味するアピールとなる。

そして商人たちには明確な脅しのメッセージとして受け取られる。苛烈なその意図を汲めたものたちは、これもこの時代の流れだろうとそれに合わせて姿を変える。柔軟性こそが生き残る術であると、彼らは知っていた。

 

 

そんな非日常が話題をさらう騒がしい街を、そそくさと背にする人影があった。

 

昨日まではこの行商の竜車もいつも通りに出立の予定だった。

 

しかし、先の襲撃によってそれは前倒しにされる。

大商会にベッタリだったこの行商は、明らかに風向きが変わった様子を感じ取る。即座に逃げる時と判断してこの街を出ようとしていた。

 

そんな彼に声をかけたのがマスカレード夫婦。いや、夫だけだ。

 

「いやはや、妻と喧嘩するのはしょっちゅうなんですよ。たまにはこうやって一人でも旅をしないとね。次の街で合流するので、そんなに心配なさらないでください」

 

「ええ、まぁ構いませんとも。ところで、『青蓮の証』は?あれはお持ちでないので?」

 

『青蓮の楽徒』はカルステン公爵より、青い蓮とそれに囲まれた女神の肖像の織物を与えられている。

それこそが『青蓮の楽徒』の証であり、彼らを襲う山賊などはそうそういない。

白鯨だって敵わないのだ。ただの賊が立ち向かえるものか。

 

「ええ、あれは妻に預けていますよ。子供もいますし、そりゃあね」

 

行商は笑顔のまま内心でため息をついた。それならば乗せただけ損じゃないかと。

 

「そうですか、まぁ短い旅の間ですがどうぞよろしく」

 

一気にそっけなくなった行商の態度に、たはは。と愛想笑いを浮かべるエリアス・マスカレード。

彼は自身の人を見る目には自信があった。彼でよかった。万が一が起きても、あまり心は痛まないだろう。

 

 

よくない雰囲気を無視しつつ鼻歌を歌って一人旅を楽しむことにした。

家族は愛している。けれど実際、たまには一人の時間も良いものだ。

 

 

 

その竜車の出発を見守り、後に続くものたちがいる。

 

ロブルとエルザ、他アニスを含む風魔の5名。これだけの戦力が揃えば大抵の荒事は処理できる。

 

青蓮獅子団を含む風魔においても、初の死者についての話は重々周知されている。

戦力の過剰投入は避けたいが、それでも確度の高い情報があれば十分な人材を要請できる気風が集団の中に出来上がっていた。

 

以前は現場だけで限界までやるという雰囲気があったが、現在それは消え去っている。

 

 

「調査の際に、違和感があったんです。吟遊詩人の襲撃だけ、やけに恨みがましいというか。商人とその子飼いの賊どもとは違うように思える点がいくつかあったんです。まるで金やものに執着していない、なんだか悪意や恨みみたいなものを感じるような」

 

その言葉を裏付ける幾つかの調査結果を聞いて、皆が感心する。

 

「敵は明確にクルシュ様を貶めようとしている。目先の損得じゃない、そんな怖さを感じました」

 

 

「良い調査と判断ね。さすがだわアニス。それで囮を買って出てくれた協力者の吟遊詩人の方は?」

 

「それは実際、予想外だったんですけどね。カルステン家に靡いたものだけが安全でそれ以外が殺されているという現状、青蓮の証を身につけていれば安全だろうと話したら、彼がそれなしで釣りをやると言い出して…」

 

「なにそれ、なんでそんなことを?妻子もいるんでしょう?」

 

「どうやら、もう一人すでに一人前になった子供がいるようでして、きっと彼女は公爵様の証を付けないだろうから。家族のために父は頑張るものですよなんてカッコつけてましたよ。震えてましたけど、その覚悟は本物でした。彼もまた、戦士です」

 

感心する彼らは善人だった。戦争によってその精神構造は常人とは離れてしまったが、それでも普通の感性が歪み傷ついた程度だ。

 

ここにはもう一人、どうしようもなく根本から歪んでいる女がいる。

 

「その辺りはどうでも良いの。敵はどの程度いてどれくらい強いのか聞いても良い?開けてもいいお腹と会えるのはとっても久しぶりだから、楽しみだわ」

 

妖艶に笑うエルザは、昨日の夜に飲み交わした時に感じた人間性を脱ぎ捨てたようだった。

 

毛並みが逆立つ。やっぱこええ。

最近は魔法なしの隊長に勝ち越すこともあるらしい。バケモンだ。

 

 

いや、今のは言い過ぎ。よくない想像だった。彼女もまた人間だ。昨日それを知ったじゃないか。

 

アニスは畏怖を感じつつも、今まさに成長し続けるその少女のような大人の女性を見守るのだった。

 

 

 

 

彼女がその武器を抜く時が来たのは、それから半日後のことだった。

 

 

街から離れて数時間。最も人が油断し人通りの少ない地点で襲撃があった。

 

賊は3名。しかしその容貌は落ちた山賊というよりは暗殺者といった出で立ちだった。

 

訓練された動きで、行商に襲いかかる。

通常であれば脅して隠し財産などを出させるものだが、一切の脅しも交渉もなくただただ拘束していった。

 

そこに、大声を上げて近づくアニスと風魔の部隊。

 

それを認めた時の彼らの反応は早かった。

 

一人が即座に森へ逃げ、二人が残って短刀を構える。

 

風魔は当然ながら戦闘もこなせる。最短の対話で作戦を決定した。

 

「おそらく毒。『針鼠』と『黒犬』」

 

「「「了解!」」」

 

それぞれが中盾や小盾を取り出して装備。おそらく戦力で勝っているとは思うが、それでもあえて待ちの姿勢を見せる。『針鼠』は安全策だった。無理をせずに相手に無理をさせてその隙をつく。時間も稼げる構えだ。

 

彼らは攻勢に出ない盾を相手に上手く立ち回れていなかった。

破れかぶれの相打ち攻撃すら許されずに足踏みする。

 

実力はある程度把握した。きっと普通にやっても勝てるだろうが、一応は安全をとり続ける。

 

そしてアニスにしか聞こえぬ笛の音に反応し、合図を叫ぶ。

 

「盾を固めろ!」

 

その言葉を合図に、全員が盾を投擲した。

指示と真逆の光景に、一瞬暗殺者たちの脳が混乱し、当然の結果として体が怯む。

 

その隙に噛み付いたのは、森から現れたウルガルムだった。

 

牙が肉を裂き、骨を砕く。

 

それを合図に、アニスが接近。もう一人もなにもさせずに敵を切り捨てる。

 

 

「警戒!死亡と周囲を確認しろ」

 

短弓を取り出して、離れた位置からトドメの矢を打ち込む。

 

ウルガルムに噛みつかれて死んだと思ったものは、隠し持っていた暗器をたまらず落とし確実に絶命した。

 

「マスカレードさん!無事ですか?」

 

 

「ええ、ええ!大丈夫です!いやはや、強いだろうと思っていましたが、アニス君。本当に強いんですね!まさに英雄じゃないか!危なげもない。熟練の職人のようだ!」

 

興奮した様子の彼は大丈夫そうだ。

 

「あ、でもそういえば一人逃げましたよね?あれが頭目でしょうか?大丈夫かな…」

 

「ええ、大丈夫。むしろそっちが本命ですよ。きっと彼らの巣ごと恐ろしい目に遭ってます」

 

だって彼女は、あの剣聖からも逃げ切ったのだ。それがどれだけの意味を持つのか剣聖を間近でみたものにしかわからないだろう。

 

「ではみなさんは、街に戻りますか?」

 

「いいえ!このまま次の街まで行きますとも!この英雄譚を歌にしないと。閃いたぞ!『英雄の毛並み』」

 

まさか自分が語られることになるとは。

 

その楽曲を聴いていると自然と高揚してくる。けれど、聴き終わった後には冷や汗、いやアニスは冷や汗をかかない。代わりに肉球が湿っていた。

 

「秘密にしなきゃいけないところも多いですから、ちょっと歌詞を直してもらえますか!?出来上がったら誰かに聞かせる前に教えてくださいね。絶対ですよ!」

 

敵の巣窟に駆け付けなくてはいけないのに、ちょっとした心配事が増えた。

誰かに語られるっていうのは、どうにも慣れないなぁ。

 

 

アニスは駆けながらそう思いつつ、今度隊員に自慢しようと決意した。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

そこは先の襲撃地点から遠い、辺境の開拓村だった。奥まった地形と鉱山跡を活用した村は、見た目よりずっと広く人を受け入れることが可能だった。

 

魔獣除けのための堅牢な壁が村の周囲には組まれており、前後の出入り口のみが通行可能な場所である。

 

しかし本来の住民はごく少なくなっており、その代わりに各地であぶれた犯罪者や暗い過去を持つものたちで溢れていた。

 

その中の一つ、村長の屋敷であっただろう家に暗殺者の一人が駆け込んだ。

 

「報告します。襲撃は失敗。青蓮獅子らしきものたちに妨害されました。どうされますか?『ブラック』さん」

 

「なんだと!?この無能が!おめおめと戻ってきたというのか!しかしそれにしても早い。早すぎる…尾行はされていないだろうな?」

 

気分を害した様子の元暗殺者は、王都で拾ってやったものだった。

 

「はい。どんな人間だろうとこの経路を初見で見つけるのは不可能です」

 

「これ以上無能を晒してみろ。これまでの役立たずのようにここから追放してやってもいいんだぞ」

 

悪態をつきつつも状況を把握する。

失敗はしたが、最悪ではない。いずれ来ると思っていた事態ではある。

もっと勢力を拡大して、彼らを裏から削ぎ続けるつもりだった。

 

その活動を続けることができるかどうか。それが問題だ。

 

「いや待て、青蓮獅子には亜人も多いはずだ。それに魔獣だっている。本当に追跡はないのか?」

 

その疑問に答えるように、怒号と悲鳴が響き渡る。

 

 

「くそ!この穀潰しが!とっとと侵入者を殺してこい!」

 

「…ええ。わかりましたよ。『ブラック』さん」

 

 

そう言って、暗殺者は裏口から逃げ出した。

 

 

村で暴れているのは蛇人の剣士だ。

その剣技は元騎士だろうが、元暗殺者だろうが関係なしに切り伏せている。

 

「投降すれば殺さないわよ。逃げたり向かってくるなら全員殺すわ」

 

それを見たものたちは、それぞれが勝手に逃げ始める。

 

入り口に殺到するものたちは、目の前の光景を見て戦慄する。

 

そこにいるのはウルガルムの群れだった。

 

体に青蓮の証をつけた魔犬の群れは、入り口を超えたものを噛み殺さんと威嚇する。

 

 

「いや、たかが魔獣じゃねえか!さっきの剣士に比べりゃマシだ!!」

 

そういって、傭兵のパーティーがウルガルムに切り掛かる。

 

通常のウルガルムであればそれは有効だったろう。しかし、これは永井圭によって調教された魔犬である。

 

人間が棒状のものを振り翳してくる際の殺し方は、嫌というほど訓練されていた。

 

背負った盾で刃物を受けて、お返しに足に軽く噛み付いて離脱。

 

それだけで呪いが発動する。そうするとまるで状況が変わるのだ。ウルガルムを殺さなければその相手はいずれ死ぬ。

 

それを知るものは死に物狂いで殺しにかかるが、そうなると彼らは逃げ始めるのだった。

森の中で襲われれば、勝てない。

 

入り口からの逃走を諦めたものたちが、裏口に走り出した。

 

 

 

暗殺者は、指示を出したものへ唾を吐いてこの場を後にした。

 

食わせてもらえるうちは従うが、これならあいつも終わりだろう。助ける義理もない。むしろ死んでくれ。

 

ざまぁみろと。そう思う。自分がいなくなったことでぽっかりと空いた役割を一体誰が埋めることができるのだろうか。

いいや、そんな人材はいない。

 

諜報と部隊指揮、そして戦闘までこなせる自分のような有能な人間は、手配さえされていなければどこでだって活躍できる。

 

そうだ。ヴォラキアに行こう。

 

あの帝国なら実力だけで地位を得られる。こんな理解のない負け犬のもとでなにをコソコソする必要があったのだろうか。

 

明るい未来に想いを馳せながら、すでに疲れ果てていた体に鞭を打って走り出す。

 

 

走り出して、違和感に気づく。

 

落とし物。落とし物をしてしまった。

 

 

ばちゃばちゃと音を立てて、大事なものが落ちていく。

 

 

あ、だめだ。だめだ。それがないと。だってそれは俺の。お腹の中身…

 

 

 

首を刎ねられ、そこで意識がくるくると回りながら暗闇に落ちていく。

 

彼の未来は全てを引き摺り込むような暗黒に、回りながら落ちていった。

 

 

 

「明らかに戦えそうな、裏社会の人間。それと攻撃してきたものたちは皆殺し。こんな命令初めてね。ああ、さいっこうだわ。もっともっと踊りましょう」

 

次々と殺到してくるものたちは目には狂気を、必死な形相で武器を振るってくる。

 

エルザの休暇が始まった。

 

 

入り口から引き返して裏口に到達したものたちは、その光景を見て足を止める。

 

臓物の絨毯が、敷かれていた。

 

まるでレッドカーペットである。それに足を踏み入れることは、生理的にも理性的にもできなかった。

 

「おい!いるんだろ!化け物が!この人質が見えねえのか。良いとこの貴族の娘さんだってよォ!殺されたくなきゃ姿を見せやがれ!」

 

その声に誘われるかのように、森の木々から女が降り立った。

血で全身を濡らしながら、その目は恍惚の色で染まっている。

 

そして男の方へと歩み出す。

 

散らばった臓物を踏みしめるように、わざと音を出しながら笑みを浮かべて進んでいく。

 

「へえ!バケモンにしちゃ美人じゃねえか。おい、止まれ!聞こえてんのか?武器を捨てろ!」

 

女は聞こえているだろうに、微笑んだまま進み続ける。

 

「脅しなんかじゃねーぞ!俺たちに後はねーんだ。本当に殺さないとでも思ってんのか?!」

 

「そのままでいいわよ。わざわざ身動きを取りづらくしてくれるなんて、気遣いができるのね」

 

その言葉を一同は理解できなかった。

 

「片手を無駄にして、私に勝てるとでも?そんな大きな荷物を抱えて、私から逃げられるとでも?これだけ血を浴びている私が、その知らない誰かのために武器を捨てるとでも?」

 

心からの疑問といった様子で問いかける。貴族令嬢の救出だと思い込んでいたものたちは絶句して絶望した。

 

「ああ、自分より滑稽な人を見るのって楽しいのね。いつか、やり返してやりたいわ」

 

全員が人質という名の重しを捨てて、決死の戦闘を挑んで散っていく。

 

 

それを見て観念したのだろう。捕まったとしても死刑にはならないだろうものたちは武器を置いて抵抗をやめる。

 

人質の幾人かはその凄惨な救出劇に意識を手放し倒れ伏す。トラウマになったかもしれないが、それも生きてこそである。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

王都で活躍していた裏社会の組織『ブラック』の元首魁、現在はその名を名乗る男は元鉱山の中に逃げ込んだ。

 

村からの逃げ道に気づいたものたちも幾人かが逃げ込んでおり、それぞれの生きることへの努力がうかがえる。

 

後続の事など知った事か。使った道は崩して潰し、そして坑道の入り口にはあらかじめ仕掛けておいた魔造具を起動させる。

 

 

その土魔法によって作られた岩壁は十重二十重に頑健な鉱物でできており、土魔法による干渉もできないようになっている。『暴風の扉(ブラストドア)』が作られた場所は安全だ。

 

その間に、裏からの逃走経路を伸ばして、新たな道をつくれば良い。土魔法使いは確保している。

 

小さな音がする。硬い壁に硬い何かがぶつかる音。

 

「はは!どうやらあの剣士、やけになってこの壁切ろうとしているらしいぜ!剣鬼だってこれは切れねえっての!」

 

「ちげぇねぇ!ラインハルト様でも持ってこいってんだ!」

 

その音に、どうにも気分が良くなる。相手が無駄な努力をしていると知るのは楽しいものだった。

 

 

「おい、別の道を作れ!半日以内に撤収するぞ!」

 

あらかた指示を出して、奥で休もうとした時に違和感を肌が知覚した。

 

なんだか、暑い。

 

流石に走りすぎたか?いや、それならかいた汗で冷えるものだろう。

 

おもむろに封鎖した岩に近づくと、それが発熱していることがわかった。

 

ふと、その汗が岩に落ちると、ジュウ!という音を立てて湯気に変わった。

 

一体何を?そうして呆然としていると、その岩がだんだんと熱を帯びて赤熱していく。

 

剣のような溶岩がその岩に一穴を穿った。

 

 

「『暴風の扉』が破られる!」

 

「破られる?そんなまさか!!」

 

 

そこからドロドロと溶け出して、どんどん壁がなくなっていく。

 

もう近くにはいられない。息が苦しい。

そう思った時にはすでに『ブラック』は呼吸ができなくなっていた。

 

倒れたその身に、溶岩が迫っていく。

 

必死に体を動かそうとするが、動かない。溶岩に触れた足から、体が燃える。

 

全部が燃えていく。

 

 

あいつ、あいつが憎い。

 

こうなったのは全てカルステンのせいだ。あれが元凶に決まっている。

憎しみに染まり、暗黒面に落ちた精神が新たな力に覚醒するわけもなく、そのまま男は焼けて死んだ。

 

体は炭化して、真っ黒になったその姿が『ブラック』と呼ばれた者の最後というのはまさに皮肉であっただろう。

 

坑道へ逃げ込んだものたちは全員が蒸し焼きになったようだった。

 

 

これだけの仕事に対しての王国からの褒賞を限界まで搾り取るのは、エリノアとケイの仕事だった。

たまたま通りかかった青蓮獅子団が、仲間割れの結果を収拾したという体で報告がなされているが実際に違うことは誰もがわかっている。

 

領主と賢人会はその内容に戦慄したという。

 

 

拉致されたものや奴隷の如き扱いを受けていたものたちが30名以上救出され、4名が死亡。

中には貴族の令嬢も含まれている。

 

20名近い犯罪者たちが死に、10名以上が逮捕された。

 

そしてその英雄譚は、あまりにも早い速度で王国中へと広まっていく。

歌を止めることは誰にもできない。

 

聞き取りやすい綺麗な物語が、血生臭い事実と、死の熱を無視して伝播していく。

 

 

人が聞きたいことを聞きたいように歌う情報伝達網が王国に構築されつつあった。

 

 




ファントム・メナスは人生で一番見た映画です。

毎朝5時起きで小学校に行く前にDVDで見てから行ってた。当時はセリフ全部覚えてたなぁ。
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