亜人:ゼロから始める異世界生活   作:ZAT23

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【FILE:190】狂風一過

天災が過ぎ去るのを地下で耐え忍んでいた多くの人々が、次第に顔を出し始める。

 

グァラルに住む者たち。ここまで到達した帝国兵たち。王国から来た増援軍たち。

 

彼らが地下から出てきて思わず呟いた最初の言葉は、惨状への悲嘆ではない。

戦勝を祝う叫びでもなく、それは心から漏れ出た単純な感嘆だった。

 

「きれい…」

 

誰もが目を奪われるのは、傾き始めた太陽だ。

ここまで美しい夕焼けを見たのは初めてだった。

 

躊躇なく世界を裂いたような空。紫と紅が入り混じり、燃える雲の奥に蒼が滲んでいる。

空そのものがぼんやりと発光しているような夕暮れだった。

 

何かが焼けたような匂い空気が立ち込める。風は止み、音はすべて押し黙り、耳鳴りだけがいまだに響く。そんな不快であるはずの状況であるのに見惚れてしまった。

 

 ――残酷なまでの美しさに人は魅入る。

 

積み重なる竜の亡骸の上で、かつての都市の残骸の上に輝く光にどうしても惹かれてしまった。

 

こんなにも世界は終わりに近いようで、それでも生きていると告げるようで。

 

誰もが見上げたまま、まばたきを忘れていた。目が痛い。けれど、それすら惜しい。

 

 

誰かが生きていることを誇示するように叫び出すと、人々はつられて魂からの叫びを上げる。

 

生きているということは勝ったということだ。

精強さの証明は、生きて勝鬨を上げることである。

 

互いの存在を確かめ合うように、目の前の現実を昇華するために。

本能からの叫びを空へと届けた。

 

 

 

 

その翌日、ケイは人々の様子を眺めていた。

 

崩れ落ちた建物の瓦礫が片付けられた一角、広くなった空を仰ぐようにしてケイは仰向けに寝転がって横目に人々の復興を目指す活力を見る。

 

生きた人間を見ていると、死んだものたちのことが頭によぎる。

 

想定より死んだ数が多かった。地下へ逃げろと言っておいても全ての人が指示通りにはできない。

それはケイも承知していたが、それでも多すぎた。

 

帝国民の戦いへの渇望というものを自分は理解できていなかったらしい。

 

それに民間人も戦いの一週間前から後方や地方へと避難誘導をしていたが、想定より多くの人間が留まった。武力を用いて強制的に退去させてもなお残るものたち。わざわざ戻ってきた家族すらいる。

 

家を守るために戦うのだと息巻いて、必要ないと言ってもせめて火を焚くだけでもと志願し、そして死んだものたちがいる。

 

今後はもっと正確に彼らの動きを予測できるだろうが、それは次からだ。

 

ケイは決して揺るがないが、自身の失敗は認める。これを失敗と捉えるかどうかはケイの自由だからこそ、これは届きうるものだったと自分でわかっていた。

 

もう少し頭を回せば死ななかった人間がいるというのは、気分が良くない。

 

これは優しさなどではないと自覚している。

相手の意思を尊重したと言うこともできるし、そうすれば聞こえは良いがケイは普段から他人の判断能力を高く評価していない。

 

つまり彼らが死んだ責任は彼ら自身で背負ってすらいないとも言える。まともな思考ができる人間に責任というものが発生するのだ。

自分も何かしたいという気持ち自体は良いが、都市ごと竜を吹き飛ばすと言っているのにいうことを聞かないのはおかしい。

 

責任とは人に押し付けるものではなく、自ら負うものである。

 

彼らの死の責任、そんなものを自分に問うものはいないとわかっているが。気分は悪い。

カルステン領での生活が、ケイの根幹に与えた影響は思いの外大きいようだ。

 

この責任の範囲が増えてしまえば、自分だってメンタルを病むかもしれない。

 

これから帝国で起きることを考えればその可能性は高まるだろう。

正直あまり想像はできないが、誰もが自分だけは大丈夫だと思うのだろうし。気をつけるに越したことはない。

 

戦争に参加している時点で、PTSDを抱えて帰ってくる危険性は誰にでもあるからだ。

他人よりは精神は強いと思っているが運のような部分もある。

 

まぁなんというか。無駄な死人は望むところではない。当たり前だ。

必要なら積極的に起こすことも厭わないが、無駄死には嫌だ。

 

この結果にクルシュとプリシラが何を言うだろうかと考え込むが、あまり想像できなかった。

 

『永井君らしくないね。そんなことで大丈夫かな。気分転換に断頭するのはどうだろう?』

 

断頭は嫌だが、死ぬのはいいかもしれない。脳の状態をリセットするのは実際のところリフレッシュにはなる。

 

……良くないな。まぁ、痛いのは嫌だし、無痛でも癖づくとクルシュが嫌がりそうなので控えることにする。

 

『もっとシンプルにいこうよ。単純なものってのはそれだけで頑丈だよ』

 

シンプルなものは良い。それも正しい。やはり過失でここまでの人間を死なせると多少なり精神に影響はあるのだろう。

それで行動を変えるつもりはないが、多少なり気に病むと言うことだろうか。

 

というか助言と心配などとそちらこそ佐藤らしくない。お互い様である。

 

ザーレスティアという力を手に入れて、影響を及ぼせる範囲が増えている。

自分や家族の枠を超えて物事を守ろうとすると、どんどんそれが膨張してしまう。

 

そんなことをぼうっと考えてヴォラキアの空を眺めていると、いつの間にか寝てしまっていたようだ。

 

「あれ?ケイ、よね。大丈夫? こんなところでぐーすか寝てるなんて、すごーくびっくりしちゃった」

 

腕で目を覆う形で寝ていたようで、腕と顔に跡がつくくらいには時間が経っていたようだ。

珍しい知り合いに起こされた。

 

体調の確認をする。不眠の症状はないらしい。

気分も良くなった。よし。次に活かそう。

 

「ねぇ。お話ししたいことがあるの。この街のことで、もやもやしてて。それでケイは頭がいいでしょう?だからちょっと相談。そう。相談をしたいの。今はお話しをしても大丈夫?」

 

エミリアからここまで真っ直ぐに話をしたいと言われたことはなかった。

 

どうやらこの状況に思うところがあるらしい。スバルがいないからと少し油断していたかもしれない。

起き上がり了承する。

 

「ええ、別にここで構いませんか?今は天気もいいですし」

 

「そうね。すっごく晴れだもの!こんなに晴れっ!って天気はおいそれとは見れないわ。私も賛成」

 

まるでこの空のようにカラッとした声が返ってくる。

 

「私ね。ずっと考えてたの。もっとできることはなかったのかなって。例えば私がこの街と空ごと、すごーく寒くして。うんと冷やしてあげたりしたら竜たちは帰ってくれたんじゃないのかなとか。もっと早く走れたら。風に飛ばされた人の手を掴めたんじゃないのかって。そんなことを考えてて…」

 

「僕のやり方は間違っていると思いますか?」

 

予想通りの反応でもあるため、想定していた言葉を並べて準備をするが…

 

「ううん。そうじゃないの。これは、ケイにこうして欲しいっていう話じゃなくてね。私は、どこで何をしたら良かったんだろうって。そう思うの。水門都市でもプリシラに言われたわ。力は強くなったけど、考えが足りないって。私もそうだと思う。でも、どうすれば良いかわからない」

 

驚いた。

憂いを帯びたその表情は、本当にケイに対してのものではなく自分の無力さに対しての鬱憤。

エミリアの言葉を借りれば『もやもや』しているのだろう。

 

「そんなにびっくりして、それってつまり。そこまで考えてなかったって思われてたってことでしょう?それくらいならわかるのよ。私だって考えてるわ!プリシラとかケイ。クルシュを見てたもの。すごーく悩んだわ。スバルの真っ直ぐさが大好きだけど、二人で同じになるのは違うって、そう思うの。違ってる方が違うところでよいしょって頑張れるでしょ?」

 

ケイは思わず笑みが溢れた。

まさか、王選候補者の中で。いやこの世界の中で最もケイと遠い思考を持っていると思っていた人物が、同じタイミングで同じようなことを考えていたとは。

 

自分の的外れな考えに、思わず笑みが溢れてしまった。

 

「え!すごいすごい!ケイが笑った!クルシュが言ってたの、ケイが笑うのって本当に珍しいんだからって!今度自慢しちゃうわね!」

 

「それはやめてください。面倒なことになりそうだ。先ほどの質問を答えるから勘弁してください。僕なりに答えますよ」

 

ケイは真面目にエミリアと向き合った。相手を一人の人間として対話をするための姿勢に自然となっていた。

 

「問いで返すようですが、あなたは飛竜たちを殺さずに返した時、その後どうなると思いますか?」

 

「都市のみんなも死なない。飛竜たちも死なない。悲しくなる人が減ると思う」

 

そう語るのは理想的な話だった。ケイのイメージするエミリアはこう話す。

けれど、目の前の人物はそれだけで終わらない。

 

「でもきっと、この考え方もきっと何かを見落としてる気がするの。だからもやもやが曇りみたいになって晴れないんだわ。ケイは優しいでしょう。頭もすごーくいい。だから教えて欲しいの」

 

こういった想像や想定はスバルにはあまりできていないだろう。

悲観的な想定であれば尚更苦手な分野だ。彼はそれを避ける考え方をする。

 

エミリアに対しては特にである。なぜならスバルはエミリアに暗い顔をして欲しくない。

問題があれば、できれば影で解決してしまいたいとすら思っている節がある。

 

まぁその方向の想像力が乏しいという能力的な部分もあるため、意識だけの話ではないのだが。

 

それよりもケイはエミリアの人物評に驚かされた。

 

「優しいという評価はあまりもらったことはないですね。なぜそうなるんです?この惨状を提案して実現したのは僕ですよ。そして、改善するとしても大枠で後悔はない。そんな人間を、あなた達は苦手にしていると思っていましたが」

 

ふるふると首を横に振って否定する。髪がたなびいて光をキラキラと反射した。

 

「いいえ。違うわ。だって、何も感じない人がそんな風に思い詰めた顔はしないもの。ケイも傷ついたんでしょう?だから、だからね。都市の人たちも死ななくて。竜の子達も生きてて。街も無事で、ケイも傷つかないような。そんな方法がないのかなって。でも思いつかないの」

 

不覚にも、また笑わされてしまった。

 

はは。と声に出る。

エミリアに自分が心配されていた!これはいよいよ不調を自覚しなくてはいけない。

 

いや、そうではない。エミリアという人物のプロファイルを更新しなくてはいけないのだ。

彼女もまたクルシュと同じく記憶に問題がある。幼子のように物事を吸収するあたり、成長も著しいのだろう。

 

「理想を持つのは良いことだと思います。でも能力がなければ実現はできない。それもわかっているんですね。だから悩んでいると。それなら、相談に乗れると思います。そうですね。まずは具体的に先ほどの未来を想像しましょうか」

 

「ふふ。懐かしい。前にやった勉強合宿を思い出さない?ケイ先生。よろしくお願いします!」

 

「ではまず、彼らの仕事は反乱軍の壊滅です。手っ取り早く本丸を強襲して成功すればそれでよし。失敗したら山に帰って大人しくすると思いますか?」

 

「そうして大人しくしててほしいけど、そうじゃないのよね。きっと。また襲いに来ちゃうのかしら」

 

「いいえ。そうはならない。マデリンが単騎で暴れに来る可能性はありますが、その時に飛竜の群れは休んでいることなどしません。この都市の戦力に勝てないと分かれば、周辺を狙うでしょう」

 

「え!そんな!そんなのって…」

 

手を口に当ててショックを受けるエミリアは、人の悪意の想像というものができないらしい。

やはり女児のような扱いになる。エリーゼ、メィリィ、ティア、エミリアには初等教育が必要だ。

 

しかし、ショックを受けるということは言われれば想像ができるのだ。地頭は悪くない。

 

「ええそうです。補給線や、避難民。後方の傷病者などが狙われます。広範囲に竜が拡散して襲われれば僕らでは対処しきれない。敵対する飛竜という存在は一網打尽にしないといけないんです。あとで酷いことになる。狙われるのは弱いところから。これが戦争の基本ですよ」

 

「じゃあ、じゃあどうすれば死んじゃう人や生き物が減らせると思う?今から言ってもしょうがないのはわかってるけど…」

 

「今後のために考えることは無駄じゃない。その姿勢には賛成ですよ」

 

ケイは相手の思考を否定しない。意味がないからだ。

 

「そうですね。現状のあなたの力量。我々の戦力では取るべきではないと思いますが、それでも。例えばパックがいればもう少しやりようはあったかもしれません。風で刻まず、逃しもせずに即座に空間全体を冷やし、落下しないようロズワールが水で捕獲する。そのあとは戦争が落ち着くまで、水門都市でやったようにあなたが冷凍して封印すればいい。そんな案は思いつきますが、現状では出力不足、力が足りません」

 

力不足だ。と言われ、エミリアは新鮮な驚きを味わった。

それを問うと、内心を語る。

 

「私、魔法だけは強くなったと思ってたから、少し驚いちゃったの。でも、へこたれたりなんかしないわ!大丈夫。そういうのは私の騎士様がいるもの。へっちゃらよ!」

 

「僕は飛竜を減らしたことを後悔はしていませんが、人の損害はもっと減らせたんじゃないかと悩んでましたよ。まぁあまり気にはしてませんが、それでももっと上手くやれたかもしれない。そんなことを考えるのは建設的です」

 

「なんと!!ケイ様!何を仰っているのですか!まさかそんなことをお悩みで!?」

 

二人ののどかな反省会に、驚愕の声が混じった。

この都市を任されていた帝国軍の二将、ズィクル・オスマンだった。

 

 

「大変失礼いたしました。盗み聞くような真似をしてしまい、心からの謝罪を。ただあまりにも信じられない言葉を聞いてしまい思わず…ケイ様は一体何を。何を仰られているのです?あなたはまごう事なき英雄です!」

 

それはお世辞でもお為ごかしでもない。

心からの称賛と感謝であった。

 

「人的被害は奇跡的なまでに少ない。一将を相手に防戦で圧勝。完勝と言っていい結果です。これ以上を求めるのは…普通ではない、というか、なんと表現すれば良いものか…」

 

ズィクルの興奮は相当なものだった。あまりのことに言葉が見つからないらしい。

 

「と、まぁ。現地の人はこんな意見です。我々で悩んでもいいですが、それよりは当事者の意思が重要かもしれませんよ。彼らは戦勝という結果に喜び、何より生きている。僕はひとまずそれでよしとします」

 

機密性の高い内容の相談と事務的な連絡を済ませ、ズィクルはその場を後にした。

 

エミリアは別の文化に深く触れて、困惑してしまっている。

 

「彼らが野蛮だと思いますか?言葉が悪ければ、言い換えますがもっと平和に生きればいいのに。そんなことを考えているのでは?」

 

エミリアは珍しく言い淀む。何か違和感があるのだろう。

 

「実はね。そうなの。帝国に来てから、すごーく驚くことばかり。もっと仲良くお話し合いをして欲しいってそう思うのは本当よ」

 

「ちなみに僕も似たような考えは持っていますよ。本人達には言いませんし行動には反映しませんけど。ただ、僕とあなたの立場は違う。だからその意見についてはよく考えた方が良い」

 

どういうこと?エミリアはその言葉の真意がわからない。

 

「あなたは差別を無くそうとしているのでしょう。あなたのその気持ちは一種の差別です。人の価値観を否定することをあなたはしてはいけないはずだ。なぜ戦う人が野蛮で低俗と言えるのか。なぜ大罪司教は殺してもいいのか。魔女教は差別されるべきか?しっかりと自分の言葉で説明して線引きをできるようにならないといけないですよ」

 

エミリアは純粋なショックで殴られたような衝撃を味わった。

 

「あなたの考えは立派です。しかし時期と場所が悪く、能力が足りていない。今はそんな状況じゃないし。帝国はそうは考えない。相手の価値観を容易く変えることはできない」

 

「なら暴力を使うしかなく、そして勝てないと分かれば次に狙われるのはあなた以外の誰かだ」

 

「あなたが敵を生かしたい。逃したいと言うのはつまり。別の誰かを殺したいということと同義になってしまうことがある。これを忘れないでください。僕が大罪司教を許さないのも同じ理由からです」

 

エミリアは考えが溢れて言葉にならないみたいだ。ショックも受けているだろう。信じていたものが間違っているかもしれない。そんな足元が崩壊するような不安を味わっているのかもしれないのだ。

 

「それが、それが本当なら。私はいっぱい。すごくいっぱいの人をころ、殺しちゃっていることになっちゃう。それって。そんなのって…」

 

「ええ、だからと言って別に責めているわけじゃない。思いつかないことは邪悪じゃない。できないことは仕方ない。でも一度知ってしまえば、もう無責任な無垢には戻れない。考えることこそが責任能力だと僕は思います」

 

「我々は無知で無力です。英雄がいるなら話は変わりますが、ここにはいない。だから安易でも最善を尽くします。僕はこれからもそうしますよ」

 

新たな考えの洪水に、エミリアは目を回していた。でも、一言も聞き漏らさないようにと必死で言葉を飲み込んでいる。

 

「あなたは僕が地下壕を掘らせていることを知っていましたね。住民の安全のためって思って。あなたも支援したはずだ。その時に敵のことまで考えられるなら、やりようはあったかもしれない。もし敵の安全まで考えたいのなら、事前に考えるべきですよ。後からでは意味がない。そして先ほども言いました。人の価値観は言葉では変わらない。絶対はないので非常に変わり辛いと表現すべきでしょうが、実際ほとんど変わらないのが人間だ」

 

 

「僕や帝国がどうするかじゃない。あなたがこれからどうするのか。それだけですよあなたにできるのは」

 

「今のお話は、覚えたわ。でも答えがわからない。ずっと考えるけど、わからないままですぐに次の大変なことが起きちゃいそう。その先も、ケイは一緒に考えてくれない?助けて欲しいの」

 

ケイは柔らかく微笑んだ。どうやらエミリアは、初期のラインハルトよりは柔軟らしい。

 

「そういう、手段を選ばないのは良いと思いますよ。ただ僕にもできる仕事量というのがあります。だから、そのお手伝いは基本的にお断りさせていただきます。僕は無力だ。最善というのは、やれたと思っても全く足りていないものなんですよ。人の理想の追求までを背負うことはできない」

 

しゅーん。と落ち込むエミリアを見ると流石に少し悪いことをした気になる。

女児をいじめる趣味は全くない。

 

「そういうのに最後まで付き合うのが一の騎士でしょう。エミリア様にはもういるじゃないですか。たぶんスバルより相性のいい人間はいないと思いますよ。良かったですね」

 

エミリアの顔に希望が戻るが、同時にエミリアは自身の両頬をペチンと叩いた。

一体何を?そう聞けばこれははっきりと答える。

 

「スバルは頼りにしてるけど、寄りかかるだけっていうのはしたくないの。だから、今の恥ずかしい気持ちはだめ。私は自分でなんとかしてみる。それで、スバルにも協力してもらうの。私がやりたいことだから」

 

ケイは頷き。対話は終わる。

 

「ああ、最後に。問題なく敵対勢力の動物まで救えないのは能力不足だからです。できるならそれで全く構わないので、お互いの邪魔にならない範囲であれば是非やってみてくださいね」

 

ナツキ・スバルならば常人に届かないところに手が届くのは事実だ。

大罪司教の完封など彼にしかできない。そこに枷を嵌めるのも馬鹿らしい。

 

エミリアとスバルとは最後の最後まで、上手くやっていくべきなのだから。

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