TS転生者達によるエアプAC6 inキヴォトス   作:るびこにあん

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一応、続けていきますよー
反響はなくても書いてて楽しいもんでして。

今回はアンケート通りレッドガン……というよりも、あの二人が登場です。レッドガンとかヴェスパーとか、まだまだ先になりそうですな。

よろしくお願いします。



Mission2 トリニティ食堂部防衛(R)

 トリニティ総合学園の朝は優雅である。

 

「ごきげんよう」

 

 優雅なのである。

 

「あら、ごきげんよう。今日もお美しいですわ」

 

 優雅すぎるのである。

 

(あー、腹痛てぇ。毎日毎日これを見せられる気持ちにもなれってんだ。ゲヘナの方がよっぽどマシだぜ)

 

 キラキラと光が舞っているようにも感じられる通学路を歩く生徒に混じった、ややハイライトの薄い眼の生徒が一人。鬱陶しい髪を乱雑に、自分でぶった切ってやったと豪語する彼女、今日もインナーカラーの緑色が制服に映える。

 

「おはようございます」

「あら、御機嫌よう七神トーリさん」

「七神さん、おはようございます」

「あー、っと。サクラコ……様におかれましては本日も変わらぬ……肌ツヤ、で素晴らしいっ……ですね」

「ありがとうございます。……礼拝の時間が迫っていますので、申し訳ありませんがこの辺りで失礼します」

「ええ」

 

 なんでこんな学校──トリニティに入学してしまったのだろうか。周囲から漂うフローラルな香りと堅苦しい言葉遣い。どちらかといえばゲヘナの方が合っているというのに。トーリは引きつった笑顔を取り繕いながら、シスターフッドの長に背を向ける。

 顔ではなく視線で周りを見回す。登校中の生徒が多数並んで歩いている。僅かな汚れも目立たない、真っ白い制服に身を包む彼女たちは幾人かのグループに纏まって登校しているようだ。入学してすぐにこの光景が形成されたことにトーリは驚いた。派閥ってやつか。トーリは阿呆ではない、自身の通う学園の派閥程度は頭に叩き込まれ……叩き込んでいる。

 

(パテル派は相変わらず過激だな……他の派閥を見習って欲しいもんだぜ、まったくよ。にしたってありゃ何だ?脛を蹴りあって……ああ、見苦しい)

「あはは」

「うふふ」

「おほほ」

(一人を取り合ってるってか?随分と仲良しだな。平和ボケにも程があるってもんだ)

 

 あれくらい日常茶飯事だ。もっと凄まじいものになると派閥全体から居ない者扱いされたりする。腫れ物扱いなら良い方だ。トーリは決して、全員と仲が良いとも思えていないし、仲良くしようとも思わない。あんな腹黒いカスのような奴らとつるむつもりはないのだ。

 

「あ、トーリちゃん!おはようございます!」

「あ?……ペロキチじゃねぇか」

「ヒフミ!阿慈谷!ヒフミ!です!」

「授業サボってグッズ買い漁りに行くようなやつの名前なんざペロキチで十分だろうが。その調子でテストもサボるんじゃねぇか?」

「さ、流石にそれは……しません!多分!」

「多分かよ」

「なんか私の扱いだけ雑じゃないですか!?」

「敬意ってやつだよ敬意」

「あ!あそこにサクラコ様が!」

「さっき挨拶したから行くぞ」

「ふぐぅ」

 

 思い返せば初対面、入学してからずっとこんな感じだった。教室まで彼女を引きずるのは体面が悪い、と思い返して手を引きながら考える。コミュニケーションの最初こそマトモであった。が、実際はこの始末。取り出した鳥を押し付けるのはやめて欲しい。可愛いのか本当に。これが?

 騒ぎ立てるペロキチ──ヒフミを引きずっていく。相変わらずのペロロ好きだ、この前はブラックマーケットまで行ったとかいう話を聞いた。アホか?アホだな。あそこを根城にするロクデナシ共を想起して、トーリは顔を顰めた。いや、あんな場所に行くような奴だったかと。遂にハチマキを取りだしたので確信した。コイツは行くと。

 

 愉快な奴も、この通り居ない訳では無い。それは入学してから分かったことで、昔はその限りではなかった。トリニティとかいう吐き気を催すような学園に通えと言われた時には正気を疑った。主に己の上司の。

 賛同してきた別の奴には腹が立ったが、抵抗すると顔面変形コースだったので諦めることにしただけだ。けっして圧力に負けた訳ではない。で、通ってみると実際キツいのでもう無理すぎる。初年度こそ外面を取り繕っていたものの、2年目からはもうやめた。自分のことが気に食わないらしい奴からの嫌がらせは、見つけ出して締め上げて終わらせた。そんなことを続けていると、いつの間にか部活を作っていた。

 

「今日は用事でな、ここまでだ」

「えー、行っちゃうんですかトーリちゃん」

「えー、じゃねぇ。アタシも忙しいんだよ!」

「なんでしたっけ、食堂部でしたっけ」

「……なんだその顔。言っとくがアタシはもう授業受け終えてるし、お前とは違ぇんだぞ」

「うっそ」

「真顔やめろ」

「それはそれとして!食堂部にはいつもお世話になってますし……今度差し入れ持っていきますね!それでは!」

 

 ヒフミを見送り、吹っ飛んできた瓦礫を裏拳一撃でノールック粉砕。歩く先にあるのは、トリニティらしからぬ薄汚れた建物だ。鉄筋コンクリートで建造されたそれは、必要最低限の装飾をもってトリニティの建物であると主張していた。先述した通り薄汚れているのは煤がこびり付いているから。それは何故かはいずれ分かるだろう。

 

「食堂部、ってなんだっけなァ……」

「遅いですよ、トーリさん」

「なんだっけなぁ……本当になぁ……アタシここで何やってんだろうなぁ……本当ならメシ作ってるだけなんだよなぁ……」

「もぐもぐ」

「……ちったぁ手伝えや副委員長サマ!動け!」

「むぐ!?」

 

 やたらと豪奢な引き戸を開くと、食堂部らしいキッチンが出迎えた。真っ白い部屋の中、正面には銀に輝く器具が詰め込まれている。一点の曇りもない調理器具は特注品で、懇意にしている企業からの格安提供品だ。一般購入しようとすれば文字通り目が飛ぶような金額にもなるだろう。

 少し使うにも躊躇ってしまうような器具を容赦なく使い潰す勢いで振り回すのは食堂部の生徒たち。忙しなく動き回るのは昼に向けての仕込みのためだ。トリニティはキヴォトス有数のマンモス校、その全員まではいかずとも半数ほどは食堂を利用している。朝から用意してようやく間に合うといったところで、その速さはゲヘナの給食部には比べるべくも──もちろんこちらが遅いという意味である──ない。あちらは二人でやってるとか。地獄か?

 

 それはそれとして、ため息をついたトーリに振り向くのは正義実現委員会副会長の羽川ハスミ。どうやら手伝いに来ていた……という訳でもなく、その手には焼きたてと思われるマドレーヌが握られていた。湯気と共に漂うバターの香りに引き寄せられたのだろうか。それともつまみ食いが見つかってこれで黙らされているのだろうか。どちらにせよ、邪魔である。

 

「メシ食ってばっかで痩せるわけねぇだろ、オラ。早く行け。デケェんだよ邪魔だ邪魔」

「じゃ……」

「はよ行けや」

 

 トリニティを探しても彼女ぐらいだろう、正義実現委員会の副委員長を足蹴にするなど。爪先で突く程度ではあるが、間違いなく蹴っている。トリニティであれば余りにも悪すぎる素行だが、誰かが訂正する訳でもない。それを見かねた生徒による教育的指導(集団リンチ)は容易く返り討ちにあったのだ。利き手でない左手の、無骨なマシンガンただ一つを携えた彼女自身によって。

 

「ん、ごくん。いえ、その。私がここに来たのは決して。決してこう菓子を食べるためではなくてですね。深い理由があるんです。深ーい、理由が」

「言ってみろ」

「食堂部への襲撃が計画されているとリークがありました。告発者の名前は伏せますが、どうやら食堂部の使用する食材に難ありと判断したようですね。主導はパテル派だそうです」

「……あー、それアレだろ。ほら、正実の新入生。アイツだろ。裏表無いし真面目だってんで、各分派に知り合い多いからな」

 

 ハスミの弁解を聞きながら、トーリは手馴れた様子でエプロンを身につける。瞳と同じ、赤と緑のツートンカラーの特注品。片隅にはハスミの見慣れない刺繍がしてあった。『G5』と記されたそれは、この食堂部に似たものを持つ生徒が居るはず。経理担当だと聞いているが、今は外しているようだ。

 制服の袖を捲りあげて、トーリが包丁を握る。ゲンナリして目のハイライトは消えているものの、その手は澱みなく調理を進めていた。野菜をノールックで微塵切りに、混ぜた小麦粉はダマ一つなく、煮込み料理は焦がさない。ある意味食堂部のエースとも言えるのが彼女である。ゲヘナの給食部とも張り合えると専らの噂だ。本人は断固否定しているのだが、少なくともハスミは彼女の方が上だろうと確信している。ゲヘナは嫌いなのだ。

 

「ん、来たか」

「皆様、揃っていますね?」

()()()()()?」

「ええ、はい。あの子の言う通りでしたね、懲りずにパテル派がこちらを攻撃する為向かってきています。今月二度目です。そろそろパテル派のメシマズ具合を分からせてやった方が──失礼。そろそろ弁えて頂きたいものです、本当に」

 

 椅子に腰掛けたハスミが振り向くと、引き戸を開けた体勢で立つエプロン姿の生徒が1人。長く艶やかな髪を少し乱した彼女は、トーリと同じ程に名の知れた食堂部の生徒である。経理担当、樽見カノ。直接的に調理に関わることは無いものの、食材や器具の管理、仕入れを担当する敏腕プロデューサーだ。

 心底面倒だ、と言わんばかりに首を振る。武器を置いて空いた右手で髪をセットし直して、ハスミに軽く会釈。笑顔は忘れない。口調と仕草と、それぞれ様になっているがトーリはそうでもないらしい。

 面白いような気持ち悪いような微妙な顔をしている。裏の顔……というよりも本性を知っているからだろう。何しろカノが右手に握っていたのは、淑やかさとは程遠い大型のショットガンなのだから。

 

「よーし、そんじゃお前ら。慣れてきた頃合いだろうが気ぃ抜くなよ。各自装備確認。エプロン汚した奴ァ校庭20周だ」

「「「「了解っ!」」」」

「ハスミさん、ここは危険ですから……」

「そうですね、私はここで失礼させていただきます。また後ほど、事情聴取でお会いすると思いますが」

「それではまた後ほど。我々はこれから──」

 

 背を押されたハスミが振り返ると、そこには建物を守るように立つ食堂部の面々。ニコニコと笑いながら、トリニティには似つかわしくない鋼一色の武器を握っていた。こちらに向けて手を振る生徒の手にあるのは何だろう。やたら大きな筒から目を逸らして、一礼。

 歩き出すハスミの背中は先程までと違い、中間管理職のような哀愁漂うものだった。被害額、運営会議たるティーパーティへの連絡、事情聴取にパテル派への連絡。やることが多い。懐に感じるお土産の焼き菓子だけが、彼女を応援してくれているように思えた。

 

 

『──っし、行ったな?取り繕う必要がねぇってのは有難い。作戦内容は至ってシンプルだ。襲ってくるトリニティの不良生徒を叩きのめすだけだ。《泣きを入れたらもう一発》、俺たち食堂部を怒らせるとどうなるのか。頭がスカスカな鳥共に教えてやる時間が来た。全力でぶちのめせ』

 

 

「おい、一応聞いておくぞ」

 

「アタシ達食堂部に何の用だ」

 

「ランチの仕込み中なんだ、用があるなら手早く済ませてくれ。林檎ってのは酸化すると見た目が悪くなるんだよ」

 

 食堂部の建物へ向かっていたパテル派生徒が立ち止まる。目の前には、赤と緑の瞳が特徴的な()()()()が居た。交渉役だろうが、それは無意味というもの。不良と話すなど、それだけで品位が下がってしまう。彼女だけではない、食堂部の生徒は皆『そう』だと上層部では専らの噂だ。ゲヘナと繋がっているだとか、果ては裏切り者のアリウスだとか。根も葉もない噂が流れに流れ、パテル内部での評判は最悪だ。

 ──というのはあくまで一部生徒の間であるが、まだ年若い生徒たちは主語を大きくして話しがちだ。あたかも『パテル派の総意である』と頭の悪い上層部に刷り込むのは簡単だった。襲撃の主導者は頭のキレる生徒だったのが幸いだったのかもしれない。こうして正式に命令を受けて、食堂部を制圧しパテル派の人員に置き換えることが出来るのだから。

 

「あぁ、そうか。なら仕方ないな」

 

 でもそれは、あくまで──

 

「やるぞ、お前ら」

 

 『不幸中の』幸いなのである。

 

「待ってたぜイグアス!砲撃開始ィ!」

「まーたヴォルタ先輩が突っ込んでったよ」

「はい、援護するよ、皆!」

「その程度の銃撃なんて、私の前には無力!『樹大枝細』!これが!巨乳防御よ!栄養が足りないわね!」

「グレネードの素晴らしい爆炎を味わって帰ってね!ほら貴方も炸薬と硝煙に塗れる素晴らしい生活を送りましょう!」

 

 交渉役もとい、視線を集める囮役。トーリの号令と共に襲いかかるのは、グレネードランチャー、ガトリングガン、ショットガン、マシンガン──四方八方から叩き込まれる銃弾の雨。パテル派の生徒の反撃などものともせず、食堂部の生徒が雪崩のように襲いかかる。それは統率されながらも乱れない、まるで氾濫した川の流れのよう。

 襲撃犯のささやかな抵抗など意味をなさず、一方的に叩き潰された犯人達が捕縛されるまでに時間は必要なかった。ハスミにコールしながら、ショットガンをリロードしたカノは深く息を吐く。後始末は面倒だが、これも計画の内。パテルのトップと交渉して予算増額を狙うカノの瞳は黒く爛々と輝いていた。

 

「聖園を締め上げたなら……予算は少なくとも1.5倍いいえ倍額は狙える。仕入れる食品をより高品質に出来ます。これなら設備のグレードアップも夢ではありませんね」

「おーし、アイツは放っておいてアタシ達は戻るぞー。残りはデザート、気ィ張っていけよー」

 

 

 

 

 

 

「あ、二班は放課後罰走な」

「「「「嘘だッ!!!でも貧乳なのが悪い!」」」」

「罰走は倍だ」

「「「「すみませんでした」」」」

「トーリ、牛乳飲みますか?」

「猫被ってるお前気持ち悪ぃよホントに」

「──テメェだけメシ抜きにしてやるぞ」

「悪かったって」

 




樽見 カノ

所属:トリニティ総合学園
使用武器:SG
艶のある長い黒髪に、同じく黒い瞳。
制服の上に『G4』の刺繍入りエプロンを着用。
長身かつ筋肉質だが、服装のせいで細く見える着痩せ体型。戦闘時には性格が変わるが、むしろあちらが本来の顔。
食堂部の経理担当としての腕は高く、主にパテル派から金をむしり取って部費に充てている。


七神トーリ
所属:トリニティ総合学園
使用武器:SMG
赤と緑のオッドアイが特徴で、カズサと似た髪型。
ただしインナーカラーは緑。
カノほどではないものの鍛えられているので、制服がキツくなってきたのが最近の悩み。『G5』のエプロンを持っている。
調理技術が非常に高く、ゲヘナ給食部の生徒と並べるほどだと専らの評判。ただし学校が学校なので大っぴらには噂されない。

トリニティ総合学園 食堂部
ゲヘナで言う給食部。ただしこちらは『品数による満足』を掲げているため、ある意味同程度忙しかったりする。品目が多い分所属する生徒も非常に多く、調理技術もそこそこ高い。パテル派はメシマズ設定。
ティーパーティの生徒も愛好しているため、食堂部の人気は高い。襲撃してきたパテル派の生徒は容赦なく粛清される。
なおトップ2人が強者なせいで連携作戦能力が高く、個人の能力は並であるが正義実現委員会との模擬戦では勝ちを収めている。つまり強いってこと。


G4ヴォルタ・G5イグアス
食堂部の『番号持ち』。自らを『番号持ち』と名乗る生徒はトリニティ内に3人在籍しており、トーリとカノはその内の2人。『番号持ち』の生徒はツルギ程ではないものの、トリニティ内部で抜けた戦闘能力を持つ。

今後の展開について。

  • 各キャラ毎のオムニバス
  • 掲示板
  • 主にストーリー進行
  • 全部載せでやるメリ
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