TS転生者達によるエアプAC6 inキヴォトス   作:るびこにあん

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お 久 し ぶ り

久々に二次創作に触るのでガバが多いかも?
許してね♡




Mission3 敵対勢力制圧(R)

「委員長!大変です!温泉開発部が……」

「────委員長なら席を外している。今日は久々のオフだと楽しげだったからな、おいそれと連絡を入れる訳にもいかん」

「ならばどうする?」

「決まっている。アコ!場所はどこだ!」

「……案内しましょう、()()()()()

「上出来だな。では行くぞ!」

 

「愉快な遠足の始まりだァ!」

 

 

「先生は知ってるかしら、ゲヘナの【歩く地獄】について」

”物騒な名前だね……”

「その様子だと知らないみたいね」

”ゲヘナ学園は知ってるけどね。色々と……風紀委員会が大変だって話はよく聞くし。でもどうして急に?”

 

 ここはシャーレのオフィス。日々持ち込まれる問題に対処する先生の業務は多岐に渡る。1人では業務量に圧殺されてしまうため、顔合わせも兼ねた生徒の日替わり当番制を採用している。当然ながら生徒には給与も支払われるし──これは先生が言い出したことだ──超法規的権限を持つシャーレとの繋がりを持つことは、各校にとってもメリットが大きい。ついでに先生はイケメンであったし、思春期真っ只中の生徒たちからの応募が殺到する羽目になるのだがそれはそれ。

 今日の当番はミレニアムからやってきた正妻生徒、早瀬ユウカ。シャーレ初赴任の日よりなんだかんだと世話を焼いてくれる優秀な人材である。ブツブツ言いながら確定申告も一緒に取り組んでくれるはず、と先生の中で謎の信頼を得ている彼女は今日も先生の財務状況に頭を抱えていた。と、ふと目に入った当番表の名前。色々な意味で有名な生徒だ。

 

「また当番が回ってくるみたいだし、念の為って思ったの。ゲヘナの風紀委員会委員長、空崎ヒナ……その補佐が彼女よ」

”アコとは違うの?”

「また違うのよね。なんというか、うーん。2人目の委員長というか、交代制みたいな。風紀委員長の激務を見かねて自分から立候補したって噂だけど、その真相は誰も知らないわ」

”ああ、風紀委員会って大変そうだもんね……”

「ウチの問題児とはベクトルが違うものね」

 

 ゲヘナといえば自由を掲げた校風と聞くが、それにしたって荒廃しているようなイメージが強い。キヴォトスの中でも最先端の技術を誇るミレニアム所属なら尚更に。ほぼ毎日学区内で爆破事件が発生しているなんて噂も絶えず流れるほどの恐ろしい治安だが、これでもまだ安定している方なのだ。主に風紀委員会の頑張りによるものが大きく、その最大戦力たる委員長はよく現場に赴いている様子が見られる。彼女無しにゲヘナの治安は維持されていないだろう。

 

”ヒナ、元気にしてるかな。今日はオフだからのんびりするって言ってたし……お出かけに誘ってみるのもいいかもね”

「なら、この書類の山を片付けてからですね先生?」

”頑張るよ……”

「失礼します先生。追加でこちらの対処もよろしくお願いします。……もし必要でしたら連邦生徒会の万能サポーターたる私もお手伝い致しましょうか?」

”うげぇ……お願いします……”

「お任せ下さい。連邦生徒会は全ての生徒のためにあります」

「3人で終わるかしら、これ」

「書類の山が……大きすぎる……」

 

 シャーレの業務に果てはない。途方に暮れる先生達の尽力あってこそ、このキヴォトスは保たれている……と言っても過言ではないかもしれない。頑張れ先生、負けるな先生。その甘いマスクで生徒に助けを求めるんだ!

 

 

「はーっはっはっは!見たか諸君!我らの友人からの情報は正しかった!今日に限って空崎ヒナは風紀委員会に居ない!有象無象程度で温泉への情熱を止められるものかぁ!」

「さすが部長!よーしこのまま発破いっちゃおう!」

「「「進めぇ──!」」」

「ちょ、待てっ!この先に行かせるな!各員防衛線を死守しろ!風紀委員は委員長不在でも健在なんだってことを見せつけるんだ!」

「ダメです!突破されます!」

「そこはこう、もっと気合いで頑張れ!」

「「「えー……」」」

「やる気が!温泉開発部に比べてどう見てもやる気が違うだろお前ら!なんで今日はそんなに雑なんだ!」

 

 さて、ゲヘナ学区での攻防戦は随分と拮抗していた。本来なら風紀委員会が温泉開発部を圧殺して捕縛する局面なのだが、如何せん指揮官が突撃脳で根性論を叩きつけてくるのだから押し切れない。むしろ押し返され負傷者を増やしていく始末。ヒナ不在を任されたイオリは焦りに焦っていた。今日に限って温泉開発部部長の相手など、自分に出来るわけがあるか!

 

「おーやおやおや!風紀委員会は空崎ヒナが居なければ烏合の衆という訳だな!見たまえ!いとも簡単に戦列が瓦解していくぞ!この調子で奴らを突破し、まだ見ぬ温泉を開拓してみせるのだ!」

「舐めやがって……!こうなったら私一人でも……」

 

「何を狼狽えている、馬鹿者ォ!!」

 

「わぁ!?」

「ひっ!?この声は!」

 

 ずん、と空気が重くなる。その原因は生徒一人一人が持つ【神秘】──既存の物理法則を無視した超常的な力を発揮する源であり、この場に圧倒的な神秘を持つ生徒が現れたという証拠でもある。負傷者の手当をしていたチナツが振り向いた先、不服な顔をしたアコが無言で道を譲る。先程の声は彼女の背後で腕を組み、黒いサングラスを額に叩き上げた長身のもの。ヒナと似たデザインの制服にコートを羽織ったままに不機嫌そうな顔ではあるが、その姿を見て胸を撫で下ろす風紀委員の生徒たち。しかし温泉開発部は違った。

 

「あ、あわ、あわわわ」

「なんでアイツがここにいるんだよ!」

「ぶちょお!?なんであの子がここに居るの!?」

「し、ししししし知らん!友人からの情報では執務室に居るという話だった!騙したな、あの詐欺師めぇ!」

 

 曰く、彼女の一撃はヒナより重い。

 

 曰く、逆らえば顔面が変形するほど殴られる。

 

 曰く、彼女直属の部隊は風紀委員よりも精鋭。

 

 曰く、その指先は学外にも伸びている。

 

 曰く、曰く、曰く──数え切れない伝説を持ちながら、しかし風紀委員長ではなくその補佐に甘んじている彼女の異名は【歩く地獄】。苛烈な訓練を潜り抜けた者のみに与えられる精鋭の称号、そのナンバーワンを掲げた彼女は下ろした髪を乱雑にまとめあげた。

 

「アコ、部隊を下がらせろ。ここからは我々()()()()()が引き継ぐ。ナルミ、戦闘準備は出来ているな?」

「無論だライ。……だが、ここでは()()()で良いだろう、()()()()()()?いくら格下とはいえ、奴らも阿呆ではないぞ。気を抜くと持っていかれかねん」

「フン、ならば決まりだなナイル」

 

 動きの止まった戦場、風紀委員達をかき分けるようにして前線へと赴いていく直属部隊【レッドガン】。その名を示すように真紅に染まった獲物を掲げながら、生徒たちは鋭い眼光を下手人たちへと突き刺した。先陣を切るのは両手に異なる武器を構えたレッドガンの総長──G1(ガンズワン)・ミシガンのコードネームを持つ虎石ライ。威圧する蜘蛛の如き視線を飛ばし、右手に携えた大型のガトリング砲を揺らす。

 

「作戦内容を説明する!一字一句聞き漏らすな!」

「「「了解!」」」

「今回我々がこんな辺境くんだりまで出てきてやった理由が目の前にアホ面を晒して棒立ちしている!貴様らの仕事はあのアホ共の顔面に鉛玉を叩き込むことだ!下らん理由で爆破を繰り返そうなど、二度と考えられんようになるまでな!」

「「「了解!」」」

「理解したな!では始めるぞ!役立たず共!戻ってからの訓練で苦しみたい者から俺に着いて来いッ!」

「「「おぉ──ッ!」」」

「やれやれ、いつもの事ながら随分とせっかちだな」

 

 左手を振ったミシガンが爆雷を投射して戦闘開始。負けじと突っ込んでいくレッドガンの面々を見ながら、風紀委員を守るように立っているのはレッドガン副長。ミシガンの補佐であり基本的に実働部隊の長を任せられているG2(ガンズツー)・ナイル──落合ナルミは、手にした長銃身のライフルから電磁加速された弾丸を敵へ打ち込んでいく。

 隣に立ったイオリにスコア勝負を挑まれたが、突撃はレッドガンの邪魔になるので首根っこを掴んで止めておく。こうでもしなければ彼女はまた走っていっただろう。緊張の糸が切れて座り込んだ風紀委員の手当をチナツ率いる医療班に丸投げすることにした。時間は合理的に使うべし。

 

「で、だ。貴様はまた突撃しようとしていたようだな」

「うぐっ……でもその方が早く解決しそうで!」

「温泉開発部相手に単騎で突撃とは……その()()は認めるが、通らんよ。それはな」

「ふぎむっ」

「まだ学びの余地がある、ということだ。大人しくここで待機していろ。カリスマと武力は本来両立できるもの、お前に足りないのはどちらでもなく戦術眼だがな」

「ぐぎぎぎ!なんだよもう!先輩だからって言っていいことと悪いことってのがあるだろ!私だってやりたくて指揮官やってた訳じゃないんだぞ!アコが戻ってきたら任せるつもりだったし!」

 

 そのアコも出来ているとは言えないが、この場で指摘するのは面倒だったので口を噤んだナルミ。そもそもアコとライの相性は良くない。ヒナを崇拝するアコに対してライはヒナと対等かつフレンドリー。嫉妬からか、アコはライにだけは当たりが強い。ただでさえそんな仲だというのにヒナの非番である今日、ライに頭を下げて『協力要請』しているのだ。下手なことを言えばこちらまで噛みつかれかねない。

 後方でアコが悔しがる声が微かに聞こえるものの、ナイルとて前線に立っている身。後方からの声など、前方で聞こえる爆発音や連続射撃音に掻き消されてしまう。今日もライは絶好調らしい。温泉開発部が仕掛けたダメ元の大爆発から後輩連中を軽々守って進撃していく。ここまで声が聞こえるとは、やはりミシガンの名を背負うだけはある。

 

「……後で始末書だけは書いてもらうとして、だな」

「おぉい!聞こえてるぞ!」

「見ろ、イオリ」

 

 足元に転がるマガジンが3を数えた頃、戦闘音が止んだ。勝鬨を上げるレッドガンの真ん中で、瓦礫の上に立ったライが簀巻きにした温泉開発部首魁とその補佐を掲げていた。何をやってるんだアイツは。レッドガンの面々が捕縛した下手人を引きずってくるので、その収容を指示しながらナルミはライフルを背負う。

 相変わらずの滅茶苦茶な突撃だが、これがレッドガンでもある。満足気な部下たちを労いつつナルミは後方へ。ライは放っておけば風紀委員たちをまとめて帰ってくるだろう。顔と横乳を真っ赤に染めて不満気なアコの肩に手を乗せると、勢いよく払われた。中間管理職は辛いのである。

 

「はぁ……あちらも片付いたようだ。アコ、帰還するぞ」

「言われなくてもそのつもりですっ!」

 

 

「今日はありがとう、ライ」

「気にするな。ヒナには恩もある。この程度で返せたなどとは思っていない、これからも存分に使い倒してくれ」

「いいの?」

「それが俺の望んだことだ、ヒナ」

 

 一連の騒動を終えた後、執務室で書類を片付けていたライ。不要なものは容赦なくシュレッダーへと叩き込み紙屑へと変貌させることから、彼女が居る日の風紀委員会は万魔殿との摩擦も少ないと専らの評判である。単に万魔殿のトップがライを恐れているだけとも噂されているが。

 とっぷりと夜の帳が降りた頃、私服姿のヒナが扉を開く。残り一枚だった書類をゴミ箱へ叩き込んだライは、秘蔵の菓子を取り出してソファの対面へヒナを誘った。よく眠れるようにホットミルク付きだ、面倒見の良さは相変わらずらしい。

 

「今日はよく休めたか?」

「うん。午後は先生とお話できたし」

「噂の先生か。諜報部によるとアビドスに出入りしているようだな。あの辺境、以前からアコが興味を示していた。何かが隠されている訳でも……いや違うな。隠されているからこそか」

「そうみたいね。また変なことしなければいいのだけれど」

「ヒナを崇めるのは良いが、奴のは度が過ぎる。しっかり手綱を握っておくのがいいだろうな。……その様子なら、この話はここまでにしておこう」

「?」

 

 苦笑したライは立ち上がる。仕事モードとは違う、少し丸い空気を纏うヒナにこんな話をするのは無粋だろう。余程先生との会話が弾んだと見える、無意識に漏れる彼女の笑みはこんな場所に相応しくない。聞かれたからこそわざわざ場所を教えてやったものの、明日のことを考えるのなら早く帰らせるべきだ。

 

「花海、扉の前に居るな」

「はぁい、ここに」

「ヒナを頼むぞ」

「お任せ下さい。……それでは風紀委員長殿、こちらへ。この花海リカが安全かつスマートにご自宅まで送り届けてみせましょう」

「ありがとう。……また明日、ライ」

「また明日。おやすみ、ヒナ」

「おやすみ」

 

 ばたん、と閉じた扉の向こう。二人の気配が遠ざかっていくのを確認して、ライはデスクの引き出しを開く。少し手元を弄ると現れた隠し棚の中に収められているのは小さな記憶媒体だった。最低限の照明の中、机の明かりに照らされながら取り出したパソコンの画面。

 

「よくやった、G3(ガンズスリー)。これがあの大馬鹿者が描いている青写真というわけだな。……バカバカしい、こんなことをして何になる」

 

 信頼のおける部下が残した記録媒体。恐らくこのキヴォトスでも一二を争う弁舌能力を持つ彼女だからこそ得られた情報がそこにはあった。恐らく昼間だろう、花海リカが残したデータを眺めつつライは顔を歪める。

 

「いつか必ず叩き潰してくれる」

 

 全てを記憶したライはデータを消去し部屋を出る。

 

「ベアトリーチェ……詐欺師以下の屑め」

 

 それを聞くものはもう、いない。




虎石 ライ

所属:ゲヘナ学園
使用武器:MG
ややボサボサなウルフブルーのショートヘア。戦闘時には1つに纏めるが、やや乱雑。ややハイライトの薄い黒色の瞳。
ヒナとよく似た制服にコートを羽織っている。
170cmと長身で、ヒナと並べば姉妹にも見えなくもない。
専属部隊【レッドガン】を保有している。委員長補佐という肩書きでありながらもヒナと交代で委員長としての業務を行い、ついたあだ名は【歩く地獄】。訓練は厳しいと専らの評判。
こう見えて甘いもの好き。
ヒナには返しきれない恩があると言うが……?


落合 ナルミ

所属:ゲヘナ学園
使用武器:AR
深緑色のショートヘアが特徴。同じ色の瞳には諦観が浮かんでいる。
風紀委員の制服に加え、裏地に装甲板を仕込んだコートを着用している。これは自分に加えて部下を守るためであるが、部下が突撃していくためほとんど自衛用装備と化している。
ライとレッドガン、風紀委員会との折衝役を任せられるほど落ち着いている。いつも問題が転がってくるので色々諦めてしまった。リカと合わせてレッドガンの武器調達も担っている。


花海 リカ

所属:ゲヘナ学園
使用武器:SMG……?
黒髪ロングポニテと黒い丸サングラスに加えて胡散臭い笑いと話し方が特徴。生徒からのあだ名は【詐欺師】。実際詐欺師紛いのことをしていた頃もある。
山海経風に改造した制服を着用しているが、本人は山海経と何の関係もない。制服のデザインが好きなだけで深い意味は無い。
本話ではチョイ役であるが、諜報や会計など風紀委員の裏方を担当する懐刀とも言える。広い人脈から裏工作もお手の物で、何故かトリニティの某生徒と同じデザインの武器を使用している。


レッドガン

風紀委員長補佐、虎石ライによって設立された特別部隊。風紀委員会の中でも特に優れた生徒が厳しい審査を乗り越え加入することが許されるエリート中のエリート部隊で、隊員はお揃いの赤色に愛銃を染め上げている。
非常に訓練が厳しく、ライ自らが指導することも多い。基本的には風紀委員の一員として活動しているものの、ひとたび召集がかかれば彼女たちはコードネームと共に駆け出していく。
所属する生徒はどこかしら後ろめたい事情があるようで、設立当初から新しく加入した生徒はほとんど居ない。学外にも隊員が居るようだが……?


G1ミシガン・G2ナイル・G3五花海
ライたちのコードネーム。書類上、レッドガンはG6までの在籍が確認されている。しかしゲヘナ学園内で確認されているのはNo.3たる五花海……リカまでであり、G4以降は卒業したのだと専らの噂である。どれだけ優秀な隊員が現れようともG7以降の数字を頑なに与えようとしないのには、何か理由があるのだろうか。

今後の展開について。

  • 各キャラ毎のオムニバス
  • 掲示板
  • 主にストーリー進行
  • 全部載せでやるメリ
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