TS転生者達によるエアプAC6 inキヴォトス 作:るびこにあん
レッドガン人気でクソ笑ったんですが、今回は今まで登場してなかったあの人たちが出てきます。灰の代わりに砂被ってる。
「よし、じゃあ……始めるよ」
砂塵舞う廃墟の地で長いローブを纏う一人の少女が立ち上がった。双眼鏡から目を離し、短い髪を揺らしながら僅かな水で喉を潤す。幾度となく続けてきた習慣は己の身体を変質させ、やがて古き時代を忘れさせた。乾いた唇を舌で湿らせ背負ったランチャーを手に握る。鋼のずっしりとした重みは己がまだ生きているということをこれ以上なく感じさせ、未だこの大地に燻り続ける自らの罪を想起させる。
砂混じりの風によって削られ、崩壊が始まったアビドス市街地。その中でも特に衰退が激しい地区でも更に激しく朽ちた場所に彼女は立っていた。元はビルだったのだろう鉄筋コンクリートの建物は今やその大半が砂に呑まれ、屋上部分を僅かに覗かせるのみ。そんな場所で彼女が見つめるのは今にも襲いかかってきそうな砂の嵐……その中心部。
「声をかけた精鋭たちでも撃退が精一杯だった……なんですぐに逃げるのかなぁ?わかんないや」
光る双眸がこちらを睨めつけ、余りに巨大な体躯が砂をかき分け現れる。白い蛇のような機械仕掛けの舞台装置は、遥かな時よりこのアビドスを荒廃させ蝕んできた。止められない砂漠化は砂と引き換えに人口を流出させ、嘗て最大規模を誇ったアビドス高等学校はいつ消えるとも知れない風前の灯となった。
奴を見ていると頭痛がする。痛む頭を振るいながら、左腕に結びつけた装備を確認。問題なし、何時でもあの蛇に一太刀浴びせることができるだろう。身体中を駆け巡る神秘を知覚し左腕と脚に集中させる。みし、と音を立ててパンプアップした脚でコンクリートを踏みしめた少女が掲げる右手の武器。
「でも撃退するだけなら、私でもできる。──燃えてよ」
ガン、と音を立てて吐き出されたのはナパーム弾。それは着弾地点の砂がガラスになって溶け出すほどの高温と激しい炎を吐き出して炸裂し、白い蛇の白磁の如き装甲を舐めまわし黒く染めあげていく。忌々しい砂蛇が悶えるのを満足気に眺めながらトリガーを数回押し込み、用済みとばかりにランチャーを投げ捨てる。
「ふ────ッ!」
持ち替えたアサルトライフルを片手でバースト射撃しつつ、左手に握ったミサイルランチャーを叩き込む。ロクに射撃も当たらない自分には丁度いい武器ばかりだ。自嘲しながら彼女は跳躍した。背後で崩れ落ちるビルの残骸は、決して崩壊が近かったような脆い構造などしていなかった。それだけ彼女の踏み込みが強かったという証である。
砂を巻き上げ、砲弾の着弾が如き衝撃を砂漠に撒き散らした少女は再びミサイルを発射する。二斉射で無くなった弾薬などオマケ程度、本命は別だ。再び投げ捨てたミサイルランチャーが砂に落ちるより早く、彼女はガラス化した砂漠を足場に蛇の方へと跳んでいく。
「また同じように傷を刻んであげる」
毛先に行くにつれ薄緑へと変わる赤髪が風に煽られ暴れ狂う。鎌首をもたげた蛇は炎上をようやく抑えた頃合いらしい、怒りのままこちらへとその口を開いて向けていた。チャージされたエネルギーが吐き出されたなら、彼女の身は無事では済まないだろう。それでも少女は前へと駆ける。
分からない、だけど知っている。あの攻撃は危険だと。思い出す度、彼女に刻まれた罪の記憶がその心を蝕み髪は赤く染っていく。自分では無い自分への変革は、意識が何かに上書きされるような生易しいものではない。自分が変わっていくという自覚を持ちながらそれを止められない、ある意味生きながらに死んでいくのと同義であった。
「これ以上アビドスを……私の故郷を奪わせない」
乱射したライフルの弾丸は厚い装甲板に弾かれていくが、それも全て計算の上。ダメ押しに放った最後の3発はチャージを終えた砂蛇の姿勢を小さく崩す。蓄積した衝撃がアブソーバーによって吸収できる限界を越えたのだろうか?そんなことを考える暇が勿体ない。物言わぬ鉄塊と成り果てたライフルを投げつけ、最後に彼女は大きく跳躍。くるりと回した身体の遠心力と、太腿がはち切れんばかりに込められた筋力によって発揮されるのは鉄をも穿つ神速の蹴り。
戦車程度ならスクラップに出来そうな蹴りを、砂蛇はその頭部に叩き込まれた。ドパン、と砂嵐を吹き飛ばす衝撃波が砂漠を襲い、奴の体勢がいよいよ崩れる。生まれたチャンスをみすみす逃すような愚かさとは訣別したつもりだ。落下しながら身体を捻り、振りかぶるのは左腕。
「せ、あぁぁぁぁ────ッ!」
固く結び付けられた機械へと力を送ると、機械の形状が変わって赤色が混じった薄緑色の刃が伸びていく。蛇の首を落とす大鎌が如き光刃が襲いかかる先、苦し紛れに転がった砂蛇は凶刃をその身で受けることでその駆動を続けることとしたようだ。炭化した装甲板が蒸発し内部機構を食い荒らされ……しかし砂蛇はその身を生きながらえさせる。
「待、てぇ!逃げるな!」
受け身も取れずに落下した少女が転がる姿を一瞥もせず、機械仕掛けの白蛇はその身を砂塵の奥へと潜らせていく。機能不全に陥ったパーツをいくつも飛散させながら……砂蛇はこの場から逃れることに成功した。次は無い、そう学習しながら。
「また逃げられた……くそっ!」
ぞわ、と髪が染まる不気味な感覚は気にならない。逃げられたという事実だけがそこに存在していた。騒ぎを聞き付け集まってきた仲間たちがパーツを回収していく姿を眺め、己は砂漠に身を投げる。
「まだまだ、だなぁ」
「師母ドルマヤン……」
「リョウ。ごめん、また逃がした。資材はたくさんあるから、これでなんとか出来そうかな」
「ええ、そうですね。これだけあれば資金繰りにも余裕ができるでしょう。私の伝手から解析も要請できる、奴の対策を練るにも前進できます」
「そう、なら……よかった。それじゃあ帰ろうか。これだけ暴れたんだし、アビドスの連中が来るよ」
「は、作業を急がせます」
●
”アビドス解放戦線?”
「うん。先生には知っててほしくて」
「あー……悪い奴らじゃないんだけどね……」
今日もアビドスへとやってきた先生。書類仕事を連邦生徒会防衛室の生徒に丸投げしていることは内緒だ。緑髪の生徒が死んだ目をしていたがそれはそれ。全ての生徒のためにあるのは先生とで同じこと。アビドスの生徒が助けを求めているのだから、それに応えなければなるまいよ。
そんな先生が持参したおやつを食べながら、対策委員会の5人は顔を見合せた。話の始まりは先生が見かけたという謎の生徒たちについてだった。アビドス学区にいるというのに、この学校には在籍していない……かといってヘルメット団ではない生徒たちの謎。先生の疑問に答えたのはホシノであり、なんとも言えない顔をしているのがセリカであった。
「先生の予想通り、あの子たちはヘルメット団とは違うんですよ〜。むしろヘルメット団と仲が悪いみたいで、よく町外れで銃撃戦してることもしばしば……」
「それに、アビドス自治区の治安維持も行っているんです。生徒さんたちの名前も分からず、一体どこの学園に所属していたのかもサッパリでして。良ければ先生、遭遇したらお話を聞いてみてください」
「サイクリング仲間はいなかった。残念。でもいいフレームを仕入れてくれるし、付き合いを持ってて損は無いよ」
”な、なるほど……”
全くの初耳情報だ。アロナに分析を任せてみると……出てきたのは幹部と思われる生徒の目録。ゲリラ活動を繰り返しているようだが、カメラの情報やサーバーのデータからサルベージしてきたようだ。さすがアロナ。でもすり抜けだけは勘弁な。
それによると首魁と見られるのは【師母】ドルマヤン……らしい。実質的指導者はその部下であるフラットウェルだとか。データにはコードネームらしき名詞が見え隠れするものの、個人名や写真は見つけられなかったようだ。それでも情報があるのとないのでは大違い。
「あ、この人知ってるわ。この前自分で名乗ってたもの。えーと、ダナム……だったっけ、なんかそんな名前だったわ。サンゴ採掘のアルバイト面接で一緒になったんだけどね」
「セリカ?また変な話に乗せられて……」
「違うわよシロコ先輩のおたんこなす!ちゃんとこの人に教えられて逃げてきたんだから!セーフよね!」
「んー、おじさん的にはアウトかなぁ」
「セリカちゃんにはリテラシーの授業が必要ですね☆」
「あはは……」
「なんでそんな反応なのよ!」
今日も賑やかなアビドス対策委員会。笑顔飛び交う小さな部屋の中でたった一人、ホシノの内心だけは違う。脳裏を駆け巡るのは敬愛する先輩のこと、あの日から引きずり続ける自分の罪。じわ、と熱を持つ頭を冷やすように髪を梳いて表情を取り繕った。
●
「して、同志ドルマヤン。ビナーの動きは?」
「良くなってた、とは言えない。初見の武器に狼狽えて動作は緩慢になってたし、ナパームで装甲にダメージが入るのも変わらずだね。ただし次はどうか分からない。これ以上硬く、賢くなられたら……」
「手詰まりは見えている、ということですか」
「そうだね。それに加えて奴らの台頭も進んでる。アビドスの土地をどんどん買収して、そろそろ半分を越えるはず。こちらの妨害が返り討ちにされることも増えてきたから、奴らも本気を出してるってことかな」
日が落ちて真っ暗になった砂漠は、よく冷える。砂漠地帯にしては珍しい軍事基地のような様相を見せる、コンクリートに囲まれた敷地。建物の前に広がる平地に置いたドラム缶に揺らめく炎を囲うのは多数の生徒たちだった。昼間の回収物を検分しているのか、時折歓声が上がる。青いマフラーを少しキツめに巻き直し、屋上に座っていたドルマヤンと呼ばれた少女が振り返った。
設置されたプレハブ小屋から現れたのはドルマヤンよりも大柄な生徒で、切れ長の目をメガネで覆ったミレニアム生……にも見える。実際にはミレニアムの校章は塗りつぶされており、ドルマヤンや部下と同じマーキングが施されていた。地平線から昇る太陽の輝きは、彼女たち【アビドス解放戦線】の証である。
「まさか単身でビナーと戦うなど……余りにも危険です。巡回部隊が近くに居たから良かったものの、あんな場所で倒れては貴女の生命活動に関わる。我々とのファーストコンタクトを、忘れた訳ではありますまい」
「分かってたけどね。たまたまだよ、あれは。私もパトロールくらいするし、あの場所は私たちの拠点でもあった。最悪リョウちゃんが駆け付けてくれるというのも想定していたからね」
「フラットウェルです!全く……ですが、今回得られた物資はミレニアムとの取引で大いに役立つでしょう。特に原型を留めている装甲板などは新素材開発に有用だと先方も大喜びでした」
リョウ、と呼ばれた生徒は自らをフラットウェルと名乗る。何かと単独行動しがちなトップを差し置いた実質的指導者こそが彼女であり、アビドス解放戦線の家計は彼女無しに回っていない。古い伝手を使った情報やオーパーツ、物資の横流しはフラットウェル──リョウの古巣であるミレニアムが主だったルートである。嫌味ったらしい金髪メガネを思い出して顔を顰めるが、あの学校に常識を求めてもどうしようもない。
次々と上がってくる報告と追加される品目をタブレットで確認しつつ、リョウはドルマヤンの隣に腰を下ろし眼鏡を外す。砂で傷が付いていないこと、汚れがないことを軽くチェックしたらケースへ丁寧に収納しジャケットの内側へ。報告の波が落ち着いたと分かったならタブレットもコンクリートの上に安置した。
「──思い出せた?貴女自身のこと」
「ダメみたい。むしろ酷くなってるかな。リョウちゃんたちと出会った時よりもずっと……消しゴムで擦られたみたいに薄くあやふやに。もう自分の名前だって覚えてないし、この制服が何なのかも。
「
「前も言ったでしょ?このアビドスを守りたいから、って。その気持ちだけは胸の中にずっと燃えてるんだ。一度生まれてしまった感情っていうのは、いつまでも消えずに残り続ける……そういうものだよ、リョウちゃん」
「その気持ちだけで、自らを滅ぼしてどうするのよ……」
「大丈夫、大丈夫」
顔を上げると、彼女は笑っていた。
「わたし、先輩だから!みんなを守って……このアビドスを未来に続けるために頑張るんだ!」
(この笑顔で何を言うか……忘れてなどいないのですよ。貴女が何者で何処からやって来たのか、それは眩いほどに輝く貴女の魂に刻まれていますとも)
「リョウちゃん?」
「はぁ……いえ、何にも。貴女は変わらないと思っただけよ」
夜はまだまだ長そうだ。何か面白い物でも見つけたのか、やけに騒がしい眼下を眺める二人の姿を見ているのは……空に満ちる星だけだった。
【師母】ドルマヤン
所属:アビドス解放戦線
使用武器:AR……?
本名不明。基本的に人前に現れず、表舞台に立つ場合はフードとローブで姿を隠している。その素顔を知るのはNo.2たるリョウと数少ない側近のみ。
武器を選ばず、単身でビナーを打倒しアビドスを守る姿はアビドス解放戦線の精神的支柱となっている。本人は記憶を失っているため出自や年齢も分からないが、リョウと同じだと思われる。
砂漠で倒れていたところをリョウに拾われたという噂だが……?
中平 リョウ
所属:アビドス解放戦線
使用武器:SMG
滅多に姿を見せないドルマヤンとは違い、実質的な指導者として活動している長身の生徒。チヒロと同じメガネ、黒い髪に青いメッシュを入れた長身ということでミレニアム学内ではそれなりに有名。元々はエンジニア部に所属していたが、ある日を境に突如退学。
その後部下を引連れアビドス学区内にて解放戦線を組織し、砂漠化の原因とビナーの調査を行っている。本人も戦うことがあるが、その戦い方は空を舞うように軽々としたもの。
アビドス解放戦線
ある日を境にアビドス学区に出没するようになった無所属の生徒たちの集まり。アビドスを砂漠化から解放する、という題目を掲げ日々学区内のパトロールや清掃を行っている。ビナーと呼ばれる砂漠のサンドワームと交戦している姿がよく見受けられる。
廃材やジャンク品をレストアして再利用することもある。回収した物資をどこかに送り、それを再び買い戻しているようだ。
今後の展開について。
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各キャラ毎のオムニバス
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掲示板
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主にストーリー進行
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全部載せでやるメリ