TS転生者達によるエアプAC6 inキヴォトス 作:るびこにあん
感想評価、それに誤字報告もありがとうございます。
モチベが上がります。
今回はアイツらが出てきます。
長くなるので生徒紹介は絞りますが。
ミレニアムサイエンススクールと言えば、キヴォトスの中でも屈指の技術力を誇るマンモス校である。白を基調に近未来的なデザインで固められた校舎や設備、制服は他校に比べると幾分か派手なデザインにも見える。
「あら会長、どちらへ?」
「視察よ。業務は片付けておいたから、あとはあなた達に任せるわ。午後には戻ってくる予定よ」
「会長、この領収書についてお尋ねしたいことが……」
「よろしく」
「会長!?会長!なんですかこの金額!違算というには大きすぎますよ!ちょっと!待ちなさい!」
自分なりの改造を施している生徒も少なくない中で、一際目立つのが【先進技術部】の制服。どう考えてもパイロットスーツにしか見えないインナーの上にハーフパンツとジャケットを羽織った全身紺色の着こなしは、白いミレニアムの中でもかなり目立つ部類であった。
そんな先進技術部の部室は、ミレニアムの校舎から少し離れた金属音や爆発音が響く建物そのもの。噂ではセミナー会長直々の指揮で立ち上げられた部活だとか言われているが、その実態は文字通りの先進技術開発を主にした研究開発局である。時々会長も出入りする体育館サイズの建物の中では、日夜機械との対話(物理)が行われていた。
「ああ、会長。お疲れ様です。第二隊長なら今日は地下ですよ。折角ですしお土産どうぞ。この眼鏡を使うとなんと……他人からの好感度が見えます!ただし1回だけですけどね!」
「これはこれは、リオ会長。ようこそ先進技術部へ。何かご用で?ああ、アキ……スネイルに用が?でしたら地下へどうぞ、あのエレベーターから向かってください」
「ありがとう」
黒髪を揺らすリオがヒールを鳴らして歩いていくと、こちらに手を振る生徒たちがチラホラ現れる。それらは作業の途中であったり、はたまた試験中であったり。ガラス張りの廊下で小さく手を振り返しながら、彼女はおっとりとした生徒に示されたエレベーターへ向かう。
取っ付き難い、何を考えているのか分からない、など。一般の生徒から距離を置かれがちな彼女にしては珍しい挙動だ。彼女自身も、この先進技術部でだけは少しリラックスできると思っている。技術屋ばかり、突出して優れた頭脳を持っている生徒ばかりという訳でもない先進技術部。しかし彼女は、こちらに向けられた視線に笑みを零すくらいには馴染んでいる。
「やはりここは良いわね。皆が高い意欲を持って一つの目標を達成する為に共同作業を行っている……ミレニアムのあるべき姿といってもいい、私の見込みは間違っていなかった」
「会長?よければ案内しますよ。ああ言った手前、まだスネイルは別件の対応中でして。この機会に、先進技術部をゆっくり見て回ってみては?」
つんつん、振り返れば先程の生徒が肩を指で突いた姿勢から手を振ってアピールしてくる。こちらを見上げるのはゆるりとした目尻に浮かぶ笑みで、ウェーブがかったブラウンのロングヘアは豊かな双丘に押されて揺れている。クッキーでも焼いていたのか、肘に提げた籠からはバターの香りが立ち上っていた。差し出された1枚を有難く頂きながら、リオは頷く。
「豊坂リコ……あなたが噂の料理長ね。ユウカたちがお裾分けを貰ったと喜んでいたわ。上質な食事はモチベーションの維持に不可欠だし、これからもこの調子でよろしく。……それはそうと、私だけ野菜が多かったのは何故かしら。この質問に深い意味は無いのだけれど一応。一応聞いておこうと思って」
「それはきっと、リオ会長の体重を気にしてのことかと!リコさんが入れ間違いをするハズがありませんのd」
「リオ会長、失礼しました。コイツは再教育センター送りにしておきますので、どうかお許しを。まだ新入りなものでして」
割り込んできたショートヘアがバイザー付きの生徒に〆られて引きずられて行った。余りにも素早い手際に反応する間もなく、彼女たちは姿を消した。確か平 ニノと影城 メイだったか。個性的な面々が多いとよく聞いていたが、確かに。が、部下にも似たようなのがいる。特段驚くことではない。ビッグシスターは伊達ではないのだ。
「再教育センター?初めて聞く名前ね。中身はだいたい想像出来るけれど……流石に倫理的な処置をほどこしているのよね?」
「(無言の笑み)」
「……会長として気になるところではあるけれど、今は止めておくわ。それよりもアレ。新型のアクチュエータが完成したという話は本当なのかしら?」
「完成はしています。ただ実用化や安全確保には時間が必要ですね。残念ながら素材も極めて入手が困難でして、我々としても慎重にならざるを得ないのですよ。ツテを使っても入手できるのは運次第といったところです」
「そう。ならこちらは?」
「新型プラズマライフルですか。こちらは実用化も間もなくですね。弾丸よりも速い弾速と電流による即時無力化を目指しているのですが、威力が安定しないんですよ。対物武器としてはこれ以上ないものではありますが、対人となると実弾と同じ程度に留まってしまいます」
「それでもいいわ。このまま進めて」
歩みは止めず、リオは差し出されるクッキーと共に研究開発を眺めていた。ヒマリの反対を押し切り先進技術部という名前を与えただけはある。これまでに数々の発明を繰り出してきた先進技術部であるが、しかしその功績が表に出ることは無い。これは彼女達の間で結ばれた契約によるもの。これはきっと、世界を壊しかねない技術である──実質的トップたる少女の言葉は今でも忘れない。
下手をすればこのキヴォトスに滅びの運命を呼び込みかねない、そう聞きながらも彼女が興味を惹かれるのは新型パワードスーツの開発だ。上手く行けば自分の部下が扱うものにフィードバックを。ゆくゆくは滅びの運命そのものを変えられるはず──そう考えた時、後頭部に感じる硬い感触。彼女は仮にもミレニアムのトップ、この程度で動じはしないが動きは止まる。
「ダメですよ、会長。先進技術部で造り上げられた技術は流出させてはならない──我々と貴女が初めに結んだ契約ではありませんか。聡明な貴女なら忘れるはずもない……そう思っていたのですけれど」
「技術の発展は時に倫理より優先されるわ」
これまでとは違う、心の底まで冷え切った声を発したリコ。向けられているのは恐らくスタンガン。この先進技術部の部員全員が建物内でのみ携行している極めて標準的な装備だが、暴徒鎮圧という一点においてはただのライフルよりも優るだろう。リオよりも小柄だろう彼女であるが、恵まれた体格は下手な打撃を受けたとて軽く流してしまう。迂闊な抵抗は無意味だと知れ、言外にそう示されている。
だが新たな技術、新たな秩序を生み出すためなら倫理観や良識といった不文律は意図的に無視しても良いだろう──合理主義を突き詰めたならこうなるのだろうか?しかし彼女は間違っているなどと考えていない。常に正しい事を成し続けるには、この思想が必要なのだ。そう主張すれば……ゴリ、と。後頭部の感覚に加えて腰元にも何かが押し付けられた。
「リオ会長。迂闊な言葉は身を滅ぼします。ご訂正ください。そして契約内容の再確認を。これ以上の横暴に対しては強制退去並びにスネイル閣下への報告が義務付けられています」
「勿論、忘れてなどいないわ。この先、新しい契約が必要になるかもしれないけれどね」
「ではその時は、是非ご一報下さいね。……すまないね
「は」
リコの指示に硬い言葉を返しつつ、リオを追い抜くメイ。去り際に鋭い視線を向ける彼女の内心はリオに読み取ること叶わず、スタンガンをホルスターへと収めた彼女は別区画へと去っていった。感情を因数分解できるのなら、どれほど楽になっただろう?後輩の言葉を内心で引用したリオ。
この先進技術部は確かに居心地がよくリラックスできる。が、本来の彼女たちは極めて優秀であり……極めて排他的でもあった。一部の生徒がミレニアムに入学してすぐ、誰に言われるわけでもなく新技術の開発を始めたのが先進技術部の前身だ。いつしかその規模は倍以上へと膨れ上がり、不気味さよりもその優秀さに目をつけたリオによって設立されたのがこの先進技術部。
「けれどそちらも忘れているはずよ。パトロンは私であり、その技術は私の為だけに使うのだという契約が第一に結ばれているわ」
「なるほど、確かに明文化されていますね。契約書の……ああそう。
「アキ君。態々君がここまで来るとは、何か事件も起こったのかな?それとも心境の変化かい?最近体重が増えたと嘆いていたし、運動という可能性もあるか……」
「元はと言えばリコが毎日毎日焼き菓子を食べさせてくるからでしょう!道理で最近服がキツくなってきたと思ったものです。インナースーツから胸元がオープンフェイスしている、と陰口を叩かれていて面倒なんですよ!」
「胸元がオープンフェイス……」
そんな先進技術部の実質的トップこそ、リオの前に立って怒り狂う少女。ズレた眼鏡を直しつつ、長い金髪を振り乱す。流麗な書体で管巻アキと記されたインナースーツの胸元ははち切れんばかりに内側から押し上げられていた。豊満ながらも極めて高身長なスタイルを維持する彼女が身につけるそれは……同性から見ても恐ろしい程に肉感に溢れている。
極めて整ったビジュアルとその体型から先進技術部の中でもかなりの人気を誇る彼女だが、スっと細められた碧眼の奥に眠る感情は随分と粘ついたもの。彼女の内心を見透かす事が出来る人物はそう居ないだろうが、リオには分かる。彼女の目指すものと、守りたいもの。それは自分と似通っているのだ。
「知ったような目をしますね、調月リオ」
「同族でしょう、私たちは。……それで、ここから下に降りるのかしら?随分と厳重な警備のようだけれど」
「ええ。リコはこの場で待機、私と彼女で向かいます。そしてここから先、貴女が見聞きした事柄は全て私たちの契約に含まれる守秘義務が生じます。当然ながら記録などは禁止ですが……不可能と心得なさい」
「……元からそのつもりよ」
胸元のバッヂに偽装したカメラは奪い取られ握り潰される。元より電波遮断の妨害は仕掛けられているし、独立した記録媒体であればと想定したのだが甘かったようだ。不機嫌そうに鼻を鳴らしたアキの背を追って乗り込んだエレベーター、閉まる扉の向こうではリコがにっこり笑って一礼していた。
「前回は何処まででしたか」
「システム構築中だったはずよ。今回の視察までに形にすると豪語していたのは記憶しているわ。確か……この先進技術部の部長が使うものだったかしら」
勿論です、と満足気に頷いたアキよりの言葉より早く訪れたのは扉の開閉音。促されるままに踏み出した足元で金属とヒールが擦れる音が鳴る。地下と聞いていたため、コンクリートの床かと思いきや足場のような場所らしい。見下ろす先で忙しなく動く作業員が居た。
視線を戻した先で照らし出されるのは、全高十数メートルほどの鋼鉄の巨人だった。各部から伸びたケーブルやチューブが繋がる先では何人もの部員たちがモニターと睨み合っていた。難しい顔をして頭を抱えるものも少なくない。だが彼女たちの表情に諦めはなく、ただ目の前の困難を乗り越えるというたった一つの眩い輝きのみが宿っていた。
「驚いたわ、まさか半年でここまで進めるなんて……」
「私たちの力だけではありませんよ。持ちうるもの全てを使い、時にはやや非合法な手段さえも利用した……当然の結果です。このキヴォトスにおいて全てを超越する超兵器として製造しているのですから」
「その分危険性も跳ね上がるわ。特にカイザーグループに知られたら厄介なことになる。ありとあらゆる手段を駆使してこの兵器を強奪しに動くでしょう」
「その時はその時だ、オレもいる」
光を映さない単眼の頭部を眺めても、それは何も返さない。グレーの中に時折見える白い装甲パーツや床で整備されているドローンは、この兵器が未完成であることをこれ以上なく示している。カイザーグループの開発したらしい新型兵器と比較にならない程の高性能を発揮するだろう、この一瞬で性能の予想をつけたリオ。
「だが……カイザーの兵器は面白くない。戦闘員の強さや装備もおざなりだ。叶うならもっと歯ごたえのある相手がいいな。それでこそオレの存在する意味が満たされる」
フロイト、と呼ばれた生徒がリオの顔を覗き込んでくる。
「
「────ッ!」
「楽しみだな」
その顔は随分と──狂気に満ちているように見えた。
管巻 アキ
所属:ミレニアム 先進技術部
使用武器:スタンガン
先進技術部副部長にして実質的トップ。部長が戦闘狂すぎて2番目にお鉢が回ってきた不憫な人。いつも仕事に追われているのであまり注目されないが、高身長な割に出るとこは盛られていて引っ込むところは絞られているスーパーモデル体型。クールな性格に反した面倒見の良さとスタイルでミレニアム内外からファンが多い。
リオに声をかけられた張本人。本人の広い人脈を利用して多くの情報を持っており、その中にはキヴォトスを左右するようなものが含まれていると専らの噂である。
豊坂 リコ
所属:ミレニアム 先進技術部
使用武器:???
先進技術部の炊事担当。標準程度の身長から繰り出される豊かな胸部装甲は今日も誰かの心をスタッガー状態へと陥らせている。本人は重くて邪魔だと思っているらしい。
部員の中でも屈指の料理上手で、併設された食堂を取り仕切っている。食事は自分を含めた数人で作っているが、その気になれば1人で賄うこともできるとか。ゲヘナのテロリストに狙われているとの情報があり、基本的に護衛付きで行動している。
先進技術部
セミナー会長の発案で立ち上げられた部活動。エンジニア部が表の技術屋だとするのなら、先進技術部は裏側を担当する。存在は知られているものの、活動成果は至って普通の電子機器開発。話題性ではエンジニア部に遠く及ばず、一般生徒からの印象は変なユニフォームの集団程度。それでいいのかミレニアム。
リオとアキの主導により現段階よりも二世代以上先の技術を開発しているのが実態であり、校内に設置された部室は厳しい検査の上で入室することが義務付けられている。また部員は相互監視として最新型のスタンガンを携行している……が、どいつもこいつも中身はほぼ変わらないので使われることは無い。はず。
どうやら地下設備があるようで……?
今後の展開について。
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各キャラ毎のオムニバス
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掲示板
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主にストーリー進行
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全部載せでやるメリ