奴こそ1万年に1人産まれる伝説の……   作:物体Zさん

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今日の17時に予約投稿したつもりが、過去の日付のままでした!そのまま投稿!

それとUAが20,000突破!ありがとうございます!感想もありがとうございます!


粉砕骨折

 

 おっす!日課であるダークサイドとの戦いを終えて今は宮殿で飯を食っていた。

 

 俺とダークサイドに出される飯は主にデサードとパラデーモンが作っている。デサードもダークサイドと同じ様に顔色が悪くいつもフードを深く被って猫背な奴ではあるが、ダークサイドの優秀な腹心、参謀として働いている。趣味として料理を嗜んでいるらしく、俺とダークサイドに料理を振る舞ってくれる。嬉しい。まあ俺もダークサイドも飯なんて食わなくても生きていけるんだけど……

 

 料理の食材はダークサイドが征服した数多の世界から調達された物で、毎日様々な物がこの宮殿に運び込まれている。中にはとんでもない食材もあるが、全てデサードと料理を強制的に覚えさせられたパラデーモン達によって調理され美味しい料理へと変貌する。

 

 パラデーモンは見かけはグロテスクで恐ろしい奴だが、今では可愛く見える。ダークサイドにしょっちゅう殺されているのを見て情が湧いたのかもしれない。

 

 出された料理を粗方食べ終えると、デサードがデザートを持ってきた。ん?何かおかしな事を言ったか?

 

 「料理はどうだった?2人とも」

 

 デサードがフルーツの盛り合わせをテーブルに置きながら俺とダークサイドに聞いてきた。

 

 「うむ、良かった」

 「美味かった!あんな美味い肉初めて食ったぜ」

 「そうかそうか、今回は()()()()の食材を使ってみたのだよ。WAGYUという巨大な牛の肉だ」

 「ほう、やはりそれか。仕入れる事ができたのだな」

 「なんだ?WAGYUって?」

 

 地球の日本ってところでも和牛っていう美味い牛がいた気がするけど、それと同じ様なもんか?

 

 「私達が存在する宇宙とは違う別の宇宙…そこで取引している種族が育てている生物の事だよ。ダークサイド様のお眼鏡に適った宇宙は支配せずに取引を行うのだ」

 「あの宇宙は素晴らしい宇宙であった。進化という事象を再認識させ、我を成長させてくれた宇宙だ」

 

 へぇ〜ダークサイドが支配せずに取引を行う宇宙があるのか。俺はてっきり見境なしに世界を侵略しまくって、征服しているもんだと思っていたけど違うのか。

 

 「これがその牛だ」

 

 デサードが懐から銀色の球体を取り出し俺に見せてきた。球体から光が漏れ映像が映し出される。

 

 そこに映っていたのは俺よりも大きい筋骨隆々の異星人が巨大な牛の化け物の突進を受け止め、雄叫びをあげながらジャーマンスープレックスを決めていた。

 

 「すごいな」

 「ふむ…そやつは中々の傑物よ」

 「ダークサイドが言うなら間違いないな」

 

 にしても別の宇宙って……そんなとこどうやって移動すんだよ。俺も行ってみてぇー。

 

 「俺も行けるのか?」

 

 デサードに聞いた。

 

 「今すぐには無理だが……タイミングが合えば行けると思うぞ。次は30年後だ」

 「30年……?」

 「多元宇宙移動は恒星間移動とは比にはならない莫大なエネルギーが必要なんだ。それこそダークサイド様のエネルギーをもってしてもな」

 「そうなのか……」

  

 あの美味い肉が食えるのは30年お預けか…

 

 「ていうか地球帰れる?」

 「それはすぐにでも可能だが……」

 「なんだヴーよ。お前は地球に帰りたいのか」

 

 隣に座るダークサイドが聞いてくる。

 

 「え、まあ…帰れるなら…」

 「そ、そうか……」

 

 え、どうしたんだ?急にシュンと落ち込んで。

 

 正直アポコリプスって暗いし、空気不味いし、太陽がないから本調子じゃないっていうか…なんか気分悪いんよな。デサードとパラデーモンの作る飯は美味いし、ダークサイドと戦うのも楽しいけど、それだけしか此処にいるメリットが今の所ない。

 

 なんというか娯楽が少なすぎる。

 

 地球はテレビだったり映画だったりゲームだったりよ。あとはスポーツもあるだろ?空気も美味いし、太陽はバチバチに俺を元気にさせてくれる。あんな楽しい星ないぞ。

 

 「いきなりだけど明日帰るわ!」

 「我もいこうかな」

 「ダークサイド様…それはダメだ…!あなたは征服した世界の整理がある」

 「あとどれくらいだ」

 「2万程だ」

 「グググ……」

 

 ダークサイドも大変そうだな…まあ頑張ってくれ。地球にやってきたら色々教えてやっからよ。お前が5000年前に来た時よりも楽しい星になってる筈だ。

 

 そうして俺とダークサイドはデサードが持ってきたフルーツを食べ終わるとダークサイドは仕事に戻り、俺は自室に戻って軽く筋トレをした後眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 地球、アメリカのメトロポリスにあるレックス・ルーサーの邸宅。そこには続々と人々が集まっていた。

 

 世界的な企業の社長や州知事やメトロポリス市長、著名人などが大勢やってきていた。

 

 カルは正装に着替えメトロポリスのセントラルステーションという駅でダイアナの運転する車に乗せてもらい邸宅へとやってきた。

 

 2人で車を降りカーペットを歩いて邸宅に入ると、とりあえずそこで一旦別れる事になった。

 

 「ダイアナ、実は仕事もあって…」

 「取材でしょ?いいわよ、私もやることがあるの。何かあったら呼ぶわ」

 「ありがとう、分かったよ」

 

 そうしてカルはポケットから記者バッジを取り出し首に下げると、外に出た。

 

 外には沢山の人が集まっており、訪れる著名人を取材するためマスコミが詰め寄っていた。カルは入り口の横の見晴らしのいい場所に陣取ると先ほどダイアナと共に歩いたレッドカーペットを見つめた。

 

 そこで見知った気配を感じたカル。そして後ろから声をかけられる。

 

 「あらカ…クラーク、あなたもきてたのね」

 「あ、カーラさん」

 

 声をかけてきたのは美しいドレスを纏ったカーラ・ゾー=エル。またの名をカーラ・ダンバースだった。ショートヘアーの黒く美しい髪をオールバックにしてボーイッシュに整え黒い丸いサングラスかけビシッと決めていた。カッコいいなぁと思わずカルは心の中で思った。

 

 お互い人間を演じている時は眼鏡をかける。これだけじゃ大した変装にならないが、人間は不思議と気づかない。

 

 「あなたも取材?」

 「取材もあるけど、ダイアナに誘われてたんだ」

 「ダイアナ王女が!?」

 「うん、何かやる事があるって言ってた。カーラさんも取材?それとも…」

 「私は今回はモデルとして来てるの」

 「カーラさんカッコいいもんね」

 「ふふ、ありがとう」

 

 じゃあまた後で。とカーラが中へ戻っていくと、レッドカーペットに集まるマスコミが一段と騒がしくなるのが聞こえたカルはその方向に顔を向けた。

 

 車が一台やってきて男が1人降りてきた。

 

 「ブルース・ウェインだ」

 

 近くにいたカメラを持った男が言った。

 

 降りてきたのはウェイン産業社長、ブルース・ウェインだった。

 

 肉体がしっかりと鍛え上げられているのが黒いスーツの下からでもよく分かった。ブルースがゆっくりと邸宅に向かって歩いてくる。カルはそれをジッと見つめてから、彼を追うように邸宅の中へと入った。

 

 邸宅の中は家とは思えないほど広く、沢山の人が集まっていた。給仕やスタッフが忙しなく動き、招待された人々がグラスを片手に談笑している。

 

 カルは1番人が集まるホールに向かった。ダイアナを見つけ隣に付くと、ホールに入る前に取ったシャンパンを渡す。

 

 「あら…気が利くわね」

 「いえいえ」

 

 ダイアナがカルから受け取ったシャンパンを上品な所作で口に含むと、ホールの壇上でスタッフの1人がマイクの前に立ち喋り始めた。

 

 ホールにいる人々の関心が壇上に向き、カルとダイアナもそちらへ向いた。

 

 来賓の紹介を終えると、最後にレックス・ルーサーの紹介をしてスピーチが始まった。そして隣にいるダイアナがカルにだけ聞こえる声で囁いた。

 

 「ねぇ…聞こえる?」

 「うん、聞こえてる」

 

 カルとダイアナはルーサーのスピーチではなく、後ろから聞こえた無線の音を聞き取っていた。ブールス・ウェインの耳に入った小さなイヤホンから漏れたアルフレッドの声を聞き取ったのだ。

 

 2人はまだスピーチ中だと言うのに、ブルースが静かにホールから出ていき下へ降りていくのを感じとった。そしてダイアナがカルに言った。

 

 「私は彼がつけた物をとりにいくわ。サポートよろしくね?」

 「もちろん」

 

 そしてスピーチが終わったタイミングでブルースが戻ってくる。ダイアナがカルに目配せすると、カルがブルースに近づいていった。

 

 ダイアナは人混みをすり抜けホールを出ようとする。ブルースとダイアナの目が合いブルースがダイアナを追おうと動き出すが、そこにカルが近づき声をかけた。

 

 「ウェインさん、デイリープラネットのクラーク・ケントです!!!」

 「はい!?」

 

 カルの大きな挨拶で思わず驚くブルース。

 

 カルが手を差し出すと、鋼の精神で直ぐに持ち直したブルースはダイアナを目で追いながら手を出し握手をする。

 

 「あ〜図書支援のコメントは財団から……あ〜発表を」

 

 カルはダイアナが上手く逃げられた事を察知して、更にブルースに対して質問を繰り出した。カルの今の姿はスーパーマンではなく、記者のクラーク・ケントなのだ。ペリーには却下されたバットマンの記事をバットマンに直接取材して完成させてやると目論んでいた。

 

 「あ〜すまんすまん。つい美人に見とれた。書くなよ?」

 「いえ……コウモリ男をどう思います?」

 

 カルの突拍子もない質問でブルースの眉間に一瞬皺が寄った。そして苦笑いしてカルに聞いた。

 

 「デイリープラネット?うちの系列か?」

 「ゴッサムの市民が自由を奪われ恐怖に怯えている」

 

 何を言ってるんだ?という表情をしながらブルースは目を逸らし険しい顔で言った。

 

 「……噂は当てにならん」

 「この目で確かめた。彼は法を無視してる」

 「ふむ…デイリープラネットがそれを批判するのは偽善では?違うか?君達が連日新聞に書いてるあの空を飛ぶ赤マントは、国境なんて無視して空を飛び回り犯罪者やテロリストを懲らしめてるんじゃないのか?それに猫を助けるだけで一面トップ記事だ。だけど奴等は簡単に街を破壊できる。どうだ?」

 「た、確かにそうですが、世間はそうは思ってません」

  

 ハハっとブルースが一瞬笑うと真剣な眼差しで答える。

 

 「そうか、私含めゴッサムの人間はピエロに悩まされた過去があるのでな。そう簡単に信用しないんだ」

 「う…(やっぱり犯罪者と20年戦ってきた男の気迫はすごい)」

 「おお!いいね!」

 

 カルがたじたじになりながら次の質問を考えていると、側に1人の男が近づいてきた。2人が声のした方へ顔を向けると、そこには先ほど壇上でスピーチをしていたレックス・ルーサーJr.がいた。

 

 「ブルース・ウェインとクラーク・ケント。感動のご対面だ」

 

 何が感動のご対面なのか2人には分からない。イヤらしいニヤついた顔で近づき2人に握手を求めた。

 

 「やあ、僕はレックス。うわあ!スゴイ力だ!」

 

 レックスがカルと握手をした時、大袈裟にカルの胸を叩いた。

 

 「イッテェ!」

 

 パァン!という音がして、レックスが手を抱えながら蹲った。

 

 「大丈夫ですか!」

 

 こうなった原因は完全にカルではあるが、そんな事は気にせずにレックスを介抱し始めるカル。

 

 レックスの両脇を持ち上げて立たせると、カルはレックスの耳元で囁いた。

 

 「もう叩いちゃダメだよ」

 「ヒィッ!……ゴホンッ!スゴイ力だね〜!ケンカしないほうがいい!ようやく2()()()()()()()()()

 「ほ、本当に大丈夫か?手が真っ赤に腫れてるぞ(というかなんださっきの音は…)」

 

 ブルースがガクガク震えながら手を大事そうに抱えるレックスを見て言った。

 

 レックスの手はカルを叩いた時の衝撃で骨が粉々に砕けていた。普段はちゃんと力を抑えていてペリーのツッコミなんかに普通に接する事ができているが、こうやって突発的に明確的な害意を持って叩かれたりすると反射で身体を硬くしてしまう癖がカルにはあった。いや昔はそういった癖はなかった。子供の時に虐められ叩かれる時も別に相手の骨が砕けるなんて事はなかった。しかしファオラと出会い、様々な()()をされた事でこの様な予期しない攻撃に対して反射的にエネルギーを纏い身体を硬くしてしまう癖がついてしまった。

 

 「はっはっは!大丈夫大丈夫!あ!知事が呼んでる!じゃあ僕はこれで!」

 

 レックスはそう言って足早に去って行ってしまった。

 

 「《7分経過、データ転送完了》」

 

 カルはブルースの耳から聞こえた声に反応し顔を向けると、ブルースは軽く会釈してホールから出ていく。

 

 カルもついて行こうとしたが、そこでポケットに入っている携帯に着信が入り振動した。ポケットから取り出し画面を見ると、ダイアナと表示されていた。

 

 「《ありがとう、助かったわ。外で待っててくれるかしら?》」

 「了解です」

 

 

 ブルースはデイリープラネットのクラーク・ケントの元から離れホールを出ると、階段を降りてサーバールームへと向かった。サーバールームに取り付けた受信装置を持ち帰る為だ。

 

 レックス・ルーサーがゴッサムへと持ち込もうとしている核兵器…かそれに付随する物を探る為にブルースは邸宅にやってきた。

 

 扉を開けて中に入り、装置を取り付けた場所を見るとそこには端子が飛び出ているだけで何も付いてなかった。

 

 「ん?」

 

 確かにつけた筈だよな…と考え、もしかすると下に落ちたのか?と床を見るが装置は落ちていなかった。

 

 「……?」

 

 気配を感じサーバールームの外を見ると、ホールで見かけた赤いドレスを纏った美しい女性がこちらを見ていた。彼女はブルースと目が合った瞬間、微笑むと踵を返し去っていった。

 

 「おい!待て!」

 

 ブルースは彼女が装置を取ったと確信し追いかけるが、タイミングが合わず追いつくことができない。そして外へ出るとレッドカーペットの先でこちらを見ながら車に乗り込む彼女と助手席に座るクラーク・ケントが窓を開けてこちらを見ながらメガネをクイっとしていた。

 

 そうしてダイアナとカルが乗った車は颯爽と会場を走り去り、夜の街へと消えていった。

 

 「なんだってんだ……クソッ!聞こえるか?アルフレッド…装置を盗まれた」

 「《え?え?》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「スーパーマン…絶対に!許さない…!僕の手を…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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