どうも、ヴー=ロリです。気持ちよく寝れました。
自室を出た俺は玉座に向かった。
玉座にはいつからいるのか分からないがパラデーモンの大群と、ダークサイド、デサード、そしてグラニーがいた。
そういえばグラニーを見るのは久しぶりだ。最後に見た時よりえらく綺麗になってるな。相変わらず中身はスカスカだが…今は銀髪サラサラロングヘアーの長身美女だ。棍棒のような長い杖を持ち、クリプトンで身につけるようなゴツい鎧とマントをつけている。コイツはデサードと同じくダークサイドの腹心で、パラデーモンの作成や訓練、技術開発などを行っている。
玉座へと真っ直ぐ歩いていく。両サイドにいるパラデーモンが俺に気付き続々と跪き首を垂れていった。俺やダークサイドが此処を通る度に毎回パラデーモン共はこれをやってくる。主君であるダークサイドにやるならまだしも俺にまでやらなくていいのになぁ…といつも玉座に来るたび思っている。ちなみに宮殿やその周辺にいるパラデーモンは俺を見かけるとすぐさま寄ってきて跪いてくる。困ったもんだ。
玉座の前に着くとダークサイドが俺を見た。
「起きたか…」
「ああ」
俺はダークサイドの隣にある空席の玉座を見る。これは俺用に作られた玉座だ。シンプルで何も装飾のない質素な玉座。ダークサイドの玉座も同じ様な作りだ。
ダークサイドと初めて邂逅した時の俺達の激しい戦いの余波で壊れた宮殿が再建された際に、ダークサイドがパラデーモンに命じ作らせた物で、此処に来て1年と少し毎日の様に座っていたが、それも今日でお別れだ。
俺は地球に帰るのだ!
「本当に帰るのか」
「ずっといるわけにも行かないからな」
「そうか…」
「おいおい一生の別れじゃないだろ…というわけでデサード、帰るわ」
「うむ、こちらへ」
デサードに促され指定された場所に立った。どうすりゃ帰れんの?
「では転送を開始する。グラニー」
「転送装置起動、転送まで5、4、3…」
「ヴーよ、これを持っていろ」
「ん?」
ダークサイドが何かを投げてくる。それをキャッチして見ると銀色の玉だった、不規則に波うっている。なんだこれ?あ!デサードが使ってた機械か?
「ではな……」
「え!?は!?」
これが何か聞こうとする前に俺は光に包まれた。光が筒状に立ち昇り空へと伸びた。
そして一瞬目の前が真っ暗になると、次の瞬間俺はどこかも分からない場所に立っていた。
どこだここ?アポコリプスではない事は確かだ。地球なのか?
周りを見渡す為に空へ飛んだ。綺麗な夜空が俺の視界に広がり見覚えのある月が見えた。
「おお、帰ってこれた」
空気を思いっきり吸い込んだ。んん〜〜これだこれだ!美味い空気だ。俺は上を見上げると宇宙へと出るために力を込めた。
スパァンと音がして景色が切り替わっていく。音速に到達しソニックブームが生じて空気が爆発する。一瞬で大気圏を突破すると、太陽の方へ飛んで行った。
そうして飛んで行くと俺の目の前に巨大な太陽が現れた。若くエネルギーに満ち溢れた太陽だ。
「おおおおおおお〜生き返る〜!」
身体を目一杯広げて太陽の光を全身に浴びた。
俺の皮膚が、筋肉が、血が、骨が、細胞が、久しぶりの太陽を浴びて活性化していく。エネルギーが高まり溢れていく。身体の周囲に緑色のスパークが迸り、目が煌々と緑色に輝き始めた。
「うほおおおお!!!」
「おい」
「え?」
興奮して太陽を浴びていたら後ろにファオラがいた。まるで気配を感じなかった。
「あ…」
「死ね」
「グホオッ!!」
瞬時に前に回り込んだファオラに鳩尾を殴られ身体がくの字に折れ曲がり、思わず唾を吐いてしまう。痛え!なんて威力だ!それに反応できなかった!
俺が腹を押さえていると、いつの間にか後ろに移動したファオラが片足を綺麗にピンと上に上げているのが見えた。
「ちょ!おま!」
「ふんっ!!!!」
ファオラの強烈な踵落としをまともに食らい、地球に向かって叩き落とされた。
「おぼぼぼぼぼぼぼぼ」
風圧により顔が変形し、目が開き鼻の穴が大きくなった。
体勢を立て直せないくらいに猛烈な勢いで頭から地球に突入していき、炎を纏いながら空を突き抜けていくと俺が先程までいた地面が見えてきた。
「うわあああああああああ!!!!!」
そしてそのまま地面に激突し、ファオラの踵落としの衝撃と俺の体内に沸るエネルギーが溢れた事で大爆発を起こして地面に巨大なクレーターを生み出した。
「グボアァァ!!」
更に俺の頭に向け強烈な殴打を浴びせてくるファオラ。ヤバいって!マジで殺しにきてる!!!
何回も拳を叩き込まれ更に地面に埋まり、殴られる度に衝撃波が起こりクレーターを大きくしていく。もう何も見えない。
そうして暫く殴られ続けた俺はファオラに首を掴まれ持ち上げられる。
ズボッという音と共に地面から抜かれて空の元に出され、地面に落とされた俺は目を開き身体を起こしてファオラを見下ろした。
「ひ、久しぶり」
「まさかファントムゾーンに吸い込まれ生きているとはな…」
「いやぁ俺も死んだと思ったんだけどな。この通り生きてたんだ」
「今までどこにいた」
「アポコリプスだ」
「は?」
ファオラが口を大きく開け唖然としている。
「気づいたらそこにいてよ」
「き、貴様…アポコリプスとはあのダークサイドの本拠地ではないか!」
「ああそうだぞ、バチバチに戦ってきたぜ。それでまあ色々あって地球に転送してくれたんだ」
「ちょっと理解できないが…まぁ…いいだろう…」
身体を震わせるファオラ。どうしたんだ?顔を下に向けて…腹痛いのか?
「何故…もっと早く帰ってこなかった…」
「え?い、いやぁ…ハハハハ…」
楽しくて帰れなかったなんて口が裂けても言えねぇよ…今度こそ殺されちまうかもしれん。この事は絶対にファオラに知られてはいけない、知られれば最後…俺は恐ろしい目に遭うだろう。ファオラの執着心は凄まじいのだ。
「そういえばゾッド達はどうなった?」
俺はファオラの頭に手を置いて、髪の毛をクシャクシャにして抱き寄せると目を見ながら言った。久々の女性の身体の感触だ。あっちは
「うむ……貴様の決死の働きで同胞達はファントム・ゾーンに吸い込まれた。その後生き残っていたゾッドはララに殺されたぞ」
「え?ララさんが?」
「あぁ…ゾッドを終始圧倒していた。私は遠くから見ていたが、出る幕はなかったな」
へぇララさんがゾッドを……まあジョーさんの仇だし本気で殺しにいくのは分かる。
地球についてすぐに、「私を鍛えて」と言われて時間があれば3人でトレーニングをしていたからな。クリプトンでは医者だった彼女は戦いなんて全く知らないど素人だったが、地球に来て俺達とトレーニングを続けた事で強くなった。しかしあのゾッドを圧倒するなんて凄い。
ゾッドは俺やファオラと同じく戦う為に調整されている。それにゾッドは俺達よりも更にハイクラスの調整をされ生まれているはずだ。なんせ彼は“将軍"だ。クリプトンを導き民を守る為に最適化され、それ相応のトレーニングを積み、将軍となった。それが地球に辿り着き太陽光を浴びればどうなるか…
まあ彼等は防護鎧やマスクをつけていたから完全に適応できていなかった。そのお陰もあって俺達は楽に戦う事ができた。
「で、今の地球は?平和か?」
ゾッド達が消えた今、地球に差し迫る脅威なんてないだろう。俺がいなくてもファオラやカル、カーラにララさんがいる。クリプトン人が4人もいるんだ。何が襲ってきても平気だろう。ダークサイドは俺がいれば地球に手を出さないし。
「それがだな…」
「ん?」
ファオラが俺から離れ、腕を組み何とも言えない表情をしながら言った。
「え?なにかあったのか?」
「いや…大した脅威ではないんだがな。どうにも最近一部の人間が何やら企んでいる」
「企んでる?何をだ?」
「カル=エルとカーラ・ゾー=エルを嵌めようとしている輩がいるのだ」
「はい?」
アメリカ国内のテレビの番組でスーパーマンやスーパーガールの事が連日様々な専門家達によって議論されていた。
1人の男が語った。
「我々はずっと救世主を求めてきた。9割が超人的な力を信じ、どの宗教でも救世主を崇めてる。だが……現実に救世主が現れたら我々のルールに従え?歴史の転換期には政治を超えた判断が必要だ」
だが違う男がそれに反論するように別の番組で語る。
「倫理的観点からも国際法で規制すべきだ!すべての行為は政治的行為だ!」
そして更に別に討論番組では…
「だって彼等は最強の超人達ですよ?論争になるのは当然では?」
それに対し、ジューン・フィンチ議員が言った。
「ですが一個人が国家レベルの事態に関わるのは問題です」
尚も討論が様々な番組で行われる……
「人類を導いているんです。崇拝される偶像は我々の思い込みの産物に過ぎない。彼等超人達は悪魔でも神でもない、正しい行いをする者達です」
「彼等の出現により我々人類はこの宇宙での存在意義を問われている。コペルニクスは宇宙の中心は地球ではなく太陽だと唱えた。ダーウィンは進化論で人間は特別ではなく生命体の1つだと知った。宇宙でも我々は特別ではない、なぜなら“彼ら"がいる。異星人は存在する。宇宙には我々だけではない…」
「フィンチ上院議員。あなたは上院議員として、子供を亡くし悲しむ親に言えますか?“彼らなら子供を救えた…だが政府の方針で要請できなかった”と。それに彼らは人類を救ったんですよ?彼らがいなければメトロポリスどころか世界が破滅していたんです」
「いいえ…問題は彼らの身勝手な行動です」
「ちょ、ちょっと待って下さい。何が言いたいのです?彼らがいなければいいと?」
「彼らはいるわ」
カルはそれを観てテレビを消した。そして両手で頭を抱えながら俯いた。
「この女の人は何が言いたいんだ?」
盛大な溜め息を吐きながら、カルはそう言ってソファから立ち上がると、携帯を取り出し母親の家に電話をかけた。
「ララ母さん」
「あら…どうしたの?カル」
「いや何でもないんだ…ただ最近の事が気になって」
「……あのクソッタレな上院議員の事ね?」
「あはは……」
「いい?カル、あんなの気にすることないわ。お父さんならこう言うわよ“もっと堂々としてればいい"ってね」
「単純で羨ましいよ」
「カル…単純なことなどないのよ」
「そうだね。ありがとうララ母さん」
カルは電話を切って携帯を机の上に置くと寝室に向かいベッドに入った。ロイスはワシントンDCに行って家にはいない。たった1人の寂しい夜だった。
とある博物館で行われている記念パーティーに、アマゾン族最強の戦士であるダイアナは
ダイアナが他のパーティー招待客と話していると、後ろからこちらに近づく気配を感じた。
そして背中を触られ、ちょっと嫌な気持ちになったダイアナは振り向くと、そこにはシャンパンが注がれたグラスを持った此処の博物館の館長が立っていた。
館長からシャンパンを受け取り、見せたい物があると言われてついていく。その場所へ向かいながら館長が饒舌に語り始めると、ダイアナは一瞬面倒臭そうな表情をするも直ぐに笑顔に戻し館長の話を聞き始めた。
考古学者として此処へやって来たが、古代から生きる歴史の生き証人のダイアナにとって歴史の真実を知らない者の言葉など何も響かない。
「否定する学者もいますが私は信じています。王と呼ばれる者はある意味、殺人者である」
「ええ…(どう言うことかしら…)」
「この仕事を始めて40年、ついにこれを収蔵できました。アレクサンドロス大王がゴルディアスの結び目を切ったその剣です。ごゆっくりどうぞ…」
館長が自慢げに収蔵された物を見せ立ち去った。ダイアナはそれを見てつい溜め息を吐きそうになるが何とか堪えた。
ダイアナに前に現れたのは黒く錆びついた剣である。紀元前300年頃に主に使われた剣に見える。装飾も凝っていてとても一兵卒が扱う様な剣ではないことが分かるが、ダイアナは剣を見てもなんの感情も抱かなかった。
ゴルディアスの結び目とはゴルディオンという街のゼウス神殿に祀られた一台の戦車に絡みついた縄の事である。その縄の結び目を解いた者はアジアの王になるという伝説があり、その街を占領したアレクサンドロスはゴルディアスの結び目に挑戦した。しかし固く結ばれたそれを解く事はできず、痺れを切らしたアレクサンドロスは腰の剣を抜き放ち縄を断ち切った。その縄を切った剣がダイアナの目の前にある剣だとされるが……
ダイアナは後ろから静かに近づいてくる知ってる気配を感じながら、その剣を見つめた。
「ニセ物だ、本物は1998年に闇市で取引されて…」
ダイアナが後ろへ振り返ると、数日前のルーサーのパーティーで
そしてダイアナは剣に視線を戻し、ブルースの言おうとした本物の在処を言った。
「今はバシャル国王の寝室に…失礼するわ」
「おいおい、慌てるな」
面倒事が嫌いなダイアナは足早にブルースから去ろうとするが、ブルースに腕を自然に掴まれ身体を寄せられると並んで歩き始めた。
「君は人の物を持ち帰った。泥棒はよくない」
「ふふ…泥棒から盗むのも泥棒?」
「何者だ?」
ダイアナは溜め息をついて立ち止まると、ブルースの目を見て言った。
「私たちは同じ男を探っている」
「同じ?」
「ルーサーは私の写真を持ってるのよ」
「取り返した?」
「……残念ながらまだよ、あなたが
そして今度こそ去ろうとしたダイアナだが、またしても止められ、ブルースが耳元で囁く様に言った。
「その美貌なら9割の男は君を許すと思うが」
「あなたは1割?」
「はは、俺は真っ先に君の正体を見抜く…悪いが君みたいな女性は知っているんだ」
ダイアナがそれを聞き身体をブルースに向け微笑むと、身体をブルースに近づけ妖艶な手つきでタキシードの皺を直しながら言った。
「そうは見えないけど…男の子っていうのは分かり合えない人種ね。私は盗んでない、借りただけ…」
そしてブルースの耳元に顔を近づけ囁いた。
「装置はあなたの車のグローブボックスの中よ。それじゃあね、ウェインさん」
そうしてダイアナは去っていく。
「よく分からん女だ…」
ブルースはそう呟くと、パーティーを抜けて車に戻った。そして確かにグローブボックスの中に自分がルーサー邸で取り付けた受信装置が入っていたのを確認すると、車を運転してバットケイブに戻った。
バットケイブに入りタキシードを乱雑に脱ぎ捨ててワイシャツ姿になると、ダイアナから取り返した…というか返してもらった装置をパソコンに接続した。
バットケイブに設置されているパソコンはただのパソコンではない。アルフレッドによって調達されたそのパソコンは各国のサーバーに容易くハッキングし、情報を集めたり、難解なデータを解析したりすることができる。いわばめちゃくちゃ使い易くしたスーパーコンピューターである。
装置をパソコンに接続するとモニターに解析状況が表示された。1%2%とゆっくりと進んでいく。
「随分と厳重なロックだな」
これならあの女が解析を諦めた事に合点がいく。とブルースは思った。
「ちょっと疲れたな…」
ここ最近はゴッサムの犯罪者を捕え尋問したり、いきたくもないパーティーに行ったり、それに加えてウェイン産業の仕事も忙しく碌に休めていなかった。毎日の様にカフェイン錠剤や救心錠剤を飲み、まともに寝ずに働いていた。寝れたとしても悪夢を見て熟睡できない。
モニターを見てまだまだ解析に時間がかかりそうな気配を感じたブルースは書類や機材で散らかったテーブルに身体を預けると、そのまま寝落ちしてしまった。
(なんだこれは)
これは夢か?俺は装置の解析を待っていた筈だが…
それに身体と視点が動かせない。確かに俺の身体だが、此処は何処なんだ?
何処からか這い出して来た俺は岸壁に立ち目の前に広がった景色を見ていた。
(あれはメトロポリスか!?)
目の前に見えた光景は荒廃したメトロポリスだった。近くに流れていた筈の広大な川が枯れ大地が剥き出しになっている。そしてその大地には大きくΩと刻まれ、見たことも無い戦艦が大地から噴き上がった巨大な火砕流のような物を吸い込んでいた。
(何が起こったんだ?)
俺は懐から双眼鏡を取り出すと覗いた。荒廃した街の方から車列がやって来るのが見えた。
そして俺は移動を始め、隠されるように作られた砦にやってきた。砦には武装した兵士達が哨戒しており、何かに怯えているのを感じ取れる。俺の姿を見ても誰も何も反応しない。
何かを積んだトラックから男が1人降りた。そいつは俺を見ると頷き、トラックの後方へと向かっていく。俺もその男についていくと、周りにいた兵士達も同じ様に集まってきた。先ほど目が合った男がトラックの箱の扉を開けて箱に上がると俺を見下ろした。
「あったか?あの石は?」
(石?)
「手に入れた」
俺はそれを聞くと、箱に上がり奥へと進んでいく。荷物は一つしかない。レックスコープと刻印されたコンテナケースだった。
男がコンテナを開けると緑色の光が漏れた。なんだあれは…?
夢の俺は恐る恐るそれに近づき覗いた。
(電球じゃないか)
コンテナの中に入っていたのは緑色の光を放つ2つの電球だった。とても石には見えない。
俺が男を見ると、男がハンドガンを取り出し俺に向けた。
「悪いな」
そうして外が騒がしくなり、更に後ろから銃を向けられた。
(騙されたのか)
外から銃声と悲鳴が聞こえる。恐らく騙され裏切られたのだろう。俺は外の光景を見て叫んだ。
「やめろ!!!!!」
そして近くにいた兵士の銃を掴み、腰から銃を引き抜くと、箱を開けた男に向かって放った。そのまま掴んでいた銃を奪い取り兵士を殺すと、殺した兵士を盾にトラックの外へと出た。
外は地獄絵図だった。俺の仲間だったであろう者達は次々に撃たれ地に伏していく。
「ちくしょう!!!!」
俺は近くにいる黒い軍服の兵士達を奪った銃で撃ち殺し、弾がなくなればそれで殴り倒した。そうやって何人もの兵士を殺していくと、空から虫の羽を持った人型の化け物が大量にやってきた。それと共に何機ものヘリやトラックが砦に入り、増援の黒い兵士が殺到してくる。
「立て!行くぞ!」
倒れていた仲間の手を掴み撤退を試みるが、その仲間も殺された。
俺は最後まで戦い続けるが次第に囲まれていき身体を押さえられると、化け物によって後頭部を殴打され気絶した。
視界が暗転し、そして次の瞬間目覚めると俺は腕を縛られ吊るされていた。
(夢じゃないのか…!?)
自身の息遣いや、肌に感じる熱。全ての感覚がまるでそこに本当にいるかのように感じる。
俺の両隣には同じく仲間が吊るされている。
そして前方の光が射す場所に土埃が起こり地面が揺れた。
土埃が晴れてその姿が顕になる。
(な、なぜ……)
警備にあたっている兵士が跪き、その間を1人の男が歩いてくる。
「……クラーク」
「ブルース」
(クラークだと!?)
夢の俺がやってきた人物の名を呼び、彼が俺の名を呼んだ。
(スーパーマンはクラーク・ケントなのか!?)
いや…そんな筈はない。奴はただの記者だ。ありえない。
「ブルース、もうやめないか」
「やめるのは貴様らの方だろう!!!地球をめちゃくちゃにしやがって!!!」
「……君が始めた事だ。君がヴーさんの大切なものを奪い、そしてロイスまでも……」
そうしてスーパーマンが後ろを振り向く。
「ヴーさん」
音もなく、静かに歩いてくる者がいた。スーパーマンのようなスーツではなく、腰に何かの布を巻いただけの原始人のような格好の男だった。
人の身ではありえない程の筋肉を持ち、髪の毛がまるで水の中にいるかのように揺らめき
そして瞬きをしたその瞬間、俺の目の前にいた。
「お前は俺の全てを奪った」
ヴーと呼ばれた男の声を聞いた瞬間、これは夢のはずなのに心の底から俺は恐怖した。
「簡単には死なさんぞ」
男がそう言うと俺の顔を掴み飛び上がった。天井のコンクリートを突き破りそのまま空へ飛び出し、俺はそこで意識を失った。
「ガハァッ!!」
身体に受けた衝撃を感じながらブルースが起きた。
そしてモニターのあった筈の場所に光と稲妻を伴うワームホールのようなものが現れ、その中から赤い鎧を纏った男がこちらに手を伸ばしながら声を荒げた。
「ジョン・ヴロリーだ!ジョン・ヴロリーを探せ!」
「……?」
「彼が鍵だ!…… あれ?僕は早すぎた?グッ!君は正しい!君は正しかったんだ!奴を恐れよ!!いいか!僕たちを探すんだ!」
そして赤い鎧の男が消え目の前が光に包まれた。
「はぁ…はぁ…今のは一体……あの夢…ジョン・ヴロリー…」