奴こそ1万年に1人産まれる伝説の……   作:物体Zさん

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久しぶりに朝投稿!よろしくお願いします。

どうぞ!


目覚め

 

 

 少し時を遡りミッドウェイシティから離れた都市、メトロポリスにあるキャピタルダイナミクス社のビルにて……社長であるファオラ=ウルとスーパーガールと大人気モデル、そしてデイリープラネット所属のゴシップ記者として活動するカーラ・ゾー=エルが話していた。

 

 「ファオラさん、行かなくていいんですか?」

 

 クリプトンのスーツを身に纏ったカーラが椅子に座りテレビを見るファオラに問う。テレビにはミッドウェイシティで起こっている大惨事が遠方からヘリによって生中継されていた。

 

 「行かなくていい」

 「え〜…なんでですか?」

 「奴がいる」

 「ヴーさんですか」

 「あぁ」

 

 椅子に座ったまま足を組んでテーブルに手を伸ばし葉巻を手に取ると、目から軽く熱線を放ち葉巻を切り、先端に火をつけると吸い始めた。

 

 「フゥゥーーー……」

 

 一度の呼吸で全て吸い付くし一気に吐き出すと手に残った吸い殻を再度熱線を放ち焼き尽くした。そして後ろにいたカーラに向き直り口を開いた。

 

 「それよりも反応はあったのか」

 「いえ…相変わらずないですね。カルを殺してから一回も」

 「……そうか」

 

 腕を組んで思案を始めるファオラ。

 

 ファオラやカーラ、離れてはいるがララもヴーと同様にカルが殺されてからステッペンウルフのことを血眼になって探していた。しかし一向に現れる事もなく、気配すら感じれない。最初はヴーの発する恐ろしい殺気で近づけないのかとも思っていたが、ヴーが捜索をやめ、鳴りを潜め自らの失態によって人間に捕まってからも現れていない事から最早地球に訪れる事はないのではないか?と思っていた。

 

 それに、ヴーの持っていた携帯型マザーボックスで惑星アポコリプスのデサードとコンタクトを取り、もし地球でステッペンウルフの出現を検知したら知らせてくれと約束してある。

 

 「私達を監視する人間が増えたな」

 「確かにそうですね。ヴーさんが捕まる少し前からですかねー」

 「私達の素性に気づくのは称賛に値するが、まだ甘いな」

 

 人間はこちらが気づいていないと思っている。巧みに気配を隠してこちらを伺っているが、数キロ先の物音を聞き、鉛以外の物体を透視できるクリプトン人にはまるで意味がなかった。バレバレである。

 

 まぁどこへ行くにしても、こちらを監視する人間がいれば否応でも気づくのだが…とカーラを見ながら考えたファオラ。

 

 「気づいていないフリをして奴らに近づいたが、少し具合が悪くなった。奴らクリプトナイトを持っている」

 「げっ!危ないじゃないですか」

 「大方、私達は奴を脅す為の人質といったところだろうな。あの槍以外にもクリプトナイトがあった事は驚きだが、近づかなければどうということはない」

 「ファオラさんの部下も動いてますからね」

 「……うむ」

 

 ファオラは地球に訪れてから傭兵として活動していた。兵士タイプ故、それ以外の職に適正がなかったからだ。傭兵をして金を稼ぐとそれをクリプトンの執事ナノボット【ゴンザカ】に渡し、為替取引や株取引などをやらせ莫大な資産を形成させた。それを元手にファオラは傭兵会社を設立。目に適った人間を入社させていた。

 

 また、ファオラの傭兵達はファオラの課す地獄のような訓練を耐え抜き、人間相手であれば負ける事はない一騎当千の戦士へと変貌している。

 

 その中の一部の者達がファオラを熱烈に信奉し、勝手に護衛をしているのだ。

 

 「護衛などいらぬのだがな…」

 「あ」

 「ん?」

 

 カーラが声を上げテレビを指差す。ファオラがテレビの画面を見ると、光の渦に向かってヴーが突っ込んでいくのが見えた。

 

 「じき終わるな」

 「そうですね」

 

 そうしてファオラはテーブルの上に置いてあったリモコンを取りテレビを消すと仕事に戻り、カーラは屋上に出て遠くに見える光の渦を見た。

 

 「大丈夫かな…ヴーさん」

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在、魔力を放出しヴーを悪夢に嵌めたエンチャントレス。

 

 彼女はその場に固まり白目を剥き立ち尽くすヴーを通り過ぎ、壁際に横たわる弟の元に向かった。

 

 「弟よ……」

 

 灰色に染まり石のように横たわる弟に近づきしゃがんで手を当てた。

 

 完全に心臓が潰れ、体内にあるはずの魔力が感じられない。なけなしの魔力を送り込んでも生き返る気配もない。完全に死んでいた。

 

 「う…!クソッ!クリプトン人ッ!」

 

 立ち上がりヴーの元にゆらりと近づき、魔力を纏った拳で殴り付けた。

 

 何度も、何度も、何度も殴った。しかし、ヴーの身体に変化はない。彼の纏う洋服すらも傷つける事ができない。逆にエンチャントレスの拳が潰れ光る血液が垂れてくる。

 

 それならと、周囲に待機させていた奴隷に攻撃をさせた。

 

 各々持つ武器で攻撃を始める。

 

 囲んで銃で、剣で、槍で、ヴーを攻撃していく。

 

 しかし…彼らの持つ武器がヴーに当たった瞬間、砕け弾け飛んだ。そして今まで微動だにしていなかったヴーが突如動き、正面に立っていた奴隷の1人の首を掴み捩じ切った。

 

 「ウオオオオオオアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 ヴーが白目を剥いたまま叫ぶ。

 

 「何が!?なぜ目覚めた!」

 

 エンチャントレスはほぼ全ての魔力を使い永久に醒めることのない悪夢を見せる魔法を放った。どんなに屈強なクリプトン人でさえも目覚める事はないその魔法は、古代においてエンチャントレスがクリプトン人と戦った際に多用した魔法である。その魔法を膨大な魔力を用いて使った。

 

 「ハアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 それが今はどうだろう。ヴーが全身にエネルギーを迸らせ、服が弾け飛んだ。露出した皮膚が盛り上がり筋肉が肥大していく。そして、黒かった髪の毛が段々と浮き上がり、まるで水の中にいるかのように揺らめき始めた。

 

 バチ…バチ…バチとエネルギーがスパークをはじめヴーの身体が浮き上がる。

 

 「ウホオオオオオオオアアアアアアアアア!!!!!」

 

 そして世界の色が変わった。

 

 エンチャントレスは恐ろしいものを目覚めさせてしまった。目の前で変化をし続け、放たれるエネルギーがドーム状に広がり空間の色が変わる。そしてヴーの髪の毛が黒から金色に変わった。

 

 ヴーを取り囲んでいた奴隷達は放たれたエネルギーによって塵すら残さず消し飛んだ。

 

 「な、なんなんだコイツは……!クリプトン人ではないのか!?」

 

 今まで戦ってきたクリプトン人でこのように変化する者は見た事がない。エンチャントレスは放たれるエネルギーから身を守る為、最終兵器作成に回していた魔力を戻し、防御障壁を張ることでなんとか耐え凌いでいた。

 

 そしてヴーの変化が終わり浮き上がっていた身体が地面にゆっくりと降りていく。

 

 「シュウウウウウ…………」

 

 ヴーの口から息が漏れる。

 

 「死ねぇ!!!」

 

 今しかない。エンチャントレスは手に魔力を集め、生物を死に至らせる魔法を放った。

 

 翳された手からドス黒い暗黒の魔力弾が放たれ未だ俯くヴーの身体に炸裂する。

 

 魔法が炸裂し、周囲がエンチャントレスの魔力に包まれヴーの身体が見えなくなった。

 

 「やったのか…?グッハッ!!!」

 

 その瞬間、漂っていた黒い魔力が弾けエンチャントレスの目の前にヴーが現れ、首を掴まれた。

 

 「ガッ……グッ…!」

 

 持ち上げられ、ヴーを見下ろすような状態になったエンチャントレス。

 

 「ヒィッ!」

 

 ヴーは白目を剥きながら笑っていた。

 

 「フフフフフフフフハーッハッハッハッハッハッハ!!!」

 

 ヴーが邪悪な笑い声を上げる。エンチャントレスはそれを聞き、あまりの恐怖に失禁してしまった。そして目の前が真っ暗になった。

 

 「ゴフッ」

 

 首を掴んだまま心臓に向かって一撃を叩き込んだヴーは灰色に染まったエンチャントレスを投げ捨てると天に向かって咆哮を上げた。

 

 「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 やべぇよ…マジやべぇよ…夢が醒めないんだが…?

 

 というかなんなんだよこれ!

 

 この…ゾンビみたいになったカルとファオラが襲いかかってくる夢はよぉ!

 

 倒しても倒してもどんどん現れて消えやしねぇ!無数のゾンビが飛んでくるわ、走ってくるわで気持ち悪りぃ!ちょっと前に観た映画よりもエゲツない量の大群が押し寄せてきやがる!

 

 最初こそ肉弾戦で殴ったり蹴ったりしてたけど、途中から飽きて極太の熱線を薙ぎ払うように常に照射し続けて対処してる。四方八方から襲いかかってくるもんだからめんどくさいったらありゃしない。

 

 「おらーーーー!!!!」

 

 熱線の照射を一旦止めて真っ黒な地面を思い切り踏みつけ衝撃でゾンビを吹き飛ばすと俺は上空へと飛び上がった。

 

 どこまで行っても真っ黒な空間が広がるのみで遮る物は何もない。その空間内で色がついている物は俺とゾンビ共だけで、あとは真っ黒だ。

 

 スピードをぐんぐん上げて亜光速で飛行する。空間内を埋め尽くすカルゾンビとファオラゾンビを俺の身体から生み出されるソニックブームで消し飛ばしていく。チラッと後ろを見ると肉片やら内臓やらが巻き上がっていた。

 

 地球でやったら地表ごと抉り取る程の衝撃波が発生しているが、空間が傷つく気配はない。安心して思う存分飛ぶ事ができた。というか、こんなに自由に飛んだの始めてかもしれない。

 

 ゾンビ共も俺に追いつこうと飛び上がり高速で飛行を始めるが、亜光速で飛ぶ俺に追いつける訳もなく、ソニックブームでグチャッと吹き飛んでいた。

 

 「もうずっと飛んでるだけでいいなこれ」

 

 正直いちいち相手にしてるのはめんどくさい。

 

 てかこれどうやったら目覚めるんだ?

 

 ん?なんか変な気配を感じる。

 

 「誰だアイツ?」

 

 亜光速で飛ぶ俺の正面に男が浮かんでいた。

 

 お構いなしに突っ込むと、なんと片腕で止められそのまま下に向かって投げ飛ばされた。

 

 「うお!」

 

 驚くほど平らな地面に落ちた俺。立ち上がり上を見上げると、俺を投げた謎の男がゆっくりと降りてきた。

 

 「なんだ?お前」

 

 金色の髪の毛が逆立ちゆらゆらと揺れ、白目を剥き、身体は物凄い大きな筋肉で包まれスパークを身に纏っていた。

 

 明らかに俺に向かって敵意を抱いている。

 

 そして俺に向かって飛びかかってきた。

 

 「危ねぇな!」

 

 振り上げられた腕を受け止め、お返しに拳を叩き込むが鈍い感触で手応えがない。

 

 「おお!」

 

 始めての感覚に少し感動を覚えた。今までは俺が殴ればぶっ飛ぶか死ぬかのどちらかでだった。ダークサイドやファイラでさえ一撃を喰らえば痛がるのに、コイツは微動だにしていない。

 

 慣れない感触に怯んだ俺は奴に首を掴まれる。

 

 「ググググ……」

 

 俺を持ち上げようとしたところで、顔に向かって熱線を放つ。

 

 「グアッ!!」

 

 青い熱線が奴の顔に当たり、あからさまに痛がり掴んでいた首を離した。

 

 そして後ろへ超速で下がると、周囲を見渡した。

 

 「そういえばゾンビが消えてる……」

 

 さっきまでウジャウジャいたゾンビが綺麗さっぱり消えていた。

 

 「もしかしてコイツを倒せば戻れる?」

 「ウオオオオオオアアアアアアアアアア!!!」

 「おーおー怒ってる怒ってる」

 

 雄叫びを上げ俺に向かってくる。俺は身体に気合いを込め迎え撃った。

 

 お互いの肘がぶつかり轟音が響く。そして肉弾戦が始まった。

 

 奴の攻撃をいなし顔面にストレートを叩き込み、奴は俺の身体に腕を鞭のように当ててきた。それから殴りや蹴りをお互い出し合い、一度離れると熱線を放った。

 

 俺の極太の青い熱線と奴の極太の翡翠の熱線がぶつかり合う。

 

 「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 「ウオオオオオオアアアアアアア!!!!!」

 

 すごい!!!こんなの初めてだ!!!ダークサイドでもこんな拮抗はしなかった!!!

 

 これは本気を出すしかない。

 

 熱線を放ちながら全身に力を込める。俺に身体の周りと熱線がスパークを纏い始め、全身の筋肉が盛り上がっていく。

 

 「はあああああああああああああ!!!!!」

 

 更に力を込めると放たれた熱線が収束を始め細くなり奴と同じく翡翠色へと変化した。細くなった熱線が奴の熱線を突き抜け身体に炸裂し吹き飛んでいった。

 

 力を解放した俺は吹っ飛んでいった奴を追いかけた。一瞬の内に奴の後ろに回り込み上空に向かって蹴り上げた。

 

 「グオハッ」

 

 鈍い感触を感じながら、奴を見上げ地面を蹴り飛び上がる。

 

 そして再度奴の向かう先に回り込むと、右腕にエネルギーを込めた。

 

 右腕の筋肉が更に肥大し、エネルギーが迸る。拳から二の腕にかけて翡翠色のオーラが現れ周囲の空間が捻じ曲がった。

 

 この技はダークサイドの使っていたオメガエフェクトを参考にしたものだ。初めてダークサイドと戦った時、オメガエフェクトを両斧に纏わせ俺の身体に傷をつけた。俺に傷をつけたのはあの時だけだった。

 

 「これならどうだーーっ!!!!」

 

 急降下しながら光り輝く拳を奴の胸に叩き込んだ。

 

 奴の皮膚を突き破る感触がした。そして心臓を突き破り次の瞬間血が噴き出た。

 

 そのまま地面に向かって叩き付け、胸から腕を引っこ抜いた。俺の右腕が奴の血で染まるが、宿ったエネルギーがそれを瞬時に蒸発させ消していく。

 

 「グボッ」

 

 奴が口から血を吐き出し、俺を睨む。

 

 「まだ生きてたか」

 「グウウウウウウ!!」

 「ふんっ!!」

 

 奴の頭に向かって拳を叩き込む。一撃でペチャンコになった。

 

 「死んだか」

 

 コイツは中々強かった。本気ではないが俺の一撃に耐え俺を本気にさせたからだ。俺を本気にさせられる奴なんてダークサイドぐらいしか思いつかないが、まぁ楽しかった。

 

 「ん??」

 

 真っ黒だった空間にヒビが入り光が漏れた。

 

 ヒビが広がり真っ黒だった空間が完全に白く染まると一段と大きな光が俺を包み込み思わず目を瞑ってしまった。

 

 「え?」

 

 目を開けるとまた真っ黒だった。それに身体が動かない。

 

 身体を動かそうと身を捩るとパリパリという音がして、徐々に身体が動き視界が開けた。どうやら何かに包まれていたようだ。

 

 「どこだよここ……」

 

 俺はエンチャントレスと戦っていたミッドウェイステーションではなく、青空の下にいた。

 

 「アイツ俺に何したんだ?」

 

 うーん…と空中で考えているとこちらに何かが飛んでくる気配を感じた。

 

 「ヴーさん!!」

 「うぇ!?カーラ!?」

 

 それはカーラだった。

 

 久々に会ったな。カルが死んだ時以来だ。

 

 「カーラ、なぜ此処に?」

 「ヴーさんが物凄い形相で光の渦を消し飛ばしてそのまま飛んで行ったので、追ってきたら此処に…」

 「え?光の渦?あ!!!!」

 

 やべぇ…俺そういえば任務の途中だったんだ…

 

 「あ、あ、あ」

 「ヴーさん?」

 「カーラ…携帯持ってるか?」

 「え?ありますけど…」

 

 カーラが取り出した携帯をぶん取りネットに接続しニュースサイトや動画サイトを確認していく。

 

 「グギギギギググググググググ……!!!」

 「だ、大丈夫ですか?」

 「うほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!」

 

 俺の公園全裸踊り動画がネット上に拡散されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにてスーサイドスクワッド編終了です。



ヴー=ロリ

ジェネシスチェンバーのエラーによってジェネシスチェンバーのアーカイブに保存された10万の世界の1つに存在するとある民族のデータを参考にして産み出されてしまった異物。太陽を浴びずとも強靭な身体と絶大なパワーを振い、浴びれば際限なく強くなる。飛行能力、超弩級の膂力、無尽蔵の体力、兵士タイプによる戦闘センスを備えている。
クリプトン文明が大きな転換期を迎える頃に必然的にジェネシスチェンバーが産み出す存在で、前回は1万年前に産まれ同じく産み出されたドゥームズデイと相打ちになって死亡している。
別世界の地球日本の一般男性の転生体であるが、前世を自覚した程度で殆ど記憶はない。しかし、そのおかげでクリプトンの調整による役割の刷り込みが上手く行われていない為、柔軟な思考を持ち自分本位で動く事ができる(ゾッドなんかは完全に役割に従って動いている。地球でクリプトン再興を強行したのもそれのせい)
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