ぬいぬい不知火?   作:KIKI的状況

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ご無沙汰しておりました。
仕事がヤバくとも、ちまちま書いてたのが話になったので投下です。



8話 

「どうかされましたか?」

 鳳翔の気遣い/木漏れ日のように柔らかく暖かい声音に乗せられて。

「これで良かったのかと思ってね」

 提督のため息/苦悩とそれに対する自嘲を吐き出して。

 

 夜戦へと6人が旅立って未だに1時間。

 業務の合間に時折眺める壁掛け時計/錆びでも入ったのかと思う具合に長針は進まず、まだまだ帰還は先だとわかってはいるものの、2つの瞳は時計と窓への往復を繰り返す。

 窓の先/たとえ夜闇に包まれようが、広がる大海原がそこにあることに変わりない。

「勝ちそうですか?」

 己の処理すべき業務の終了/鳳翔は立ち上がり、提督の元へと歩を向ける。

 表情に浮かべた不安をそのままにーー提督の勝利を望むのか/提督の今の護衛任務状況を望むのか。

 鳳翔にとって、艦娘として支え続けてきた提督の勝利は望むべきことであり、期待は隠せずーー故に、心の片隅には影が居る。

 久方ぶりの演習。その結果の勝利が、提督にとってのベストか/それとも否なのか。

 

 口数少なく/歩みを止めて/足下へと視線を落とす鳳翔に、提督の答えは告げられる。

「個艦の能力を考えたら……勝てる見込みはある。そのための作戦は立ててはみた」歯切れの悪い/本当に勝ちたいのかをぼかした台詞/視線はさまよい/瞳は逃げて。

 

 嘆息。

 少しでも/ほんのわずかでも、勝とうという意思/その先を考える提督を認めることができて/安堵してーー今はそれでいいかと言葉を/問いかけをやめにする。

 

 提督と同じように視線を外へ/共に戦場に在るのではなく、見守る/待ちわびることしかできない己が歯痒くてーー沈黙のままに窓際へと歩み寄る。

 たとえ6人が見えずとも、先輩として/寮母として彼女達を見守っていた鳳翔は、静かに夜を見る。

 

 数拍。

 

 無言をそのままに/幾ばくかの時間が過ぎると鳳翔が考えた矢先、耳へと言葉が飛び込んだ。

「むしろ、あいつもそのタイミングを狙ったんだろうけどな」

 心の中でだけ告げたつもりだったのかーー振り返る鳳翔の瞳に小さく笑って/肩をすくめてーー提督は頭をかきむしる。

 

 演習へと参加した6人の艦娘。

 戦闘の主力とした改二は夕立、時雨、北上の計3人。

 改二の条件は既に満たしている響/改二にはなれないものの、戦歴としては最も長い霞の2人組。

 そして、最も練度は低くても、成長速度と気持ちで選んだ不知火を加えて作った第一艦隊/一水戦。

 

 第2艦隊が鎮守府近海対応になって1ヶ月=十分な休養期間+響の鎮守府到着を狙ったかのような演習の申し込み。

 

 通常、各鎮守府は各々の艦艇の派遣/行動状況を上へと毎日報告することは絶対でーー自分より上にいる友人が知らない訳がない。

 演習の申し込み/演習場の確保/周辺海域の航行規制ーー思い返せば、全てが仕組まれたように/まるで友人の狙い通りに進んでいる。

 

「大丈夫。自分の言葉には、責任を持つよ」提督/口を開こうとした/不安げな鳳翔を手で制し、

「ただ、本当は自分で決断しなくちゃいけないことをあの娘達に投げちゃったみたいなものだからね」

 視線は机上へーー着任時から貼り付けた海図/今まさに演習が行われている海域へと落とされる。

 勝てるとも負けるともーー明確な答えを言えない艦隊練度が、まるで自分の心情のように中途半端であることに気づき/苦笑。 

 勝つ可能性はあるーーとまでしか言えない艦隊練度の原因は、各艦隊の行動/訓練計画に対して最後のサイン=了承を行う提督へと帰結する。

 勝ちたい気持ちはあるーーそれでも、絶対に勝ちたいとならない原因は、危険な海域へと向かわせることへの忌避=責務を望まない提督へと帰結する。

 

 考えることから目を逸らし/視線は演習海域から外される=海図全体/鎮守府から遠征で派遣されている各艦隊の配置を見ながら嘆息一つ。

「だから……」

 

 

 

「負けたわ」

「そうか。……すまん」

 ほんの一瞬すら視線を逸らすことなく戦果の報告/敗戦を告げた霞に向けて、掛けてやるべき言葉が/上手く言うべき言葉がみつからない。

 そんな頭を下げる提督/合わない視線はそのままに、

「これから時間あるわよね?」霞/確認ではなく断定。否を言わせぬように提督を一瞥し、その左脇へと身を移す。

「検討会か」

 俯く先から見上げられ、提督は2つの瞳に言葉を返す。

「当たり前でしょ! 演習したんだから」

「他の5人は?」

「もう遅いし、休むように言ったわ。まさか、この時間になって、まだ仕事が残ってるなんて言うんじゃないでしょうね」

「流石に終わってるよ。霞が確認すべき案件も無いな」

 日付をまたいで1時間。

 紙の書類やメール報告といった要処理事項は既になく/余計なものが存在しない机ーー満足そうにサイドテールを揺らし、霞は頷いた。

 

 広げられた演習地点の海図が一枚/描かれたのは12の航跡痕+それぞれが戦闘不能になった×印。

 脇に揃えられた紙束/客観的データと霞達の記憶/主観的データの対比を行い数十分。

「今回の敗因、なんて考える?」

「いろいろあると思う」

「だから、それを聞いてるんだってば!」

「心当たりがありすぎたからな」

 視線に気圧されてーーそれでも、真面目に頭を悩ます提督を見つめ、霞は嘆息。

「今回は、奇襲の成果はあったけど、神通に痛手を与えることできなかった」

「久しぶりに組んだメンバーだからな」

「たとえそうでも、たった1人に防がれるような魚雷しか3人が打てなかったのよ」

 誰がおおよそどのあたりに魚雷を放つのかーータイミングは放つ直前/波の高さ/目標への方位距離/潮流を鑑み、旗艦の合図によって決めるもの。

 6には満たない/半数となる3人故の弾幕の薄さ≒連携の取りやすさーーそれでも、昔ならば6人揃って出来ていた/ただ1人に魚雷が集中する事はなく。

 

 無言のままに視線を逸らす提督の袖を引いて/射止めるように睨みをきかせ/瞳を合わせ、霞は告げる。

「今の運営方針を変えるつもりはないのよね?」

 

 薄々と感じていた。そして、実感させられた鎮守府の現状/第2艦隊総員で参加しなかった理由/ひとつの艦隊としての練度不足。

 積み上げた実績から護衛任務は次第に増加=2隻一組で対応しようにも、練成と休養の期間を圧迫するまでになっている。

 個艦及び、護衛任務では僚艦となる2人一組の訓練機会は確保するものの、艦隊として/6人揃っての戦術訓練はどの艦隊もできていない。

 故に、今回の演習では練度の高い者、戦歴の長い者を集め/2人一組の行動に慣れすぎた者を除外してーーそれでも負けた。

「何か、言いなさいよ」

 握った右手を提督の袖に固定させ、視線はただ一点/過ぎた時間は十数秒。

 見慣れた瞳/答えはわかっても、霞は言葉を促した。

 

 一拍。

 

 二拍。

 

 提督は静かに首を横に振る。

 

「やっぱり今の俺は、皆を危険な目には合わせたくない。それに、護衛任務が悪いことだとは思わない」

 ーー先の大戦の反省/補給路の維持=制海権の確保ーー言われ続けて、先代提督の後を引き継ぎ、ようやく実現へと近づいた祖父の言葉。

 

 ーー死闘へ/はるか南の地獄の釜へ艦娘達を出したくないだけだろう? ーーそんな脳裏に響いた言葉には答えることはできずとも。

 

 正しいのかどうかーーわからない。

 それでも、この鎮守府の役割が日本の人々の生活を支える一助となったことは、処理した書類の分だけ知っている。

 

 提督の決断に霞は満足そうに頷いた。

「自分の中で答えが決まってるんだったら、もっとシャンとしなさいな」

 口からは不満の言葉を吐き出して/鼻息一つ、頷いた。

「演習が終わった後、神通に誘われたけど……まだまだ、こんなヘタレなクズ司令を置いておけないわね」

 やれやれとなんでもないように/肩をすくめ/嘆息一つ。

 呆ける提督に向けて数刻前の記憶を口に出す。

「余所からすれば、戦歴と今の任務が釣り合わない……なんて思うこともあるんでしょ」

 霞ーーこれで終わり/つまらないわと話を打ち切るように小さな背中が向けて。

 提督ーー少し待てと/薄い肩へと手を伸ばす。

 

「何よいきなり。よくあることでしょ。発令されなくても、そういったことがあることは」

 転任といえど、鶴の一声ばかりで決まるわけでもない。

 正式な発令/要請の前には、第三者から当事者/周囲の人間からの情報収集が時には行われ、対象となる艦娘が抜けた後の鎮守府に対する戦力の調整も実施されている。

 今回はあくまで提督同士ではなく、その下においての接触でーー

「変わりに練度は低いけど駆逐艦の艦娘を3人なんて言われたのは考えさせられたかしら」

 それでも、転任後の補充候補が既に決まっていることが上の意向を明確に告げていた。

 

 提督/嘆息ーーこれから行うべき鎮守府の目的と上とのすり合わせ/心労を吐き出すように長く息を吐き出して、

「霞、これから……は遅いから、明日の朝に」

 霞/嘆息ーー考えすぎる提督への不満を吐き出して、

「不知火ならどうせ起きてるわよ」

 淡々と/それが提督の望む事だとわかったように口にする。

「真面目に後一時間なんて決めて今日のこと、振り返ってるでしょうね」

「なら、なおのこと明日の朝一でいいよ」

 提督/首を横に/はっきりと口に出す。

「ここに戻る道中、6人での反省会はしてるだろうけど、ぬいぬいには今日のこと自分だけで振り返ることも大事だろうし」

「……そ」

「昔言われたことがあったからな。言われたままだけじゃなくて、ちゃんと考えろって」

 視線は外れ/昔を懐かしむように、瞳が動いた提督に、霞は意見を取り下げる。

 

 一拍。

 

「引き止めて悪かった。もう休んでくれ」

「そうするわ。あんたも早く寝なさいよ」

 深夜の語らいに終わりが告げられた。

 

 

 日の出前の管理棟/薄暗い廊下に響く足音はカツカツと硬質に。

 動く人影は1人の少女。

 純白のシャツ/埃ひとつない燕尾服/キリリと纏められ後頭部で揺れる桃の髪ーー呉鎮守府「元」秘書艦/駆逐艦不知火。

 

 

 遡れば10分と少し前。

 朝の支度が終わったことを見計らったかのように呼び出され、執務室を訪ねた不知火に述べられた提督からの言葉/先の演習に対する所見ーー不知火個人に対しての包みも隠しもしない客観的数値に基づいたもの。

 そして、具体的理由に基づく秘書官の交代通知/拒否することはただの個人のわがままであると思い知らされてーー提督への答えは端的に、「了解しました」彼の望むもの。

 感謝と謝罪に「当然です」言葉を発し、回れ右。

 背後/執務室のドア脇に控える霞に一礼し、無言のままに室外へ。

 

 嘆息を一つでこらえ、歩み始めて十数秒。

 階段を階下に向けて己の足を歩ませる。

 自然と気づかぬままに速くなる無機質な軍靴の音を聞きながら、意識の先は思考の海へ/歩みの先は艤装庫へ。

 

 業務の削減は鍛錬時間の増加=砲撃/雷撃/操艦の各種練度の更なる向上/先の演習で痛感した技量不足を補うためには必要不可欠なもの。

 そんな当たり前の誰にでもわかる/不知火の現状を鑑みた人事であれど、秘書艦として/艦娘として、二足の草鞋をこなすまでになれなかった事実/悔しさが胸の中に湧き上がる。

 

 そんな、軍歴の短い中で知らず知らずに抱いていた傲慢さ/揺らいだ心を自覚してーー目を閉じる/歩を止める/切り替えるように息を吐く。

 

 いつの間にかたどり着いていた艤装庫前。

 暗い心に蓋をしてーー故に、できること、やるべきことに手を伸ばす/馴染んで久しくなった艤装を身に纏う。

 

 缶の試運転開始/武器への火入れーー結果良好。

「出ます」背後に報告/いつの間にか、見守るように立っている当直艦/響に向けて端的に。

「もう、かい?」

「秘書艦を交代した不知火は朝オペに出る理由がありません。必要な情報は既に提督から入手しています」

「そうか」

「私が足りないのは、何よりも経験です。ですから……」

「付き合おうか」

 掛けられる言葉に/澄んだ瞳に不知火は苦笑する。暗い嫌な気持ちがスッと引く。

「今日の当直艦では?」

「……ハラショー」

 とっさに飛び出していたであろう言葉/気遣いに不知火は一礼。帽子を押さえる小さな大先輩に向けて、「気持ちだけ有り難くいただきます」感謝の思いを口にする。

 

 岸壁から水面へ/一息に。

 ーー気をつけて。

 暁の水平線に向けて、不知火は抜錨した。

 

 

0755

 

 陽光が邪魔する執務室。

 提督の机を中央に、コの字のように置かれた2つの長机/遠征中の第3、第4艦隊の旗艦は欠席=艦娘がそれぞれ2人ずつ。

 通称ーー朝オペ/ミーティングが始まって10分と少しーー昨日の当直艦からの異常の有無に関する報告、今日の予定は既に述べられてーー始まる議題/机上/電報により各鎮守府へと知らされた部隊再編に関する書類に各々は目を落とす。

 

「テステス……テステス」

 不在の2人の視覚、聴覚リンクが正常に機能していることを確認し、

「今日ここに集まって貰ったのは、皆に確認したいことがあったからだ」

 提督は始まりの言葉を口にする。

「発信は海軍省から。宛先は横須賀に佐世保。それとここ、呉にいる各鎮守府の提督へ向けてだ」

 用紙中央に記された言葉/南方作戦の決定を告げるもの。

 噂に上がっては久しくーーそれでも、大規模作戦の知らせに何人かは唾をのむ。

「それに伴い、各鎮守府の担当する任務、哨戒域の青刷りも届いている。それと皆に見てもらいたいのは、横須賀の俺の友人から……案の段階ではあるが派遣部隊の編成表だ」

 主な派遣部隊ーー横須賀と佐世保の主力級=連なる戦艦、空母/見知った名前は数多くーーそこに連なる/水上打撃部隊に含まれる水雷戦隊/旗艦ーー川内、他5名。

 提督の右手前/ピクリと動く髪/夕立の感情の発露ーーつい先日の相手が最前線に出向くことへの心配/気遣い。そして、「凄いっぽい」小さな呟きに僅かな羨望が乗せられる。

 

 一拍。

 

「俺たちは、今まで通りの護衛任務になる」

「はい!」即答。提督に聞かれたことで染まる頬をそのままに。

「血が騒ぐ?」

 夕立の右隣/右手をヒラヒラと/左で頬杖をついた北上はニヘラと笑ってみせる。

「ちゃんと聞いてなさいよ。今ここにはあんたしか軽巡いないんだから」揺れるサイドテール/ちょっぴりイライラ+細まる双眸。

「大事な話になりそうだしちゃんと聞くよ、霞っち」

「……そうね」露骨な不満顔。それでも小さく首を横に振る提督が視界に映り、数瞬後には何も無かったように表情から拭いさる。

「話を続けるけれど、俺達にとって大きいのは、ラバウルへの物資護送にあたる可能性があることだ」

 提督/口調はゆっくりと/言葉を発する当人が落ち着こうとするかのように。

「へぇー」

 北上/漏れ出た感嘆をそのままにーーそれでも、頬杖の手は膝の上。そして、他4人と同様に提督へと向き直る。

「俺もあまり同意をしたくはないが、現状であの海域周辺に纏まった数を艦隊として送ることができるのはここくらいしかないらしい」

「もう、決まりっぽい?」

「攻略部隊を派遣する横須賀、佐世保を除くと上の練度評価はここになるみたいだ」首肯で是を/言葉で説明を。

 静かな執務室/提督の言葉は止まらない。

「出すのは2個艦隊。第2艦隊と……それから第1艦隊を再編成して派遣する。第2艦隊については、艤装の整備も休養もしっかりできているからいつもより危険な任務を任せることになる。来週、急に組まれたお偉いさんの視察から、このことは確定事項として俺は処理するつもりだ。もちろん、みんなも心に留めておいて欲しい」

 提督の言葉は淡々とーーけれども、確かな変化の予感が艦娘の間に伝播する。

 

「確かに危険な任務と思いますが、2つとも出すということは、他の子達の交代は……」

 ふと気づいたーーとばかりの鳳翔/秘書艦 の言葉/本来、ローテーションで行われていた艦隊の任務=第3、4艦隊と交代する部隊の不在。

「ああ。だから両艦隊の任務期間を半月から1ヶ月延ち……」

 不意の沈黙/集まる視線の先ーー提督は目頭を押さえ、眉間に皺/耐えるように固まっていた。

 

 一拍。

 

 二拍。

 

 やがて、深呼吸。

「大丈夫、頭の中で絶叫が響いただけだ」

 ーー静かにしないならリンクを切るぞ。

 呟きを口にして、同情の視線に問題ないと頷いた。

 

「陽炎達には悪いけど、今はこの少しの無理を我慢して欲しいんだ」

「しばらく忙しくなりそうですけど、南方が回復すれば、皆の負担も減りそうですね」鳳翔/どこかホッとしたようにーー決まっていない未来であれど、遠征から戻る艦娘達をいつも出迎える彼女の声音は自然と上になる。

 

 日本における最たる懸念ーー南方海域。

 故に、攻略の前段階から多くの艦娘/練度の高い駆逐艦も任務に割かれ、呉の担う護送・哨戒任務の範囲はより遠方へと伸ばされた。

 南西諸島海域の制海権は概ね安定し、南方の制圧=オーストラリアからの補給路の安定は、呉鎮の任務/負担減少へと繋がるものとなる。

 

「見込みはあるのかい」当直艦として/報告後から静観を続けたた響が声をだす。

 パタリと閉じた資料/全ての項を頭に映した瞳の問いかけに、提督の首は上下に動く。

「勝算は7から8割くらいかな。万全な体制で臨むためにも、ラバウルの機能を強化して攻略の前線基地にするらしい。攻略前に演習も実施予定だから連携も取れるだろう」

「攻略部隊の戦力は問題ないけど、その戦力を投入すべき場所までの露払いが役不足じゃないかなー」

「確かに、艦娘個人での派出要請はあったけど」

 視線は一点。

「ぽい……?」

 

 一拍/沈黙。

 

 当人以外、意味する事を理解しながらも、

「まだ返事はしてないよ」

 苦笑混じりに言葉を告げる。

「以上で俺からは終わるが何か確認したいことはあるか?」

 

 数拍。

 

「ないわ」

 霞の言葉/皆の意見をもって、朝オペの幕は下ろされる。

 

 

 同時刻/宮島沖ーー奈佐美瀬戸。

「こんな朝から1人で偉いねー」

「……当然です」

 ふいの呼びかけに、訓練海域へと向かう不知火は停止する。

 眼前/初めて見る艦娘/片手を上げて親しげに。

 会った記憶ーーなし。

 提督の予定ーー来訪者なし。

「鎮守府に何か用でしょうか」

 艤装の故障+燃料不足も考えられず=彼女がここにいる理由が見つからず、ぎこちない笑顔/提督に教わった外面が更に硬くなる。

 

 故に、来訪者は噴き出すと共に、不知火が真似できないような満面の笑顔でもって己が誰かを口にする。

「佐世保からの臨時勤務さ。あたいは、夕雲型駆逐艦十六番艦の朝霜さ。覚えといてよ。忘れんなよ……なぁ!」

「……はい」




アニメでテンション上がってたら更新はもっとはや(ゲフン

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