皆の意見や知識で動かせ戦国物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1545年 家操12歳 コンパウンドボウ 携行食

 1545年 家操12歳

 

 細川晴元、京を放火

 河越城の戦い

 

 

 

 コンパウンドボウの実演として俺含めて弓の練度に差がある愚連隊の面々が集められ的あてが行われた。

 

 全員コンパウンドボウを吉法師様から使うように言われ、数度の試射のうち、俺は元々慣れているし、騎射が得意な鹿角さん、弓が元々得意な落合さんはスパンと矢を的に当てた。

 

 ただ岩瀬や鈴村といった隊員は元々弓が苦手だった為に的に当てるのに苦労していた。

 

「それまで」

 

 吉法師様が切り上げを宣言し、俺以外に感想を求めた。

 

 鹿角さんは

 

「いつもよりも引く力が弱くても同じ速さで矢が飛んでいきました。ただ馬上で使うには強度が心許ないかもしれません。まぁ使えるのであれば馬上の方が活用できると思いますが……」

 

 続いて落合さんは

 

「普通の弓でも弦が切れれば使い物にならないのですから、滑車から外れたらそれはそれまでと思うしか無いのでは? 充分実戦に足りうる弓だと思われます」

 

 と高評価。

 

 鈴村は

 

「純粋に俺の実力不足で申し訳ねぇ。ただいつもの弓よりも遠くに飛ぶのは確かだ」

 

 岩瀬さんも

 

「的にはなかなか当たらなかったが、訓練用の弓としては引く型を覚えるのには最適かと。ただ滑車を付ける分高くなってしまうのではないでしょうか」

 

 とコスト面を心配していた。

 

「鶴、そこはどうなのだ?」

 

「この弓なのですが弦を張る力は滑車が調整してくれるのでそこまでは要りません。2人張りで十分です。滑車なのですがこれは木造ですが、接合部を金属にすることである程度は強度問題は解決できるかと思われます。確かに製造の時に手間がかかりますが十分に元は取れるかと」

 

「であるか……落合、岩瀬」

 

「「は!」」

 

「職人を集め、鶴から話を聞き、生産出来る様にしろ」

 

「「かしこまりました」」

 

「鶴も手伝ってやれ」

 

「はっ!」

 

「では今日は解散とする」

 

 解散後に直ぐに弓職人と木工職人が集められ、コンパウンドボウの説明をする。

 

 歳をいっている職人達は新しいモノに難色を示したが、若い職人達は興味をいだいたらしい。

 

 弓のフレーム部分の改造、滑車の接合、滑車に弦を通すと既存の弓とはだいぶ違うが、滑車製造に水車を使った水力によって台が回転する事で滑車の加工が楽になったり、製造面でも色々と工夫をした。

 

 パーツごとに組み立てるライン工を導入したりと戦国時代の人からしたらなんでこれで普通に作るより早く物が出来るんだという混乱が広がったが、俺や吉法師様が求めているのは量産品で一品物ではない。

 

 ただでさえ美濃との戦いで織田家の武威に傷がついているのだから戦力の立て直しをしなければならないし。

 

 あ、ちなみに俺はこの時俺専用のホームセンターでカーボンを弦に使った金属製コンパウンドボウを完成させていた。

 

 ちなみに和弓の飛距離が達人で400メートルのところこの弓であれば500メートルほどが射程になる。

 

 火縄銃以上の射程を誇る。

 

 製造ラインを工夫したことで日産5張製造できるようになり、品質も基本一定であった。

 

 愚連隊員や那古野城兵に吉法師様は貸し出しをし、弓の鍛錬を積極的に行い、半年で基本水準を満たした弓兵を量産し、愚連隊員も弓の扱いが全員できるようになるのだった。

 

 この弓兵の拡充により落合さんは弓足軽組長、岩瀬さんは弓奉行の役職が与えられて出世することとなる。

 

 

 

 

 

 

 油の管理をしていると、どうしても火の管理についても話を聞く機会が多くなる。

 

 火種の管理は重要な仕事で、火種がなくなったら火打ち石や火起こし器で火をつけなければならないのは大きな労力が必要になる。

 

 戰場でも火の管理をする専用の兵がいるくらい重要な役割である。

 

「マッチはリンが必要だから現状は無理か……そう言えば動画配信サイトで発火実験をしているのを見たことがあるな。……ホームセンターには無かったが、確かキャンプ用品に空気を圧縮して火を起こす道具があったはず……」

 

 エンジンとかでも使われる圧気発火器の事を俺は思い出した。

 

 鉄パイプと油を染み込ませて滑りを良くした布、それ巻いた鉄の棒に中におが屑を入れて思いっきり押し込む。

 

 すると圧縮された空気でおが屑に火がついた。

 

「今までの火起こしよりはだいぶ楽になるな。吉法師様にお見せしてみようか」

 

 圧気発火器を見せるとめちゃくちゃ褒められ、ただ影響が計り知れないということで、織田家内で使う秘匿物扱いになるのだった。

 

 

 

 

 この時代の兵の携行食は芋の蔓に味噌や塩を練り込み味をつけた芋がら縄、握り味噌や干し米、兵糧丸等決して美味しいとは言いにくい食事ばかりである。

 

 なので俺も戦場で少しは美味しい物が食べたいのでインスタント食品……携行食の開発に着手した。

 

 まず作ってみたのは蜂蜜クッキーや乾パン等の小麦粉を使う食べ物で、蜂蜜クッキーは少々高い物になるが、この時代ではほぼ取ることのできない甘味類であり、智や石鹸工場で働いているくノ一達、吉法師様や小麦様も美味しいと食べていた。

 

 乾パンは女性陣からは不評だったが、精米や小麦の製粉する時に出る胚芽を混ぜることで栄養価を高め、腹持ちの良い仕上がりにした。

 

 吉法師様や愚連隊の面々は乾パンを気に入り、小腹が空いた時に食べる間食として俺にたかるようになった。

 

 どちらも保存が効き、蜂蜜クッキーは1ヶ月、乾パンは3ヶ月は作ってから持つのが特徴で、冬場の保存食としても活用された。

 

 続いては中華麺は前にも作ったことがあったので、揚げ麺を作った。

 

 揚げ麺は長期間保存ができるし、乾燥しているので軽く、お湯で溶かし、味噌汁に入れれば即席ラーメンにもなる。

 

 携行食としても良いし、揚げ麺にする前の生麺を使い、塩焼きそばをたこ焼き屋台の横で売り出すと、これも大繁盛。

 

 ラーメンは水の確保や材料の問題で頓挫したが、うどんの他の麺料理として焼きそばが広まっていくことになり、揚げ麺を使った餡掛け麺も俺が広めた事で片栗粉の需要が上がり、じゃがいもの価値上昇に繋がるのだった。

 

 他にも薩摩芋と大麦、小麦粉を混ぜた薩摩芋スティックを作ったり、漫画で読んだことのあった鶏そぼろ、干しキノコ、ニンニク、カブの根や葉っぱを細かく刻み、炒めて味噌で味付けをして具を作り、それをおにぎりに入れて油で揚げる。

 

 食べるときは湯を入れると具だくさんの粥が出来上がる。

 

 これは重臣の方々が気に入ったようで普通の食事でも揚げおにぎりを食べたいと言い出した。

 

「平手様!」

 

「おお! 家操か。揚げ飯玉は美味かったぞ」

 

「それは良かったです。ただあれは油を多く使うので金がある織田家でなければ中々できないと思われます」

 

「……お主、そこまで考えて米油を開発したな」

 

 多分平手様の中で、この携行食を作るには油が多くいる→油が多く要るなら安く油を作れる状態が好ましい→米油の開発

 

 という風に繋がって考えられたと思ったのであろう。

 

 俺は結構その場その場の手札を組み合わせているに過ぎないが……。

 

「それに味噌も作るのに多く必要と思い熱田や津島の味噌屋に味噌樽の拡張をするために資金を投じたりしていまする」

 

「……お主の出が農民とはつくづく思えんな。嫁も農民出身か?」

 

「はい、同村の娘ですが……」

 

「うむ……手柄をあげれば更に格の高い娘を正妻にして、今の娘を側室にするのも考えなければならんぞ……このまま吉法師様の下で働くならな」

 

「は! 肝に銘じておきます」

 

「うむ」

 

 少し心配そうな平手様だった。

 

 

 

 

 




岡崎城はまだ落ちてません。
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