皆の意見や知識で動かせ戦国物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1547年 家操14歳 初陣 竹千代

 1547年 家操14歳

 

 織田信長初陣

 細川晴元、将軍を追放

 武田信玄が分国法を制定

 舎利寺の戦い

 常陸天文の乱(天文の乱の激化 戦闘が奥州全域に拡大)

 

 

 

 

 信長様の命令で、動員が掛けられて、初陣となった。

 

 まだ馬に乗れる身分ではないので鉄砲足軽として参加した。

 

 指揮は信長様ではなく平手の爺様が取り、今回の戦では信長様に戦の雰囲気に慣れさせるのが目的であった。

 

 でだ、今三河方面の勢力が凄まじくややこしくなっており、まず三河を治めているのは後の徳川家康の父親である松平広忠という人物なのだが、今川義元に従属した立場であり、今川家の従属大名として尾張の織田家と対立するという形であった。

 

 で、三河にも色々な勢力が居り、織田家と協力関係にあり松平家とも血縁関係がある水野家、奥三河に勢力を誇る、奥平氏、菅沼氏、菅沼氏の御三家と呼ばれるところは蝙蝠の様に強い勢力に尻尾を振り、現在は今川に従属していた。

 

 他にも今川の武将が監視として派遣されており、三河の城を持っていたり、織田家も織田家で三河に一部勢力を保有して今川家を牽制していた。

 

 今回攻撃するのはそんな今川家の武将が守る城……というより砦であり、連れてきた兵500では落とすとなるとかなりの犠牲が出る様な場所だった。

 

 戦略的意味も薄く、信長様から愚連隊の隊員には

 

「今回の城攻めは武功になるような事は無い。行って放火して終わりだ」

 

 と言われていた。

 

 俺も鉄砲隊を率いて出陣し、殆ど待機を喰らったが、信長様に

 

「城の城兵を撃ち殺す事は出来るか」

 

 と言われたので、俺は可能ですと答え、昼間に砦からこちらを狙っている弓兵を250間(450メートル)離れた位置から狙撃した。

 

 パンという音と共に城兵の1人が倒れて城兵達は慌て始めた。

 

「城兵の勢いを殺して見せました」

 

「うむ、火矢を放ち撤退する」

 

 次々に火矢が放たれ、砦では慌ただしく人々が動いているが、信長様は毅然とした振る舞いで兵を引き連れて撤退をした。

 

 平手の爺様から

 

「よくやった。信長様も上機嫌だ。これで突っ込むとか言われたら肝が冷えたがな」

 

「いえ、信長様は勝てる勝負と捨てるべき勝負がわかっておられます。今回は捨てても問題ないと出陣前から言っておられました」

 

「そうか……信長様も立派になられて……爺は嬉しいですぞ」

 

「爺! 鶴! 聞こえているぞ! まぁ良い。腹が減った。飯にするぞ」

 

 兵達も飯なので飯の準備を始める。

 

 ちなみにまだ砦からこちらが遠目で見える位置であり、完全に挑発行為である。

 

 爺様は流石信長様、肝が座ってらっしゃると喜んでいるので良いのだろう。

 

 流石に陣中食は俺が作る事は無いが、小麦粉を練って作った小麦団子……すいとんにごぼうや大根、生姜や芋を入れた具だくさんのすいとん汁が出された。

 

「鶴、また料理番に何か仕込んだな」

 

「はて? 私は何もしておりませんが」

 

「ふん、お前が前に料理番にすいとんを教えていたのは知っているのだぞ」

 

「いやいや、それを上手く纏めた料理番を褒めてくだされ」

 

「相変わらず色々思い付く奴だな……うん、美味いではないか」

 

 信長様も気に入ったようだ。

 

 兵達にもすいとん汁が振る舞われて、皆美味い美味いと食うのだった。

 

 愚連隊の面々も

 

「初の戦で少々緊張したが、何とかなるものだな」

 

「いやいや、これから信長様の元で色々働かされることになりますぞ」

 

「それもそうだな!」

 

 とワイワイしていた。

 

 特にこれといって被害は無く、双方引き分けで信長様の初陣は幕を降ろした。

 

 というか初陣で首を取ってくる薩摩や七難八苦の尼子のマゾ、初陣で大暴れして姫若と呼ばれていたのに鬼若になった長宗我部がおかしいのであって、信長様みたいな初陣がスタンダードである。

 

 なおこの戦と並行して信秀様が三河侵攻を進め、岡崎城……松平の本城を攻め落とすことに成功していた。

 

 信長様がやったのはこの本城攻撃に今川の兵が援軍に向かわないように釘付けすることであり、信秀様の戦略目標は達成するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 岡崎城が陥落して少し経ったある日、信秀様の計略で松平の嫡男……竹千代(徳川家康)を誘拐することに成功し、竹千代君は熱田の顔役でもある加藤順盛の屋敷で過ごすことになった。

 

 信長様は竹千代の事を気にかけ、鷹狩りに連れて行ったり、柿を差し入れしたりと遊び相手になっていた。

 

 信長様の紹介で、俺も竹千代様に出会うことになる。

 

「信長様の家来の鶴こと内葉家操でございます」

 

「竹千代だ。信長様から鶴さんの話は沢山聞いています。農民上がりなのに色々詳しいと」

 

「いえいえ、浅知恵でございます。今日は竹千代様の遊び相手をしてやれと信長様に言われたので、何かしたい事はございますか? できる限り叶えますが」

 

「三河に帰りたいが」

 

「それをされると私の首が飛びますので申し訳ない」

 

「じゃあ何か美味しい物が食べたい」

 

「美味しい物ですか……なら腹に溜まる物を1つ」

 

 俺は加藤さんに庭を借りると言い、庭に石を積んで即席の窯を作ると、鉄板を置き、油を引いて、材料を切っていく。

 

 五位様の所で少量収穫できたキャベツに猪の肉を少々、それを小麦粉ととろろ芋、卵を入れて混ぜる。

 

 混ぜた生地を鉄板に流し、形を整えてひっくり返す。

 

「おお!?」

 

 ジュウジュウと鉄板に熱々のお好み焼きが完成する。

 

 鰹節と鰻のタレをかけて竹千代様や加藤さん、そのお子さん達にもお好み焼きを渡していく。

 

「熱っ! 熱っ! でも美味じゃ!」

 

「喜んでもらえて何よりです」

 

「この料理はなんと言うのだ?」

 

「お好み焼きと言います。お好みに焼いて食う事が由来とされています」

 

「お好み焼き……美味いなぁ」

 

 竹千代様はお好み焼きの他にも小麦粉を使った料理が好きな様で、天ぷらを特に好まれた。

 

「海老の天ぷらは実に美味だった! 家操は本当に色々な料理を知っているのだな! 博識なのだな!」

 

「いえいえ、私も聞いたことのある料理を再現したまででございます」

 

「そうなのか? それでも凄いと思うのだが……」

 

「それよりも今日は信長様が牛乳を飲みたいと言ってましたので竹千代様もお飲みになりますか? 美味しい物を作りますが」

 

「是非行こう!」

 

 今日は牛乳を使ってパンケーキを焼いた。

 

 ホームセンターにあった重曹を使ってパンを膨らませて蜂蜜を付けて食べる。

 

「甘くて美味い」

 

「鶴、これは毎日食べられるか?」

 

「無理です。熱田でたまたま入ってきた重曹という粉が無いと作れないので」

 

「そうか……」

 

「まだ少し粉がありますので今度那古野城でも作りますよ」

 

「うむ! そうしてくれ!」

 

「信長様良いなぁ」

 

「狸、お前は俺が知らないお好み焼きとやらを食べたのだろう! それで我慢せい! それに鶴は余の家来だ!」

 

「まぁまぁ信長様、竹千代様も恐らく織田家に長く居るとは限りませんし」

 

「む? どういう事だ?」

 

「竹千代様のご身分ですと松平の家と全面的な戦争になる前に何かしらの条件で三河に戻られると思われます。そう長くは滞在しないでしょうし、信長様、ここは器量を松平の嫡男様に見せる良い機会ですよ」

 

「ぐぬぬ、竹千代!」

 

「は、はい!」

 

「少し鶴を貸してやる。ありがたいと思えよ」

 

「はい!」

 

 こうして俺はちょくちょくお土産を持って加藤さんの屋敷に出入りするようになるのだった。

 

 

 

 

 

「家操もよく来るねぇ」

 

「それが主命ですし、加藤さんのお子さんにも懐かれてますし……」

 

 加藤順盛さんの屋敷には子供がなんと12名もいる。

 

 しかも男は2人で残りは女児ばかり。

 

 熱田の顔役として側室を持っていたがそれでも大家族である。

 

「あ! 鶴兄だ!」

 

「弥三郎元気だったか?」

 

「うん! 元気元気!」

 

 そんな加藤さんの次男の弥三郎は俺の1つ下ということで元服しているが、まだまだ子供で、俺に懐いていた。

 

 普段は信長様の愚連隊員としてつるんでいるが、鉄砲を教えると目を輝かせて俺の足軽達と一緒に鉄砲訓練に参加していた。

 

「家操が家禄持ちなら家の弥三郎を家来として売り込むんだが……」

 

「そうだぜ鶴兄! 早く領地を信長様から貰って武士になろうぜ! そしたら鶴兄の部下として槍や鉄砲で敵将を薙ぎ倒してやるぜ!」

 

「そのためには武功が必要だからな。鉄砲といえば」

 

「橋本ですぞ!」

 

 なんか飛び出してきたのは橋本道一……片原一色城城主の息子でお父さんが鉄砲の有用性に早くから気が付き、俺と一緒に鉄砲奉行の1人として活躍していた。

 

 そんな父親を持つ道一さんは橋本式鉄砲術と言って色々な人に鉄砲を広めていた。

 

「やや! 鶴殿ではござらんか! ここで会ったが百年目! 鉄砲で勝負しようぞ!」

 

「はいはい道一殿、それはまた後日にしましょう。加藤さんの屋敷で鉄砲をぶっ放すおつもりですか?」

 

「ぐぬぬ」

 

「いや、ぐぬぬじゃないが……」

 

「いいもん! 鶴殿は言い訳して拙者から逃げたって言い触らして鉄砲を広めるもん!」

 

「というか俺まだ武功も無い若造ですよ。それに突っかかったら道一殿の武威が下がるのでは?」

 

「確かに! じゃあさっきのは無し!」

 

 こんな感じのアホの子なのだが、鉄砲の腕は確かで、俺みたいにライフリングとまで言ってないポリゴナルライフリングの火縄銃で300間先の的を当てる曲芸を信秀様の前で行い、織田家随一の狙撃手として名が挙がっていた。

 

 加藤さんも

 

「道一殿、流石に家で火縄銃が放たれるのは勘弁願いたい」

 

「仕方がない! 鶴殿! 戦場で今度優劣を決めようぞ」

 

 と言って去っていった。

 

「なんだったんですか?」

 

「さぁ?」

 

 

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