皆の意見や知識で動かせ戦国物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1549年 家操16歳 信秀の死

「流石鉄砲家操! 見事な戦いだったぞ」

 

「柴田様のおかげで武功を稼ぐことができました! ありがとうございます!」

 

「わはは! 良いよい! 可愛いやつだな家操は!」

 

 鉄砲で敵兵をめちゃくちゃにし、柴田勝家様のアシストをめっちゃしたので柴田勝家様も超上機嫌だし、柴田勝家様も元々足軽から武功を稼いで出世した成り上がりものなので比較的農民出身の俺にも寛容である。

 

 それに特注オナホールを作ったりして柴田勝家様の一物の大きさまで知っている仲なので男の友情が芽生えていた。

 

 というか柴田勝家様みたいな体育会系のタイプは前世の自衛隊には沢山いたのでヨイショするのは慣れているし、取り入り方みたいなのも慣れていた。

 

 ちなみにこれで総大将の織田信広様は太原雪斎に過去1度防衛戦で勝利しているため2度も戦で勝った戦上手という評判になり、箔が付いた。

 

 現場指揮の柴田勝家様は一番手柄で名声と三河で加増になったし、他の将兵も俺の部隊が鉄砲で崩した所に突撃して武功を稼げたので俺を多いに褒め称えるし、俺は二番手柄で信秀様から感状と更に大野周辺の大草村と小倉村の1500石が更に加増となった。

 

 で、大草砦を城に改修する許可も頂き、2500石かつ16歳にして農民から城主に昇進! 

 

 出世速度的には柴田勝家様と同等、信長の親衛隊の中では突出した速度だったが信長様から

 

「これ以上を短期間で与えると他からのやっかみが多くなるから与えられん。活躍しても銭や太刀等になるぞ」

 

 と言われた。

 

 それは仕方がないのだが、軍功評定でこういう時は当主である信秀様が労いの言葉をかけられるのだが、それをしたのは今回の総大将の信広様で、信秀様が出てくることは無かった。

 

「相当体調が優れないのか?」

 

 と俺は思っていたが、多聞丸が衝撃的な事を言いだした。

 

「なに!? 戦の最中に信秀様は病没していただと」

 

「はい、既に床から出れなくなっていたらしいですが、急速に体調を崩し、病没したと女中に紛れていたくノ一の1人が確認しております」

 

「それを表に出さないということは死が隠されているのか……感状の筆跡は信秀様のだが、右筆(書状を主の代わりに書く人)の方が書いて政務を回しているのか……これは広まっているのか?」

 

「いえ、全く広まっておりません。恐らく影武者が立てられているかと思われます」

 

「うむ……となると情勢が大きく動くぞ。多聞丸は引き続き情報収集を頼む」

 

「は!」

 

 

 

 

 

 

「信長様から手紙?」

 

 信長様から手紙が届き、今回の功績による加増の確認と春に小麦を婚姻させるという命令書が届いた。

 

 一族の婚姻を決定できるということは信秀様は本当に亡くなっているか政務不可能の状態を意味し、信長様が政務代行として権力を握ったと読み取ることができる。

 

 直ぐに返書を書き、まずは感謝と小麦姫が来る前に大草砦を城として使えるまでの改修をしておきますと伝えた。

 

 そこからは大草村と小倉村を巡り、村長衆とは大野村の時から知り合いではあったが、領地に組み込まれた事を報告し、税を下げる代わりに検地を行い、大野村で成功した農法の伝授を行うと通達した。

 

 また大野村は中村鹿之助、小倉村は林龍次郎をそれぞれ代官とすると通達し、2人には内葉家家老に昇進。

 

 他中村出身者の殆どを奉行衆に任命し、城を運営できる体制を構築していく。

 

 兵達は最初期から従っている70名の殆どは足軽組頭以上に昇進させて自衛隊の班長や小隊長と同じ様な指揮系統を確立させていく。

 

 部下の統制改革が済むと人夫を各地から集めて佐治為景様と取り決めたため池の設置に部隊を率いる鍛錬を積ませる為に秀吉と秀長兄弟、目付役として本多正信を付けて行わせ、他の者で大草砦の改築に入る。

 

「本曲輪、二の丸で防御力は十分、あとは水堀を掘って射線が通りやすいように五稜郭を参考にした城造りにするか」

 

 総工費6000貫で俺の貯金の半分が吹き飛ばしながら鉄製の道具を揃え、空堀を掘削したり、土壁を積んだりしていった。

 

 本曲輪には熱田経由で素材を集めてローマコンクリートを使い、基礎を固めその上に館を設置した。

 

 とりあえず突貫工事で基礎さえできれば良い。後々土壁をコンクリート壁に置き換えていったり、備蓄用の蔵を建設したり、山城なので傾斜した箇所を果樹を植えたり椎茸栽培に用いたりすれば良いだろう。

 

 というか大野屋敷から徒歩30分圏内(馬だと10分)だし、改築が全て終わるまでは屋敷で生活すれば良いな……うん。

 

「この様な形の城はなかなか無いですが。大抵は山の形に合わせるか四角形の堀ですがなぜ星型の堀にしたのですか?」

 

 内藤が質問してきたが、鉄砲や弓を最大限使うためだと説明した。

 

「城が出っ張っている星の先端が出島の様になっているだろ? それが独立した砦の様な役割になり、壁に張り付いた兵を効率的に射殺することができる」

 

「なるほど……そして水堀で敵の侵入方向を限定することができるのですね」

 

「あぁそうだ。そして山城で高所の本曲輪からも二の丸を打ち下ろす事ができる。備蓄さえしっかりしていれば500の兵が籠もれば10倍の兵にも対応できるだろう」

 

「なるほど……しかしこの白い人工石は凄いですな」

 

「異国ではコンクリートというらしい。今回は素材があまり用意できなかったが、順次城壁をこれに変えていく。これは石垣よりも安く、しかも鉄砲の射撃に耐え、火矢で燃えることも無いからな」

 

「ずいぶんと堅牢な城ですな」

 

「俺の所が抜かれると熱田に敵が直行できてしまうからな。しかも織田一門の姫を迎えるのだ。堅牢かつ生活しやすい城にしなければ……」

 

「井戸も多いですし、この手押しポンプとやらは便利ですな。鍛冶屋に井戸の数分作らせておりましたが」

 

「ああ、これで水を汲むのが凄い楽になる。山城でも水に不便ということは無いはずだ」

 

「それに本曲輪の中に作った風呂場も凄いですな。組み上げた水を釜で熱し、お湯を浴槽に入れるとは。釜を熱する場所は蒸し風呂になっていますし」

 

「お湯で体を温めるのと蒸し風呂で汗をかくのは効能が違うからな。城で働く者は俺や妻が入る時間以外は入れるようにしておくからな。内藤も自由に入ってくれよ」

 

「おお、それはありがたい」

 

 城の中に銭湯みたいな場所を作り、快適性を上げ、館の床は殆ど畳にしてある。

 

 政務をする場所は出入口近くの二の丸に設置し、利便性を上げた。

 

 わざわざ山登りをしなくて政務場には行けるのだ。

 

 本曲輪に行くには緩やかな坂が待ち構えているが……。

 

 とりあえず突貫工事で砦を年が明ける前にある程度は形にし、小麦姫との婚姻の準備に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 婚姻準備をしていると智、霞、千秋の3人が出産し、3人とも元気な男の子を産んでくれた。

 

 ただ小麦姫を娶った場合3人には申し訳ないが小麦姫の息子が嫡男ということになる。

 

 その事を話すと武家の習いとして仕方がないと諦めてくれたが、一門衆が少ないのでこれからもバンバン産んでいきますとたくましいコメントを頂いた。

 

 名前は多摩、北上、大井と俺の趣味全開の命名で決まった。(軽巡洋艦の名前)

 

 これで2歳の球磨を含めて俺の子供は4人だ。

 

 ちなみに子育ては蜜璃姉さんが子沢山ということもあり手慣れていた。

 

 アニキとまた子供を作っているが、出来た女房であり、奥方を仕切っていた。

 

 ちなみに小麦姫の他に侍女が1人来るらしいが普通5人くらい来るのだが、小麦姫の格が低い為1人なのだとか……小麦姫とも年が近く、織田家で侍女を多く輩出してきた家系で、小麦姫も姉として慕っているらしい。

 

 で、俺の予想だが、この婚姻の時に信秀さんの影武者が場を取り仕切ることで信秀さんが健全な事をアピールするのだろう。

 

 ちなみに信長様は信秀様が亡くなった頃から暴れ始め、うつけ行為がエスカレート、町中練り歩く回数も増え、よく水堀で冬なのに水泳をしたりと正気じゃない行動が増えたと多聞丸から聞いている。

 

 信長様の家は守護の家来の家来……守護代の家老職で、あくまで信秀様の個人的技量で統治をしていたため、それをまだ16歳の信長様が全て取り仕切ることは不可能。

 

 恐らく信秀様もそれを見越して死ぬ前に自身の死を隠すように信長様に言っているのだろう。

 

 信秀様の死を隠すために自身がうつけのフリをすることで注目がされるのであれば時間は稼げる。

 

 人が見ていない場所で勉強を行い、死を隠せなくなったら葬式をするとなれば筋は通る。

 

 しかも家臣の多くは今川が三河に侵攻してきたタイミングだったために出払っているので限られた人物しか知ることがない。

 

 信秀様も影武者をちゃんと用意していたようだし。

 

 また重要な時期にぽっくり逝ってしまった信秀様へのストレスももしかしたらうつけ行為に拍車をかけているのかもしれない。

 

 で、信長様からの手紙で小麦様を娶ることで水野及び三河への睨みを効かせ、三河の信行に信長様的に忠義が怪しいと思った者は配置換えをしようとしているのだろう。

 

 史実の信長様は三河という土地がない状態でこれと同じ行動をして信行に反乱分子を押し付け、親衛隊を中心に尾張諸兵力を平定して、信行をパージしたことで尾張を平定しているし……。

 

 あと信行様が真面目すぎる馬鹿というのも信長様的にこの作戦をしなければいけなくなった原因なのだろう。

 

 三河統治で信行様は重臣達の言いなりになっており、能力的に怪しいので所領である三河の防衛戦にも関わらず兄の信広が大将をやっている。

 

 視点を変えて考えてみると年が若いからではなく、織田家一門衆では信行の能力はヤバいと思われているのだろう。

 

 信長様は信行ならうつけのフリをして暴れても最終的に勝つ算段が見えているとも言う。

 

 その戦略までなんとか証拠を集めて仮説として考えることはできたが、信長様の能力が異次元であることはよくわかったし、そんな考えを持った人じゃないと戦国時代をある程度終わらせるまで持っていくことができないという戦国時代の闇の深さを痛感するのだった。

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