皆の意見や知識で動かせ戦国物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1550年 家操17歳 小麦と婚姻 寺社との契約

 俺と小麦様……いや小麦との婚姻が津島神社で執り行われた。

 

 参列者は愚連隊の皆や一部重臣の方々、俺と繋がりのある商人も参加している。

 

 神主が長ったらしい誓いの言葉に似たものをいい、注がれていた酒を小麦とそれぞれ飲み干す。

 

 婚姻の儀式は半日かけてやるためとにかく色々な作法が必要になる。

 

 信長様も参加しているが、姉の婚姻となるとしっかりとした服装で参加してくれた。

 

 食事や降嫁の儀も執り行われ、改めて織田家に忠義を尽くす約束をし、儀式は滞りなく行われた。

 

 

 

 

 初夜となり、小麦と大草城に移動して、寝室で互いに寝間着になる。

 

「は、恥ずかしいな」

 

「大丈夫、俺が付いてる」

 

 俺がリードしながら行為を開始し、小麦がよがり狂うまで快楽漬けにして、真っ白に液体で化粧させるのであった。

 

 

 

 

 

「小麦です。智、霞、千秋よろしく」

 

「小麦姫、よろしくお願いします」

 

「「よろしくお願いします」」

 

 嫁達はまだぎこちないが時間が解決してくれるだろう。

 

 それよりも城の中を探索したいと言われて、俺が小麦を案内する。

 

 まず本丸で目立つ場所と言えばお風呂場だろう。

 

 蒸し風呂と五右衛門風呂、そして屋根付きの露天風呂が置かれ、家臣達が気持ちよさそうに入浴していた。

 

「こ、これは家操様に小麦様!? お見苦しい物を」

 

「いや、俺達が時間外に来たんだから君達は悪くない。小麦、ああいう風に入ると汚れや疲れが取れていくんだ。で、体を洗うときには当家が作っている石鹸を使えば汚れはみるみる落ちるんだ」

 

「なるほど! 確かに家臣の皆さんも気持ちよさそうね! 私も後で入りたいわ!」

 

「夜に俺達家族が入る時間があるからその時に入ろう。それ以外の時間は家臣達が入っているからな」

 

「へぇ~」

 

 他には氷室となっている穴蔵を見せたり、馬小屋を見せた。

 

「氷室にすることで中の食材を長く保存することができる。一応冬に氷を作れば夏の終わり頃まで氷が持つ予定だ」

 

「へぇ~、氷を作れる場所なんだ」

 

「夏場にその氷を使って冷たい味噌汁……冷や汁とかも美味いぞ」

 

「なるほどねぇ」

 

 二の丸に移動すると現在建造されている鉄砲鍛冶屋予定地を確認した。

 

「風車を使うことで鞴を動かし風を送り続けるんだ。海が近いから強い風が吹き込んでくるからな」

 

「これが風車って言うんだ……大きいね」

 

「この施設を使えば鉄砲を沢山作ることができるからね」

 

「へぇ~」

 

 そんな感じで城の中を見て回り、小麦に

 

「侍女と護衛の兵を連れてなら領内は自由に移動して良いから。流石に熱田とかに行かれると困るけど」

 

「ええ? 城の外に出て良いの?」

 

「城の中にずっといるのは詰まらないだろ? 那古野の城にしか居られなかった時も不便だろうなぁて思ってたし……うちの妻達も町に普通に買い物に行くからな」

 

「少し変わってるね。でも嬉しい!」

 

「大野には市場もあるから楽しいと思うぞ。港から取れたての魚を焼いて食べることもできるし」

 

「たこ焼きとかもあるの?」

 

「あるぞ。うちの者が市場で作っているからな」

 

「やった! やった! 絶対に食べる!」

 

 こうして小麦も徐々に馴染んでいくのだった。

 

 

 

 

 

「殿、本当にこれで椎茸の栽培ができるんですか?」

 

「できるはずだよ……何数正は疑っているのかい?」

 

「いえ……少々疑問でして」

 

「まぁ木を切り倒してそこにキノコの素を入れただけだもんね。そりゃ疑問に思って普通だし」

 

「いや、キノコの素が野菜と同じように育つというのはわかるのですが、なぜ新参の俺に椎茸栽培などという重大な事を任せていただけるのかと」

 

 目の前で話しているのは石川数正で、三河武士の中では文官としての能力が高く、家康から重宝されていたが、三河武士の生き方に辟易し、秀吉のヘッドハンティングで引き抜かれ豊臣政権を支えた史実を持つ人物だ。

 

 本多正信の知り合いで三河で困窮していると聞いて俺はスカウトしてきた。

 

 文官のイメージが強かったが、文武両道で雇ってすぐに行った製塩所の増築工事の普請を成功させて俺の信頼を勝ち取り、今回椎茸栽培を伊達のアニキと一緒にやってもらうことになった。

 

「数正、大丈夫だ。俺もやったことがあるから」

 

「なら安心ですな……え? 伊達様はやったことがお有りで?」

 

「数正、いちいち家操の事で驚いていたら気が狂うぞ」

 

「僕達も頑張るよ!」

 

 ちなみに伊達アニキの息子の大和と武蔵、長門もこの椎茸栽培の普請をやらせることになっていた。

 

 まぁまず失敗することは無いし、内葉家の大きな収入源に関与したとなれば一門衆かつ農民出身で能力を疑う者を黙らせることができるし。

 

 ちなみに大和は武芸として鉄砲と弓を好み、武蔵は槍、長門も鉄砲が得意であった。

 

「切り倒した丸太を雇った人夫に指示を出して組んでいくぞ」

 

「「「おぉ!」」」

 

 子供達にそう指示を出し、数正の問いには

 

「数正の能力は疑ってないからな。奉行衆筆頭候補として期待しているし椎茸栽培は箔を付けるのにもってこいだからな。早く偉くなってくれ」

 

 そう発破かけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日、熱田の五位様の屋敷に来ていた。

 

「ほう、これが硝子の器か家操がやはり絡んでいたか。商人達がよく売り込みに来るのだが、私もそう余裕があるわけでは無いからな」

 

「もう少し寄進を増やしましょうか? 椎茸がまた採れるようになりますので」

 

「ほほ! 干し椎茸は美味いからな。もし採れるのなら少し分けてくれると嬉しいぞ……で、今日は世間話をしたいが為に来たわけではなかろう?」

 

「はい、三河の寺社と繋がりが欲しく、仲介を頼みたく」

 

「三河の寺社か……確かに私は繋がりがあるが何故に寺社と繋がりが欲しいのだ?」

 

 理由としては織田家統治のためである。

 

 松平氏が事実上滅亡した為守護使不入の権という税金を支払わなくてよかったり、罪を犯した人が寺社の領地に入った際に領主は追うことが許されないという徴税権と検察権に対する特権を三河の寺社は持っていたのだが、織田信行は家臣に諭され、(家臣達が税を多く取りたいから)松平氏が持っていた守護使不入の権を破棄してしまい、寺社から織田家への不満が一気に危険水域に到達していた。

 

 爆発していないのは織田家が今川を撃退できるほど強いからであり、信秀が死んだことが広まれば一気に三河にて松平や奥三河御三家の旧臣と結びついて国一揆が発生する可能性が高い。

 

 そうなれば一揆衆が今川と結びつけば織田家の三河利権を全て失い兼ねないのでガス抜きが必要と俺は考えていた。

 

 そこで寺社が小規模で行っている綿花栽培を大規模にしてもらい、綿花を大量に買うことで収入を増やして寺社の不満を少しでも晴らせるのではないかと考えた。

 

「うむ、良い考えだと思うぞ。寺社も檀家からの寄進だけでは少々心許ないからな。儂の紹介状でそれが成せるなら喜んで協力しよう」

 

「ありがとうございます」

 

 五位様から紹介状を頂き、三河へ移動して本證寺、上宮寺、勝鬘寺等の大きな寺にこの話を持ちかける。

 

 寺社としても250貫近くの利益が出ると話し、米を作るよりも金になると説明する。

 

 すると喜んで契約しようという話になり、血印状まで押して契約を結んだ。

 

 俺は綿花のよく育つ方法を書いた農書も贈ると寺の方々は喜んでいた。

 

 これで多少はガス抜きになると思ったが、一部の寺は得られた金で武器を購入していると多聞丸から報告され、慌てて信長様にこの事を報告した。

 

「鶴でも寺社の欲深さは制御できんか」

 

「すみません」

 

「いや、早めにわかっただけ良い。後からお前と寺社の繋がりが露見したらお前を斬らなければならなかったからな。ただ寺社から得た利益は織田家に納めろ。織田軍の強化に使う」

 

「わかりました。毎年寺社から得られる予定だった1000貫を織田家に納めます」

 

「……相変わらず鶴の金稼ぎの才覚は凄いな。そうポンポンと1000貫(現代価格で1億2000万)を稼ぎ出すとかな」

 

「いや、今回はそれが裏目に出ました。爆発したら織田家にも大きな打撃が……」

 

「まぁ三河に詰めている者は柴田勝家等を除けば替えは効く。信行には悪いが、余は親父殿から尾張を引き継げるように動くのみだからな。親父殿に何かあり、引き継ぎに失敗した場合鶴、お前には沢山働いてもらうからな」

 

「はい、信長様の味方となる者を増やすように動きます」

 

「いや、それは余がする。お前はとにかく熱田、津島との繋がりを深めておけ。その2つが離反したら織田家は終わるからな」

 

「逆にその2箇所が信長様に付けば」

 

「ああ、尾張はなんとかなる」

 

 信長様は自信満々にそう言い切るのだった。

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