皆の意見や知識で動かせ戦国物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1541年 佐助8歳 椎茸

「うーむ」

 

 俺はホームセンターの中でてんさいという砂糖大根の種の説明を読み、栽培できるか悩んでいた。

 

「砂糖を作ることができれば金にはなるが、どうやって作ったか等が問題になるんだよなぁ」

 

 砂糖は基本貿易品であり、蜂蜜よりも高値で取引される超高級品。

 

 それをいきなり市場に流した場合、俺の社会的地位的に碌な未来が思いつかない。

 

「今砂糖大根の栽培は無理だな。できるとしても信長様と繋がりができてからになるな」

 

 そう思い諦めた。

 

 じゃあどうやって信長様と繋がりを得るかだが、地道に手順を踏むしか無いだろうか? 

 

「うーん、あ、園城寺和尚の伝手で武家の小者として雇って貰うか……うーんあんまり出世できる未来は見えないけど一応話だけしておくか」

 

「あとは……智への結納品をどうするかだな」

 

 この時代の結納品は智のご両親、なかさんと竹阿弥さんに嫁さんを貰いますよという意味で何かを贈るという行為でもある。

 

 勿論智の親御さんからも返礼品として何かを貰うが、大抵は鉄製の農具をいくらか渡して、返礼品として銭束やタンス、調理道具を貰うのが一般的だ。

 

「まぁ農具に関してはホームセンターにある鍬と鎌、鉈を贈れば良いとして、智にも何か結婚指輪的なのを与えたいよなぁ」

 

 となると簪とかの髪飾りになるのか? 

 

「綺麗な着物とかも有りか。まぁそれは椎茸の出来次第だな」

 

 智との結婚は俺と智が10歳になってからなのでそれまでに準備すれば良いだろう。

 

「あとは……海行ってみたいけど貝殻拾うだけでも漁村の人と殺し合いになるらしいから塩作りとかも権力持たないとできないしなぁ」

 

 海は利権争いが激しく、余所者に対して過剰に攻撃する場合がある。

 

 まぁ戦国時代の普通の村でも見知らぬ人がうろうろしていたら殺される時代なので浜辺で物を取ろうものなら殺されてしまうだろう。

 

「大黒兄さんを頼るしかねーよなぁ」

 

 海産物が欲しければ津島か熱田の商人に頼るしか無い。

 

 熱田が海に面している都市なので海産物の入手は熱田の方が良いだろう。

 

「そんなもんか……とりあえず今できることは椎茸がよく育ってくれるのを祈って、和尚に今後の相談をするくらいか」

 

 俺はホームセンターから出て家に帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに、佐助は武士になりたいのか」

 

「はい、和尚のお力添えをお願いしたく」

 

「うむむ、佐助には世話になったからのぉ。村人からの評価も高い……そうじゃ、儂の知り合いで、京に居た時に良くしてもらった高貴なお方がおって、その方が尾張に下野しているそうじゃ。熱田神社近くに住んでおるから一度挨拶をしてみるか?」

 

「是非お願いします」

 

「そうか、なら礼儀作法をより学ばなければならんな」

 

 和尚から礼儀作法の授業をみっちり受けることになるのだった。

 

【礼儀作法が上がった】

 

 

 

 

 

 

 

 秋になり、椎茸は無事大量に収穫することができた。

 

 村人達は椎茸を知らないのでただの茸としか見られてないが、熱田や津島に持っていけば莫大な金になる換金作物である。

 

 高貴な人しか食べる事を許されず、殆どが明への輸出品になっているが、高僧や一部商人達は大金を叩いてでも食べたい憧れの食材である。

 

 価格は椎茸15貫(約56キロ)で立派な城1つ建てられるくらいである。

 

 間違いなく蜂蜜よりも高い値段で売買される。

 

 まぁここから乾燥しなければならないが……。

 

 とりあえず椎茸を根こそぎ取っていき、霧吹きで取ったほだ木に水を吹きかけておく。

 

「来年も頼むぜ〜」

 

 一度生えたら5年は継続して取れるらしい。

 

 一部は椎茸の菌を採集してまだホームセンターに菌床はあるが、栽培を拡大した時用に菌床を増やしておくのであった。

 

「親父、茸採ってきたから軒下で干させて」

 

「おうって随分と採ってきたな。これは家で食うやつか?」

 

「いや、売った方が高いぞ。汁物に入れて煮込むと良い出汁が出るらしいぞ」

 

「ほう、これだけあるなら少し食ってみてぇな」

 

「少しだけな」

 

 俺は親父に大きな椎茸を幾つか渡して、10籠分の椎茸を干していくのであった。

 

 夜にアニキ達夫婦も合流して椎茸の味噌汁を飲むが

 

「確かに普通の味噌汁よりも味が深いな」

 

「これなんて茸なんだ?」

 

「椎茸だな」

 

「椎茸? 聞いたこと無いな」

 

「そんないっぱい生えているものなの?」

 

「いや蜜璃姉さん、これ俺が育てたやつ」

 

「ほへぇ、茸育てたんか!」

 

「畑の面積少ないからな。茸育てた方が金になるし」

 

「まぁこれだけ採れれば確かに金にはなるか」

 

 ズルズルと味噌汁を飲み干し、飯をかきこんで眠るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 干し椎茸を作っている間に薩摩芋の収穫をしたり、村全体で収穫の手伝いをしたりとこの時期は米の収穫もあって忙しい。

 

 それに年貢の徴収もあるので村全体もピリピリしている。

 

「今年の収穫は例年並みだな」

 

「不作じゃないだけマシだ」

 

「蜂蜜の利益があるから今年も新しい農具が買えるだ」

 

「酒でも買うか? 園城寺和尚の所の酒と交換で」

 

 等と村人達も話している。

 

 すると伏龍丸がやって来て

 

「いやぁ佐助に算術習っていて親父にめちゃくちゃ褒められたわ。税を納めるのに計算で大活躍して助かったわ」

 

「そりゃ良かった。次は買付に来る商人への対応になると思うぞ」

 

「うへぇ、また計算しなきゃいけねぇのかよ……日吉丸引っ張ろうかな」

 

「日吉丸も伏龍丸と一緒に働けるなら喜ぶと思うぞ」

 

「いや、日吉丸は佐助にべったりだろう」

 

「俺も俺で商人に自分の畑で作った物を売ったり、将来の独立に向けて動かねぇといけなくてな」

 

「だよな〜。虎徹と幸之助でも誘うか。アイツらなら手伝ってくれるだろう」

 

 そんな会話をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 アニキがまた蜜璃の姉さんのお腹を膨らませていた頃、俺は8籠分の椎茸を売るために大黒の兄さんを訪ねた。

 

「確かにこれは椎茸だな。これを本当に8籠もか!?」

 

「ああ、2籠分は渡す人が居るから無理だけど兄さんなら適正価格で買ってくれるだろうと思ってな」

 

「いやいやいや、俺でも蜂蜜ならまだしも椎茸は無理だ。親父と義父になる人に相談させてくれ」

 

「義父? 大黒兄さん結婚するの?」

 

「あぁ薬屋の娘さんで俺が店を持てたら結婚することを許されている豊って子だ。ちょっと背がデカいから醜女扱いだが器量良し、胸もデカくて髪も綺麗な人なんだよな」

 

「へぇ〜、あ、俺も村の子で智っていう婚約者ができました」

 

「智……あぁ、木下さんのか。そりゃ目出度いな! でも俺もこの椎茸を捌ければ店を持つこともできるだろうな! 佐助ぇ! お前さんは俺の光だ! やっぱり何が縁となるか分からねぇな! これだから商いは辞められねぇぜ!」

 

 大黒兄さんは直ぐに兄さんの父さんと薬屋のオヤジを呼び出し、どれぐらいで買い取るか算段をつける。

 

「蜂蜜が1斤10貫だったから椎茸も重さで計算してほしいんだが」

 

「個数じゃなくて良いのか? 坊主」

 

「個数だと大きい小さいでバラが出る。重さの方がそっちも売りやすいでしょう」

 

「となると1斤30貫でどうだ?」

 

「いや、大黒の兄さんのご祝儀も兼ねて1斤25貫で良いです」

 

「決まりだな。うちから運ぶ人員は出す。ちなみに来年もこれぐらい穫れるのか?」

 

「正直わかりません。今回はたまたま群生地を見つけられたので、来年も生えるかは」

 

「いや、それでもこの量ならば大金になる柳(大黒の兄さんの下の名前)、この坊主との縁は大切にしろよ」

 

「勿論だ! 全力で佐助の事は助ける」

 

 というわけで1升25貫、俵にしておいたので2俵分の約60キロ……2500貫にもなった。

 

「佐助! 何か困ったら俺に言え、必ず助けてやる」

 

「ありがとう大黒兄さん。とりあえずこんなに金持ってたら危ないから10貫残して他は兄さんに預けたいんだけど」

 

「ああ、任せろ。今勘合札を用意する」

 

 大黒兄さんに俺は2490貫預け、残り10貫で塩や大豆を幾らか買って家に売れたから5貫納めるのだった。

 

「伊達アニキ、味噌や塩買ってきたし、5貫家に納めるから蜜璃姉さんに良いもん買ってやってくれよ」

 

「おお、流石佐助だ! 本当に助かる」

 

【津島商人の評価がググンと上がった 熱田商人の評価がググンと上がった 大黒屋の評価はカンストだ 大金を手に入れた】

 

 

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