皆の意見や知識で動かせ戦国物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1567年 家操34歳 摂津、丹波、丹後平定

「鶴、良くやった」

 

「は!」

 

 安土城に入城した信長様にルイス・フロイスと話して奴隷貿易をしていることについて話す。

 

「九州では日ノ本の人が火薬の対価として外国に売り飛ばされているようです」

 

「ふむ……結局キリスト教も根腐れ坊主と変わらんか」

 

「個々人では良い人もおりますが、それはどこの宗教でも変わらないでしょう」

 

「今は本願寺と戦っているためキリスト教は許しているが、時期を見て締め出す必要があるか」

 

「まぁ宗教は豊かになれば危険性は薄れますので、国家転覆を狙う人々が出ない程度に締め付ければ良いかと……場合によっては追法令かカトリックではなくプロテスタント諸国や宗教の布教をしない商人に限る等の制限と宣教師の追法令をする必要があるかと」

 

「うむ……ただ目下の問題は中国地方への遠征だ。武器弾薬はどうなっている」

 

「1年半近く津田軍を休めましたのである程度は補充できています。ただ一向一揆との戦闘でどこの軍も火薬を大量に使っていますので火薬は生産能力を超えて消費を繰り返しています。摂津の反乱鎮圧ができ次第佐久間殿の救援もしなければなりませんし」

 

「佐久間の阿呆は何故に強行に出たのか……余の怒りを買うと恐れるなら始めからしっかり働いていれば良いものを……昼間から酒ばかり飲むから頭が回らんのだ」

 

 佐久間信盛殿は酒飲みとしてもし知られており、家内の評定の席でも酒をよく飲んでいて、それに対して信長様は注意したらしいが改善するふりをして飲酒を繰り返していたらしい。

 

 更に銭を蓄財するのは良いが、家臣の給料を削ったり、訓練に使う火薬の費用をケチって貯蓄しているのも信長様の怒りを溜める原因になっていた。

 

 一応今の筆頭家老は佐久間信盛殿ということになっていたが、柴田勝家殿の方が信長様の中で評価が高い。

 

 せっかく抜擢した中国征伐軍でもこの有様である。

 

「中国征伐は余自らが指揮を執る。鶴は副将として支えよ」

 

「は!」

 

「まずは先行し、摂津鎮圧だ。荒木(荒木村重)と中川(中川清秀)は使える。今回は許すと伝えろ」

 

「は!」

 

 俺は直ぐに軍を浜松から呼び寄せると再編して摂津攻めに取り掛かる。

 

 秀吉の軍も空いているので呼び寄せたりもした。

 

「家操アニキ、今回も大戦だぎゃ」

 

「秀吉、方言が出ているぞ」

 

「おっと……」

 

「摂津はなるべく調略で落としたい。最初の1つ、2つ砦を派手に落としてあとは織田家に再度服従するなら許す感じでいこうと思うが」

 

「良いと思う。調略はオラに任せてくれ!」

 

「秀吉なら大丈夫だろう。頼むぞ」

 

「ああ!」

 

 こうして摂津攻めに取りかかったが、砦を1つ落としたら荒木と中川は速攻下座ってきた。

 

「すみません、池田(主の家 ちなみに今内乱中)を止めきれずに」

 

「許してください〜!」

 

「大丈夫ですよ。荒木殿と中川殿は信長様からも使えると判断されているので許すそうです……池田家は諦めてください」

 

「時勢が読めない主はいりません!」

 

「そうそう!」

 

「調子良いなお前ら……とりあえず摂津国落とすから手伝ってくれや」

 

「「へい!」」

 

 実際有能な2人と秀吉の話術であっという間に摂津は池田家の拠点を残して降伏し、池田家の城も一族で連携できてないので普通に内通者が出て大砲を使わないで陥落した。

 

 摂津池田一族は追放となり、摂津から追い出された。

 

 

 

 

 

 

「信長様機嫌悪いなぁ」

 

 そりゃせっかく出来た新居(安土城)があるのに部下のやらかしで遠征しなければならなくなったので機嫌は悪くなるか……。

 

 今の所戦局は優勢である。

 

 加賀と長島を潰したおかげで来年からは更に西に攻勢をすることができる。

 

 上杉家と北条家が早期に織田政権に服従したおかけで東の守りが盤石なのも大きい。

 

 上杉家はそのため越中の領有を、北条はたぶん減らされるとしても三国ではなく四国の領有が許されるだろうな。

 

 そんなことを考えながらも俺は救出された佐久間信盛殿が軍団長を解任及び領内で蟄居処分を言い渡されたことで佐久間殿のこれ以上の出世の芽は無いだろうと確信。

 

 これで息子が有能ならまだ良かったが、傲慢かつ守銭奴のため、織田家中では嫌われ者であった。

 

 その長男も蟄居処分を言われていたので場合によっては改易もあり得るなぁと思うのだった。

 

 となると空く三河は信長様の弟の織田信治様が拝領することになるだろう。

 

 出身地の尾張周辺は譜代か一族で固めたいだろうし……。

 

 尾張と三河に勢力を持っている水野殿も織田家が膨張して家臣となり、若狭転付が決まっていたのでその土地も織田家が接収だろう。

 

 となると常滑辺りも信長様に接収される可能性が高いな。

 

 伊達のアニキも上洛戦で活躍していたし、加増転付されるかもしれないな。

 

(アニキは加増されたら無難にやることはやれるし、学校上がりの優秀な文官も多いからよほど治安が死んでる領地以外なら利益は出せるだろうけど革新性が無いからなぁ……椎茸栽培は出来るかもしれないけど真珠養殖での利益が出なくなる分厳しいか……なるべく俺が関東に移住する時に併せて転付になるように調整しないとかな)

 

 

 

 

 

 

 丹波と丹後制圧は予想以上に難航した。

 

 というのもやはり大砲の集中運用するのに弾薬の供給が追いついておらず、従来の城攻めや兵糧攻めを用いてじわじわ削っていくことになり、近江制圧が約6週間で終わったのに対して、丹波制圧だけでも半年の時間を有した。

 

 信長様自らの指揮を執っての遠征でも時間がかかるのだ。

 

 まぁ佐久間殿と違い、無理をさせていないし、十分な兵糧の運搬はできているのでじわじわではあるが押し上げる事は出来ていた。

 

 俺も領内に火薬生産量を上げる増産命令を出したが、効果が出るのには2年かかる。

 

 それまでは手持ちでやりくりするしか無いのだろう。

 

「鶴、一気に盤面を覆す策は無いか」

 

「あまりに軍量が大きくなりすぎていますのでここは2つに軍を分け、山陰と山陽の2つの街道で進出するのが良いかと。あとは尼子の残党を使うことで毛利に対して嫌がらせが出来るかと」

 

「尼子か……山中幸盛という者が尼子再興に力を貸して欲しいと言っていたな」

 

「あとは明との交渉をしてみてはいかがでしょうか……今の明との交易は密貿易が主体です。それをこちらが正式な勘合貿易の権利を勝ち取れば相手の収入に打撃を入れられるかと」

 

「ふむ……しかし明と交易をするとなると朝貢関係にならなければならないのではないか?」

 

「そこは家臣を挟めば大丈夫です。家臣の誰かに昔の大内氏の様に明と朝貢をしていますが、それはあくまで家臣と結んだ事で、その主とは朝貢関係を結んでいないとか屁理屈付ければ良いでしょう。もしくは明に日本国王を信長様が認めてもらうことで朝廷をその上に置けば日ノ本の権威を守ることにも繋がりますし」

 

「ふむ……なら鶴、お前がやれ」

 

「私ですか? 林殿や村井殿ではなく?」

 

「奴らは朝廷と折り合いを付けるために奔走している、奴らを動かすことはできんし、商いなら鶴の方が余の考えを汲み取ってくれるであろう。場合によっては明に向かうかもしれないのに織田家一門のお主の方が交渉も進むであろう」

 

「軍の指揮は」

 

「いい加減息子達にやらせろ。お前の息子達も良い年だろう」

 

「分かりました。直ぐに堺に行き、明との交渉出来る者を探し、貿易関係を見直ししてまいります」

 

「うむ」

 

 

 

 

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