東方庇護録   作:まほろばのーぶる

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第1話:まどろみ少女は森の中


Sleeping girl's perspective

 

 

『夢から覚める方法は2つ』

 

 

『ひとつは郷愁――』

 

『もうひとつは忘却――』

 

 可愛らしい女の子の声。

 淡々としているのに、どこか切なげな響き。

 

『この2つの夢の出口は表裏一体。容易にどちらにも転がり得るひどく曖昧な選択』

 

 話の内容は奇天烈で理解し難いけれど、何故だか頭にこびりついて離れない、そんなお話。

 

『出口の選択を後悔してはいけない』

 

『通った出口の扉はもう反対側へは開かないから』

 

 最後には警告とも取れる、これまたちょっぴり怖い表現でお話が締め括られる。

 

 ……。

 

 ……なんじゃそりゃ。

 

 

 ちょうどよく、今まさに知りたい【夢から目覚める方法】についての記憶を朧げに思い出せたのに……。

 こういう時に限って、そんな記憶はぼんやりとしか思い出せない。

 思い出せた内容だけではちんぷんかんぷんな妄言ばかりで現状打破には意味のない知識だ。

 

 声の主は誰だったんだろう?

 私はいつこの話を聞いたんだろう?

 

 そもそもこんなお話に身に覚えもなければ話し相手すら思い出せない。

 

 記憶を手繰り寄せようとすればするほど、掴めそうで掴めない。

 まるで霧の中を手探りするように、触れた瞬間にすり抜けていく不思議な感覚。

 

 大事な何かを忘れているような、喉まで出かかっているのに言葉にならないような——そんなもどかしさだけが、胸の奥でくすぶり続ける。

 

 ……。

 

 …………。

 

 ……まぁ、無理もないか。

 

 思い出せない記憶のもどかしさに被りを振った私の胸に、諦観にも似た納得が静かに降りてくる。

 

 だって私は()()()()()()()()()のだから。

 

 誇張でも何でもなく、私は生まれてこのかた、一度も夢を見た事がない。

 

 眠りに落ちる瞬間——意識がふわりと遠のいて、身体が重力から解放されるような浮遊感。

 そこから先、記憶はいつもぷつりと途切れる。

 

 次に気づくときには朝で、何時間も経っているはずなのに、まるで一瞬だったかのように感じる。

 夢も、悪夢も——何もない。

 ただの、空白の時間。

 

 夢を見るってどんな感覚なんだろう——想像してみても、結局それは想像でしかなくて。

 

 まるで生まれつき目が見えない人に「赤ってどんな色?」と聞かれているような、答えようのない自問だった。

 

 だから【夢から目覚める方法】だなんてそんな話、聞いても真剣に覚えておこうなんて、きっと思わなかったんだろう。

 

 だって【夢から目覚める方法】なんて、夢を見る事がない私にとっては【魔法で空を飛ぶ方法】と同じくらい現実味のない知識だったんだから。

 

 『――そうそう、それでね。昨日はこんな夢を見たのよ』

 

 みんなが当たり前のように語る夢のお話は、()()()()()()私にとっては異世界ファンタジー小説の読了後の感想会みたいなものだった。

 

 『――ってまた夢の話なのぉ?』

 

 だから私にとって【夢】とは、摩訶不思議なおとぎ話と同じ――現実離れした幻想という認識だった。

 

 『――だって、今日は夢の話をする為に貴方()()を呼んだのよ』

 

 ……。

 

 ――【夢から目覚める方法】を思い出そうとしたら、夢にまつわる思い出が次々と湧いてきた。

 

 絶賛現実逃避中の私は、せっかくだしと、とりあえず無意識の追憶の流れに身を任せることにした。

 


Dozing girl's perspective

 

『だって、今日は夢の話をする為に貴方()()を呼んだのよ』

 

『――他人の夢の話ほど、話されて迷惑な物はないわよ?』

 

 【夢】を知らなかった私が【夢】という概念を初めて強く意識したのは――確か、不思議な夢を見たという友人の体験談を、もう一人の友人と一緒に聞いた時だった。

 

 いつも仲睦まじい友人の美少女二人の、イチャイチャとしたやり取りに微笑ましさと尊さを感じてニヤニヤしながら聞いていた、友人の不思議な夢のお話。

 

 『幻想的な世界で子供達と一緒に遊んでいて、子供達はみんな笑って楽しそうに――』

 

 『深い緑の森の中、白く輝く湖、そして真っ赤なお屋敷――』

 

 『お屋敷のお手伝いさんがやってきて、木漏れ日の中しばらくティータイムを楽しんで、帰るときにはクッキーをもらって――』

 

 『陽も落ちた夜の竹林で迷子になって、背後から聞こえた不気味な笑い声から必死に走って逃げて――』

 

 『走っているうちに空を飛んでいて、全身が火に包まれた女の子が現れて――』

 

 そんな友人の不思議な夢のお話は、夢を見たことがない私にはとても新鮮なお話で、そんな摩訶不思議な夢を体験できた友人が少しばかり羨ましく思った。

 

 私も、そんなファンタジーでメルヘンチックな夢を体験してみたいなぁ……とか、あまり深く考えずに願っていた。

 

 ……。

 

 ……でも、結局今みたいに――。

 

 ……実際に摩訶不思議な【夢】を体験してしまうと――。

 

 

 夢なんて、実際はそんなにメルヘンチックなおとぎ話のようなものじゃない。

 

 

 ひたすらに不安で胸が締め付けられる――生々しくて、逃げ場のない恐ろしいものだって気付かされるわけだ。

 

 

 …………。

 

 

 ……さて。

 

 

 夢から目覚める方法が思い出せなかったのなら、現実逃避はおしまい。

 

 重たい瞼を一生懸命に持ち上げて、待望だったはずの摩訶不思議な夢の続きを体験してみることにしようじゃないか。

 

 


Somnolent girl's perspective

 

――。

 

――――。

 

 

 ザワザワ ザワザワ

 

 

 風で木の葉が揺らめく小気味いい音が四方八方から聞こえてくる。

 

 私はそんな音につられて改めて周囲を見回してみる。

 

 目の前に広がっているのは、現実とは思えないほど幻想的な光景だ。

 

 私の周りには見上げるほど高い巨木が立ち並び、その枝葉が天蓋のように空を覆い尽くしている。

 時刻は空の色からして真夜中だろうか。月の光はほとんど地面まで届かず、森は夜闇に包まれている。

 月明かりの代わりに森のあちこちで花々が咲き乱れ、花弁が淡い不思議な光を放ち、まるで夜空の星が地上に降りてきたかのように暗い森を照らしている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 まるで世界に自分だけが取り残されたかのように感じる孤独な森の中。

 

 風が唸る音とともにブワリと肌を撫でていく。

 

 ……とても生々しくてリアルな感覚だ。

 

ザワザワ ザワザワ

 

 引きこもりインドア派だった私にはひどく馴染みの薄い、アウトドアな自然の音。

 木の葉のさざめき、虫の声、風の音。

 

 そんな大自然のオーケストラ公演のような音を全身で浴びながら、自然の壮大さに感動する……こともできず。

 

 私の胸中にあるのはたった1つ心情……。

 

 

 困惑

 

 

 見渡す限り見ず知らずのまったく知らない光景。

 

 ひとりぼっち知らない世界に突然放り込まれたかのような凄まじい孤独感。

 訳もわからず必死にもがいているかのような気持ち悪い焦燥感。

 

 それらが生み出す爆発的な恐怖がじわじわと実感してきたかのように足に感じる重力がどんどん強くなる。

 

 困惑による恐怖への麻痺が解かれ始めたのか、途端に込み上げてくる凄まじい悪寒と吐き気。

 

 震える手を口に当てて、もう一度目を閉じて心を落ち着かせようと努力する。

 

 いっそのこと、このまま目を閉じて現実逃避でもしていれば、ひたすらに怖い生々しいリアルな夢から目覚められるんじゃないかなぁ……と、ひどく他人事のような考えがずっと頭をよぎっていく。

 

「……はぁ」

 

 目を閉じると見知った暗闇が垣間見えて少し落ち着く事ができた。

 ……でも、ただ目を閉じてため息をついていても瞼の外側の状況は変わらない。

 

 このままさっきみたいに現状から目を逸らし続け自分の世界に引きこもっても、意味不明な現状を理解することはきっとできないだろう。

 

 私の中の理性と勇気が、目を開けて現実を見ろ!と必死に警鐘を鳴らしてくれる。

 

 ……これが、友人が体験したような夢の中の状況ならなおさら。

 

 夢に受け身のままでいたら夢から目覚めることもできなくなっちゃうだろうから。

 

 ……そんな訳で、私はまずは現状把握のためにしっかりと目を開けて、もっと詳しく周囲を観察してみることにした。

 

 先程確認した時と変わらず目の前に広がるのは幻想的で現実離れした森の光景。

 

 そんな光景はまるで――。

 

「……異世界みたい」

 

 鈴の音のような可愛らしい声がぽつりと自分の口から溢れる。

 

 ……鈴の音のような可愛らしい声だなんて自分の声を表現しちゃう程に、そんな自分の声にまで凄まじい異物感を感じながらひとまずその違和感は後回しにする。

 

 ある程度周囲を詳しく見回しても、現状把握どころか、頭の中はますます混乱していく。

 

 これが夢なら、現実的すぎる。

 これが現実なら、ありえなさすぎる。

 

 ……とりあえず、お約束のセリフを口に出してみることにした。

 

「……ここは、どこ?」

 

 声に出した瞬間、自分の状況の異常さがより鮮明に実感できた。

 

 まったく見覚えのない、身に覚えのない景色。

 私の日常からすると果てしなく非日常なはずの大自然の森の中。

 何度も見渡して、ここに来るまでの過程を思い出そうとしてみるけれど、どうしても記憶が蘇らない。

 

 ……。

 

 ……それに、何だか。

 

 ……自分自身のことすら、思い出せる記憶が酷く曖昧だ。

 

 私の名前は?

 

 この小さくてぷにぷにした幼い手は私の手なの?

 

 私の口から発せられるこの可愛らしい声は?

 

 10歳くらいの可愛らしい女の子のように見えるこの幼い身体は?

 

 ……。

 

 …………。

 

 ……私は……?

 

 

 何かとても大事なことを忘れているような、今まさに忘れかけている途中かのような気持ち悪い感覚――焦燥感。

 

「……うぅ」

 

 まるで頭の中を誰かにかき混ぜられているかのような、不快な感覚。

 思い出せない記憶と現状との齟齬に、またも吐き気がこみ上げ、今度は我慢できず呻き声が漏れる。

 

 そんな時、ふと視界の端にきらめくような白銀の髪がチラリと映った。

 

 

「……ぅえ?」

 

 ……誰の髪?

 

 そんなの私以外人っ子一人いない森の中なんだから答えは分かり切っている。

 

 でも、だからこそあまりの違和感に驚いてビクッと肩が飛び跳ねてしまう。

 私の動きに従ってサラサラと綺麗に滑らかに靡く白銀の髪。

 

 ……。

 

 恐る恐るその髪を手繰り寄せて、近くでじっと見つめる。

 

 柔らかな白銀の髪色と、まるで霞を梳くような朧げで優しい心地良い手触り……この世のものとは思えないほど、美しく幻想的な銀髪だ。

 木々の隙間からわずかに漏れる月光を受けて淡く輝くその髪は、まるで星屑を集めたかのような神秘的な輝きを放っていて……。

 

「……な、何ですか……これ」

 

 思わず感動と混乱が入り混じった言葉が口からこぼれる。

 

 ひゅるるるる

 

 少し強い風が、私の手元から星屑をさらっていった。

 空に還らず、私の周りを風に吹かれてサラサラとなびくその星屑を見て、ようやくその星屑が自分の髪だと自覚する。

 ……瞬間、さらに困惑が深まる。

 

「……すごく……綺麗……」

 

 自分の髪とは思えないほど美しい銀髪に、熱に浮かされたような声で思わず呟く。

 

 まるで遠い世界のおとぎ話を眺めているかのように、自分の髪をぼんやりと見つめながら――。

 

 またしてもお約束のセリフを口に出してみることにした。

 

「……私は、だれ?」

 

 もちろん、そんな問いに答えてくれる者など今はどこにもいない。

 

 ただ唸る風の音だけが私の問いをかき消すように無常に森に響いていった。

 

 ……。

 

 …………。

 

 


Drowsy girl's perspective

 

 状況を整理してみよう。

 

【目が覚めると、自分のことすらよく覚えていない半分記憶喪失状態で、身に覚えもなく深い森の奥に幼女の姿になってぽつんと一人立っていた】

 

 ……うん。

 結局、どこまでいってもわけがわからない。

 現状を簡単にまとめた文を作ってみても、よくわからない怪文ができちゃうだけだ。

 

 まるで物語の冒頭によくある【突飛な非日常】に放り込まれたみたいな現状に、誰もが知っている不思議の国の少女(アリス)のおとぎ話をふと思い出す。

 

 確か少女(アリス)はしゃべる白ウサギの幻想を追いかけてウサギの穴に飛び込んだんだっけ?

 そうして少女(アリス)は不思議な国に辿り着いてたくさんの冒険の末に…………どうなるんだっけ?

 

 あんまり知らない、というかしっかり読んだこともないおとぎ話だから結末は知らないけれど、不気味な不思議の国から脱出するお話なんだっけ?

 少女(アリス)は無事に不思議の国から脱出できたのだろうか……。

 

 ……それとも。

 

 ……まぁとにかく!

 私は少女(アリス)と違って白ウサギを追いかけた覚えも、不思議の国の入口のウサギの穴に飛び込んだ記憶もない。

 

 あるのは、ぼんやりとした【私】という意識と、幻想的な森を非日常だと感じている自分の感性だけ。

 そして、それを裏付ける【私】の記憶が全くないこと自体が、私の心にじわじわと奇妙な不安を広げていく。

 

 そんなおとぎ話にほんの少し既視感を覚えたせいか、今まで読んだことのある私が知っているたくさんの物語が頭をよぎる。

 

 例えば、孤島で十人が次々と消えていくあの名探偵小説だとか、ネズミや子供をさらう笛吹き男が現れるヨーロッパの昔話だとか。

 

 今の私のように、主人公が突然記憶喪失になる冒頭の作品も数えきれないほどある。

 

 そして、そういった物語では、記憶を失った主人公の正体が、実は【仮想世界の救世主】だったり、地球外生命体で【野菜みたいな名前の戦闘民族の先駆け】だったりと、物語の重要な伏線になっていたりする訳だ。

 

 ……もし物語のお約束通りなら、私にも何か驚きの正体が隠されているのかもしれない。

 

 私が【仮想世界の救世主】だったら、サングラスの人から赤い薬を受け取って夢から目覚める展開になるかもしれない。

 【野菜みたいな名前の戦闘民族の先駆け】なら、「オラ、ワクワクすっぞ!」って気分になれるかもしれない。

 

 ……物語好きな私からすると、ちょっぴり浮かれてしまいそうなシチュエーションだ。

 

 ……。

 

 ……でも、ぼんやりと覚えている限り、私はごく普通の人間として人生を歩んできた記憶が、かすかに、でも確かにある。

 だから残念ながら、私は【仮想世界の救世主】でもなければ、【野菜みたいな名前の戦闘民族の先駆け】でもなさそうだ。

 つまり、物語のお約束的には外れて、私は平凡な出自である可能性が高い。

 ……というか、読者目線で言えば、どうせなら記憶なんて一切残さず、もっと期待させてほしかったところだ。

 

 ……。

 

 …………いや、こんなことを考えている場合じゃない。

 

「……ふぅ」

 

 危ない危ない。

 また思考が暴走して現実逃避してしまうところだった。

 

 そんなこんなで、現状把握どころかさらに混乱してしまった思考と呼吸を落ち着かせるために、とりあえず思い切り息を吸って深呼吸をしてみる。

 

 周囲を吹き抜ける風はとても澄んでいて、私を包む空気も混じり気のない、綺麗なものだ。

 まるで、大気汚染なんて言葉がこの世界に存在しないかのように、感じる空気はとても清らかで――。

 

っぷはあぁぁぁぁっ、うぇっふ!……けほ、けほ!

 

 息を吸い込みすぎて苦しくなり、思わず大きく息を吐き出してしまう。

 勢い余って軽く咳き込んでしまい、涙目になる。

 

 ……まぁ、すでに、自分を取り巻くこの状況に涙目だったんだけれども……。

 

 自分のことも、この森のことも、まるで記憶にない。

 

 かろうじて「人間として生活していた」ような朧げな記憶の断片はあるけれど、肝心の自分の名前すら思い出せない。

 

 それでも、綺麗な銀髪や、鈴のようにコロコロと響く可愛らしい声――自分自身に違和感がある。

 

 つまり、自分の記憶はないのに、まるで物語のキャラクターに意識だけ乗り移ったかのような気分だ。

 

 背丈や声からして、今の私はどうやら10歳前後の幼い女の子の姿らしい。

 

 ……。

 

 ……それにしても、我ながら声があまりにも可愛すぎる。

 こんな声でお願いされたら、つい何でも叶えてあげたくなっちゃうような、まさに魔性のロリっ子ボイスだ。

 

 ……ごくり。

 

「お、お姉ちゃん♡大好き♡――ぐはっ!?」

 

 あまりにも可愛い声だったからつい魔が刺して可愛らしく声を出してみたが、あまりの可愛いさに胸を押さえて仰け反ってふらついてしまう。

 

 か、かわいぃ……。

 私が私じゃなければ抱き締めてなでなでして家に持ち帰ってしまいたいくらいに……。

 

 ……。

 

「い、いや、私はロリっ子をこよなく愛するただの淑女だったはずで……甘やかされる側じゃなくて、甘やかす側のはずなのに……」

 

 混乱しているせいか、訳の分からない独り言が口をついて出る。

 言ってる事はコンプラに抵触しそうな世迷言だが、困惑続きで口を閉じる気力もなく、そのまま無意識に独り言を喋らせておくことしかできない。

 

 ――周りに誰もいない森の中で助かった。

 もし誰かに今の独り言を聞かれていたら、きっと警察に通報されちゃうだろうし……。

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 ………………ん?

 

 ……誰もいない森の中?

 

 

 キ゛ィィィア゛ア゛ァァァァア゛ァ

 

 

「わひゃあぁぁ!?」

 

 突然、森の奥からけたたましい、甲高い鳴き声が響き渡った。

 その迫力は、さながら怖いおとぎ話に出てくる怪物そのものだ。

 

 【少女(アリス)は不思議な国に辿り着いてたくさんの冒険の末に…………どうなるんだっけ?】

 

 フラッシュバックのように少女(アリス)の視点の幻覚が次々と恐怖に支配された私の頭の中に浮かび上がる。

 

「……ひ、ひぅ」

 

 

 【少女(アリス)は不思議の国から永遠に出る事はできませんでしたとさ】

 

 【少女(アリス)は不思議の国の住人に見つかってとって食われてしまいましたとさ】

 

「……ほ、ほんとに、ここ、どこぉ?」

 

 【少女(アリス)は二度と現実には戻る事はできず、不思議な国に閉じ込められてしまいましたとさ】

 

 【少女(アリス)は怪物に見つかり頭からバリボリ食べられちゃいましたとさ】

 

 

 キ゛ィィィア゛ア゛ァァァァア゛ァ

 

 

ひぃ!!

 

 

 私が知らないはずのおとぎ話の結末が次々と恐ろしい幻覚として頭の中を巡っていく。

 

 震える脚を両手で必死に押さえても、震えは止まらない。

 

うぅ……。ひぅ……

 

 私には少女(アリス)のように不思議な国を冒険する勇気も不思議な国を楽しむ胆力も無かったみたいだ。

 

 私はしばらくの間、小さく丸くしゃがみ込んで、得体の知れない恐怖にただ震えるしかなかった。

 





(あまりにも一話ごとの文字数が多すぎて自分でも久しぶりに確認すると呼んでいてしんどいと感じましたので、文脈の校正や整理をしながら一話ごとに5000~7000文字位を目指して編集していきます)

【あとがき】

はじめましての方ははじめまして!
以前から作品を読んでいただいている方はお久しぶりです!

一昨年から作者のトラブルで投稿できず非公開にしていた東方二次創作小説東方庇護録のリメイクを段々とトラブルが解決してきたので今後投稿していくこととなりました。

依然として時間が取れず、更新頻度は少なくなるかもしれませんが、ゆっくり読んでいただけると幸いです。

それと何分おっちょこちょいな性格なもので誤字脱字など多いかもしれませんが、その際は誤字脱字報告をしていただけるとすごくありがたいです!
ここすきや感想などいただけるとすごく嬉しいのでぜひお願いいたします!

改めてよろしくお願いいたします!
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