Re:ゼロから始める異世界UC   作:リクライ

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エルザとの激しい死闘の末、ライトは覚醒し、そして訪れる『ユニコーンの日』


第六話 ユニコーンの日

 

 

「あなた、何者?」

 

 変身を終えたライトにエルザが笑みを深める。

 その刹那。

 ライトがエルザに迫る。

 

「なッ!?」

 

 想定外だったのだろう。今まで賛美はあげるも決して驚きはしなかったエルザが驚愕する。

 ライトの弾丸のような速さに圧倒されつつも、腰からナイフを取り出して頭目掛け一振り。

 

「はんやッ!」

 

 あまりの速さに思わず声が震えてしまった。風圧で目が閉じかけてしまって、なんとか情報を得ようとする。

 だが、行動は終わっていた。

 もうすれ違った後なのだろう。エルザの後ろにライトが光剣を振り下ろし血で床を飾る。時代劇の納刀とも言えるその行動の直後、ククリナイフを握るエルザの右手が落ちた。

 

「クッ」

 

「──ッ」

 

 液体を含むそれが床に落ちた不快な音を合図に、エルザが逃げるように距離を取りながら投げナイフでライトの進路を妨害。

 だがライトは止まることを知らない。ナイフの直撃を待たずして、逆にナイフを迎え入れながら彼女を猛追。

 無駄のない動きで頭、腕、胴の順にそらし、ナイフの間をすり抜けるように執念深く速度を速めた。

 ライトのこの変わりよう、彼の身に一体何が起きたのか。

 すぐに意識を再編成させて、視界の端に黄色が映る。盗品蔵の出口で、地面にへたり込むフェルトがこの死闘を目に映して呆けていた。

 

「早く行けっ!」

 

「……ぁっ、!!」

 

 喉が震えは肺が縮み込む。スバルの叫びが少女の耳を打ち、スイッチが入ったようにフェルトが煙を巻いて走り出した。

 これで助けがくるはずだが、ライトの戦いようではもはやいらないかもしれないと、この場にふさわしくない安堵の表情をスバルは浮かべる。

 その束の間、

 

「俺も早く──ッぶね!」

 

 ライトの弾いた投げナイフがスバルの足元に深々に突き刺さる。よほどの力が加わっていない限りこんな現象は起こり得ない。それほどまでに身体能力が万力にも等しいぐらいに強化されているというのか。

 置いてけぼりにされるスバルだが、二人の戦闘を横目にロム爺を治療している偽サテラに駆け寄った。

 

「ロム爺、生きてたのか」

 

「まだ安心はできない。それにしても、彼おかしいわ」

 

 目の前の少女から、『おかしい』という言葉を聞いてスバルはすぐに思い当たる。

 ライトの、あの変身と機動力に単純な力。おかしいと言えるほどに常軌を逸している。温厚なライトからは戦闘いろはのいの字もなさそうに見えたのだ。

 あの動き。赤い線を空中に残す速度は、先程まで氷の雨を降らせていた一人と一匹へ掻い潜り接近するのにも充分すぎるだろう。

 

「来翔、ここに来てから戦える素振りなんて見せてねぇんだ。なのにあの変わりよう、マジでライトなのか?」

 

 だが、それに渡り合えているエルザもエルザだ。今までの動きとは全く異なり本気のようで、スバルたち相手を基準とするなら二倍、三倍の速さで部屋を跳んでは凶器をぶつけて互いを照らし合っている。

 エルザの表情には余裕こそなにもないが、薄い唇を舌で舐めて、笑みを深めていた。

 

「え、初めてなの? でもすごーく強いのね。じゃなくて! それもそうだけどあの赤い光よ」

 

 スバルの回答は不正解のようで、ロム爺を治療する偽サテラが呟く。

 「え?」と声を上げるスバルを横目に彼女は認められないものを目に入れるように眉を寄せ、

 

「彼の、あの赤い光。あれ全部微精霊なの」

 

「微精霊? じゃあさっき周りから来翔を囲むように集まっていた光の粒も精霊なのか?」

 

 赤い光は単なるバリア。などではなく、微精霊を寄せ集めたできた塊と判明。

 スバルの口から飛び出す疑問に「えぇ」と言を返しながら戦闘を注視する少女に彼は釣られて見る。

 

「微精霊って属性ごとの色が淡く光ってるの。でも彼の纏う微精霊はそれぞれ属性が違うのに、統一して光ってる。まるでそうあることがいつも通りみたいな風に」

 

「この世界の常識、みたいなやつか…でも色が違うのってなんかまずい感じ?」

 

「それは……わからないわ。あんなこと今まで見たことないんだから」

 

「へぇ「それに!」う゛ぇ?!」

 

「そもそも争いを好んでないのっ! 微精霊は。だからおかしい」

 

 今までの常識を覆されたのが気に障ったのか、妙に機嫌が悪い気がする。それでも、ロム爺の切り裂かれた肩を少女は淡く輝く青を手に纏って、懸命に治療を施していた。

 

「言っとくけどその爺さん。お前の徽章盗んだ一味だぜ? いいのかよ?」

 

「だからよ。無事に治ってもらって、その恩を逆手に聞き出すの。これも、私のための行為よ」

 

 一番最初の記憶。こうやって言い訳しないと自分を正当化できない彼女に助けてもらったのだ。相変わらず遠回しな彼女に苦笑いしつつも、スバルは戦況を読む。

 

 エルザとライトが壁を蹴ってはぶつかりを繰り返している。ライトが移動するたびに赤い軌跡が見え、さながら赤い彗星だなと思うスバル。

 相手を絡みとる剣筋と力強くありながらも振りの正確な剣筋。それぞれの攻防にスバルは見惚れていた。故に発見が遅れた。

 

「──は? え、右手、は?」

 

「どうしたの? またなにか……」

 

「あの女の手が治ってんだよ! 切り落としたはずの手ッ」

 

 驚きのあまりスバルは床に落ちている右手とエルザのいつのまにかある右手を右往左往する。

 無意識から逸らしていたためか、ライトの切り落としたはずのエルザの右手が元の場所に存在していたのだ。

 少女も銀髪を波立たせてエルザと床に放置される手を見比べる。理解に追いついたのか、小さく可愛い口をポカンと開いてしまっていた。

 二人の不安とは裏腹に戦う当人は眼中にもないのかチャンバラをして互いに押し合い距離を発生させた。

 その隙だ。投げナイフを使い、それに続くようにエルザが向かう。後ろに回した右手に三本目のククリナイフが引き抜きながら。

 

「来翔! 三本目があるぞ!」

 

 ライトが頭目掛けて矢のように放った投げナイフを切り伏せる。

 

「──シッ」 

 

 エルザが疾風の如く接近し、その胴を真っ二つにする勢いで横薙ぎの斬撃を放つ。

 胴体を切り裂かれ、なき別れになってしまったそれを幻視した。

 

 

 だが、凶刃が切り裂いたのは身体ではなく、

 

 

「ッ!」

 

 人型の赤い光だった。

 

 奇襲を予知し、赤い残像が見える速さで上体を反らしたライトは、流れる動作で勢いのままエルザの顎を粉砕せんとサマーソルトを放つ。

 この動き、並大抵の技ではない。彼女の顔に驚愕が張り付くのだが、跳ねるようにその場から飛び退く。

 

「あら、とても速いのね。ああ、素敵。素敵だわ」

 

 彼の動きはエルザにとっての極上の獲物。またはダンス相手なのだろうか。パックの時以上の驚嘆を震わせている。

 これまでのスバルの経験がライトにより虫の知らせとなるものの、一般人に見抜かれたエルザは横目で視界に入れた。

 

「よくわかったのね」

 

「実体験があったんでな!んでも、言う必要ねえみたいだが」

 

 自慢、エルザはそれを戯言と判断して聞き捨てるが、

 

「ただし、牙はこれだけではないの。仕切り直しに──」

 

「ッ!」

 

 右手を再生させ終えた彼女が、床に刺さるものを拾い上げながら、ライトを誘う。が、攻撃に移っていたライトが言葉を待たずして迫っていく。

 

「ふふ。待てない子は嫌われるわよ?私は好ましいけど」

 

「………………」

 

 軽口をたたくが彼は依然として口を開かない。

 体を横に逸らし、エルザは光剣を避けて一瞬表情が見え隠れする。

 

「また手切り落とされたら諦めてくれんのか?」

 

「そんなつまらないことするわけないでしょ? 極上のステーキを目の前に、飢えた肉食獣が立ち去るとでも思った?」

 

「ですよねぇー。……だぁもう、やっちまえ来翔! 蜘蛛女倒せぇー!」

 

 諦める気もない彼女に笑顔が引き攣ってしまうが、右手でスバルは抑える。がむしゃらに、ただライトに野次を飛ばすもぶつかり合う武器に掻き消されてしまった。

 二人の移動。そして攻撃で部屋がボロボロになっていき、月明かりに照らされる面積が増えていく。それにより戦いがより鮮明になって、印象がわかってきた。

 ライトの握る剣が煌めくたびに戦いは静寂に、されど荒々しく掻き乱す。全身を走る赤い光は脈動してほのかに全身を赤く光らせていた。彼が動くたびに、異空間を駆け巡るように軌跡が淡い光を残していく。

 一進一退の攻防が、眼前で繰り広げられる。スバルは息を呑んで見守るほかない。

 だが、

 

「何やってんだよ……来翔。そんなとこ突っ立ってたら的になるだけだろ」

 

 部屋の中央にライトは突然停止。

 その違和感にスバルは身を乗り出して荒げる声を抑えて、冷や汗をかく。耳に入るのは吸引音。発生源は部屋のど真ん中で止まっているライトからだ。

 緑に輝く宝石の眼を閉じ、深い呼吸音が再度鳴る。体を走る光が強くなって体内を駆け巡る血液のように脈動を繰り返す。

 この暴挙。ライトの行動は下手すれば余裕を醸し出して相手を侮辱する行為に見えるだろう。それが、部屋の中央で佇むライトの視界に入らないよう、重力を無視した機動で縦横無尽に飛び回るエルザにも。

 

「手や腕を落としても私は止まらないわ。牙がなくなれば爪で。爪がなくなれば骨で。骨がなくなれば命で。──それが『腸狩り』のやり方よ」

 

「なんだよその超物騒な異名……。まぁ、経験あるけど……」

 

 いやな記憶を掘り起こしてくれる。幻痛が宿る腹をスバルはさすって憎たらしい黒女を見る。壁を蹴り、天井を蹴り、エルザはその場で全身を発光させる者へと切り掛かる。だが、閉じた目が開き緑に発光。光剣が振り翳されしなる刃と交錯し、激突に火花が咲き誇る。

 エルザは一撃離脱。なら、赤く輝いてもなお幻のような白を身にまとい、変幻自在の戦法を迎え撃つライトは幻影武威を体現していた。

 だが、その均衡も崩れる。

 

「まさか、決め手に欠けるとかか?」

 

 エルザの斬撃を全て捌き切っていたライト。そんな彼が、少しずつだが手数に押されつつある状況にエルザの底知れぬ体力に敵ながら称賛に値すると、スバルは心のどこかで思ってしまう。

 エルザが天井、壁、床。ありとあらゆる面という面を巧みに使って僅かに、僅かにライトを追い詰めている。その証拠に、領域を守っていたライトがステップを使って鈍色の刀身から避け、少し遅れて二撃目を迎撃する。この間にライトに当たった攻撃は何ひとつ存在しないが、攻めの一手から防御に回っていた。

 そしてついに、

 

「はい、掴んだ」

 

「あっ」

 

 驚愕がスバルの口から漏れた。

 一撃をライトが切り落として刀身が転がり落ちる。そうして攻守が入れ替わる。そうスバルは予想していた。だが、彼が切り掛かったところをエルザは彼の背中の上を転がり着地。その手にはライトの右手首を右手で掴み動きを封じ、すでに刈り取るものを上に掲げる。狙いは、ライトの首筋。

 抜刀術の、畳を切るように斜めにずれ落ちていくライトの体。

 そう見ていた。だが違う。

 長い間戦いを見ていたからか目が痛くて瞬きたくなるが、スバルは目を離せずにいた。それが功を制し、神技を見た。

 

「素敵。これで終わって仕舞えばつまらないものね」

 

 甲高い音が鳴り響いて、刀身が交差。

 刹那の時の中、ライトは切り上げたときに右手に握っていた光剣を宙に投げ捨て囮に。落ちてきた武器を左手で逆手に受け取って、首筋を狙う脅威を受けたのだ。

 次の瞬間。ライトの体がうねり、エルザの脇腹に脹脛がめり込ませる蹴りを炸裂。直撃を受けたエルザが木の葉のように吹き飛びつつも、床を転がって受け身をかろうじて取る。

 

「──ッ!」

 

 赤の光が直線を描き床に手をつくエルザに急接近。息を呑む音が聞こえるも彼女は横っ飛びで回避し、バク転。床を蹴って壁と壁を再び行き来する。そして両者が空中でぶつかり武器を打ち鳴らす。

 

 戦いを見守る中、視界の端に映る光が強まったことにスバルは気づき、発生源をたどった。

 青い輝きがロム爺を癒し、左肩の深い傷が消えていく。感嘆するスバルの前で偽サテラが深い息を吐く。傷のあったところを注視するがその痕跡はどこにもない。

 

「なんとか繋ぎ止めたみたい……え、あれ、おい」

 

「ごめんなさい。ちょっと……肩を貸して」

 

 寄りかかっている銀髪の少女を、スバルは慌てながら抱える。華奢な体は熱っぽく、スバルは自分の鼓動が別の原因で高鳴るのを自覚した。たが、そんな感情は彼女の表情を見て吹き飛ぶ。

 浅い呼吸を繰り返し、苦しげな彼女は病人だ。

 

「ど、どうしたんだ一体? 体調でも悪くなって……」

 

「違うの。彼に、マナが……わかるでしょ?」

 

 ──わかんねぇよ。

 

 腕を組んで断言したいところだが、そんな雰囲気ではない。スバルが口を封じたのは肩にかかる重さではなく、この部屋に充満する雰囲気、その根源たる存在だ。

 

 壁の切り傷がそこかしこにリアルタイムで付け加えられていくところは戦闘の激しさを増している証。

 三次元戦闘を繰り広げる双方のうち一人。ライトの赤い線は展開されている他に、体表を縁取るように赤い膜が薄く覆われているようにも見える。そのオーラからはただ一つの意思。エルザとはまた異なる恐ろしい何かが、スバルの産毛を逆立たせる。

 今戦ってくれているライトが、ライトではない別の存在だと感じた。

 

「強いのね、あなた。まるで別人のようだわ」

 

「──ッ!」

 

 二人が壁を足場にし部屋の中央へとぶつかり合う。鍔迫り合い、もう一方でライトの脇腹を切り裂こうとするが、手首を素早くつかまれ投げ飛ばされた。そして片手に握る光剣を腰に溜め、壁から跳躍して投げたスピードを圧倒するかのように彼女を追う。

 エルザも壁に着地。ひざを曲げた勢いのまま、すれ違いざまにナイフを突き動かす。が、受け流され頬に一閃。

 

「こんなに激しいダンス初めて」

 

 エルザがそう言い、その場で立ち止まり迎え撃つ。床に降り立ったライトが弾丸のように彼女目掛けて発射した。大砲のような音が部屋に満ちた。

 

 

 砂煙が舞う。 

 

 

「再生なんて人間業じゃねえだろ。それを相手にできる来翔も言えてるけど」

 

 砂煙が晴れる。

 

 斬り合い、それを受け流したことで二人の周りを火が開花するように煌々と照らされる。

 緊迫した戦いで汗がまぶたに流れ落ちるがそれを拭って彼らを見ていたスバルが思った。

 二人の表情は真逆だ。エルザは口が裂けんばかりの笑顔。それに対しライトの顔は無だ。無表情で機械的。その瞳に感情は乗っていない。

 偽サテラがライトを見て言う。

 

「赤い光が」

 

「え?」

 

「赤い光が弱く、なったような」

 

 それを聞きスバルに最悪の予感がよぎる。あの姿には強くなる代わりに時間制限があるんじゃないかと。だが今はただ、指をくわえて戦いの終わりを待つしかない。

 

「その顔にももう慣れてきたわ、ねっ!」

 

 斬り合いを崩すように、エルザが横薙ぎの蹴りをライトに放つ。それ膝で受け、片足を軸に一回転したライトが、振り向きざまに右手から伸ばす光を振り下ろす。

 エルザは寸でのところで回避。髪が少し焼き切れ、焦げる臭いが舞う。

 

「っチィ」

 

 壁をピンボールの如くライトの周囲を跳びまわるエルザ。

 ライトの目が、自身の手に移る。身体を覆う光がだんだんと小さくなっていく。

 

「──?」

 

「あら、もう終わってしまうの? 楽しい時間はあっという間ね」

 

 エルザがそう言うと、絶する速度でライトに向かう。鮮緑の双眸がその影を捉え、二人の眼が虚空で空中戦を繰り広げた。

 

「──ッ!!」

 

 彼が右手を構え、頭蓋から胸にかけて切り裂かんとする二つの斬撃を振り受け、武力がぶつかり一つの閃光が横へと広がる。

 刹那、突風が部屋中を駆け巡る。それに共鳴するように床が苦痛を訴えて割れ、泣き叫ぶ音が響き渡った。

 

 

「ふふふっ、アハハっ」

 

「──ッ」

 

 空中で姿勢を保つエルザと鍔ぜり合うライト。その均衡を、ライトが強引に押しのけ、エルザの体勢を崩す。

 すぐさまククリナイフで受けようとするが、それを割り込むように赤い光がエルザの左腕を襲う。

 

 

「ぐっ──ふふ。とても感じたわ、気持ちよくておかしくなってしまうぐらい」

 

 

 とんだ歪んだ性癖を持った女だ。ライトに見せる隙としては大きく、左腕を断ち切られたエルザがそれでも痛みという快感に痺れている。

 切り落とし残心をするライトに対し飛び上がり通り過ぎざまに再生力を持つエルザが捨て身で首筋目掛けて右に持つナイフを振るうも受け流され後方へ。

 着地。体を捻り、残る右腕でナイフを振り抜きライトの首筋へと刃筋を伸ばした。赤い鮮血が二人の間で舞い散りエルザの目が見開く。振り抜いた腕は手首から先がなく、無念に床へと落ちたためだ。

 刹那、ライトの体が揺れ動きエルザの腹に足を突き放った。

 

「ッ!」

 

「カッハァァ……」

 

 その瞬間、肋を砕き、肺の空気をずべて絞り出され内臓から呻くような音が彼女から鳴って体がくの字に吹き飛ぶ。その衝撃は放ったライトでも耐えきれず壁へと激突するほどで、エルザが壁を破り盗品蔵の外へと飛び出すのと同時に壁にもたれかかるように座り落ちた。

 戦闘の余韻が残る静寂。ごくりと、見守っていた二人の喉から息を呑む音が鳴る。

 

 ライトの体に走る光線が、役目を終えるように色素を失い、同時に鮮緑の光が双眸から停止するように消え瞼を閉ざす。

 手足の先から順に光が霧散して、風の有無に関わらずたなびいていた襟は元の形状へ落ち着き、日に照った雪の皚々とした髪色が元の黒髪へと戻った。

 

「……終わった、のか?」

 

 スバルの小さな声が夜の静けさの中に響き電池の切れた人形のようにぴくりとも動かないライトに喋りかける。フェルトによって巻かれていた包帯には血が滲んでおり、あれだけの激闘を繰り広げたのだから傷が開いたとしても仕方のないことだ。

 ライトの外見に至っては路地裏で会った頃の綺麗さがないこと以外特に変わりもなく、あの変身した姿はなりを潜めていた。

 

「でもこれで……」

 

 緊張でカチコチに固まっていた体をスバルは大きく深呼吸して和らげた。

 そしていまいち実感の持てなかった事実を確かめるように、隣の存在を思う。

 スバルに肩を預ける少女ーー偽サテラはまだ少し浅い呼吸を繰り返しながらも、

 

「無事に終わったの?」

 

「あ、あぁ。左腕にそして右手、腹にはぶち抜くって勢いの技喰らったんだ。思い出したくねぇ吐きそうになる気持ち悪りぃ鳴っちゃいけない音も鳴ってたし、しばらく起きてこないだろぉよ」

 

 弱々しい問いに答えて、スバルは立ちあがろうとする少女を支える。まだ体調は戻っていないようで少女は額に手をおっつけているところは見ていて辛そうだ。

 

「あの子は、もう大丈夫なの?」

 

 彼女が目を向ける先には戦闘を終えてそれはもうぐっすりと寝ているライト。頼りげのない足で立つ少女は紫紺の目を彼に向けながらスバルの庇護を離れた。

 

「起きてこないけど疲れてるんだろ。あれだけ戦ったんだし、今は休ませようぜ?」

 

 この終わりの見えない絶望的な状況を打ち払ってくれたライトには心底感謝しか湧かないスバルが笑みを浮かべた。隣から返答のないことに気づいて横に向き直れば、月明かりに照らされ煌めく銀色の髪がこれ以上にないくらいに美しく綺麗で可憐な少女に目が止まってしまう。

 心配そうに眉を下げる偽サテラを、スバルはしげしげと眺めて、

 

「じろじろと、どうしたの? すごーく失礼だと思うけど」

 

「──いや、手足はもちろん、首もちゃんとついてるよな」

 

「当たり前でしょ? 怖いこと言わないでくれる?」

 

 スバルの感想は彼女には意味が解らなかったのだろう。

 呆れるように言ってジト目で睨んでくる偽サテラに、そらそうだよなという感じにスバルは両手を下げる。

 

「そうだな、当たり前だよな。もちろん俺の手も付いてるし背中にナイフが生えてもいなけりゃ、腹にでかい風穴が開いてたりもしないぜ」

 

「生えてたり開いてたりした時期があるみたいな言い方するわね」

 

 ──そんな時期もあったのです。

 

 自身のさまざまな失態という黒歴史がスバルの頭の中を駆け巡り、苦いものを噛み締めたように口が歪む。だが、それと同時に疑問にも思ってしまうのだ。ここまでの道のりでもライトに出会ったのはこれが初めて。自身と出会うまでにライトは一体どこで何をしていたのだろうか。

 済んでしまえば仕方のないこと。今はこうして収束の余韻に浸るとしよう。

 

「そんな時期もあったけどな。そういやフェルトのやつは──」

 

 死に物狂いでこの盗品蔵から逃げていった少女を思い浮かべたスバルは今どこで何をしているのか思い馳せて──

 

「──あぶない!」

 

 不意に壁に振り向いた少女の叫びに窮地を脱していないことを悟る。

 

「────!!」

 

 壁が切り破られ、そこから黒い影が出現する。血を滴らせバランスを失いながらも力強く足を踏み出し、加速する。その体には夥しいほどの木片が突き刺さっており、足を踏み出し前へ進むたびに血がこぼれ落ち、糸がプチプチと千切れる音を出している。

 痛みで動けないはずだ。圧倒的再生力と確固たる精神のままにライト目掛け、復活させた右手にナイフを握りしめ無言で疾走するエルザ。

 

「来翔ッ!」

 

 あの攻撃を受けて、持って一日は昏倒するであろう衝撃。そして見てもわかる重体から目を覚ましたエルザの目には光を写し込むことを不可能とする漆黒が宿っている。

 これまでの中でも一二位を争うほど、スバルの背筋に鋭い針が這い上がり息を吸うだけで肺が凍りそうな殺気を放っていた。

 

 ──やばい……間に合わねぇ!!

 

 ライトとの距離までもう残り僅か。これだけスバルが叫んでもいまだ目を固く閉ざし胴体を無防備に晒すライトに目覚める兆しはない。

 声のならない偽サテラの悲鳴とスバルが膝から崩れ落ちる目の前には頭蓋から胴にかけて斬撃を受けたライトの体が左右に分かれ、桃色や橙色の物体をさらけ溢れ落とすままに鮮血を撒いて──

 

「そこまでだ」

 

 ──屋根を貫き、盗品蔵の中央に燃え上がる炎が降臨する。 

 

「なんとか間に合うことができたようだ。──そこまでだ『腸狩り』エルザ・グランヒルテ」

 

「お前は……ラインハルト!」

 

 焔のようにその場を席巻し、獲物を目の前に狂い走るエルザすら蛮行を止めた。

 できれば早く辿り着いて欲しかったものの、タイミングの良すぎるほどに窮地に登壇した者の名をスバルが嬉々として上げる。

 もうもうと砂塵が舞い落ちる中、全てを見通すほどの晴れ渡る空を宿した双眸が目の前の黒の殺気を僅かに揺るがした。

 

「ラインハルト──そう、騎士の中の騎士『剣聖』の家系ね。こんなに楽しい相手ばかりなんて雇い主に感謝したいところなのだけれど……」

 

 体から再生を阻害する異物を抜き出す。足と胴が木のささくれによって傷が広がり、血が垂れ流れるも瞬く間に元の健康的な素肌に。

 驚異的な再生が、落とされた左腕を肘あたりまでに戻すも芳しくないのだろう。快感に溺れる余裕もないエルザが、

 

「う、く……っ、今は踊り疲れてしまってここは引かせてもらうわ」

 

 息を切らし、苦鳴を上げるわりには軽口を叩く余裕はあるよう。目に弱気は宿っていなく、完全治癒状態であればこの場の全員を殺害することができるだろう。

 目の前の赤を倒さない限りは。

 右手で体から取り出した血液付きの木材をラインハルトへと投擲。まっすぐと飛ぶ数々は、不可解な方へ。まるで彼から避けるような磁石で反発したような動き。しかし牽制の役目だけはしっかりと果たし、

 

「いずれ、この場にいる全員の腹を切り開いてあげる。それまではせいぜい、腸を可愛がっておいて」

 

 廃材を足場に、傷で衰えはするもエルザが跳躍する時間を稼ぐには十分なもの。

 屋根を踏み、身軽に建物を飛び越える細身を追うのは骨が折れる。それが例え、手負いの相手だとしてもだ。場を収めはするも戦闘を望まないラインハルトは、エルザの背を追うことをしなかった。

 

「『腸狩り』がここまで追い詰められた状態なんて、いったい誰が……」

 

 遠ざかる背中を見送り、ラインハルトはこの場の惨状を一望する。夜にも関わらず陰ることのない青の宝石がそうして自身を見る銀髪の少女にラインハルトは気づいた。

 

「──エミリア様、ご無事で。これはあなたが?」

 

「え? ううん違うの! これはその──あそこのっ、壁で寝ちゃってる子がやっちゃって」

 

「はい?」

 

「?」

 

 イケメンはどんな表情でも様になるらしい。呆気に取られて聞き返すラインハルトに少女が曇りなき眼で首を傾げてしまっている。

 ゆっくりと、顔を俯かせて寝ているライトに顔を向けたラインハルトが疑わしい表情を浮かべて顎に指をかけた。疑問に思うなと言って信じるのも無理だろう。まさかラインハルトが来るまで時間を稼いでいたような正体が路地であった少年なのだから。

 

「ライト、か……」

 

「あー寝かせてやってくれラインハルト。エルザに戦って勝って、因縁つけれて寝首を狩られそうになったんだ」

 

「流石にそこまではしないよ、スバル。でも……」

 

 翳りが現れる。スバルの前で言葉を落とす彼からはまるで責任を感じてるようにさえ見える。

 途切れさせ、その後の言葉を知りたくなり「どうしたんだ?」とつぶやくと、

 

「……僕が来るまでにだいぶ無茶をさせてしまったようだ」

 

「いや。ぶっちゃけると結構善戦してたんだぜ?まぁあそこまで執念深いのもやばかったけど、お前が来てくれて助かったぜ」

 

「今回のことは僕が衛兵としての勤めを果たしていればこんなことにはならなかった。自身の至らなさに、目を覆いたいくらいだ」

 

「命の恩人がそんなんじゃ世話ねぇぜ? ラインハルトがここに辿り着いて、助けられた命がある。それでいいんじゃん。まじでありがとな!」

 

 グッと親指を立てて歯を光らせてみせるスバル。この感謝が届いてくれたようで、ラインハルトが少し固まると小さく吐息。そして口角がわずかばかり上がるのを見た。

 

「──そうか……うん、君のおかげで、少しでも役に立てたことに安心したよ」

 

「めっちゃ謙遜してるし。にしてもさっきの路地といい俺の心の叫びが聞こえたのかよ、友よ」

 

「それができたなら僕も胸を張れるんだけどね、友達くん」

 

 肩をすくめるラインハルトは少々心苦しげで、顎の動きで一方を示す。

 彼の仕草に従ってそちらを見ると、

 

「お」

 

 そこにいた人物の姿を見て、スバルは自分の口が思わぬ綻びを得たのを感じた。

 盗品蔵の扉を無くした枠から恐る恐る顔を出してこちらの様子を伺っていたのは目の縁が少し赤い金髪の少女。

 

「彼女が必死で路地を走り回っていたんだ。そして僕に助けを求めた。僕がここに来れたのは彼女のおかげだよ」

 

 「それで屋根ぶち破るか?」と小言を言えば、痛いところを突かれたといったように胸を押さえるラインハルト。あれだけ広かった蔵の屋根も月と空がセットで見えるほどの悲惨さ。それでも親しみやすさが変わらないのは空恐ろしいところ。

 

「あの子は……」

 

 偽サテラもおぼつかない足取りの中フェルトの存在に気付いた。

 スバルはフェルトを守るように偽サテラの前に回り込む。

 

「待った待った。あいつがラインハルトを呼んでくれなきゃ、最悪全滅してたんだぜ?ここは俺の顔に免じて、氷の彫像の刑は見送ってくれよ」

 

「そんな乱暴しないわよっ。というか、あなたの顔に免じてって……」

 

 疲れたように眉間を揉む偽サテラ。

 そんな人るの仕草ですら、スバルにはどこか喜ばしいものに感じられるのだ。

 こうやって全員生きている状態で話せるのだから。本当なら全員でこの平和を分かち合いたいのだが一人が参加できていないのは少しかわいそうにも思える。

 

「まぁ、そんなことはいいんだ」

 

 一息ついて気持ちの整理。ジャージのファスナーを開け閉め、ジャストな位置に調節することができればパンパンと木屑やら何やら払い落とす。

 身だしなみを整えるスバルにおかしいと思う皆々様が首を傾げるのだが、準備を終えたよう。

 何をするのか疑問の声が上がるよりもスバルが指を天へ突き上げるのが早かった。

 左手を腰に当て、右手を天に指し伸ばし、周りを置き去りにするままスバルは声高々に宣言する。

 

「俺の名前は『ナツキ・スバル』! そしてそして、こちらで疲れ寝ておわすお方が今回のMVPことタカナシ・ライト!」

 

「…………」返事がないただの屍のようだ………

 

 なんだか有名どころのテキストが見えた気もするが、ライトは生きているし今は捨て置いておこう。

 床と睨めっこしているライトから返答がないことを確認したスバルは突然のテンションに困惑を隠せない偽サテラへと勢いよく顔を向ける。

 

「まぁわかっていたけど。気を取り直してっ、とりあえずまず聞こう!」

 

「な、なによ……」

 

「俺たちってば君を守り抜いた命の恩人! ここまでオーケー!?」

 

「おれたちっていうより、らいと? が守ってたような……」

 

「そのライトをここまで連れてきた俺の手柄も含め命の恩人ってこと!オーケー?」

 

「おーけー?」

 

「よろしいですかの意。ってなわけで、オーケー!?」

 

 聞きなれない言葉に首をかしげる銀髪の少女に対し、OとKを体で表現するスバル。顔を引きつりながらも、「お、おーけー」と応じる。

 

「うんうん、命の恩人レスキューウィアー。そしてそれらに助けられたヒロインが君、そんなら相応の礼があってもいいんじゃないか?ないかな!?」

 

「わ、わかってるわよ。私にできることなら、って条件付きだけど」

 

「なぁらぁ、俺の願いはオンリーワンの唯一無二、ただ一個だけだ」

 

 指を一本だけ立てて突きつけ、くどいぐらいにそれを強調。

 喉を鳴らして不安に瞳を揺らしながらも、確固たる意志をその目に宿してうなづいた。

 

「そう、俺の願いは──」

 

「うん」

 

 歯を光らせて、指を鳴らして、開眼してキメ顔を作り、

 

 

 

「──君の名前を教えてほしい」

 

 

 

 低く喉を鳴らし渾身な出来だと思う。

 呆気にとられたような顔で、少女の紫紺の目が見開く。

 しばしの沈黙が二人の間に落ちる。スバルの眼差しは揺れない。ただ真っ直ぐに、目の前に立つ銀色の少女を見つめている。そして、

 

「ふふっ」

 

 口に手を当てて、白い頬を紅潮させ、銀髪の髪を揺らしながら笑った。

 それは諦めの笑みでもなく、儚げな微笑でもなく、覚悟を決めた悲壮なものでもない。ただ純粋に楽しいから笑った。それだけの微笑みだ。

 

「──エミリア」

 

「え……」

 

 笑い声に続いて伝えられた単語に、スバルは小さな吐息だけを漏らす。

 彼女はそんなスバルの反応に姿勢を正し、唇に指を当てながら悪戯っぽく笑い、

 

「私の名前はエミリア。ただのエミリアよ。ありがとう、ライト、スバル」

 

 「私を、助けてくれて」と彼女は手を差し出した。

 差し出される白い手を見下ろし、おずおずとその手に触れる。指が細く、手のひらは小さく、華奢でとても暖かい、血の通う女の子の手だった。

 

 ──助けてくれて、ありがとう。

 

 そう言いたいのは彼女だけではない、スバルの方だった。スバルの方が先に彼女に恩を受けていたのだ。だからこれは、それがようやく返せただけのこと。

 三回。刃傷沙汰で命を落としてたどり着いた結末。

 時に腹を割かれ時に見殺しにして殺され時に背中を刺され。あれだけの痛い思いをして、あれだけの苦しい思いをして、あれだけ理不尽に嘆き抗って、その先にたどり着いたのは彼女の名前と笑顔の一つ。

 

「あぁ、まったく、わりに合わねぇ」

 

 言いながらスバルも笑い。少女の、エミリアの笑顔を見て「それもいいか」と思いながら、固くその手を握り返したのだった。

 

 

 

 

 こうして、やっと長いようで短い一日が終わり、月明かりに照らされる面々。

 この世界に転移し、同じ境遇の人間と出会うという予想外の展開もありながら、こうして惨劇を撃退することもできた。

 握手をしていた二人の手は解かれ、功労賞を贈るに足りる人物──ライトへと歩みを進める。

 

「大丈夫なの? 怪我とかしてない?」

 

「これと言って特には……あぁーすまねぇエミリアたん、左手直してやってくれ」

 

 スバルが力無く床に置かれていたライトの左手を持ち上げる。先の戦闘で傷の開いた手は包帯を赤く滲ませており、苦い顔をしてしまうスバル。

 それは目の前に寄せられたエミリアにも言えることで、

 

「ひどい怪我……治癒魔法を使うから包帯取るわね」

 

「そうしてやってくれ。──ほんと悪いことしたな」

 

 小さくライトへと謝罪するスバル。彼の言葉に気にしたのかエミリアがこちらに目を向けるも、すぐに患部に視線を落として包帯を取り除く。

 傷は皮が捲れ、水で洗っていないためか汚れがついている。両手で手を包む彼女が優しく撫で、瞑目。

 淡い光。青い白い光がライトの手を包み込まれる。

 神秘的な光景に息を漏らせざるを得ないスバルとエミリアの顔が照らされ、ロム爺の傷を治したように傷口が塞がっていく。

 

「……よし、これで治せた」

 

「おぉ、やっぱりすごいな……お?」

 

 視界の端で動くものがあってスバルが振り返る。床で突っ伏すロム爺にいそいそとこちらに気づかれないように駆け寄るフェルトだ。

 安堵に年相応な笑みを浮かべるフェルトを眺めているとこっちまで涙ぐましくなって視界が歪んできた。ーーいや、これは感動の涙が状況を不鮮明にしているわけじゃない。これは、

 

「やべ……これ、ねむぃ」

 

「ちょっとスバル、大丈夫?」

 

「あっいやぁ、なんだろうな……多分疲れ、た」

 

 これは本格的にやばい。深夜まで日頃の特訓もとい、ネトゲをやっていた時にやってくる悪魔ーー睡魔が今スバルの瞼を集中攻撃。いつぞやのことのため比較的落ち着いてはいるものの、この平和のひとときが本当にひとときで終わるなんて名残惜しいにも程がある。

 体に巡る力が抜け、視界が大きく傾く。倒れたのかもしれない。

 痛い。でも、そう感じられる余裕があることに喜んでいる自分がいることに、スバルは暗くなっていく光景を見ながらどことなく口元が緩んでいる気がした。

 

「ちょっと、スバル!」

 

 切羽詰まったような声がすぐ近くで聞こえる。そんなに心配しなくても大丈夫だというのに。 

 ラインハルトが焦りを浮かべ、すぐ近くで顔を覗き込んでくるエミリアがその整った面に悲痛な表情にしていた。

 

 ──焦ったりしててもマジ可愛いな、異世界ファンタジー。

 

 いつかの感想とともに、微睡の中で赤色の話を聞き一息つく銀色が微笑みを讃えたのを最後に、スバルの意識は雲に溶け込んだ。

 

 

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