Magic game 作:暁楓
魔法陣展開。
砲撃魔法形成。
魔力集束開始。集束所要時間約四十六秒。
なのは達と闇の書が撃ち合っていた場所で魔力の集束を試みる。ただの砲撃なのに集束に時間がかかりすぎるのは、俺が魔力切れを起こし、空間散布されている魔力のみで砲撃形成をしようとしてるからだ。
しかも、空気中の魔力だけで砲撃を作ろうとしても、自分の身体から魔力を引き出そうとされるため、空の状態から魔力を引き抜こうとする影響で胸の辺りに痛みが広がってくる。
指令の残り時間は、もう五分を切っていた。
闇の書が姿を現した。
闇の書が足元に魔法陣を展開し、俺の周囲を無数の紅い刃が取り囲む。
「穿て」
「――ッ!」
……今だ!
俺はレイジングハートを地面に向ける!
「ディバインッ、バスターッ!!」
地面を吹き飛ばし、爆風と土煙を上げ、俺と刃が吹っ飛ぶ。
「ぐはっ……!」
倒れた俺に向かって、煙を突き抜けて闇の書が来る!
「おおおおおっ!!」
「でやあああああっ!!」
闇の書の両側から、バルディッシュザンバーを持つ竹太刀と、末崎の短剣を持った海斗が斬りかかる。
闇の書は二人の攻撃を防ぎ、砲撃で吹き飛ばす。
「海斗! 竹太刀!」
「ぐっ、大丈夫だ!」
「さっきの引きつけと合わせて二十個……でも、生きとるで!」
「綾さん、急いで逃げますよ!」
田鴫が俺を担ぎ上げ、俺を動かす。
「逃がさん」
「逃がしてやりなさいよ!」
「やらせはしない!」
建物の窓からマリアと由樹の同時射撃。闇の書は簡単に防いでみせ、ブラッディダガーで反撃。
「おっと!」
「くっ!」
「由樹! マリア!」
「綾さん! 奴がこっちに来ますよ!!」
由樹もマリアも、建物の中に隠れて事なきを得た。
そして田鴫の言う通り、闇の書がこっちに来る!
ここは、田鴫を逃がして……!
「こ、ここはっ……」
俺が指示を出す前に、長杖を持った末崎が間に割り込んできた。
「ここはお、俺が止めるっ……おいお前! 綾を早く逃がせ!」
「なっ……、馬鹿を言うな! お前が叶う相手じゃないのはわかってるだろ! さっさと引け!」
見れば末崎の身体はガタガタ震えていた。
自分でもわかっているはずなのに、俺の忠告もあるのに、末崎は引かない。
「ひ、引かねえ!! あの時お前が助けに来なければ、俺は死んでたんだ! だからもう、俺の命なんか惜しくねえええぇぇっ!!」
末崎は絶叫を上げながら闇の書に突進した。
しかし末崎が振り回した長杖は、あっさりと闇の書が弾き飛ばし、末崎が無防備になってしまう。
(させ、るか!!)
強引に田鴫を振り払い、二人の元へと走る。
闇の書が、末崎が捕らえようと手を伸ばす!
「ひっ……!」
「しゃがめ末崎ぃぃぃっ!!!」
「っ!!」
俺の怒声で末崎の身体が縮こまる。
俺は力の限り最終攻撃手段である武器投擲……エクセリオンモードのレイジングハートを闇の書に投げつけた。
「無駄なことを……」
レイジングハートの矛先が闇の書に命中する寸前で、闇の書によって掴み取られてしまう。
さらに闇の書はレイジングハートを持ち直し、よろける俺に向かって投擲。
「……っ!」
なんとか脚を上げ、脚で受けようとする、が。
ゾブッ
脚の骨を砕き、突き抜け、俺の腹を貫いた。
「ご、ぶっ……」
血を吐いて、レイジングハートが腹に突き刺さったまま、地面に倒れる。ベチャリと、血溜まりが跳ねる。
(ダメだ……………いし、き……が……………)
落ちちゃダメだと思っても、片方しかなくなった瞼が落ちてゆく。
(も、う……みんな……の、こえ……も……………)
聞こえない。そう思うより早く、俺の意識は失った。
プルルルル。プルルルル。
ガチャ。
『指令終了。参加者の諸君、指令達成おめでとう。
指令達成した諸君には、報酬を渡そう。
報酬及び、失格者の通知は後にメールで通達する。
では、また次回も頑張ってもらいたい』
次回、新章突入。
大きな傷を残してなお、試練は終わらない。
第三章 エース武闘編
イレギュラー、出現。