Magic game   作:暁楓

65 / 92
 捲り勝負後半戦。
 また尺的に分割しそうになりましたがなんとか纏まりました。分割するとフラグにしかなりそうになかったので。
 あと、今回は特に後書きが長いです。


第六十五話

(まず一勝)

 

 目の前の五十枚となった山を切り分け、選択肢を作る。

 

「あの、綾さん」

 

「ユーノ、迷うな。迷う必要はない。迷う意味もない。さっきと同じように、迷わずに取れ」

 

「は、はい……」

 

 ユーノは迷わず、最初に切って出てきたカードを掴む。それでいい。

 こちらがさっさと切り終えたのに対して、ウレクは少し悩んだように停止した後。切り分けた。

 

「さ、積みな」

 

「え……えと」

 

「随分、極端だな」

 

「ルール上の問題はねえだろ? パケットの枚数に指定はないんだし」

 

 その言葉は認めるしかない。しかしそれでも、奴がなのはに与えた選択肢は極端だった。

 選択肢の四つはこちら主点で左から、極端に厚い束、一枚のみ、一枚のみ、そして普通の束となっていた。

 カットは普通極端な分け方はしない。均等に分けるのが常識的だ。だが、極端に分けてはならないという言われもない。だからこれも、好ましくはないが違反でもない。

 

「さっさと積みな。どれを上にしても構わんぜ」

 

 ウレクは迷うなのはにそう言った。相変わらずの笑みを浮かべて。

 

「枚数の少ないところからでも、多いところからでも構わない。でも悩むよなぁ? ひょっとしたら俺のお望みのカードが一枚だけのところに二つとも入ってるかもしれないよなぁ。そういや、二巡目は枚数が一番多い束を選んで、それがハートのAだったんだよなぁ。たくさん悩んでもいいが、早く決めないとなぁ?」

 

「うぅ……!」

 

 なのはは悩んで、しかし長く悩むことはできない状況も理解していて、選ぶ。

 選んだのは、多くもなく少なくもない、普通の束。それを上にして、後は適当に積み重ねていく。こちらより少し遅れて完成する。

 

「キキッ。さあて、俺の引くカードはっと……『ダイヤ』の『A』だ」

 

 表にする前に宣言。そして的中。三枚目のA。

 ここで俺の引くカードが負ければ、これで終わりになる。

 引き、表にする。

 宣言する。

 

「『ハート』の『A』」

 

 これでやっと一勝。

 初めて一勝を勝ち取ったことに、周りからは安堵のため息が聞こえる。

 それにしても……

 

「あくどいやり方だな」

 

「お前らが事実上の結託をしてんだ、目ぇ瞑ってもらおうか。それに、お前すでに一回黙認してんだから今更文句言ったっておせぇよ」

 

「まあ、違いないか」

 

「綾さん? それってどういう……」

 

 ユーノが耳打ちで尋ねてきた。なので答える。

 

「あいつは心理的になのはに取るカードを誘導させたってことだ」

 

「え……!?」

 

「ユーノは、相手を罠にかけたい時、言葉で誘導するならどうする?」

 

「えーと……そこが安全だと言って騙す?」

 

「確かにそうだが、どうやって安全を証明する? 安全だと口だけで言ってると、逆に罠だと感づかれる可能性がある。相手が自分を信用してるならまだしも、ウレクとなのはのような敵対関係では疑われる」

 

「じゃあ、どうするんですか?」

 

「逆の考えを持つのさ。それの安全を証明するんじゃなく、他ところ全てに危険性を孕ませる。明らかに不自然で危険に見えるものを敢えて掴むより、無難なものを選びたいと思うだろ? その考え方をウレクは利用した」

 

 ウレクは四つ中三つは危険な匂いを漂わせたが、一つだけ何も言わなかった。なのはの頭の中では、特異で明らかに怪しい三つより、何の変哲もなく、何も言われなかった一つの方が確実に安全に感じただろう。なのはは子供であるから余計簡単に引っかかる。危険だらけの中に安全だと思い込む仕掛けを作るのが今のやり口だったのだ。

 

「なるほど……ところで、ウレクは綾がすでに一回黙認したって言ってましたけど、さらに前にもやってたんですか?」

 

「お前、二巡目のあの与太話が何の意味もないことだと思うのか?」

 

「え? いや、変だなとは思ってましたけど」

 

「あれは一種の刷り込みだ。やたらデカいデカい連呼していただろ。そうすれば自然に意識は大きい方に向いていく。事実、なのはは枚数の多い束を取ってったぞ」

 

 意図的に特定の形や色を言った上で自由にものを選ばせると、人は言われたものを取る傾向になりやすいらしい。

 ウレクはあの与太話で「デカい」という言葉をよく使い、逆に「小さい」という言葉は一度も使われなかった。それによって「デカい」という言葉が印象に残り、そうしてからパケットの厚さを調節してやれば、なのははウレクの狙ったカードがあるパケットを最初に掴んでしまう。そういうカラクリだったのだ。

 

「でもそれって、もうシャッフル代行の意味がないじゃないですか」

 

「確かにそうだが、誘導こそされても結局はなのはは自分の意志でカードを積んでる。ユーノにも似たようなことが言える。文句は言えないさ」

 

 そもそも取り押さえられないのでは文句もあったものじゃないのだが。

 しかしユーノの言う通り、もう互いに代行の意味はない。後は四巡目と五巡目、どちらにAを当てるのか。相手がどうするのか。単なる腹の探り合いだ。

 

「話はこれぐらいにしよう。ユーノ、またシャッフルをやってくれ」

 

「あ、はい」

 

 ユーノは四十九枚となったトランプを取ってシャッフルを始めた。

 俺はウレクを見据える。ウレクも同じくこちらを見ていたため、視線が重なる。

 四巡目、Aを出すか出さないか。それで勝敗が決まる。相手のAを仕留めれば、勝つチャンスは残る。

 逆に仕留め損なった場合には、そこで敗北となる。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 迷う。

 どちらの解が正しいのかここにきて強い迷いが生まれる。

 勝っても負けても、計画が狂うことはないだろう。しかし負けてもいいという落ち着き方はしたくない。

 不安材料、不確定要素である者を含んで作戦を実行する気にはならないというのもある。例えそれが物語の中心人物達であろうとだ。ウレクはあの神によって造られたイレギュラーであるという自覚がある。この世界が作られた物語であることも知っている。しかし同時に、今や自分がこの物語の人物の一つであると理解もしている。というか、させられている。そういう振る舞いをしなければならない。加えて物語の結果はわからない。そのためできれば人数と共に余計な思考が入ってくるようなことはしたくないのがウレクの考えだ。

 だがそれ以前に、勝負に負けたくないという私情もある。

 ただ負けたくないという私情。ただ勝利への欲望。詳しい説明はいらない。それだけで十分。自分の意志か神の意志かも関係ない。

 そのために、迷う。考える。

 四巡目に来るのがAか、その他か。ウレクが勝つ条件は、残ったクラブのAを通すこと。

 

(仮に、オリジナルがAを出そうと考えていたとする)

 

 勝つために仮定をする。

 が、すぐやめる。

 

(いや……そんな考え方しても下等な裏読みのループになるだけか)

 

 相手のカードを仮定して、その裏をついて、しかしそれは読まれるだろうと仮定して、その裏をついての繰り返し。

 そのようなループは何も意味をなさない無駄な思考だ。そもそも、最初の仮定が違っただけで結果が正反対になる。そしてループになる。

 相手の表情を読もうにも、綾はまだ切っていない。現在、互いに目の前の山を切るところである。

 では、どうするか。

 ウレクは、椅子にふんぞり返った。

 

「……………」

 

「……………」

 

 それから、動かない。互いに微動だにしない。

 

「……あの、早く切って欲しいんですけど」

 

「まあ慌てんなよ。これが勝負を決めるかもしれねえんだ、悔いのないようにしたいだろ? カットに制限時間なんてかけてねえし」

 

 じれたなのはの言葉には適当にそう言い訳して無視する。

 鳴かぬなら、鳴くまで待とうだかなんとかかんとか。オリジナルからかその他闇の書が吸収した記憶の中かにそんな詩があったのを思い出す。全くその通りだ。

 

(出さぬなら、出すまで待とう、そして読む……ってな。こんな感じでよかったか)

 

 合っているかどうかはともかく、策はそういうことであった。

 無論、綾と自身での持久勝負であったなら身体の問題上ウレクが当然負ける。しかし、リインフォースが相手となると話は別だ。止血は行われていても所詮は応急処置。危ない状態であることに変わりない。綾が先に出すのは時間の問題だ。

 その時を待つ。待ち続ける。

 

「……………」

 

「……………」

 

「あの、早くしてくれませんか!」

 

「綾さんも、早よう切ってください! もたもたしている暇なんてないんですよ!?」

 

 じれて苛立ったなのはとはやての声。こういった子供の考えが浅い言葉はウレクにとっては大助かりだ。

 子供の言葉がウレクの動く理由になるなどありえない。しかし綾には一方的に早急な判断を迫られる。

 ギャンブルは運だけの遊びじゃない。勝負として頭脳を使う。さらに状況次第で何でも使う。人質を使い、怪我人を使い、野次馬の子供を使い。そうして相手の弱さを炙り出し、仕留める。どんな手段を使ってでも勝ちを得る。それがウレクのやり方である。

 

(さあ出せ、さあさあ出せ! 待っても得はないぞ? 早く動かなければならないのはお前も理解しているだろ。雑音もうるさくなってくる。早く出せ。読まれるために出せ。そして負けろ……!)

 

 ウレクの念が通じたのか、沈黙していた綾がおもむろに動き出した。

 右手で山を切り、パケットを作り出す。

 

(来た! 来た来た来た来たっ!)

 

 四つの選択肢が完成し、ユーノはまた最初に切って出てきたカードを掴む。

 山が完成した。イコール、引くカードが固定された。

 後は、読めばいい。

 

「クククカカカカカッ……!」

 

 肘を付け、腕を杖代わりに机に乗り上げる。

 間近まで近づき、綾の顔面を舐め回すように観察する。

 

「どっちかなぁ。Aかなぁ? それともクズ手……いいや次点のKかなぁ?」

 

「さあな」

 

「つれねえなぁ。じゃあこっちも運に賭けてみようかなぁ」

 

「好きにすりゃいいさ」

 

 言葉で反応を伺うが、変わる気配はない。強い精神と優れたポーカーフェイスだ。

 だが、時間をかけてしつこくこすれば、ポーカーフェイスという鍍金も剥がれ落ちる。

 

(剥がれた瞬間俺の勝ちだ。この上のカードを見透かして……)

 

 ちらりと綾の山を見た。

 その時。

 

(……あ!)

 

 ウレクは見つけた。綾の、あろう事か鍍金のさし残した部分を。

 

(ああ! 見つけた! 勝った! 俺の勝ちだ!!)

 

 確信は顔へと伝わり、狂喜への変貌させる。

 見つけたのは、カードの縁に付いた傷だった。

 明らかに人為的につけられた傷であるそれは、カードを探すための目印であるガンを示している。

 一枚だけを見てもただ目印がついているとしかわからない。しかし、今ここには他の『記録』があった。

 ウレクは視線を横にズラす。そこにあるのは、今まで綾が引き、戻さずに捨て札として重ねられたカード。一番上にはハートのAが置かれている。

 ウレクはハートのAの縁をなぞるように見る。確証を得るにはこの一枚で十分だ。

 そして見つける。山のカードと比べ、確信する。

 

(――勝った!!)

 

 ウレクが注目したのは、ガンの位置だ。

 ガンで重要なのはバレないことより、他との区別がわかるようにすることだ。この勝負では、AとKが混同することだけは絶対に許されない。

 AとK、この二種類を確実に分別する方法とは、サイドとエンドで分ける方法だ。Aはサイドに、Kはエンドに。もしくはその逆も然り。

 ハートのAのガンはサイドに付いていた。

 そして、次に綾が引くカードのガンの位置はエンド。これですでに決定した。

 

(次に奴が引くのは、Kだ!!)

 

 確信したウレクの行動は早かった。

 最後のAを指で探し出し、切る。さらにそこから、なのはが自分でAを選ぶ仕掛けを作る。

 使えるものは、何でも利用する。左手も、心理学も、なのはの立ち位置だって利用物の対象にする。そうやってなのはを操り人形にする。

 そして、

 

「さあ」

 

 完成した。

 

「積めよ……!」

 

 開いた左手を並んだパケットに向けて、カードに注目させる。

 すでに、心理的誘導は始まっていた。

 なのはの立ち位置はウレクの右側。ウレクは開いた手を左端のパケットに被せ、一時的になのはの視界から左端のパケットを隠す。

 死角などによって最初に見た物の数が制限されると、人は最初に見た範囲のみから物を選ぶ傾向にあるという。

 これで、なのはの選択肢は三つに限定された。さらにここから言葉で制限を与える。

 

「どっから取ってもいいぜ? 一枚だけのパケットを取ってもいいし、たくさん積まれたパケットを取ってもいい。勿論中間のだってありだ。だけどこれまで分厚いやつや中間のやつを取って、それがAだったりしたよなぁ?」

 

 他の選択肢には危険を孕ませる。さらに狙うパケットは印象がつきやすいように最初に、少しだけ強調する。そうしてなのはの選択肢を奪う。操り糸を絡ませる。

 苦悩の表情を浮かべながら、なのはは選ぶ。

 一枚だけのパケットを。

 そこに仕込まれた、最後のAを。

 

(勝った!!)

 

 確信は笑みとなる。

 山が完成し、もう引くカードが変わることがなくなってから嬉々とした表情と言葉を向ける。

 

「タカマチ・ナノハ、お前最高だよ。最っ高の、操り人形になってくれた。お前のおかげで、俺はオリジナルを連れて悠々とここから出られそうだぜ」

 

「え……」

 

「こいつの次引くカードはKだ。Aとはガンの位置がサイドとエンドで違う。まあ、今思えばてめえを操ること自体しくじってクズ札掴まれる可能性もあったんだ。リスクのデカいところでAを出す訳なんかなかったのさ。んでもってなのはが持ってきたカードは……」

 

 言いながら、ウレクは山から一枚引き、そして半回転して見せつける。

 

「お前のKを叩き潰すA。こいつで俺の勝ちだ……!」

 

 タンと机上に叩くと一緒に勝利宣言。

 周囲は焦る。焦りと不安を抱いた視線が綾に集中する。違って欲しい。奴の推論が間違いであって欲しい。Kではなく、Aであって欲しい。

 しかし、

 

「……いつ気づいた? ガンがサイドとエンドで違うことに」

 

「綾さん!?」

 

 リンディが思わず声を出した。ウレクの推論が肯定されたため、つまりは敗北が決まってしまうためである。

 

「間抜けなことに、ついさっきさ。それもたまたま、お前が次引くカードを見た時にガンの位置を確認するって手段を思いついた」

 

「そうか……」

 

 綾は天を仰いだ。

 ウレクは自分の勝利がいよいよ確信となり、笑みをより濃くする。

 

「なら、残念だな」

 

「ああ、残念だったな」

 

 綾は顔の向きを正面へと戻し、

 

 

 

「AとKを、サイドとエンドで区別してると思い込んだお前の頭がな」

 

 

 

 笑ってみせた。

 

「……あ?」

 

「え……?」

 

 そこにいた全員が綾の発言に訳がわからないといった様子を示した。

 ウレクも笑顔が凍っている。逆に綾はウレクに負けず劣らずの笑みを浮かべていた。

 

「さっき言ってたが、ガンのサイドとエンドの違いに気づいたのはついさっきってことは、ハートのAしか見てないんだろ?」

 

 綾は重ねられた三枚のカード……ダイヤ、クラブ、ハートそれぞれのAを手に取り、広げる。

 

「なら、見てみろよ。今、他のもきっちりとな」

 

「……………!」

 

 広げられたカードを一枚一枚見て、ウレクは目を見開いた。

 三枚の内ハートを含む二枚は推測通りサイドにガンがついている。ただし、一枚だけ、クラブのAだけ、

 

「エンドにガンだと……!」

 

「ああ。ただ、お前のその推測はAとKを区別するための共通点があると仮定した結果だろ? そこは間違っちゃいないぜ?」

 

「……っ!」

 

「もう気づいたか? 全部辺の端(・・・)についているってことに」

 

 そう、端であった。ハートのAは左辺の下端に、ダイヤのAは左辺の上端に、そしてクラブは下辺の右端に。どれもコーナーギリギリの箇所に傷がついていた。

 

「俺達は元を辿れば同じ頭脳だからな。どんなものでも利用するとは思ってたぜ。ガンの位置にも気づくと思った。それにお前が結構なドSだって話を聞くし交渉でその度合いを確認したから、先に二勝して相手に精神的に追い込むやり方もある程度予想できてたぜ。でもそうなればその間、相手のガンの位置なんて確認する気はないだろ。第一ガンなんて相手にわからないようにつけるのが基本だ。最初の内は意識しにくい」

 

 ハメられた。今になってようやく、ウレクはそのことに気がついた。

 「さて」と綾は、余裕の笑みを浮かべて腕を組んだ。

 

「辺の端という共通点を持ち、かつ上下回転を考慮してガンを打つとどうやっても組み合わせは二通りしか有り得ない。かつ、三枚明らかになったから残るスペードAのガンの位置はお前も特定できただろ? その上で俺の引くカードをもう一度見てみな」

 

 言われるまでもない。特定はすでにできていた。

 他のカードと被らないようにできるガンの位置は下辺左端。しかしこれは現在他の三枚同様に表である場合の話であるため、裏として考えると下辺右端、もしくは上下回転によって上辺左端しか有り得ない。

 カードはもう確認するまでもない。先程確認した時に見た光景が脳裏に蘇っていた。

 

 ――こちらから見て、『上辺左端』に刻まれた爪痕が。

 

(クソッ! クソッ! クソッ!!)

 

「スペードA。これでタイだ!!」

 

「――っ!!」

 

 裏を読んだはずが、相手の完全な裏の裏返しを受けた。

 二勝二敗。見事なまでの逆転劇に歓声が湧く。残るはあと一戦。それで結果が決まる。

 だが、互いは理解していた。

 片や、常にパートナーと結託状態。片や、現在パートナーに敵対視されている。言葉の操り糸は長くは使えない。

 もう、四分の三は結果が見えていた。




 やっと次回からGOD本編が進むと思います。長かったなー……。
 やっぱり、頭脳戦は戦闘よりもギャンブルなんだな、と思います。だって、戦闘だと意志の力とか愛の力とか絆とか友情とかが簡単に物理を超えてくるんだもの。最終的にはただのごり押しになるんだもの。この小説でもそうなる予測が余裕でできるもの。
 それに比べたらギャンブルのカードは決められた以上の力になることは有り得ませんから、いかに頭脳や発想力を働かせるかの勝負なんですよ。ん? 遊戯王? カードを書き換え? ちょっと何を言ってるのかわか(ry



 さて、ちょっとここで我らが主人公綾さんが言っていた、

「辺の端という共通点を持ち、かつ上下回転を考慮してガンを打つとどうやっても組み合わせは二通りしか有り得ない」

 ……という発言についての解説を。本文では説明をほぼ全部と言っていいほど端折っちゃっているため、理解が難しいと思います。というか、私もただ言われただけではわからないと言える自信があります。
 なのでここで、詳しく、少し面倒くさい解説をします。ちょっと数学の授業になるよ!
 あ、ちなみにちゃんとした完全な理論ではないので。私数学者なんかじゃないですし。そこは目を瞑ってくださいね。ね?



●条件●
 使用するのは裏面が同じ四枚のカード。それぞれをA・B・C・Dとする。どこに何が入っても構わない。
 ガンをつける位置は各辺の両端(両サイドの上端及び下端と両エンドの左端及び右端)計八カ所。カードは全て裏向きとして、上辺左端から時計回りに1〜8番とする。
 カードの裏面はガンを除いて上下の区別はつかない。
 ガンはカードが上下回転した時に重ならないようにする。ただし、表裏の反転は考慮しない。
 カードとガンの位置は以下のように表記する。
例.A-1(このように表記された場合はAのカードの上辺左端にガンが打たれたという意味になる)

●パターン1●
 A-1 B-2 C-3 D-4
 以上四つの組み合わせはいずれも上下回転しても重ならない。また、
 A-5 B-6 C-7 D-8
 この四つ組み合わせはABCD全てを回転させた組み合わせであり、合同であるであるため一通りとなる。また、ABCDのいずれか一つもしくは複数を回転させた場合も同様に一通りとなる。

●パターン2●
 A-1 B-2 C-7 D-8
 以上四つの組み合わせはいずれも上下回転しても重ならない。また、
 A-5 B-6 C-3 D-4
 この四つ組み合わせはABCD全てを回転させた組み合わせであり、合同であるであるため一通りとなる。以下パターン1と同文のため省略。

 条件に従ってガンを打つ場合、全てがパターン1もしくはパターン2に当てはまる。
 よって、辺の端という共通点を持ち、かつ上下回転によってできる組み合わせを一通りとすると、組み合わせは二通りとなる。



 ……という理屈なのですよ。わからんという方は長方形の紙八枚を用意して試してみてください。多分そうなります。というか、組み合わせ変える時に回転させたらそれは一通りとして消化されるってわかるでしょう。
 理論を立てた感想。
 めんどい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。