灰色 大根の色。
世界中を覆うと何も存在しなくなってしまう世界。
あなたが残していった無彩色。
色のない私にあなたは最後まで色を残していった。
ただ、私には見えなかった。
「…星」
空の星に向かって手を伸ばしてみる。
もちろん届かない。
あの星たちの一つになったはずのあなたにも届かない。
それでも伸ばしてみる。
不可能に触れることができるとし、いつか大切なものに触れることを願って
私は今日も手を伸ばしてみる。
「大丈夫だよ。 何ともない。」
シュウ~
ポン~!
うつむいたとたんに聞こえる爆竹の音。
空の上には誰が打ち上げたのか分からない花火が刺繍されていた。
その姿をただぼんやりと眺めている私。
誰もいない丘の上で、
星のような炎に向かってもう一度手を伸ばす。
ガサガサ-
近くの草むらから聞こえる音に耳がぴんと立った。
ここには誰もいないはずなのに。 もう私だけが知っている場所なのに。
孤独な灰の狼に妙な緊張感が流れた。
「ニャー!」
そして現れたのは猫一匹。
道に迷ったのかな? それとも元々ここに住んでいたのかな?
何かは分からないが、猫はオオカミにゆっくり近づいてきた。
「あなたも見たい?」
「ニャー?」
自分に近づいてきた猫をオオカミは拒否しなかった。
ただ胸に抱いて持ち上げるだけだった。
「大丈夫、怖がらなくてもいいよ。」
「にゃおん…」
オオカミは考えた。 どんなに怖くてもそれ以上に望むものがあるなら、それは恐れることではないと。
いつか彼女の大切な人が言ってくれた言葉だった。
たとえあなたのすべてのものは灰になって消えてしまったが、
暖かい一言は胸の中に残っていた。
...そうしてほしかった。
ガサガサ-
もう一度草むらから聞こえる音。
「また猫じゃないよね…」
今度は警戒してみるオオカミだった。
そして現れたのは見慣れた顔。
黒髪に猫耳をした少女。
「なんと、どこまで行ったの?」
「…セリカ?」
「…え?」
ここで遭遇するとは、両方とも予想していなかったようだ。
もう少し明るい場所で、できればみんなで。
そのように会って一緒にしたかった。
突然の出会いは誰にでも当惑させるものだ。
「あ、こんにちは。 シロコ先輩」
ここはどうして?」
「あ、それが…··· 猫を探していて…」
猫なら多分この子のことだろう。
シロコは抱いている猫を芹香に渡した。
「名前がモニャンだったんだね。」
「あっ!シロコ先輩が連れてたの?」
「うん、なんだかんだ。」
いつの間にかセリカと接点ができてしまったシロコだった。
こんな風に会いたくはなかったけど。
だが、それでも突然会ったのがセリカであることがせめてもの幸いだと思うシロッコだった。
「セリカなら大丈夫だろう。」
あまりにも単純で純粋な子だ。
扱いやすかったから。
「ところで先輩はここで何をしていたの?」
「……何も。」
「ここは何もしないような場所じゃないんだけど?」
こういう時だけ鋭いセリカだ。
シンプルさが時には鋭い感覚を示す例だった。
シュウポン!
もう一度花火が上がり、
芹川シロコの視線はその炎に沿って上がった。
「先輩、もしかして、ここであれを見ていたの?」
「別に」
別に花火を見ていたわけではない。
見ていたところに花火があっただけ。
シロコの目は今も炎に向かっていなかった。
ぱたりと
芹香がじっと空を見上げるシロコの手を握った。
突然の行動に白子は驚くしかなかった。
「セ、セリカ?」
「ここにいないで行こう。 みんな下にいるよ。」
「…どうして?」
「どうしてだというの? シロッコ先輩はうちの対策委員会じゃないか。"
「私はあなたのシロコ先輩ではない。」
「それで?」
「それで。」
想定していなかった答えだった。
彼らはお互いに知っているが、知らない存在だった。
芹香の知り合いのシロコではなかったし、白子の知り合いの芹香ではなかった。
1週間前,キボトスは色彩の侵略をかろうじて防ぐことができた。
多くの子供たちの力と縁。
そしてその中心には「先生」という人物がいた。
色彩は彼らの縁に敗北し、
色彩の導き手は、自分の縁をこの世界に残すことに成功した。
「先生···」
灰色のシロッコはいつも空を見上げる。
空にはいつものように星があった。
その星が誰を照らすかは重要ではなかった。
ただその場に存在することが彼女を少しでも慰めた。
地上の子供たちに近寄ることができない異邦人だから
彼女はさらに空の上にいる自分の星に手を伸ばした。
「行こう、みんな待ってるよ!」
「みんな…?」
セリカが手を伸ばす。
シロコが空に手を伸ばすように。
彼女に一時の思い出が手を差し伸べた。
もちろん、彼女が知っている思い出ではない。
似ているが違う縁だった。
しかし、それでも芹香は間違いなくシロコに手を差し伸べていた。
「何してるの、行かないの?」
「......」
おとなしく手を握る。
記憶のように暖かい手だった。
無彩色の灰色にはそれさえも大切だった。
暖かい手は灰色を少しずつ染めていき、
オオカミはもう一度空を見た。
「先生、私がこんなふうに生きていいのかな?」
やっぱり分からない。
教えを望む生徒は、限りなく失われた自分の星を眺めるだけだった。
「会いたい。」
キラキラしているが見られなかった。
「大丈夫、何ともない。」
何ともない。
そのように自分自身に刻んでみる。
「先輩!」
「う、うん?」
「何をぼーっとしているの?! 先生から連絡が来たんだって!」
「…先生が?」
そしてその星は灰色に色を伝え始める。
少しでも泣かせるような小説を書きたいです。 ありがとうございます。