第6章
私達の村造りもようやっと軌道に乗ってきたある日、村が野盗に襲われた。
彼らは荒野の向こうから、集団でバイクに乗ってやって来る。
だから砂煙を上げるので、遠くからでもすぐに分かる。
私達はシェルターに避難した。
野盗どもはすぐに村に入ってきた。
よく見ると、連中は棍棒や斧で武装している。
幸い銃は持っていない。
それなら怖くない。
私とソリアが出て行き、元斗皇拳で少し脅かしてやったら、連中は震えあがって逃げ出した。
長らく張子の虎と言われていた私の拳法が、役に立った。
天帝守護のために拳を振るうという、私の本来の任務を図らずも果たしてしまった。
※ ※ ※
核戦争で国土の殆どが砂漠化してしまったらしい。
そして、その砂漠に、最近は野盗が出没するという。
彼らは集団でバイクに乗って、砂漠を縦横無尽に走り回り、出会った人間を皆殺しにして食糧を奪っていくという凶悪な連中である。
彼らはバイクや車の運転に長けていることから考えると、暴走族上がりではないか。(核戦争前から、我が国は暴走族が多くて、社会問題化していた。)
また、戦争前に軍は各地に大量の燃料を備蓄しており、民間にも備蓄を奨励していた。
それらの燃料を暴走族上がりの連中が見つけ出して、盗賊化しているというのが実態らしい。
治安が極度に悪化している。
第7章
核戦争で軍の機構は崩壊したと思われていたが、一ヶ所だけ組織的に活動している部隊があった。
陸軍の特殊部隊レッドベレーである。
治安を回復させるには、彼らの協力を得なければならない。
すぐにレッドベレーの駐屯地に使者を走らせ、協力を申し入れた。
拒否の回答が返ってきた。
腐敗堕落の果てに核戦争まで起こして国を滅ぼした政府に従う気はない。
今後は自分たちだけでやっていく。
そう言ってきた。
状況は破滅的である。
第8章
野盗集団の一つが強大化して、国土の東方を占拠した。
そして首領をKINGと呼んで独立政権の樹立を宣言したという。
もはや治安が悪化しているというレベルの話ではなく、国家が分裂し始めている。
※ ※ ※
東部都市で猖獗を極める野盗集団「KING」の首領が、実は拳法家のシンだと聞いて、我が耳を疑った。
シンは決して無頼の徒ではない。
シンといえば南斗聖拳の屈指の使い手。
我が元斗皇拳や北斗神拳と並ぶ名門ではないか。
それほどの男も盗賊に堕してしまったのか。
いや、東方だけではない。
国土の北部一帯を、拳王と名乗る者の集団が占領した。
時を同じくして南方では、聖帝と称する者が政権を樹立。
いずれも野盗集団が強大化したもので、住民に対する暴行略奪をこととするところ、シンなどと大して変わらないという。