場所
帝都・北斗の軍の基地
登場人物
ファルコ 帝都の金色の将軍
リン・バット 反政府派「北斗の軍」のリーダー
リハク 北斗の軍の軍師
ミュウ ファルコの恋人
ジャコウ 帝都の総督。
天帝を幽閉して実権を握り、権勢を振るう。
ジャスク・シーノ ジャコウの息子たち
ボルツ・タイガ 帝都の将軍
天帝
語り役
兵士たち
第一幕 北斗の軍の基地
(リン・バット・リハク登場)
リハク リン、バット。君たちにお客様が来ている。
今、お連れするからな。
(リハク、ミュウを連れて来る。)
ミュウ 初めまして。ミュウと申します。
あなた方がリンさんとバットさんですね。
実は、私はファルコ将軍の密使として、ここに参りました。
バット なに!?帝都の金色の将軍ファルコの!?
リハク まあ待て。
この人は私が知っている人でな、信用できる人だから大丈夫。
ミュウ これはファルコ様からあなた方への手紙です。
お読みください。
(ミュウ、手紙をリンに渡す。リン、手紙を読む。)
リン ・・・私ファルコもジャコウの横暴を良いとは思っていない。
いつかこの現状を正さなければならないと思っており、それについては貴殿たちと同じ考えである。
その我らが戦うのは愚かである。
ここは兵を退き、他日を期すようにしていただきたい・・・。
リハク ふうむ。・・・ファルコどのがジャコウに従っているのは、ファルコどのの本意ではないと、そういうことじゃな。
ミュウ はい。天帝を人質に取られて、やむを得ず言いなりになっているに過ぎません。
リハク そんなことではないかと思った。
よし、ミュウどの。貴殿に天帝救出の策を授けよう。
これからわしの言うとおりにすれば、ファルコどのは天帝を助け出すことができる。・・・多分。
ミュウ 多分って・・・そこで頼りないこと言わないでくださいよ。
第二幕 帝都・ファルコの部屋
(ファルコ・ミュウ登場。)
ミュウ ファルコ様。ただ今戻りました。
ファルコ ミュウ。いつも苦労をかけてすまないな。
リハクどのは、今度は何と言ってきている?
ミュウ これから北斗の軍が全軍あげて決起するから、ファルコ様には、負けたふりをして逃げ帰っていただきたい、とのことです。
ファルコ 分かった。
第三幕 帝都・ジャコウの部屋
(ジャコウ・ジャスク・シーノ・ファルコ登場)
ジャコウ ファルコ。なぜ逃げ帰って来た?
ファルコ 分かりませんか?
ジャコウ総督は国の予算を自分の贅沢にばかり使って、兵士の給料や食費を削っている。
兵隊は安月給に腹ぺこで戦ってるんです。
これでは勝てるわけありませんよ。
ジャコウ やかましいわ!
それで?今の敵情は?
ファルコ 北斗の軍は勢いに乗り、四手に別れてこちらに向かって来ます。
正面から来るのが、リンとバットの率いる本隊。
東から来るのが、カンの率いる第二軍団。
北から来るのが、タンジの率いる第三軍団。
西から来るのが、ジロの率いる第四軍団です。
ジャコウ ちょっと待った!
そのカン・タンジ・ジロとは誰だ?
リンとバットのことは知っているが、あとの三人は何者だ?
ファルコ 三人とも、五車星の山のフドウの村にいた者です。
フドウの村を拳王軍が襲った時に、
拳王先遣隊に痛めつけられていたところをケンシロウに助けられたのがカン。
拳王配下ヒルカに捕まったところをフドウとケンシロウに助けられたのが、タンジとジロです。
ジャコウ ああ、あの時の子ども達か。
フドウが死んだ後、同じ五車星のリハクについたのだな。
そして成長して、北斗の軍の軍団長にまで出世したのか。
ずいぶん偉くなったものだな。
・・・って、そんなことどうでも良い!
このままでは帝都が包囲されてしまうではないか!
どうするつもりだ!
ファルコ 私が抗戦して時間をかせぐので、その間にジャコウ総督は、天帝を連れて帝都を脱出してください。
そして味方を結集して、また戦うのです。
ジャコウ お前がここに残ったら、誰がわしを守るのだ?
ファルコ ジャコウ総督の護衛には、青の将軍ボルツ・緑の将軍タイガの二人をつけます。
あの者達を連れて行けば大丈夫でしょう。
ジャコウ うーむ・・・ジャスク。お前はどう思う?
ジャスク (小声で)良い作戦だと思います。
タイガ・ボルツの二人は元斗皇拳一門だがファルコ派ではない。我らの同士です。信用できます。
シーノ 目ざわりなファルコと北斗の軍とが潰し会いをして、我らだけが無傷で生き残る。一挙両得ではありませんか。
ジャコウ そうだな。
よし、ファルコ。お前のその作戦で行こう。
ボルツとタイガを呼べ。
今すぐ天帝を連れ出すのだ。
第四幕 帝都郊外
(ジャコウ・ジャスク・シーノ・ボルツ・タイガ・天帝・兵士たち登場)
ジャコウ よし、脱出の準備はできた!
ボルツたちも天帝を連れて来たな。
では、出発!
おい、ボルツにタイガ!どこへ行くんだ!?
行き先はこっちだぞ!
ボルツ はい!我々は、天帝をファルコ将軍のもとへお連れします!
ジャコウ 何を言ってるんだ!
天帝は我らとともに脱出する計画だろうが!
タイガ これがファルコ将軍のお指図です。
「ボルツ・タイガの二人は、ファルコを裏切ってジャコウについたふりをしろ。
そしてジャコウの信任を得てから天帝を救出するのだ。」
これがファルコ将軍から我々への命令です。
ジャコウ なにっ!
ボルツ それと、この策を考えたのはファルコ将軍ではありません。
リハク軍師どのです。
ジャコウ なにい・・・では、今までのは全部、リハクとファルコが結託した上での芝居だったのか!
ファルコごときにはめられるとは!無念!!
語り役 この後、ジャコウ一味はファルコの兵に逮捕された。
一説によると、この後、ジャコウたちはゲイラの郡都まで逃げたが、ゲイラがジャコウたちに催眠術をかけて、歩いて帝都まで帰らせたところをファルコに捕まったともいう。
ほどなくして第二次ファルコ内閣が成立。
北斗の軍と和議を結び、強制収容所の解放・国民負担の軽減などの改革が発表された。