BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
「先生.....?先生?」
私は身体をはね上げる。
「"あ?ごめん、なんだっけ?"」
「ダメじゃない先生!!途中で寝ちゃうなんて!!!」
コハルから怒られた。
「"ごめんね。
カンナ申し訳ないけど話を続けてもらってもいいかな?"」
「はい。分かりました。」
カンナは私の様子を見ながらため息をついて続きを話す。
「当時の私は試験的に生活安全課に配置されていたただの学生でした。
その時から"狂犬"の名前は広がっていたみたいですが.....
部下をアビドスの生徒に守らせる判断をしてくれた"彼女"に礼を言いました。」
「"じゃあカンナもサイファーと話した事はあるんだ。"」
私の質問にカンナは戸惑っている。
「どう....でしょうか。
ただただ彼女は喋らなかったので。
ただ隣にいたトリニティ生徒に
『いつか倍にして返してくれればそれでいいわ』と言われたのを覚えています。」
サイファーの隣にいたトリニティ生徒....
恐らくフェリだろう。
「"カンナはサイファーが今何処にいるのか知らない?"」
カンナは首を横に振った。
「.....わかりません。少なくとも捜索依頼等は出されていませんし、居場所までは....
ただ嫌な言い方ですが「死亡通知届」は提出されていません。」
遺体が誰にも発見されてない場合を除いて生きている。
カンナはそう言った。
一方のハナコはサイファーの実力を考察していた。
「"
聞いた限り実力はゲヘナの風紀委員長か....少なくとも実力ではキヴォトスの上位に入るでしょう。
それに冷静さと誠実さを併せ持ち戦況に対する判断力.....自らの危険を顧みず相手の意表を突く戦術。
そしてそれを可能にできる身体能力....
非常に嫌な理解の仕方ですが、アリウス生徒である、という可能性にも納得出来てしまいます。」
ハナコの分析は的を射ていた。
その彼女はどうして今姿を見せないのか。
ハナコがヒナを比較に出そうとするくらいの生徒は今何処で何をしているのだろう。
畏怖と敬意の狭間で生きた彼女は、ベルカ戦争をどう思うのだろう。
「先生大丈夫?」
思考にふけっていた私にミカが呼びかけた。
「"ごめん、なんだっけ"」
ハナコの隣に座っていたコハルから怒られる。
「もう!しっかりしてよね?」
カンナがため息をついた。
「.....私の話は今日は終わりです。
他に聞きたいことはありませんか?」
「"カンナはベルカ戦争をどう思ったの?"」
「....難しいですね.....最初は人を助けるための戦争だと思っていました。
ベルカ学園の圧政から占領された学園の自治区を解放する為の。
ですが、途中からそれは疑念に変わりました。
連邦生徒会がやっている事は正しいことなのか、と。」
「それは何で?攻め込んで来たのはベルカって学園なんでしょ?
ベルカ学園の生徒に占領されていた自治区は解放したんだし、それでおしまいじゃないの?」
コハルはカンナに問う。
私は理解した、カンナの言いたい事を。
そしてまた、ミカとハナコも理解したのだろう。
彼女達は純粋なコハルに言いたくないのか、それとも正義実現委員会である彼女の価値観に傷を付けたくないのか言えないでいる。
「.....今どうしてベルカ学園がないか、分かるか?」
逆にカンナがコハルに質問した。
いやこれは質問ではなく、問いかけだ。
カンナは答えを知っている。
「え?それは罰則とか....」
「違う。連邦生徒会の主導の元、潰されたからだ。」
「......え?」
コハルを置いてけぼりにして、カンナは私に懺悔のように語る。
「先生、私は.....
連邦生徒会の連合に侵攻されていくベルカ学園自治区を見て分からなくなりました。」
占領されていた都市を解放しても、敵が戦闘の意思を持っている限り、争いは終わらない。
故に、連邦生徒会はベルカ学園の廃校を、一方的に決定したのだろう。
この戦争の本質は都市であるディレクタスを解放してからだったのだと、私は後々考えさせられる事になる。
捉える人の立場によって誰もが正義となり、誰もが悪となりえる。
そして誰が被害者で、誰が加害者なのかすらも変わる
──── 一体平和とは何か?─────
戦争にはつきものの話だ。
ハナコが口を開いた。
「....ヒフミさんは今日、アビドスに行って、幸いでした.....」
ヒフミはエデン条約調停式の事件の時に言った。
『友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことはお友達と慰めあって!
苦しいことがあっても────誰もが最後は、笑顔になれるような!
そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!
誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!』
「平凡な生徒」「普通の女子生徒」と自称する生徒はそう言い張った。
だが、現実はどうだろう。
「誰もが最後は笑顔になれるハッピーエンド」
少なくともベルカ戦争は、そうはならなかった。
ベルカ生徒達の最初の願いは、守られなかった。
自分達が守ろうとした、居場所だった学園は無くなり、連邦生徒会には見捨てられた上に潰され、働く場所もなく、ただ日々を生きるために犯罪に手を染める。
そんな彼女達の現在は幸せと言えるだろうか....?
言えるわけがなかった。
この話を聞かされてしまえば、ヒフミの笑顔ですら、曇ってしまうだろう。
ヒナの言葉をまた思い出す。
"怒り"と"憎しみ"
この戦争は何も解決していない、まだ終わっていない。
それを裏付けるような事がカンナの口から語られる。
「先生。これは私自身の個人的な調査の報告ですが.....」
カンナがいくつかの報告書を差し出してくる。
「先生が調べている、と聞いて私も気になって調べたのですが....最近、元ベルカ生徒による犯罪数が上がっているようです。」
「"え?"」
「....一応伝えました。
それと、赤い糸で止めてある資料は絶対に流出させないでください。
勿論ここにいる生徒にも見せないようにお願いします。
読んだら燃やしてくれた方が私としても安心します。」
信頼してくれているのだろう。
カンナは紅茶のお礼をミカに伝えて席から立ち上がる。
「先生、くれぐれも動く時は慎重に、場合によってはヴァルキューレから護衛を派遣しますので。
ご武運を、それでは失礼します。」
そう言って、彼女は事務所を後にした。
残された空気は冷たかった。
最初に口を開いたのはミカ。
渡された資料を開封するかを決めあぐねている私を見て気を利かせてくれたようだった。
「んーーっ、人の話聞くの疲れたね!!コハルちゃん!ハナコ。休憩しない?」
その意図にハナコは気づいたようだった。
「え?あ.....そうですね。そうしましょう。」
「え?ちょ、2人とも?」
混乱するコハルの手を引いて休憩室へ向かうミカ。
「先生!休憩室借りるけど、いいよね?」
「"....うん。"」
「"さて"」
ミカ達が休憩室に言ってから、ヴェリタスのコタマが私に内緒で設置したカメラを取り外し、封筒の紐を緩める。
『燃やしてくれた方が私としても安心します』
書類を燃やす。
つまりこれは
カンナは遠回しにそう言っていた。
私は、中の書類を見た。
それは
キヴォトス、いや人の世で使用されてはいけない最悪なモノの痕跡を綴ったものだった。
そして、不穏な金の流れ。
───ベルカ戦争はまだ終わっていなかった──
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