BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR   作:神宮寺志狼

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#11 調査3日目 interval 9 境界─the border

キヴォトスの今の平和を根本から覆す衝撃の事実。

 

 

迷った末に私はホシノ達に連絡した。

 

 

『え?先生じゃん。どしたの?

あ、もしかしておじさん達の力必要な感じ?』

 

「"ホシノ達は今何処にいるの?"」

 

『う~ん....ちょっと皆でお出かけ中....かな?』

ホシノは居場所を濁した。

 

「"...多分、昨日のベルカの土地の分配について、調べてるんだよね.....?"」

 

『ありゃ、やっぱりバレちゃったか....。先生には隠し事はできないね。

まだ(・・)現地には行ってないよ。』

 

まだ(・・)、つまりこの後行く予定なのだろう。

 

「"絶対に行っちゃダメだ。"」

 

しばしの沈黙の後、ホシノは承諾してくれた。

『.... なにか理由があるんだね。先生。

 

わかった.......皆は上手いこと誤魔化して留めておくからさ。

こっちに来て説明してよ。』

 

「"今から?だいぶかかると思うけど。"」

 

私は時計を見る。

時刻は11:30。昼前だった。

ここからアビドスまでは1時間ほどかかる。

 

「"今からそっちに向かうね。"」

 

 

『急がなくていいよ~。』

 

ホシノとの通話は終わった。

彼女はああ言ってくれたが、ゆったりしている訳にはいかない。

 

私はミカ、ハナコ、コハルに説明する。

 

「私は先生のお仕事の手伝いをナギちゃんにお願いされてるから『ダメ』って言われてもついて行くよ!☆」

 

「"そっか、ありがとう、ミカ。頼もしいよ。"」

 

「うん!何があっても絶対先生を守るから。」

 

まだ、襲われると決まったわけじゃないんだけどね。

 

「コハルちゃんとハナコはどうするの?」

 

「"頼んでおいてなんだけど、強制はしないよ。

今さっき聞いた通り今回の──"」

 

「私は!」

 

コハルが私の言葉を遮った。

 

「私はっ......バカだし、昔の事とか戦争の事はよく知らないけど......

 

正義実現委員会の先輩達ならここで避けたりしないと思う。

 

だから私も行きたい!!」

 

ほっとするミカ。反対に冷たく言い放つハナコ。

 

「例えそれがコハルちゃんの望んでいるようなお話ではなくても?

貴女が知りたくないような真相だったとしても、ちゃんと向き合えますか?

 

先生が仰ろうとした通り、今回は他人(ひと)....いえ、

 

"大人"の汚い側面を見ることになると思います。

 

カンナさんが言っていた悲惨な話だって....」

 

「それでも、嫌だからとかそんな理由で目の前の真実から目を背けたら先輩達に顔向けできないし。

 

それに「補習授業部」で私だけ仲間外れなんてそんなの嫌!!」

 

コハルは向き合う覚悟ができている。

「"ハナコはどうするの?"」

 

『えっ?行かないの?』みたいな驚いた顔でハナコを見るコハル。

 

「しかたありませんね♪....コハルちゃんが行くって言ってますし。

私も同行します、というより元々それが目的ですし。」

 

ハナコも今回の件に1枚絡んでいるのだろうか....

「"誰かから頼まれたの?"」

 

「いえ、私自身も、過去の自分に向き合おうと思って。

それに先生に同行すれば、先輩にも会えるかもしれません。」

 

「そっか、そういうのもアリなんだ。」とつぶやくミカ。

ハナコもハナコなりに自らの過去と向き合おうとしていた。

 

大事なのは今と、未来。

それでも過去の自分がいなければ今の自分は成り立たない。

 

だからこそ、人は昔を振り返らなければいけない。

過ちを、歴史を、人を、振り返って今の自分を見つめ直す事が、人間という生き物には必要なのだ。

 

「"じゃあ決まりだね。行こうか、アビドスに。"」

 

───────────────────────

 

アビドス高校に着いたが、校庭で対策委員会(とヒフミ、アズサ)はホシノが破壊した雨雲号の修復をしていた。

 

「あら?何だかあられもない状態ですね?」

「え?何この残骸!ちょっとヒフミ、何があったの?!」

 

ハナコとコハルはトリニティ指定のジャージを来た生徒に駆け寄った。

 

「あはは.....その、今何があったとかじゃないみたいで....」

「コハルとハナコか。暇なら手伝って欲しい。」

 

補習授業部の生徒が全員揃った。

 

 

 

「あれ?ヘリコプターの修理?お疲れ様~。」

 

「"ホシノ、言われた通り来たよ。"」

 

私とミカは対策委員会に声をかけた。

 

真っ先に出迎えてくれたのは髪を後頭部でポニーテール二し、腕をまくったホシノだった。

 

「先生達いらっしゃ~い、早速だけど手伝ってくれな~い?」

 

見事にホシノ達対策委員会の罠に私達は嵌り、

 

ヘリコプターの修理を手伝うことになった。

 

 

 

 

「意外~。ほんとにアビドス高校の生徒って5人しかいないんだ~。」

 

誰かの予備のジャージを着たミカが重い荷物をグラウンドに下ろしながら呟いた。

そのつぶやきにノノミが返事をする。

 

「そうですよ~☆少数精鋭です♪」

 

「....辛くならないの?人もいない....資源もあんまり無さそうだし。それに───」

 

ミカの質問にノノミは自らの唇に指先を立ててミカの言葉を遮った。

 

「いつ復興できるかも分かりません。

それでもここは私達の居場所ですし、それに先生が来てから何もかもが変わりました。

 

私達は守っていきます。何があっても。」

 

ノノミは断言した、対策委員会を代表するように。

絶対に、皆の意思が変わることは無いと。

 

「....そっか。

その居場所大事にしなよ?

私はもう無くなっちゃったから....」

 

ミカの悲しげな声に心配で振り返る。

見れば、ノノミが作業の手を止め立ち上がり、ミカと向かい合っていた。

 

「無くなってなんていないと思いますよ?

ただ見失ってしまっただけだと思います、帰り道を。」

 

「そうかな?」

 

「はい、多分見つかりますよ。」

 

 

どうしてノノミがハイランダー鉄道学園の入学を()ってまでアビドス高校に入学したのか。

 

私には知る由もない。

彼女には帰るべき家があるのかもしれない。

 

それでも、確かに一つ言えることがあるとすれば。

 

 

「"アビドス対策委員会(ここ)もノノミの居場所で、何処かに出かけた時に帰ってくる場所だよ。"」

 

私は独り言のように呟いた。

 

「...ありがとうございます☆先生。」

 

ノノミの話を聞き終わったミカは荷物を持った。

 

「そろそろ行くね☆」

 

「そうですか......」

 

ミカは、まるでノノミから逃げるように去っていった。

 

ミカにとっての救い。

見方によっては、罰とは許しであり、救いである。

 

自らを責める事によって、救いを享受している。

ミカはまだ向き合えていないのかもしれない。

 

「時間かかると思うよ~?」

ミカと入れ替わりにホシノがやって来る。

 

「おじさん程じゃないだろうけどさ。」

 

「"そっか....."」

 

「まぁ、待つしかないんじゃない?」

 

ホシノは自らの経験則から言う。

 

確かに、ミカにも考える時間は必要だ。

 

 

 

 

アヤネ主導の元、私とミカ、対策委員会、補習授業部の11人で取り掛かった。

 

見るも無惨だった雨雲号3機は5時間かけて修理が完了した。

多分エンジニア部辺りに話を持ち込めばもっと早く終わっただろう、とクタクタになった私は思ったが、でもエンジニア部に任せたらとんでもない機能を付けられそうだ、と考え直した。

 

 

 

「試運転をかねて飛ばそうと思っているんですが。どうしましょう。」

 

もう時刻は18時を過ぎている。

 

「へ、ヘリコプターに乗れるの!?」

 

アヤネの言葉にコハルが喰いついた。

 

「あら?コハルちゃん。ヘリコプターに興味があるんですか?」

 

「え!?あ、べ、別に興味なんて....でも高い所から皆で綺麗な風景をみたいな....なんて。」

 

口角をあげコハルを揶揄うハナコだったが、その一言で笑顔の意味が変わった。

 

「....私も、このキヴォトスを空から見てみたい。」

次に口を開いたのはアズサだった。

 

「.....ならヘリコプターでトリニティまで送ってくれませんか?」

 

 

「....人数は先生を入れて11人、1つのヘリに5名乗れるので、大丈夫です。」

 

「え?でも誰が操縦するの?」

ミカがアヤネを問いただした。

 

 

「私が操縦した機体に追従するように設定してあるので大丈夫です!!!」

 

こうして、皆、ヘリコプターによる試運転に付き合う事になり

 

アヤネとセリカとノノミが1番機へ、

2番機には私とホシノ、シロコ、ミカが。

3番機には補習授業部が乗り込むことになった。

 

 

 

「うへぇ~、おじさん達も乗るの....?」

 

「....いいから早く乗る。」

 

「わかったって、シロコちゃん。」

 

シロコに手を差し伸べられる。

 

「ん、先生。」

 

私はその手を掴み、乗り込んだ。

 

今度は逆に私がミカに手を差し伸べる構図になった。

 

 

・["足元に気をつけてね、お姫様。"]

 

・["足元に気をつけてね、ミカ"]

 

 

「"足元に気をつけてね、'お姫様'。"」

 

一瞬ミカの目が見開かれた。

瞬きをした時にはミカの表情は明るくなっており瞳を閉じて私の手をとり言った。

 

「じゃあエスコート頼むね☆」

 

ミカがヘリコプターのドアを閉じた。

 

 

《皆さん、乗りましたか?》

 

1番機、アヤネから無線通信が入った。

シロコが受話器を取る。

「ん、2番機、全員乗ったよ。」

 

シロコの後にハナコから通信が入った。

 

《こちら3番機、全員"奥まではいりました♡"》

 

各ヘリコプターの無線からゴホゴホと噎せた声がきこえた。

その後、『エッチなのはダメ!!極刑!』と罪状が傘増しされたツッコミが入る。

 

《え?皆さん何を想像したんですか?》

といつも通りのハナコだった。

 

 

落ち着いたあとヘリコプターは離陸した。

 

重力が体にかかったのはほんの一瞬だけでどんどん高度が上がっていく。

 

 

足が地面についてない恐怖感は拭えないものの、隣で「わぁぁ.....」と喜んでいるミカや嬉しそうに頬を緩めるシロコ達を見てそんな感覚はなくなっていった。

 

3番機からは楽しそうな声が聞こえてくる

 

 

《見てくださいアズサちゃん!!あの雲、ペロロ様に見えませんか!?》

 

《....ホントだ...。》

 

 

 

《コハルちゃん、あの雲....》

 

《え、あっ.....//っっっ~このヘンタイッッ!!!》

 

《私はまだ何も言ってませんけど、何を想像したんでしょうねぇ~?》

 

《あっ....ううっ.....》

 

阿鼻叫喚だった。

 

 

 

 

 

空の道無き道を進んで数分。

 

ホシノか受話器を取った。

 

《アヤネちゃん。例の2箇所、見て回りたいんだけどさぁ。》

 

 

例の場所......???

まさか!!!

「"待って!ホシノ!!"」

 

ホシノは私に振り向いてこう言った。

 

「大丈夫だよ、先生。多分上空は"汚染"されてない。

 

学区の境目は、上空から見るからさ。」

 

 

ホシノは知っているようだった。

 

彼女は受話器を掴んで言った。

 

「一応念の為に言っておくけど、ここから先絶対にヘリコプターのドアを開けたり、窓を開けたりしないでね。

 

命の保証は、出来ないからね。」

 

 

ホシノは何かを睨むように眉間に皺を寄せ、真面目に言い放った。

 

 

 

 

数十分、ヘリに乗っていると、『ソレ』は見えて来た。

 

 

窓から大地を眺めたミカが呟く。

 

「ナニ...?これ....」

 

アヤネからも無線が入った。

 

《先生....ホシノ先輩... コレ、なんですか....?》

 

怯えたアヤネの声。

 

アビドスの砂の被った大地とベルカの荒れた大地、学区の境目。

 

それは大きくえぐれていた。

もはや境目など、見えない、見えなくするかのように。

 

 

「これが、連邦生徒会がベルカを責め立てた結末だよ....。」

シロコの言葉に続いて無線が入った。

 

《........連邦生徒会の連合に、敗北して撤退戦が始まって....本来のベルカ自治区までその手が及びそうになった時。

 

 

ベルカ学園は、自らの自治区(・・・・・・)の境界で()()()()()()()()()()()()()()()7()()()()()()()んです。》

 

 

1番機、ノノミからの無線だ。

 

おそらくホシノやノノミだけではない。

シロコも含めベルカ戦争に参加した生徒はみんな知っているのだろう。

 

「じ、自治区....?このクレーターみたいな跡地が?」

 

嘘でしょと零したミカが口に手をやる。

1番機、セリカも同じ反応をした。

 

《え?嘘でしょ?だって、だってさ!向こうに!向こうにっ!!

街が......民家があるじゃない!》

 

 

クレーターの外周には、僅かだが崩れかけた建物が残っていた。

 

奥にはビルが見える。

 

 

 

《.....ここに....ここにが住民がいて、建物もあった....って事ですか......??》

 

《私には、理解できない....》

3番機から、ヒフミと、アズサの震えた声が聞こえる。

 

 

「そう。ここに住んでた人がいた。住居もあった。」

シロコが返答した。

 

 

私はカンナに渡された資料で知っていた。

 

 

今のベルカ学園の校舎付近は立ち入り禁止区域になっており、扱いはカイザーコンストラクション持ちになっていた。

キヴォトスでは解析が不可能な物質による人体への汚染により安全が確認出来るまでカイザーコーポの管理下に入る事になったのだ。

 

しかし、他校の敷地を企業が持つことはキヴォトスでは異例に当たるため表向きはアビドスと、ゲヘナの自治区という扱いにされ情報は伏せられていたのだ。

 

「これ以上は領空侵犯だね。迂回しよっか、アヤネちゃん。」

 

 

《わかりました.....》

ホシノの指示でヘリが傾いて旋回する。

 

「あれがベルカ戦争の傷跡だよ。あ~ぁ、やだねぇ~」

 

とホシノはおちゃらけて言うが受話器を握る手には力が入っていた。

 

自らの自治区、守るべき土地を侵略者から守るために焼く。

 

異常な迄の執着心だった。

 

 

私は恐る恐るホシノに聞いた。

 

「"次は何処に行くの?"」

 

「着くまで秘密だよ~。

ホントは私も行きたくないんだけどさぁ」

 

答えてはくれなかった。

 

 

 

数分後、ハナコから無線が入る。

《何か見えてきました....あれは....》

 

《...巨大な、ビル...剣みたいな....》

 

ヘリコプターの高度が徐々に下がっていき、着陸した。

 

「皆降りて~。」

 

ホシノが誘導して、30分越しに地面の感触を踏みしめる。

 

「何、なんなのよこれ!」

 

ハナコの腕にしがみついたコハルが叫ぶように言った。

 

シロコが呟いた。

「....巨神の刃(エクスキャリバー).....」

 

「"これがエクスキャリバー...."」

 

「こんな形で再会するとは思いませんでした。」

 

物思いに振る対策委員会3人。

 

「で、これはなんなんだ?」

アズサの問にホシノが答えた。

 

 

「超高出力レーザー砲台、コードネーム「エクスキャリバー」、ベルカ戦争におけるベルカの秘密兵器だよ。」

 

ホシノの呟きに誰もが押し黙った。

先程の"境界線"と"巨神の刃(エクスキャリバー)"

 

 

「"確か射程距離(レンジ)の概念が存在しないくらい遠くまで届く、直撃したらヘイローの加護下でも危険な兵器だったよね?"」

 

補習授業部が戦慄した。

特にアズサだ、彼女はサオリとの戦闘でヘイロー破壊爆弾を使用していた。

 

 

「先生!この兵器にはやっぱりキヴォトスに存在しない技術が使われています!!!」

 

列車砲(シェマタ)の時と同様に、アロナは断定した。

 

その時だった。

 

〈ダダダダダッ!!〉

突如、生徒とヘリの足元に弾丸が飛んできた。

 

 

「よう、久しぶりだな、先生。それとアビドスの面子か。」

 

その声には聞き覚えがあった。

 

「"こんばんわ、ネル。どうしてここに居るの?"」

 

ミレニアムサイエンススクール所属

cleaning(C)(&)clearing(C)、コールサイン00(ダブルオー)

美甘ネル。

 

その後ろに銃を構え、続くC&Cメンバー達。

 

「先生、ちょっと時間貰えねぇか?」




後書き

雨雲号3機共アビドス第3章でホシノが破壊したままでしたけど。
このまえのトリニティアイドルイベントで復活してましたね。

ですが、修理パートがなくて安心しました。

というわけで本編の補填(烏滸がましい)として皆で修理する回でした。

エスコン×ブルアカの小説で読みたいナンバリングを教えてください(04、5、6、7)

  • 04、メビウス1無双が見たい。
  • 5、ZEROのねじ曲がったもう1つの未来
  • 6、ブルアカは群像劇だぞ?
  • 7、高性能ロボに苦戦する生徒達
  • もう満足
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