BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR   作:神宮寺志狼

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#2 プロローグ

「ベルカ戦争...?いや~懐かしい話だねぇ~」

 

会合は無事終わり、解散となった所で私は風紀委員長の(空崎)ヒナとその補佐である(天雨)アコ、そしてアビドス生徒会(対策委員会)全員に残ってもらった。

 

(小鳥遊)ホシノは1年前の事を「懐かしいなぁ」なんて言う。

一方のヒナはこう呟いた。

 

「あれは...酷かったわ。

不良達が(たま)に撃ち合うガス抜き感覚の騒ぎじゃなくて......生徒と生徒、学校と学校が互いの怒りや憎しみに駆られて引き金を弾く、まさに"戦争"そのものだった....。」

 

「"エデン条約調停式の時のような...?"」

 

エデン条約....ゲヘナとトリニティの間における平和条約、

 

アリウススクワッドを傀儡にし、生徒達の思いを踏み躙ったベアトリーチェの暗躍によって破壊されてしまった。

式会場には巡航ミサイルが着弾し、戒律の守護者(ユスティナ聖徒会)を顕現させ多くの混乱と怪我人を生じさせた。

 

死人が居なかったことが奇跡だった。

 

「えぇ、あの様な状況が3ヶ月間、続きました。」

アコはさながら「それでは表現が足りない」とばかりに私に返事をした。

 

キヴォトスにおいて紛争や内乱(クーデター)、テロリズムはこの目で目の当たりにしてきたが、学園同士のそれも1つの学園が複数の学園と戦争すると言った状況が想像もつかなかった。

何故ならこのキヴォトスの生徒達はヘイローのおかげで銃弾を浴びてもコロッとしているからだ。

 

「で、先生さぁ、どうしていまさらベルカ戦争の話が聞きたいのさ、悪いとは言わないけど変なことには首は突っ込まない方がいいとおじさん思うなぁ~」

 

ホシノが少し機嫌悪そうに質問をする。

 

彼女の気持ちはわからなく無い。

何故ならつい前日、ホシノは前アビドス生徒会長(梔子ユメ)の事に折り合いをつけたばかりなのだ。

それを手助けした私が過去の事を聞くのは本来であれば間違っている。

 

「小鳥遊ホシノ...貴女、前を向いて生きるんじゃなかったの?」

機嫌が悪かったホシノに思うところがあったのかヒナがホシノと私の間に口を挟んだ。

 

「うへぇ~、そこを突っ込まれちゃうとおじさん反論できないかな~。

でもどうしてなのか疑問なのはホントだよ。

今2人から聞いた通り気分のいいものじゃないしさ。」

 

私はゲーム開発部に依頼を頼まれたこと、連邦生徒会にはしっかりとした情報が無く、資料をまとめる手助けをする事になった話をした。

 

「仕事か~...じゃあ仕方ないよね。」

「私は別に構わない....帰ったら情報部の子に聞いてみる。でも、先生。クロノス報道部は尋ねた?あそこなら情報が残ってるかも。」

 

ホシノのいつもの気だるげな言葉にヒナが続いて了承の意とともに手がかりを教えてくれた。

そういえば、アビドス自治区の自治権問題もヒナが情報をくれたから気づけたのだ。

私としては感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

 

「"教えてくれてありがとう。機会があれば聞きに行くね"」

 

小さく「このくらい別に...」といったヒナとは対照的にホシノは告げる。

 

「そうは言ってもおじさん達も断片的な情報しかしらないよ。大した役には立てないんじゃないかな~

先生が作ろうとしてるのって正式な資料みたいなものでしょ。」

 

「"うん、だからちょっと困っててね、だからみんなに聞いて回って最終的には編集する形かな"」

 

「そうするとゲーム開発部の依頼である'主人公'や'敵キャラ'を誰にするか、ですね。

....テキトーではダメなんですか?あの問題は根深く残ってますし誰か個人にしてしまうと色々と問題が...」

 

アコの懸念点。

憎しみ、復讐、

アリウススクワッドの(錠前)サオリを前にした(聖園)ミカを思い出した。

 

その火種があちこちに転がっているのであれば情報という火をつけた瞬間に燃え上がってしまうだろう。

 

それに対してここまでだんまりしていた(奥空)アヤネが口を開いた。

 

「先生 そのゲームには実名を出さなければいけないのでしょうか?

学園も王国とかに置き換えてしまえばある程度誤魔化せますし、」

 

「ん、それはそう、開発者次第。」

隣にいた(砂狼)シロコもアヤネの意見に賛同した。

 

「"情報をまとめた時にゲーム開発部のみんなに聞いてみるよ。それでホシノ、ヒナ、主人公に出来そうな生徒を誰か知らない?出来るならベルカから独立した学園の生徒がいいんだ"」

 

そのほうが波は立たないだろうと考えた結果だった。

もう無くなってしまった学園の生徒であれば特定されにくいだろうと。

 

 

黙って考える皆、アヤネと(黒見)セリカは1年生。当時は中学三年生だったので戦争自体には参加してなかったのか、首を横に振っている。

 

「....あぁ....1人居るね。」

 

沈黙を破ったのはホシノだった。

すかさずヒナが聞きかえす。

「それは誰?」

 

「あれ、ヒナちゃん知らない?'鬼神(・・)'の話。」

それに対してアコが割り込んだ

 

「'鬼神'って、あの'円卓の鬼神(デーモンオブラウンドテーブル)'ですか?でもあれは単なる噂ではないのですか?』

 

(十六夜)ノノミがホシノに聞いた。

 

「先輩...もしかしてあの子ですか?」

 

「そう、多分あの子だよ。行政官の──ええっと」

 

ホシノがアコを見て言葉が止まる。

「天雨アコです!ちゃんと覚えてくださいね。小鳥遊ホシノアビドス生徒会長!」

 

「うへ~ごめんねー。おじさん歳だからすぐ人の名前忘れちゃうんだよね~」

 

「いや私たちとほとんど同じじゃない!」

いつものようにホシノがボケてセリカがツッコミを入れている。

 

あの時のバラバラだった対策委員会はもう無い。

今はしっかりと─以前より、皆で前を向いている。

 

("良かった....")

心からの安堵が口から漏れそうになるのを何とかこらえた。

 

「アコちゃん、確か'鬼神'って'片羽'と同じ部隊に所属してたんだよね?」

 

「アコちゃん、って、いきなりちゃん付けですか...まぁいいですけど、

 

えぇ、そうです。話によれば'鬼神'の隣にはいつも'片羽'が居たそうです。」

 

「じゃ、決まりだね。」

 

「"それで、ホシノ、'鬼神'と'片羽'ってなんの事?"」

 

ホシノには2つ名がある。

 

暁のホルス。誰が言い出したかは知らないが前日の事件を見てれば皮肉としか言いようがなかった。

 

「'円卓の鬼神(デーモンオブラウンドテーブル)'と'片羽の妖精(ソロウイングピクシー)'、ベルカ学園から独立したウスティオ傭兵育成学校所属のガルム隊のNo1とNo2だよ。」

 

ホシノは語る。

 

「あの頃の私達はアビドスを背負って色んな所に出稼ぎのような形で働きに出かけてた。

まだカイザーがヘルメット団を雇って攻撃してくる前だったからね、学校は幾らか開けてても平気だったんだ。

 

規模は圧倒的に小さいものの武力では圧倒的な力を持つベルカに対して学園個々は敗北しては後退を繰り返してた。

そうしてベルカは自治区を無理やり拡大していった。」

 

「"え?そんなに?!"」

驚いたアビドスはともかく東にはゲヘナ

北にはトリニティとレッドウィンター、少し遠いが北東にはミレニアムサイエンススクールが存在している。

 

それらをたったひとつの学園が1度に押し返したというのだから信じられない。

 

「....本当よ、先生。

あの時の風紀委員会(私たち)ですらあの議長(マコト)が馬鹿なこと言う前、規模が縮小されてなかった時。

それでもギリギリだったわ...私も常に最前線に居た。

小鳥遊ホシノの言葉は私が保証する。」

 

「多分自分達の学校を守りたくて必死だったんじゃないかな~実際私達も9億円なんて馬鹿みたいな借金を背負ってきたけど何とかなってたし。

 

話を戻すよ先生~。

アビドスは砂漠化のせいであんまり攻め込まれなかったから私たちは余裕があったんだけど。

 

ある時、連邦生徒会から連絡が来てさ。いや~まともな支援もくれないのに図々しいなぁ~なんて当時は思ったよね。

 

内容はベルカの脅威に対抗するべく各学園が協力して戦う'連合軍'への参加の勧誘だった。

 

働けばお金は貰えたし借金返済の為にもと思っておじさん達3人も、それに参加したんだ。」

 

ノノミとシロコは悲しげな表情をして下を向いた。

 

借金に追われて廃校寸前、それはアビドスも似たような状況だったのだ。

もしかしたら有り得たかもしれないアビドス高等学校の未来の姿だ。

それを同じ境遇の自分達が戦って追い詰めたのであれば良い気はしないだろう。

 

居場所を守る為に必死で戦う。

アビドス対策委員会、ゲーム開発部、RABBIT小隊、FOX小隊、百花繚乱調停委員会。

 

ベルカは彼女達と何も違わなかった、ただ立場が違っただけ。

 

「私とノノミちゃんとシロコちゃんが最初に参加した作戦に'片羽'が参加してて、隣にもう1人生徒がいた。私達アビドス対策委員会3人は臨時編成でその2人と組むことになったんだ。」

 

そしてホシノはため息を吐いた。

 

「先生、知ってた?

生徒(エース)は3つに分けられるんだ。」

 

ホシノは親指を立て

「強さを求める子」

 

人差し指を立て

「プライドに生きる子」

 

中指を立てた

「戦況を読める子」

 

「この3つかな、

うん ....やっぱり、あの子は確かにエースだったね...」

 

皆が聞き黙り、傍から見れば格好付けているホシノの姿を何も言わずに見ていた。

「彼女と初めて会ったのは雪の降る寒い山道だったよ」

エスコン×ブルアカの小説で読みたいナンバリングを教えてください(04、5、6、7)

  • 04、メビウス1無双が見たい。
  • 5、ZEROのねじ曲がったもう1つの未来
  • 6、ブルアカは群像劇だぞ?
  • 7、高性能ロボに苦戦する生徒達
  • もう満足
  • どこかの掲示板でスレ立ち上げたら?
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