BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR   作:神宮寺志狼

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登場人物紹介

【P.J】


【挿絵表示】

本名....神宮寺ペロコ SRT特殊学園のCROW小隊に所属していた当時1年生。 故人。

SRT特殊学園の当時1年生であった生徒。

モモフレンズにおいてペロロを崇拝しており、育てた者がペロロが好きだったためそういう名をつけられた。
自分では気に入っている。

元々は百鬼夜行の地域に住んでいたがFOX小隊の活躍を見てSRT特殊学園に入学を決心する。

百鬼夜行では名家の出身で、世間知らず。
最初は戦争を美談のように語り、戦うことを甘く見ていたがサイファー達と共に行動する度に辛く苦しい戦争の側面をみて考えた方が変わっていく(?)

座学はいまいちだが、同期の中ではTOPクラスの戦闘能力を誇り、チームでは3番ながらもいつも明るくどんな時も諦めない所から隊長やメンバーから信頼されており、時には彼女が指揮をすることもあった。
百鬼夜行には体の不自由な姉がおりよく端末で話をしている姿が目撃されている。

ベルカ戦争の終戦後の事件でK.I.Aと判断された。




モチーフは
ACE COMBAT ZEROより

P.J
本名....パトリック・ジェームズ・ベケット
《趣味は「ポロ」!あの馬にのってやる奴!
まぁいいや。サァ!行くか!》



以下本編


S.J+A.R R-07.MAYHEM~B7R総力戦

《緊急出撃命令だ!

 

現在、自治区境界付近に位置する、ベルカ絶対防衛戦略領域(B7R)において連邦生徒会連合とベルカ学園による大規模な総力戦が行われている。

 

B7R、通称『円卓』の存在は、長らくベルカ軍事学園の強大さを象徴する場所となっていた。

 

しかしながら、本日より開始された電撃進行作戦、コードネーム『バトルアクス作戦』と共に連邦生徒会はB7Rの制圧という方針を決定した。

 

今作戦の成否如何では、このベルカ戦争自体に終止符を打つ機会が得られるだろう。

 

少し遅れての参戦となるが問題は無い。

 

新生ガルム隊(・・・・・・)の健闘を祈る。》

 

 

 

 

 

 

エクスキャリバー破壊任務を完了したガルム隊とアビドス対策委員会はそれぞれ別の部隊として再配置された。

 

功績を挙げすぎた結果、上からは部隊員数が5人とはいえ「過剰戦力」と判断されてしまったのだ。

 

 

「ここでお別れね。これまでありがとうホシノ、ノノミ、シロコ。」

 

フェリが右手を差し出した。

 

「やだなぁ、ピクシーちゃん、今生の別れじゃないんだからさ。

また会えるでしょ。」

 

「そうですよ☆、次に会う時は皆でショッピングしたり遊びに行きましょう!」

 

 

フェリは暫くの沈黙の後に頷いた。

「そうね....また、会いましょう。

今度は戦場では無い、何処で。」

 

感動のお別れムードだったが、残る2人がそれを台無しにした。

 

「ん、気が早すぎる。まだ戦争は終わってない。」

 

「ああ、シロコの言う通りだ。

それに戦場で顔見知りを見るなんてザラだ。

 

せめて、お互いが敵同士で無いことを、祈っておく。」

 

 

サイファーは、1人ホシノ達に背を向けて輸送車に乗車しようとする。

 

 

「待って、サイファーちゃん。」

 

ホシノがそれを呼び止めた。

サイファーは振り返らずに動きだけ止めてホシノの言葉を待った。

 

「今度会った時さ、この盾の持ち主(・・・・・・・)にどこでいつ会ってどんな話をしたのか教えてね。」

 

 

「いつか........お互い、無事であればな。」

 

 

そうしてサイファーは車の中に消えていった。

 

「.....相変わらず不器用よね。あの子。」

 

フェリが呆れてため息をついた。

 

「ん、でも、そこがいい。」

 

「シロコちゃん、本当にサイファーちゃんの事好きだよね。」

 

ホシノの言葉にシロコは顔を赤く染めた。

 

「 ......自分と、どことなく似てるから、かもしれない。

 

自分の事はあんまり話してくれなかったけど、銃を撃つ時の姿勢とか、走りながら撃つ時のコツとか、他にも色んなことを教えてもらった。

正直、ホシノ先輩より分かりやすかった」

 

「うへぇ~、さりげなく酷くない?」

 

ホシノは肩を落とした。

 

「いつか、私も2人と遊びに行きたい。」

 

シロコはフェリの差し出した手を握った。

 

「最初に組んだ時、戦車の砲弾から助けてもらったこと、一生忘れないよ。

 

ありがとう。」

 

 

「あら、貴女そんな昔....いえ、そんなに昔の事でも無かったわね。」

 

 

「おい、何してる!そろそろ時間だぞ。」

フェリが運転手に声をかけられる。

 

 

「ありがとう、後輩達。

 

また会いましょう。」

 

 

 

そうしてフェリも乗車した。

 

 

 

「行っちゃいましたね....」

 

「そだねぇ~、寂しくなるかなぁ。」

 

「.....大丈夫。また会う、って約束したから。」

 

「よ~し、全部終わったら2人を誘ってラーメン食べに行こう~!」

 

 

対策委員会一同は暫く感傷に浸った後、別の集合地点を目指した。

 

 

─────────────────────────

 

サイファー達が戦場(B7R)に到着した時には、戦況は劣悪になっていた。

 

なんと、連邦生徒会の連合軍はその総力の40%を喪失していたのだ。

 

改めてイーグルアイからの報告が来る。

 

 

《連邦生徒会より連絡!

 

連邦生徒会連合戦力は既にその総力の4割を喪失したようだ!》

 

《...何ッ?》《えっ?こんな時に冗談は笑えないわよ!?》

 

イーグルアイに2人が聞き返すが、彼女は沈黙で返した。

 

 

B7Rはその環境上、通信が混線する事がある。

 

突如として聞こえてきた味方の通信は、阿鼻叫喚だった。

 

《誰か援─────》

 

《クソッ!数が多すぎて手に負えねぇ!!》

 

《ねぇ!援軍はまだ来ないの!?》

 

《こ、こんな所で死にたくないよっ!!》

 

イーグルアイがサイファーに頼むように命令する。

 

 

《状況が混乱している上にこのまま行けば敗走確定、この戦争は振り出しに戻ってしまう .....

 

 

頼んだぞ2人とも!》

 

 

 

《ええ.....

 

 

 

よし、花火の中に突っ込むわよ!!!》

 

 

 

《.....あぁ!》

 

そんな中に、2人は意を決して突入した。

 

 

〈ダダダダッッッ!!!〉

〈ダダダダダッ!!パンッ!!パンパンッッ!!〉

 

 

 

逃げ腰で退却するゲヘナ学園生をかき分け、

続々と押し寄せるベルカ生徒に向けて発砲し、急所に弾丸を当て次々倒していく。

 

あの時2人で偵察に来た時とは、見える景色は全く違った。

 

 

辺り一面に倒れる生徒、鳴り止まない銃声。

薬莢が地面にくい込んでいる様は、まるで苗がが植えられた畑の様だった。

 

 

そんな中、敵生徒の通信が混戦する。

 

《たった2人?しかも強い。

 

妙だ.....情報管制役(オペレーター)!あの二人は何処の所属だ!?》

 

《確認している場合か!!倒せばそれでいいだろう!!》

 

 

 

 

味方のゲヘナ学園生はというと.....

 

《援軍が2人?何処の隊だ!?》

 

 

 

《情報確認中.....

 

ッ!?ガルム隊です!!

 

タウブルグの剣(エクスキャリバー)」を抜いたガルム隊です!!》

 

 

《 《おおおおっっ!!!》 》

 

 

ベルカの秘密兵器としてエクスキャリバーは有名になっていた。

 

ホシノ達が注意を引き付けていたとはいえ、幾度かは風紀委員会、万魔殿の生徒達に照射されていた。

 

 

 

それの破壊に貢献したガルム隊の2人が名を馳せるのは当然の結果だった。

 

 

《今のうちだ!!負傷した奴らを後方に下げろ!!!

 

戦える奴だけ残れ!!》

 

銀髪の風紀委員の腕章を付けた生徒が叫んだ。

倒れている生徒に風紀委員の生徒たちが肩を貸し後ろへ下がっていく。

 

その間にもサイファーとフェリはベルカ生徒を倒していく。

 

《リロードする。フェリ、スイッチだ。》

 

《了解!援護する───》

 

 

 

 

 

《援護します!サイファー!!!》

 

そんな2人の隣にとある生徒が並んで入れ替わりでアサルトライフルを斉射し始めた。

〈ダダダダダダダッッ!!〉

 

 

《こんな、大規模な戦闘初めて!!!》

 

 

そこに居たのはCROW小隊No3のP.J。

 

 

 

《円卓が何だって言うんです!?

 

こんなの私....いえ私達(・・)にかかれば....!!》

《いえ!サイファーと私だけでも充分よ!!!》

 

負けじとフェリも敵をノックアウトする。

 

サイファーもリロードを終えフェリの後ろから立ち上がるが、周囲にあったスナイパーライフルを手に取り動作確認をする。

 

敵は前衛を一時的に務めたフェリとP.Jを狙撃しようとしていた。

彼女はそれを見抜き、放たれた弾から居場所を把握しカウンタースナイプ(反撃)した。

 

イオリが指揮していた風紀委員を追撃していたベルカ生徒はその数300。

それをサイファーとフェリ、P.Jは20分足らずで撃退した。

 

サイファーに向けて通信が入る。

 

 

 

 

《こちら風紀委員の銀鏡イオリだ。ガルム隊、礼を言う。》

 

 

逃げてきたはずの彼女の制服はボロボロで下着が見えかけていた。

撤退とはいえ死力を尽くしたのだと、誰もがみても明らなほどに足はガクついておりその状態での戦闘継続は困難だろう。

 

 

何も返さないサイファーの代わりにP.Jが返答した。

 

《貴女達は前線から退いてきたんすよね?

 

風紀委員会本隊は?》

 

イオリが悔しがりながら答えた。

 

《私達が本隊(・・)だった筈なんだ!!

でも、ガスマスク付けたなんだかよく分からない連中と所属不明の部隊に襲われて戦線は一気に瓦解して.....

 

風紀委員長は立ちすくんで動けなくなった生徒を守りながら私たちを逃がす為に今も敵を1人(・・)で抑えてる!!》

 

P.Jが驚愕する。

 

《それは本当ですか!!?》

 

フェリはサイファーを見て肩を竦めた。

 

《上には上がいるのね....》

 

《.....噂の風紀委員長、空崎ヒナか。》

 

3人にイオリは頭を下げた。

 

《頼む!委員長を───》

 

《皆言わなくていい、了解した。

これよりガルム隊はゲヘナ学園 風紀委員会を援護する。

 

イーグルアイ、誘導は出来るか?》

 

 

《了解した。

この前のお前たちの活躍もあって最新鋭の無人偵察機(高性能ドローン)を調達出来たからな。

このB7Rでもなんとかなっている。

 

前方3kmにゲヘナ風紀委員長らしき生徒を視認した!

まだ無事のようだ!!》

 

《了解した!!行くぞ"片羽"。》

 

 

後ろにいる風紀委員会の為に敢えてサイファーは2つ名で呼んだ。

 

《ガルム2、了解(ウィルコ)

 

P.J!迷子なら付いて来なさい!!》

 

 

 

《ラジャー、妖精(ピクシー)!!》

 

 

サイファーはイオリが言葉を言い終わる前にベルカ生徒達来た方向へ走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終幕:デストロイヤーから放たれる弾丸ははたから見たらレーザー砲の様な弾速でベルカ生徒に迫る。

 

 

 

 

 

 

 

彼女ゲヘナ風紀委員長、空崎ヒナは迫り来るベルカ生徒達をその全力を持って相手していた。

 

 

 

 

 

 

 

守るべき者達がいた。

 

 

 

 

 

 

動けなくなっていた生徒は腕に風紀委員の腕章を付けていなかった。

 

それは、戦場など全く知らない一般生徒だったのだ。

 

 

 

ヒナが風紀委員長になったと同時にベルカ戦争は開幕した。

慣れていない陣頭指揮、それでも決して練度は低くはなかった。

 

 

 

 

 

 

では、どうして風紀委員は総崩れになってしまったのか。

 

 

 

連邦生徒会連合における他三大学園と呼ばれたミレニアムサイエンススクールとトリニティ総合学園からの生徒の派遣は極小数。

 

ベルカ学園の自治区に隣接するゲヘナは最前線になる。

 

 

 

故に攻撃をヒナ達風紀委員会と万魔殿(パンデモニウムソサエティ)が2ヶ月もの間抑えることになってしまったからに他ならない。

 

 

 

 

そして限界がやってきた。

幾度と重なる戦闘での被害は想像に固くない。

 

 

 

正式な風紀委員会の生徒の数は段々と減り、等々一般生徒を巻き込むことになってしまった。

 

 

 

 

それはヒナの本望ではなかった。

 

ゲヘナ───いや、キヴォトスの戦力のTOPに並ぶ彼女でも限界は存在した。

彼女は他人にはなり得ない。

 

一般生徒は、彼女達風紀委員ほど、勇敢ではなかった。

 

 

単位稼ぎに吊られ、参加した生徒は初日に思い知らされた。

 

この戦争は、いつもの鬱憤を晴らす銃撃戦とは比べるまでもないほど、次元が違う、別のものだと。

 

死ぬかもしれないという恐怖に怯えその結果彼女達は動けなくなってしまったのだ。

 

 

 

「委員長!これ以上は無理です!!

 

下がらないと貴女が.....!!」

 

 

 

「いいえ!アコ、これは委員長としての責任よ!」

 

アコはヒナがここで倒れてしまうのでは、と心配で仕方がなかった。

 

ヒナのツヤのあった髪は灰と硝煙と土煙で汚れ、威厳のあった上着は邪魔と脱ぎ捨てている。

 

体の至る所から血を流し、片目は流血が入らないように瞑っている。

 

聞き腕は疲労したのかだらんとぶら下がり、片腕でその身長の2倍はあろうかという愛銃の反動を制御し、ひたすら敵を倒していた。

 

 

 

 

 

 

 

陸八魔アルは少し離れた後方の戦車の影に隠れていた。

 

 

 

 

 

目立たないように、ひっそりと高校生活を送る筈だった彼女は成績が優秀すぎた。

 

それ故に風紀委員によって引き抜かれ、意思表示すら出来ないままに戦場に連れてこられてしまった。

 

まだ、ワインレッドに塗られていないそのスナイパーライフルを抱え、ただ怯えていた。

 

 

彼女もまた守られていた。

 

そのすぐ隣にはカヨコが居た。

 

敵を睨みつけ威圧し、近づくものには容赦せず発砲する。

 

「まるで獣を相手にしてるみたい.....猫の方がよっぽど可愛いよ .....」

 

しかし、彼女の武装はハンドガン。

アサルトライフルやマシンガンと違い、弾切れになるのは早かった。

 

 

「ご、ごめんなさい......わ、私のせいで....」

 

「....そんな事ない、私も逃げ遅れただけだし。」

 

 

カヨコはマガジンが無くなったハンドガンをポケットにしまった。

 

そんな状況で押し寄せる敵戦車。

 

砲弾で遮蔽物にしていた戦車がひっくり返され、ベルか生徒に囲まれる。

 

《ゲヘナの生徒もたわいないな!ははははッ!!!》

 

《いいからさっさと殺るぞ!》

 

〈カチャ!〉

 

 

「ここまでって事かな........まだ聴きたい曲。

あったのに....」

 

《どうして.....だ、誰か!誰か────》

 

 

アルは祈るように渡された無線機に縋り付いて叫んだ。

 

 

彼女たちに対して、生徒達が発砲しようと引き金を引いた瞬間、

 

 

その生徒はやってきた。

 

一撃、一撃を正確に脳天を貫く射撃能力。

 

そして────────

 

 

 

《チッ!?コイツ!早──》

 

《お前が遅いだけだ!》

〈ガッ!!ドンドンッ!!!パンパンッ!!!〉

 

 

《容赦のない攻撃だ.....コイツ....全てを───》

 

複数の生徒相手に徒手空拳で挑み、敵の懐に潜り込んで、顎を下から殴打する。

 

そのまま膝蹴り腹部にねじ込み、銃を奪っては至近距離で発砲。

 

咳き込むその生徒を盾に他の生徒に肉迫したかと思えば、姿勢を低くし相手の視界から消えるように動く。

 

 

 

気づけば後ろに回り込まれ、腕を後ろにひねり上げられる生徒。

 

 

《痛い痛い痛いッッ!!!》

 

そのままボキッ、と目をつぶりたくなるような異音を鳴らしたあとその生徒を地面にたたきつけ失神させた。

 

《お前!!よくも─────》

 

〈タァーンッ!!〉

 

後ろから襲いかかる生徒はフェリに撃ち抜かれるか、後ろに目が着いているかのように動くサイファーに投げ倒される。

 

 

 

 

《そこの2人!無事ですか!?》

 

 

P.Jが2人に駆け寄った。

 

 

《...ありがとう。なんとか、助かったよ。》

 

カヨコは礼を述べて少し微笑んだ。

 

 

《ならいい!後ろに風紀委員本隊がいる。合流しろ!

 

フェリとP.Jは周りの無事なゲヘナ生徒を起こして撤退させろ!!

 

動けないなら体に鉛玉を数発お見舞いしてやれ!》

 

 

サイファーが2人に命令する。

 

 

《はいはい.....私たちは救護隊じゃないのよ!!》

 

《味方を助けながら敵を圧倒する....凄い!これがサイファーの戦い方....》

 

 

 

サイファーに感化されるP.J。

 

 

そして、それはP.Jだけではない。

 

 

 

 

 

アルは目を見開いた。

 

1人で、しかし仲間の援護を信じ目の前で自分を助けるその姿に見蕩れてしまったのだ。

 

「あ、貴女!名前は!!?ど、何処の生徒なの!?」

 

立ち去る彼女に声をかけた。

 

 

《.....ウスティオ所属のガルム1、サイファー。

 

 

ただの、傭兵だ。》

 

その言葉に、陸八魔アルが心を打たれてしまうのは仕方の無い事だった。

 

 

 

数で劣る状態から敵を捌き切るサイファー。

 

その姿にベルカ生徒は後ずさった。。

 

 

《ウ、ウスティオの傭兵風情が!!!》

 

《奴は化け物か!?》

 

《いや!!そんな生易しいものじゃないわよ!!》

 

 

 

 

《ガルム隊とか聞いてないわよっ!!万全な状態の風紀委員長クラスじゃない!!》

 

 

 

 

 

 

 

そうして、サイファーは敵を押し返し、空崎ヒナと合流した。

 

 

《ゲヘナの風紀委員長へこちらガルム隊、援護に来た!》

 

 

〈ダダダダダダダッ!!!〉

 

〈バリバリバリバリッッ!!!〉

 

 

 

 

 

サイファーとヒナが並び立つ。

 

 

 

 

《......噂の傭兵生徒ね....》

 

 

 

やっとヒナに撤退してもらえる、とアコはほっと息を着いた。

しかし、次のヒナの言葉は正反対だった。

 

 

《ここは、私に任せて、貴女はこの敵部隊を指揮している生徒を探して!!

 

 

この部隊の練度は普通じゃない!戦術がこれまでと違いすぎる....》

 

 

《委員長!!?》

 

 

《貴女にしか任せられない!

今の私はここを抑えるので精一杯!

 

お願いッ!》

 

〈バリバリバリバリバリバリバリバリッ!!〉

 

 

彼女は未だに片手で機関銃を保持していた。

 

しかしサイファーから見ても、ヒナが疲労で限界が近い事は見て取れた。

 

 

それでも、後ろにいるものの為に体を張るその姿を見て反論は出来なかった。

 

 

 

 

《了解した....背中を預ける...!》

 

サイファーはヒナの射撃に合わせて前進した。

 

「委員長!!

 

「アコ、お願い私と一緒に銃を支えて.....!」

 

「....分かりました。」

 

 

ヒナの手にアコの手が重なる。

 

普段なら表情緩ませるほど嬉しい状況だが、アコの目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。

 

 

 

「!!?あの人、後ろに目でも付いてるんですか!?

 

なんで委員長の斜線ギリギリを維持できてるんです!?」

 

 

 

 

「.....あんなのを鬼神って言うんでしょうね.....」

 

 

サイファーは的確に、ヒナの照準にそって、しかし自らが被弾しないルートを走っていた。

 

 

 

それが出来たのはヒナが優秀だったからだ。

 

何処の生徒を抑えなければならないのか、それがサイファーの判断基準と、ピッタリ一致した。

 

 

〈バリバリバリバリッッ!!!〉

〈ダダダダダッッ!!!パンパンッ!!〉

 

 

 

容赦なく迫るサイファーとヒナの弾丸。

 

 

 

 

《うわぁぁぁぁぁっっっ!!!!》

 

《だめだ!!!もう無理だぁっ!!!》

 

ベルカ生徒達の断末魔が周囲に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

《サイファー、指揮所は後500mも無い!!

突入しろ!!》

 

 

イーグルアイから無線が入った

 

 

《了解....!!》

 

やってくる装甲車の車体と地面の間をスライディングで切り抜け、通りがけに手榴弾を落し、車体の下から破砕した。

 

 

《敵装甲車破壊!》

 

 

サイファーがテントが複数張られた指揮所に1人、突貫した。

 

そして、そこに居たのは。

 

 

《この速度の奇襲だと!!?》

 

 

《今の風紀委員にそんな事が出来るはず.....》

 

 

《ど、どうしましょう!!》

 

 

想定外の事態に慌てるアリウススクワッドだった。

 

 

 

 

 

 

ベルカ戦争で名を馳せている生徒の噂はサオリも聞いていた。

 

しかし、結局は施設を破壊したに過ぎない、変数にはなり得ない。

そうサオリは判断した。

 

それが彼女の過ちだった。

 

 

「ッッ!!!」

 

彼女は机の上に置いていたスナイパーライフルでサイファーの頭部を照準に収めた。

 

ここまで辿り着いたとはいえ、ただの生徒。

 

当たると、確信して引き金に指をかける。

 

その寸前、彼女とスコープ越しに目が合った。

 

「ッ!!」

 

引き金を引くが、避けられる。

 

 

「何っ!?」

 

狙撃は意味が無いと、ライフルを投げ捨て、自らのアサルトライフルを構え、撃ち合う。

 

 

〈ダダダダダダダダダッ!!!〉

 

〈ダダダダッ!ダダダダッ!!〉

 

 

「チッ!!!コイツ!!」

 

 

《リーダー、どいて!》

〈ボゥン!!〉

 

《ふぇぇぇ....!!》

 

〈ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!!〉

 

ミサキがロケットランチャーを放ち同時にヒヨリがスナイパーライフルから20mmの弾丸を掃射する。

それはもう、マシンガンと言って過言がない。

 

サイファーは挟み撃ちされた、しかし───

 

 

砲弾も銃弾もそれらがサイファーから逸れ、その行先はそれぞれの頭部に着弾する。

 

《うっっ!!!》

 

《ギャアッ!!》

 

そのままサイファーは2人にメインウェポンの下部に付いているグレネードとサブアームの弾丸を放った。

 

《......》

 

《.....何 ....この女.....》

 

 

 

「....!!ミサキっ!!ヒヨリ!!

 

まさか、2人のいる位置を瞬時に把握して動いていたのか!?」

 

 

サオリの視線はサイファーを捉えていたが、意識の方が一瞬、仲間の方に逸れる。

 

 

サイファーはその隙を逃さず、サオリを追撃する。

 

「...... やはり...」

 

 

「コイツッ!!邪魔だ!!!死ねッ!!」

 

 

2人は走りながら撃ち合う。

弾道が逸れ、後ろのテントに穴が空いていく。

 

サイファーはそのままテントの中にはいり姿を消した。

 

「往生際の悪い.....」

 

テント....遮蔽物が複数あるこの指揮所周辺では、ゲリラ戦術が有効だ。

 

死角は山ほどあり、相手はアウェイ。

 

持ち出したC4をテントとテントの間に配置していく。

 

相手の生徒が姿を現すのをじっと気配を殺し、待ち構えた。

 

しかし─────

 

 

「それで、勝ったつもりか?」

 

〈パンッ!パンッ!パンッ!〉

 

上空(・・)からの射撃により、C4は無力化された。

 

「上だと!?!!」

 

 

サオリは、弾丸が飛んできた方向を見上げる。

 

そこにはテントの上に立ったサイファーがいた。

 

サオリは発想の上を1つ上をいかれたのだ。

 

 

「ゲリラ戦....それは敵の不意をつき急襲する戦術。

 

お前のそれは、紛い物(・・・)だ。」

 

サオリが激昂する。

 

 

「貴様ッ!!!」

 

サイファーがグレネードを発射する。それは、スモーク弾だった。

 

「クソッ!」

 

サオリは一瞬で視界を奪われ煙の中から出た。

 

それがサイファーの思惑だった。

 

彼女がサイファーを認識した時には、アサルトライフルなどの距離ではなかった。

 

 

 

ハンドガンを抜く。

 

しかしその手は蹴られ、銃は地面に転がった。

 

「このっ!!」

 

その戦い方は、サオリが教わった戦い方に、よく似ていた、そして、サオリより洗練されていた。

 

そして、抜いたナイフすら弾かれ、うつ伏せにねじ伏せられる。

 

「やはり......アリウス分校の生徒か...」

 

 

「っ!!?お前!どうして....」

 

サイファーのサブアームがサオリの頭に突きつけられる。

 

「........くだらない。」

 

「は?」

 

Vanitas Vanitatum, et omnia Vanitas.(虚しい、全てはただ虚しい。)

 

「......ッ、まさかお前は。」

 

「........撤収しろ、アリウススクワッド。

私達は本来このような表舞台に居るべき者ではない。

 

カタコンベ下、居るべき場所に帰れ。」

 

 

サオリは確信した。

 

コイツは同類だ、と。

 

 

「誰が ....裏切り者の言うことなど─────」

 

〈カチャ!〉

 

サイファーが3度(みたび)サオリの側頭部にハンドガンを突きつけた。

 

「同じ境遇の好として見逃してやる。

 

もう一度言うぞ、撤退しろ。」

 

その引き金は何時でも力を込められる。

その瞳は、人を殺せる、自分達と同じ目をしていた。

 

「.......分かった。」

屈辱を味わいながらも、サオリはまだ死ねなかった。

 

助けなければいけない仲間がいたからだ。

 

サイファーは起こしても抵抗できないよう、サオリの右肩を外した。

 

 

「っっ!!」

 

そうしてサオリを拘束から解き、その他2人のアリウススクワッドメンバーを起こした。

 

「.....意味がわからない....」

 

「え?えっ!?どうして私生きてるんです!?」

 

サイファーは背中を見せ立ち去りながら言った。

「さっさと失せろ。」

 

サオリはサイファーの背中を睨みつけることしか出来なかった。

 

 

────────────────────────────

「その後、私が聞いたのは、B7Rにおける戦闘はベルカが敗北した、という事だけだった。」

 

サオリは苦虫を噛み潰したような表情で語った。

 

「正直に言って、あの時の事は記憶にこびりついて忘れられそうにない.....」

 

 

「"そっか....."」

 

「さ、流石円卓の鬼神.....カッコイイわ.....」

 

「え、流石に不謹慎だよアルちゃん。目の前で酷くやられた生徒がいるのに~。」

 

 

アルとムツキの言葉が気に触ったのかサオリは立ち上がった。

 

「もういいか、先生。」

 

「"うん、ごめんね。

帰るの?"」

 

「ああ....」

 

背中を向けたサオリに声をかけた。

「"たまには連絡してね。相談事ならいつでも歓迎だよ!"」

 

その足は止まって振り返る。

 

「......あの戦闘の後、敗北して戻った私たちの扱いは悪化した。

 

.....私は聖園ミカを攻めることは出来ない....

 

あの時のミカと今の私があの鬼に抱いている感情は、恐らく全く一緒のものだろう。」

 

それだけ言って、彼女は事務所から出ていった。

 

「ムツキ.....あそこまで言う必要あった?」

カヨコがムツキを窘める。

「えー?だって、あのままいたら何しでかすか分からない表情してたしー。」

 

「.......何があっても先生と皆さんは私が命に変えても、お、お守りします....」

 

 

「.......傭兵...ね。

私にアウトローになるという夢をくれたサイファーも、誰かの夢を、奪っていたのかしら .....」

 

 

「多分....覚悟してたんだと、思います。」

 

別方面からの回答が来る。

 

「え!?なにこの喋って動くダンボール!」

 

ムツキがユズをからかいはじめる。

 

 

「ムツキ、その辺にしときなさい。みっともないわよ。」

 

(いや、ハルカみたいに引っ込み思案な子は何してもおかしくないし!?)

 

「はーい♪」

 

沈黙を貫いていたモモイが口を開いた。

「.....すごいお話だった .....本物の英雄譚みたい...」

 

「お姉ちゃん!!忘れないうちに部室に帰って作業進めよう!」

 

「アリスもやる気が出てきました!!!」

 

 

「じゃあ...私達も....先生?先生!?」

 

 

 

アルの声が聞こえる中、私の意識は薄らいでいく。

 

 

("眠い......")

 

 

 

 

────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は戦った。

 

同胞を撃ち、叩き潰して

 

 

 

そしてフェリと合流して、ベルカ生徒を倒していく。

 

 

 

 

《よくやったガルム隊!!ベルカ勢力の脅威度50%低下!!!敵軍は撤退中!!》

 

 

 

 

《見たか!これが私の戦い方だ!よく覚えておけ!!》

 

《何言ってるんだか ....まだまだ隙があるわよ....》

 

 

フェリにお小言を言われたP.Jが顔を膨らませた。

 

 

 

《私はキヴォトスの平和の為に戦ってます!

だからいずれサイファーみたいに有名になるんです!!》

 

 

 

 

《呆れた....今この瞬間にも何百という生徒の血が流れているのよ?》

 

 

P.Jは自信満々に返した。

 

《貴女が流すその血も!私たちSRTが止めてみせます!!》

 

フェリはため息をついた。

 

 

《血で血は拭えないのよ。

理想だけで戦ってるといつか死ぬわよ?貴女。》

 

その時だった。

 

 

《サイファーもなんとか言ってやっ───》

 

《ガルム隊、複数の部隊が接近中!様子が妙だ!!警戒しろ!!》

〈カキィィィン〉

 

イーグルアイの警告と同時にP.Jの被っていたヘルメットが貫かれ、彼女の体が仰け反る。

 

 

 

〈ドスッ!!!ドスッ!!〉

 

続いて2発目、3発目が彼女の胴体に命中した。

 

 

《P.J!!!》

彼女の体が地面に寝そべり、フェリが駆け寄る。

 

 

 

 

私は潰れた弾丸を拾って観察する、それは20mm弾だった。

 

敵からの通信が入った。

 

《楽しませてもらっているぞ、ウスティオの薄汚い犬め。》

 

 

 

(アリウススクワッド....?まさか、気配を悟らせないほどの距離からの狙撃を?)

 

《多分、ベルカ学園きってのスナイパー集団「シュネー隊」よ

 

 

.....とどまってる訳にはいかない。》

 

《フェリ、集中しろ。

 

相手は意識外からの攻撃をしてきている。

 

私が前で注意を引く、お前はP.Jを安全なところまで下げろ!》

 

 

 

 

 

《了解!!気を付けなさい、サイファー!》

 

 

 

 

《イーグルアイ!!敵のいる方位を教えろ!》

 

 

《敵は方位0-9-0!真東だ!!!

 

かなりの遠距離からの狙撃につき、細かい位置までは把握出来ていない!!》

 

《....了解した!!》

 

私は敵部隊の最低限の狙撃位置を把握し、跳躍した。

 

 

 

 

 

《た、隊長!!》

 

《狼狽えるな!相手はまだ見えていない!

 

シュネー隊各員、「槍」を放て!!》

 

 

 

 

 

 

上空の私に向かって対戦車ライフルの弾丸を撃ってくる。

 

 

それらを軽々と身をひねって躱した。

 

 

 

《空中で!?なんという常識はずれな戦い方!!》

 

 

 

上空でアサルトライフルを構え、射撃を開始する。

 

 

 

 

《こいつ....なんて、動きを!!》

 

驚愕する敵を他所に、私は怒りの頂点に達していた。

 

 

 

 

 

ホシノ達との別れ。

 

私の出身地の生徒との遭遇。

 

撃たれたP.J。

 

 

 

感情がごちゃまぜになる。

 

 

《.....もういい加減にしろッ!!!!》

 

 

私は敵生徒5人のうちの一人に上空からの蹴りを落下の質量をも加えて見舞った。

 

「うっっっっ!!」

 

〈バタッ......〉

 

 

 

 

 

並んで立っている生徒にスモークグレネードを放ち。煙の中から吶喊する。

 

 

《うわあぁぁぁぁっ!》

 

 

《二人目がやられたぞ、やったのはどいつだ!?》

 

 

《ウスティオの『鬼』だ!!》

 

 

《あいつが『鬼神』ってやつか!!》

 

 

 

 

 

彼女たちシュネー隊は狙撃部隊。

 

懐に入れば脆い。

 

 

 

 

案の定、呆気なく壊滅した。

 

 

 

 

《円卓の生んだ「鬼」か....》

 

 

 

〈カチャ..パーンッ!!〉

 

 

 

私は意識の残った生徒の脳天に左胸からハンドガンを引き抜き、銃弾を放った。

 

 

 

 

 

 

《戦闘領域内の目標は全て沈黙した。作戦終了だ。》

 

 

 

《了解、イーグルアイ、P.Jは?》

 

 

《あいつなら無事だ。

 

軽い脳震盪だと。

 

心配をかけるやんちゃ娘だ....》

 

 

 

《全く本当だ....》

 

 

イーグルアイの作戦終了の報告を聞いて私はフェリを探した。

 

 

 

医療用テントの一つ一つ中を見ていく。

 

 

 

身体中包帯だらけの生徒。

 

反対にぺちゃくちゃ話しながら治療を受ける生徒もいる。

 

 

「酷い有様だな....。」

 

 

 

 

私はやっとの事2人のいるテントを探し当てる。

 

 

 

そこには気を失ったP.Jを膝枕しながら頭を撫でているあいつが居た。

 

 

 

Yo,budy you still alive?(ご機嫌よう、相棒。まだ生きてる?)

 

 

 

「当たり前だ、そうじゃなきゃお前の前にいるのは一体誰なんだ。」

 

 

 

気持ちよさそうに寝ているP.Jに目をやりながら、私はフェリの隣に座った。

 

エスコン×ブルアカの小説で読みたいナンバリングを教えてください(04、5、6、7)

  • 04、メビウス1無双が見たい。
  • 5、ZEROのねじ曲がったもう1つの未来
  • 6、ブルアカは群像劇だぞ?
  • 7、高性能ロボに苦戦する生徒達
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