BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
調査日5日目。
特に体力を消耗している訳でもないのに、最近随分と睡魔に襲われる。
未だにサイファーへの手掛かりは見つからず、私達にできた事は当てもなく当事者たちに話を聞いて回ることだけだった。
そしてここからが、この戦争の闇の部分だ。
カンナから
『気持ちの整理がついたのであの時語れなかったお話をさせてください。』と連絡がきた。
市街地無差別爆撃....どうしてそうなったのか私には想像もつかない。
私は補習授業部とゲーム開発部を事務所に呼び出した。
「"やぁ皆、いらっしゃい。あれ.....?ナギサとミカ...?"」
「やっっほー!!先生☆」
「ヒフミさんからお姉様のお話が聞けると聞いて参りました。」
「ご、ごめんなさい。先生...」
ティーパーティのホストを目にしたゲーム開発部は、
「お姉ちゃん、!みてみてあれ」
「うわっ絶対お金持ちのお嬢様じゃん!!」
なんて感想を漏らしている。
3グループが揃った、後はカンナだが.....
『はい!こちらクロノススクール報道部です!!
DUの矯正局において拘束されていた生徒が脱走する、という事件が発生しており!いまその現場に......』
テレビの報道がカンナの予定が埋まったことを私に告げた。
「"集まってもらって申し訳ないけど、多分今日の予定はキャンセルかな。"」
「「ええーー!?」」
「そうですか....」
ゲーム開発部から避難の声が上がる。
対してナギサは少しガッカリする程度だった。
アズサは別視点で放送を見ていた。
「いくらなんでも矯正局から集団脱走はおかしい...」
その意見にハナコも同意した。
「......そうですね、流石に不自然かと.. 何かあると見るべきです。」
矯正局は目と鼻の先だ。
「え?もしかして先生捕まえるのに協力しようとか言い出すんじゃ.....」
「アリス!討伐依頼ならやります!!」
「"それはないよミドリ。依頼が来れば別だけど。
あとアリス。討伐の言い方は、ちょっと。"」
ナギサから賞賛を貰う。
「賢明な判断だと思います。
何処も今は混乱しているでしょう。
手を出せば返って手引きした者として扱われかねません。」
「"それもそうだけど、ヴァルキューレ警察学校の生徒たちの仕事を邪魔しちゃ悪いかな、って。"」
皆の意見が「傍観」に統一されつつある中、ユズが1人呟いた。
「何も、起きないといいんだけど.....」
──────────────────────
「じゃあ本当に今日は何にもないんだ☆!」
「"うん、ごめんね。さっきカンナに確認したけど、やっぱり動けないって。"」
「えっ!?じゃあ私たち来た意味ないじゃない!」
コハルがプンスカと頬を膨らませている。
「仕方ないね....帰ろっか皆。」
ユズの一言でゲーム開発部は帰る準備をし始めた。
「りょーかーい。帰ってゲームの続きしよっ!」
「少し残念です.....」
「お邪魔してすみませんでした。先生。」
「"うん、またね。"」
そうして先頭に立ってたモモイがドアを開けようとした瞬間。
〈コンコンッ。〉
「先生、いるかしら?」
と、4日ぶりに私はその声を聞いた。
ナギサの方を振り向く。
彼女もまた気づいたようだ。
「先生、まさか....」
「"うん、多分ナギサの考えてる子だと思うよ。"」
「──っ!失礼!」
「えっ!!?」
「ちょっと何っ!!」
彼女はハッとしてゲーム開発部をかきわけてドアの前に立った。
「先生~、あれ?ここだって聞いたんだけど。」
ナギサがノブを握り、ドアを開けた。
相手側の第一声は
「パンッ!!」
だった。
手を銃に見立てて撃つ動作をしている。
「ダメじゃない、ドア向こうの人物の確認もしないで........あら?..」
「お....」
そうして、ナギサは突進するように、相手に抱きついた。
「お姉様ッッ!!」
「えっ!?」
ナギサはフェリに抱き着いたまま廊下の壁に激突する。
その衝撃によりドアは粉砕され、廊下の窓ガラス、窓枠、コンクリが砕け散った。
「"「えっ!!?」"」
その姿に私もミカも、そしてそこにいた人物全員が唖然とした。
「.....わぁお...」
「な、ナギサ様ッ!?」
そして、また事務所の修繕費が加算されて私は頭を悩ませた。
「いったぁ..... 」
フェリといえばあんな衝撃を受けてもなお、「痛い」で済ませているのだから驚きである。
強いて言うなら、建物の壁を貫通して落下したりしなくて良かった、と言ったところか。
「....まったく。
人前で取り乱して泣くような
ナギサ。」
彼女は泣きじゃくるナギサの頭を膝の上に乗せて頭を撫で、そこでしばらく座り込んだ。
「おかえり、フェリお姉様....。」
ミカがフェリの所までいき目線の高さを合わせる。
「あら、ミカも居たのね。ということはセイアちゃんも一緒?」
「ううん、セイアちゃんは今学校。ナギちゃんの代理でお仕事してる。」
「そう.....でも久しぶりね。2人とも。」
会話を続ける3人を不思議そうに見つめているモモイ達ゲーム開発部。
「先生。あの人誰?」
「いきなり過ぎてロケットランチャーが飛んできたのかと思いました!!」
私は軽く説明する。
「"あの子は片羽フェリ。元トリニティ総合学園のティーパーティーホスト、つまり元生徒会長かな?"」
その名前を聞いて一同が驚いた。
「えっ!?片羽フェリ....って。」
「先生、もしかしてあの人が....」
「"そう、『片羽の妖精』ベルカ戦争の経験者で、私たちが追ってる『円卓の鬼神』....サイファーの相棒だよ。"」
「あ....あの人が。」
「すごい綺麗です!!先生!彼女にお願いしたらアリス達にサインくれますか!?」
「"それはまた後でね。"」
一方、補習授業部もフェリに挨拶をしていた。
「.....お久しぶりですね。フェリ先輩....」
「あら、ハナコ。ご機嫌よう.......ふぅん。
貴女随分雰囲気が変わったわね。
悩みは振り切れたのかしら? 」
「そうですね.....学園で制服を脱いで開放的になるくらいには悩み事はありませんね♪」
「えっ.....?何言ってるのこの子.....」
「何だかよく分からないけどエッチなのはダメ死刑!!」
「あはは.....」
「ヒフミ、彼女が、その『片羽』なのか?」
「た、多分そうなんだと思います。」
アズサはヒフミとフェリを見比べる
「......随分と.....似ていないか?」
「えっ?」
「"うん、私も思った。"」
「....そうですか?おふたりとも別人に見えますが....」
「ハナコがおかしいだけじゃないの?私....ひぃっ!ちょっとどこ触ってるの!?」
「さぁ?何処でしょうね♪」
「や、先生もいるのに///やめっ.....」
面食らうフェリを他所に彼女とヒフミを見比べる。
私が最初にアビドス線で彼女に会った時の感想がそれだった。
「え?でも私妹なんて居ないわよ?
手のかかる妹分ならここにいるけど...」
「えー、お姉様それ酷くない?私もナギちゃんも優しい姉だと思って過ごしてたのに。」
「冗談よ冗談。
実際ナギサはよくやってるわ。
先生から聞いてるわよ、トリニティで何があったのか....」
その言葉を聞いてミカの表情が少し曇ったが、フェリはミカの身体を寄せた。
「ごめんなさいね、私達がもう少し貴女達に気を使ってあげられたら....」
「ううん .....お姉様達のせいじゃないよ。全部──」
フェリはミカの額にデコピンをする。
「痛っ!」
「全部私のせい、でしょ?
本当に変わらないわね。
なにか奇抜な事をしようとして、失敗してへこたれる癖。」
「で、でもね。」
「でも、じゃありません。
いい?ミカ、失敗しなさい。」
「....え?」
ミカの疑問の声とともにナギサが顔を上げる。
「ナギサもよ?
成功させようと思って物事を進めないこと。
それは勿論「失敗してもいいや」なんて気持ちでやりなさいとは言わないけれど。
完璧なんてこの世に無いのよ?
100%を毎回目指して何かをしていたら失敗する度に自分に落胆して折れてしまう。
1度や2度のミスで何もかもダメになる、なんてそんな事有り得ないんだから。」
それは、私がミカとアリウススクワッドに告げた言葉と、酷似していた。
「それと、1人で進めないこと。相談出来る友人を......ってそれは私達がそう出来なくさせたんだったわね。」
「お姉....様。」
フェリのその言葉はまるで、別れ際に送る助言のようだった。
「やはり、先輩は帰るおつもりはないんですね?」
ハナコも察していたのか彼女に問う。
何処へ?それは言わなくても分かる。
「.....そうね、今はまだ帰れない。」
「ど、どうしてですか....?お姉様、もう戦争は、終わったんですよね?
なら.....」
ナギサの言葉にフェリが首を横に振った。
「いいえ、ベルカ戦争は、まだ終わっていないわ。」
ナギサが落ち着き、帰ろうとしていたゲーム開発部も椅子に座った。
「とりあえず皆の質問に答える前に質問していいかしら?」
フェリはユズを筆頭にゲーム開発部を見る。
「な、なんですか...?」
真剣な眼差しにゲーム開発部が凍り付いた。
「ベルカ学園の話、ベルカ戦争の話を聞いてどう思った?」
「アリスは怖いと感じました。」
最初に口を開いたのはアリスだった。
「怖い.....ね、どのあたりがかしら?」
「全部です!!」
困った表情のフェリが私を見る。
「"多分大真面目に答えてると思うよ。"」
「えぇ....?」
その様子をみてユズがフォローを入れた。
「その....しいて言うなら..追い詰められた人の発想と行動力....だと思います。」
「それは正しい認識ね.....」
「さすがに学校が取り潰されるのが嫌だからと言って自分の自治区内で爆弾を爆発させるのは狂気の沙汰だと思う。」
ミドリがベルカ学園を非難した。
「そうね.....でもそれが彼女たちの意思じゃなかったとしたら..?」
「「え?!!」」
「"何か知ってるんだね?"」
フェリはうなずいた。
「本当はナギサたちには聞かせたくない話だけれど、どうせ帰りなさい、って言っても聞かないわよね?」
「はい、フェリお姉様の口からトリニティに帰る、と聞くまでは。」
ナギサの決意は固かった。
一方察しのよいハナコは感づいていた。
「先輩がこれから話すことが、先輩がトリニティに帰れない理由なのですね?」
「流石ねハナコ。」
フェリはため息をついて語りだした。
「単刀直入にいえばね?私は連邦生徒会に反旗を翻したの。」
「え?どうしてですか?!!連邦生徒会長とも仲良くされていたお姉様が....」
問われた彼女は苦笑いする。
「意見の相違ね....あの時の私は自らを雇われた傭兵、仕事をしている一人の生徒だと割り切っていた....つもりだったの。
でも、あの光景を見てそれは揺らいでしまった.......。
攻めていたベルカ学園は逆に敗走する形で撤退していたの。
撤退先にはベルカが頼みの綱にしていたカイザーの軍需工場地帯。
当然そこには一般市民の住む市街地も存在した。
でも、カイザーはベルカ生徒を無償で支援していたわけじゃない。
新技術、新装備のテストベット...いわば実験としてスポンサーについていただけ。
そしてその頃には防衛室とのコネがあった。
あ、それとね?カイザーはアビドス生徒を消すために、防衛室からアビドス高校に依頼を送らせたの。
ただ同じ部隊にいた私達ガルムが邪魔だったんでしょうね。
だから二人でB7Rの調査任務に行かせた。」
「でもお二人とも無事に帰還された、と。なるほど。」
ハナコが相槌を打つ。
「そう、なんども戦火を上げる私達とアビドス生徒を、自分たちが開発に関わったエクスキャリバーで消そうとした。
でもそれも失敗。
そして何も知らない私たちはカイザーの工場前まで進出した。」
「.....証拠隠滅か」
アズサが吐き捨てるようにつぶやいた。
「え?なに。どういうこと?」
頭の上にはてなマークを浮かべたコハルにミカが説明した。
「えーっと、つまりその市街地爆撃任務は撤退するベルカ生徒を叩くって名目のもと、機密情報漏洩を恐れたカイザーによる証拠隠滅作戦だったってことかな?
うん。びっくりするくらい真っ黒だね!連邦生徒会。」
「酷い.....」
「え?そんなの許されないでしょ!!そんな理由で市民を巻き込んで......」
「そう、私も当時は何も知らなかった。
それでも、市街地が火にまかれて、逃げ惑う市民を見て「これはおかしい」と、そう思った。
だから、私は"あの子"に銃を向けた。」
「"まさか...."」
「そう、私とそれまで行動を共にしていた、唯一の相棒。サイファー。
あの子は理解してくれなかった。
ただ任務をこなすだけ。
場数を踏むたび、あの子の強さが目についた。
ただひたすらに強い、戦場の中で冷徹さとプライドを併せ持つ、戦闘のプロフェッショナル。
"鬼神"とはよく言ったものね。」
フェリは一呼吸おいて語り始める。
「気が付けばいろんな生徒があの子を見ていたわ。
任務に行く度見送りが増えていたわね。
本当は私も最後まで彼女の隣で戦いたかった......」
後書き
ブルアカ二次創作における恒例行事。
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