BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
《ベルカ生徒の敗走が始まった。
これ以上のベルカ学園による被害を減らすため、ベルカの軍事拠点を破壊することを連邦生徒会は決議。
本作戦は工場地帯、を中心に市街地にも及びかねないデリケートな作戦だ、各員気を引き締めて掛かれ》
やる事はいつもと変わらない、そのはずだった。
──────────────────────
《ガルム2からサイファー、P.Jへ。前方に炎上中の都市を確認したわ。》
フェリからの報告。
焼け野原になった森を通り過ぎ、都市のある前方へ目を凝らした。
火の手の勢いは尋常ではなかった。
《もう、爆撃が始まったってことっすか?》
いや、あれは精密砲撃や精密爆撃などではない。
無差別に、尚且つ工場には狙いを外さずに砲撃している。
明らかに別の狙いを持って砲撃していた。
イーグルアイからの指示が入った。
《ゲヘナの砲撃隊を支援しろ!作戦開始!!》
援護する意味もない。
もはやベルカは狼に狩られる羊と化していた。
《こちらP.J、なにか妙だ!作戦地域とは別の場所が燃えている!!》
《.....》
そんなのはとうに分かっていた。
これは恐らく予定されていた事なのだろう。
イーグルアイから来た情報は恐らく───
《.....一部のゲヘナ生徒による無差別の都市破壊、爆撃が行われているようだ。
無理もない。
彼女達はこれまでずっと戦争に圧殺されていた。》
やはり意図して情報が改竄されている。
(これが、連邦生徒会のやり方か....?)
《正気ですか!?一般市民もいるんですよ!?》
P.Jの怒りは最もだ。
彼女はSRT。政治的状況により解決が困難な問題に介入することを許された連邦生徒会長直轄の部隊だ。
それが戦争、それも武力による市民の制圧に使われている。
憤るな、と言う方が難しい。
しかし、フェリは違うらしい。
《これが戦争よ....P.J!》
彼女達はB7Rにおいても平和、戦争について議論していた。
それも相対した意見を持って。
しかし、フェリにはあるのだろうか?
P.Jを説き伏せるだけの意思が、
自らが市民に対して銃口を向ける、その覚悟が。
《無差別爆撃や放火や破壊活動が戦争だって言うんですか!!?》
《理想で銃を持つなと言ったはずよね!現実を見なさい!!》
ああ、ここでフェリが否定してくれれば、私もどれだけ楽だったか。
しかし、連邦生徒会防衛室から指示が下る、いや催促と言ってもいい、その声には私達に対しての怒りの感情が込められていた。
《.......何をしているのですか?ガルム隊。
ゲヘナ砲撃隊を支援しなさい。》
なるほど、彼女か、この作戦を立てたのは。
防衛室長は恐らく真っ黒だ。
《....ガルム1、了解。》
あくまでも務めて冷静に答える。
《ッ!ガルム2了解!》
《くそっ!こんな物が戦争だなんてっ!これじゃただの侵略じゃないか!!》
そして都市部工場への本攻撃がはじまる。
戦車、装甲車が街を闊歩し、迫撃砲が建物を破壊する。
その照準はイタズラで、その生徒達は腕に腕章を付けていなかった。
恐らくゲヘナには実在しない生徒達。
あの防衛室長、不知火カヤは全てをゲヘナの責任として逃げるつもりだ。
しかし、この状況ではもう、どうしようも無い。
《こちら5番戦車中隊!敵工兵に囲まれた!》
恐らく指示に従わなければ何らかの違反や反逆罪として捉えられる。
私達ガルム隊はふるいにかけられていた。
不知火カヤの手腕は見事だった。
私達に考える暇を与えぬよう、一つの戦場で───いやあの時のB7R調査任務の時から、私達を排除しようと画策していたのだろう。
今更NOと言えばどうなるか、わかったものでは無い。
《ガルム隊!援護せよ!》
戦闘をしながら考える。
恐らく、イーグルアイも薄々勘づいてはいるのだろうが、何も言わないのは私達のためなのだろうか?
であれば、いつも通りを装うしかない。
しかし、このまま、という訳にもいかなかった。
市民には威嚇射撃を、ベルカの生徒も、なるべく頭と足は狙わぬよう配慮する。
《何をしているガルム1!!遊んでいるわけでは無いだろうな?》
無線機からイーグルアイの怒鳴り声が聞こえてくる。
《
沈黙の後イーグルアイは答えた。
《.....それならば仕方がないな。帰ったらしっかり分解清掃をしろ!
通信終わり。》
イーグルアイの事を名前で呼んだことは1度もない。
それが幸いしたのか、彼女には私の考えは伝わったようだ。
「おおっ!ガルム隊よ!?」
「行けっ!全部焼き尽くしちゃえ!!」
生徒からの黄色い声援。
全員が全員、防衛室からの差し金、という訳でも無さそうだ。おそらくただ金で雇われた傭兵生徒に過ぎない。
正直に言って、居心地は最悪だった。
《各員、散開して援護に回れ....》
散開指示を出し、私は市内に駆け込み敵を探した。
敵───この場合の敵が何を意味するものなのか。
”戦う理由”
それが私にあればハッキリしたのだろう。
しかし、それは10年かけても見当たらない。
戦うというのは生きる上で必要で、銃も弾丸も必需品だ。
《ガルム1、サイファー。》
突如聞こえてくる防衛室長からの通信。
《こちらガルム1、現在任務遂行中、要件は手短に》
あくまでも冷徹に接する。
《冷たいですね。
なら単刀直入に言います。
....貴女の才能はウスティオ傭兵育成学校なんていう小規模な学園で眠らせておくには勿体ありません。
防衛室に移籍しませんか?》
邪魔な者は排除し、力があれば引き入れようとする、汚い大人の真似をした少女の言葉だった。
《断る、私は一般生徒で十分だ、待遇も権利も責任も欲しくは無い。》
《───そうですか。》
《単刀直入に、と言ったな?
なら今私を囲んでいる生徒に指示を出せばいい。
どうせこうなると理解して配置していたのだろう?》
《あー....バレていましたか。》
その一言で周囲の建物から生徒が一斉に出てくる。
《......こんな時にすら利権争いか....
《おや、?連邦生徒会の生徒に手を出すんですか?》
《.....お前、戦場に立ったこと無いだろう。》
《.....はい?》
《現場の兵士が気にするのは上から来る情報なんかじゃない。
そいつの知名度だ。》
《貴女ッ───》
私は発砲する。
「こ、こいつ!!」
弾丸の雨の中、私は状況を逆手に取り防衛室長を脅した。
《それにこの会話は記録に残らない。そうだな?
当然お前が私達を消す為に派遣した部隊だからな。
表の記録に残せないなら私が生徒会の生徒に手を出したという
お前のやった事に意味などない。》
《ッッッ!!構いません撃ち殺しなさい!!!》
「「了解!!」」
本当にくだらない。
戦闘は5分程で終わった。
《覚えておきなさい.....いつか貴女は私の誘いを断ったことを後悔することになるでしょう.......!》
《器の小ささが丸見えだな。
私のような生徒なんてこの
それをたかだか1人の生徒への執念を燃やすなんて。》
《ッ!》
〈ブチッ!!〉
そこで会話は途切れた。
確かに賢い奴ではあるが、根本的に何かが足りていない。
詰めが甘いのだ。
この先彼女は何かを成そうとしても詰めを誤るだろう。
私はフェリと合流した。
彼女は市民に救助活動をしていた。
その隣にはディレクタスで見かけたヴァルキューレ警察学校の生徒もいた。
私も許されるなら、その中に入り救助活動を手助けしたいと、そう思った。
しかし現実はそれを許さない、何時どこであの狸が目を配らせているか分からない以上、迂闊な事は出来なかった。
引き金を引く、フェリの足元へ。
《.......救護活動は私たちの作戦司令には無い。
持ち場に戻れ。》
私は冷徹に冷淡に、感情を出さずに言った。
きっとここにホシノが居たらもっと上手くやったのだろう。
《貴女だって......何も感じていない訳じゃないでしょう?!この状況を見て、何も思わないの!?》
やっぱりP.Jに対するあの態度は強がりだった。
《それが、任務なら、仕方ない。
お前も言っただろう?これが戦争だと。》
今の彼女には何を言っても伝わらない、それに伝えられない。
お互いの意思は決まった。
《サイファー、前にホシノが言ってたわよね?
戦う理由、見つかった?》
《....いいや。》
それでも生きたい理由は見つけた。
アビドスの皆と、お前と、いつか────
《私はそれを見つけた。》
──もう叶わないのだろうか。
──こんな小さな願いすら。
私達は引き金を引いた。
〈ダダダダッ!!!〉
〈ダダダダダダダッ!!〉
《ヴァルキューレの救援活動があるという報告も聞いていない!》
〈カチャッ!〉
ヴァルキューレの生徒に引き金を向ける。
もし、彼女たちが敵側だったら?
ヴァルキューレ警察学校は防衛室直轄の組織だったはずだ。
フェリは私の射撃を蹴りで阻止した。
「ここは私が!貴女達は!」
「....済まない..!」
「気にしないで...気をつけて!!」
フェリは振り返り私を睨みつけた。
《それが、お前の選択か。》
《貴女こそ。ディレクタスで見せてくれたあの表情は嘘なのかしら!!》
〈ダダダダッッ!!〉
〈ダダダッ!ダダダッ!!パンッ!〉
燃え盛る街の中、私たちは撃ち合う。
フェリが物陰に隠れた。
おそらくリロードだろう。
私は追撃する。
懐に入り込み相手の手元から銃を落す。
彼女と私の近接格闘術の腕が互角なわけが無い。
至近距離で蹴りを喰らわせ背後のビルへと叩きつける。
「うっ......!!」
フェリの苦しむ声が聞こえる。
それでも、手を差し伸べるわけにはいかなかった。
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『貴女にお願いしたいことは一つです。
アイ先輩が無事にミレニアムに戻れるよう、尽力すること。』
「なんだ、それだけか?」
『はい、それだけです♪
彼女は三年生。”卒業”が控えていますから、くれぐれも問題は起こさないようお願いしますね?』
「......了解した。」
エクスキャリバー破壊に協力した見返りにヒマリは私にそう告げた。
『ちゃんと守ってくださいね?』
イーグルアイに、迷惑をかけるわけにはいかなかった。
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《 .....逃げるのか?》
壁にもたれるフェリを遠くから見下ろす。
《散々これまでやってきた事だろう、命令に従って敵を倒す。
立場が、状況が変わっただけだ。
見たくない、やりたくないでその責任を手放すのか?》
彼女は必死に弁明した。
《そうじゃない!こんなやり方間違ってるって私はそう言いたいだけよ!!
連邦生徒会とかベルカとか関係なく、誰に彼に銃を向けるのは間違ってる!!》
その言葉を聞いて私はあの能天気な先輩を思い出した。
《......とあるバカな奴が言ってた。
「銃を向け合わないで、言葉で解決できる世界にしたいな」と。
私も、これを捨てられるなら、と考えた事が無いわけじゃない。
しかしそんな事不可能だ。
このキヴォトスで、力は相手を従えるためのモノでしかない。
それが常識だ!!
世界が変わりでもしない限り、そんな事はありえない!!》
《だからって!!》
《だから私は私ができることをしている!!
お前も責任を果たせ!!》
《戦う術を持たない者の痛みを見過ごして果たす責任に何の価値があるのよ!!!!
その先にどんな未来があるって言うのよ!!!!》
その時、崩れてきた建物の残骸が私達を隔てた。
《.....さよなら、相棒。
私は、戦う理由を見つけたの。》
彼女は立ち上がり、私に背を向けて焔の中へと消えていった。
《.......》
私は通信機のスイッチを入れた。
《作戦は終了だ、各員
《ガルム1からイーグルアイへ。ガルム2、ロスト。》
私の報告を聞き、イーグルアイの様子が豹変する。
《何ッ!?ガルム2、応答しろ!!フェリ!片羽フェリ!!
クソッ!!》
《どうしたんです!!サイファー!!》
私は駆け寄ってきたP.Jを無視してイーグルアイに告げた。
《作戦は終了した、ガルム2はM.I.Aであると上申する。》
《お前ッ──》
私はフェリが去っていった方向を見つめながら無線機のスイッチをOFFにした。
裏切った、等とは報告はしたくない....。
せめて私ができる最低限のフォローだった。
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