BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
あの作戦から2日。
やっと通信設備が回復した。
《ガルム隊、現状を説明する。
前回作戦のIRBMは、敵の本来の狙いから我々の目をそらすための欺瞞情報だった。
敵は自分の自治区境界線で大型の爆弾を7つ起爆。
ベルカと各学園の自治区境界付近における大規模な爆発、それにより発生した被害は重軽傷者1万2000人に及ぶ大被害だ。
しかも目には視認できない物質による汚染も確認された。
悪い話ばかりではない。
SRT特殊作戦班FOX小隊が連邦生徒会長の命令によりベルカ学園本校の制圧に成功した。
残った残存ベルカ生徒はちりじりになり事実上の廃校手続きが済んだ。
逃げたベルカ生徒の半数がトリニティ近辺の郊外に集結している。
これ以上の暴挙は許されない。
小規模とは言え武装蜂起される前に確実に制圧しろ!》
イーグルアイから告げられるベルカ学園の敗北。
《サイロを死守していた生徒達はそれを防ぐためにあんなに抵抗を.....?》
目的地へ移動中、P.Jは呟いた。
《......ミサイルサイロが空だったと知らなかったなら有り得ただろう。
だが、覚えているか?P.J。
あの中の生徒が言っていた言葉を》
《ええっと.....確か『目的は果たされた。』でしたっけ?
どういう意味だったんでしょう?》
《......恐らく、あのサイロ...いや他の5ヶ所も含めてサイロを防衛していたベルカ生徒は全員知っていたんだろう。
IRBMなど存在しない事を。》
《えっ!?じゃあなんであんなに必死で?
それどころか誰もいなくても良いくらいじゃないですか?》
確かにそうだ。
効率が悪い上に無駄に戦力を分散、消耗していた。
《.....もし、おびき寄せた生徒を叩く事が作戦だったとしたら.....?》
自分で言っていて有り得ないとは思った。
《謎が深まるばかりっすね。》
私はイーグルアイに報告をする。
《ガルム1からイーグルアイ。》
《こちらイーグルアイ。どうした?》
《......調べて欲しい事がある。》
─────────────────────
《.....了解した。
恐らくお前の想像通りならば連邦生徒会すら情報規制を敷くだろう。
知り合いのツテを当たってみる。
お前たちは任務に集中しろ。》
《了解した.....。》
私は通信を切る。
《サイファー、今の話って....》
遠くから乾いた音が複数聞こえてきた。
私は目を凝らす。
《私にも見えたぞ、敵集団200、いや.....もっと多い.....。》
《違う!あれはトリニティの正義実現委員会っすよ!!》
トリニティ.....か。
《.....こちら、ウスティオ傭兵学校のガルム隊。
トリニティ総合学園の正義実現委員会だな?》
《..........ガ、ガルム隊?
キィィエェェェェッッッ!!!》
通信機が壊れるのではないかという程の大声。
両手にクイックリロードタイプのショットガンを持ち激しく、しかしゆっくりと暴れる少女。
《な、何です?あの人!》
本人からは肉声すら聞こえてきた。
長い髪を振り乱しその顔すら見えない。
《あ、音に聞こえたガルム隊っすね。話は聞いてるっすよ!!》
口調がP.Jに似た生徒から返答が来る。
《....お前は?》
《正義実現委員会の1年生、仲正イチカっす。》
私はため息をつく。
《イーグルアイ、聞いていた話と違う。》
20~30秒ほど待ってからの返答。
《こちらイーグルアイ、今トリニティのティーパーティーに確認した。
自警団からの報告でトリニティ内での脅威度が上がった為事情を聞きに行ったところやむ無く戦闘になったようだ。》
情報の流れが遅いのか、各学園間の情報交換が上手く軌道にのっていないのか。
《それで?私たちはどうするんすか?》
《そのまま正義実現委員会と協力してベルカ残存生徒を制圧しろ!!》
《了解した。》《ラジャー!!》
私たちは正義実現委員会と合流した。
《皆さん。ウスティオから支援部隊がいらしています。
決して敵と間違えて撃たないように。》
《 《了解!!》 》
《"正義実現委員会"とは...。》
図々しい名前だな。と思った。
名前とはそれ即ちその存在理由に繋がる。
正義も悪も見方によって全てが変わる。
「あれが、円卓の鬼神?」
「やばい....私目を合わせちゃった....。」
《.....流石サイファー、有名っすね!!》
《遅れるなよ、
《.......!了解!!》
─────────────────────────
「.....生?先生!!!」
「"あっ!?"」
私はヒフミの呼びかけで目覚める。
「先生、大丈夫ですか?随分お疲れのようですね?」
ナギサに声をかけられる。
「"違う....なんだろう、この感じ、前にもどこかで。"」
そう、ありのまま起こったこと、起こっていること、そしてこれから起こる事を見せられているこの感覚、前にもどこかで......
「大事なお話の最中に寝るなんて、よっぽどね。」
「でも数日当番してたけど、2日くらい前もこんな時があったよ、先生。」
「"え?"」
ミカが顎元に人差し指を持っていき思い出すように語らう。
「ほら、ヴァルキューレ警察学校の局長が来ていた時もなんか寝たように声掛けても目覚めなかったし。」
そういえば、あの時も誰かの中からベルカ戦争を見ていたような......
ハナコもミカに同意した。
「そうでしたね.....あれは寝ていたと言っても間違いありません。」
「"寝ていた....?"」
寝る、夢の中で?
「"夢、明晰夢。
セイアの.......しかし、今彼女の能力は失われて"」
と思ったが、彼女の夢には時間という概念が存在しないと、セイア自身が言っていた。
となれば、私が今見ていたのはサイファーの記憶.....?
「"違うんだ。
フェリ、君と彼女はすれ違っていただけだ。"」
「え?」
フェリが急に驚く。
私は失われたセイアの力で過去のサイファーの記憶を覗いたことを告げた。
「という事は今セイアさんは....」
「"うん、もしかしたら体調を崩して────"」
すると私とナギサの端末がなった。
私の端末の発信者はサクラコだった。
「"もしもし?"」
『もしもし、はい、サクラコです。
至急、助けていただきたい問題が発生しまして。』
その電話の後ろでは銃撃戦が繰り広げられていた。
「"何が起きているの?"」
『それは─────』
〈ブツッ〉という音と共に電話は途切れた。
「先生!!トリニティの礼拝堂が脱獄したベルカ生徒に襲われたとミネ団長から連絡が!!!」
「"え!?"」
どうして礼拝堂に?
「事態は一刻を争います!
私達は急ぎトリニティに──」
言葉の途切れたナギサ、その視線の先にはフェリがいる。
「お姉様....」
「........ナギサ、トリニティのホストとして責任を果たしなさい。
私情にうつつを抜かしてはダメ。」
「......」
フェリに諭されナギサは前を向いて事務所を出ていった。
「ナギちゃんも正直になればいいのに。」
対照的にミカはフェリの手首を掴んだ。
「え?ちょっとミカ?」
「こうなったのは「私達」のせいじゃんね?
だからトリニティを助けに行かないと、でしょ?フェリお姉様。」
「ちょっ!貴女力強っ....
ま、待って左腕ちぎれちゃう!!
残った腕も無くなっちゃうから!!?
行く、行くから!自分で歩くから離しなさい!
離しなさい、ミカ?
ミカァぁぁぁっっっ !.....」
「先生達も後から来てね☆車は1台残させるから~!!」
彼女達の声は小さくなる。
「あはは.....」
「ゲーム開発部の皆さんはどうしますか?」
ハナコがモモイ達に質問する。
「え?でも他校の問題だし.... 私たちが介入しても大丈夫なんですが?」
「....知らない学校で銃を打つのはちょっと.....どうしよう、モモイちゃん、ミドリちゃん、アリスちゃん。」
黙って聞いていたモモイが口を開いた。
「ここまで沢山お話聞かせてくれたし、なのに黙って解決するのを待つなんて私我慢できないよっ!
私達も先生を手伝う!!」
その言葉を聞いてゲーム開発部全員が頷いた。
「はい!アリス達はお使いクエストを受領しました!!」
「"じゃあゲーム開発部と補習授業部合同ミッションだね。
行こっか、皆!"」
「「はい!!!」」
私達はミカが残してくれたリムジンに乗ってトリニティへ向かうことになった。
後書き
セイアの能力「明晰夢」の解釈ですが、本編読み直してみると。
「時間が曖昧」としか言ってなかったので間違っていると思いますね。
まぁでもリアルタイムで夢を見せていた訳ではないでしょうし、ありと言えばありなんですかね、これ。
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