BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR   作:神宮寺志狼

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前書き

タイトル訳

サクラコ ウタズミ レポート11

BLUE ARCHIVE Vol3 エデン条約編 第3章 チャート7話~19話。

炎に包まれた日~青春の物語。







以下本編


S.U R-11.[Vol.03 chapter03-07─19S]. DAY OF FIRE AND ASH─BLUE ARCHIVE

エデン条約朝廷式、式典会場。

 

巡航ミサイル直撃後。

 

 

「ケホッ....ケホッ.....一体何が....」

 

瓦礫の山から何とか這い出たサクラコは跡形も無くなった古聖堂をみて言葉を失った。

 

「一体何故....こんな」

 

古聖堂は調停式に向けて1部とはいえ回収、修復増強作業が行われていたはずだ。

 

トリニティとゲヘナの和平を結ぶための条約取り決めがこんな簡単に崩れるなんて想像もしていなかったのだ。

 

「ま、街は....」

 

辺りを見回した。

古聖堂どころでは無い、街のあらゆる建物が崩れ、原型を留めていなかった。

辛うじて残った建物も炎に包まれている。

 

「なんということでしょう....」

 

彼女は立ち上がろうと足に体重を掛けた。

 

()っっ....」

 

足を痛めていた。

無理もない、瓦礫に挟まっていたのを無理やり引っ張った形になってしまったのだ。

 

体に意識を移せば左腕も動かすと激痛が走った。

肘の骨が折れている。

 

「サ....サクラコ様、ご無事でしたか!」

 

シスターフッドの数人がサクラコに気づいて動き出した。

 

しかし皆服はボロボロで自分より重症の生徒もいた。

それでもあの爆発の中、その程度で済んでいるのは奇跡と言えた。

 

 

「主よ、感謝いたします。」

サクラコは胸元で十字を切った。

 

そして足をやや引きずりながら合流する。

 

「他の方々は?」

 

サクラコの質問に生徒が皆首を横に振った。

 

「誰かこの状況を説明出来る方はいらっしゃいますか?」

 

彼女たちはお互い顔を見合せてまたも首を横に振る。

 

「わかりません最後に覚えているのは、ゴォォという音としか....」

 

「そうですか.....とにかくここは危険です、怪我人や瓦礫に挟まっている方を救助しつつ1度この場を───」

 

その時だった。

「サ、サクラコ様!!」

 

〈ダダダダダダダダッッ!!!〉

 

「うっ....」

 

シスターがサクラコを庇って倒れる。

 

小銃の音に振り向けばガスマスクをした生徒が見覚えのある(・・・・・・)服をきた得体の知れない人物達を引き連れていきなり発砲してきたのだ。

 

「何故....」

 

ガスマスクをつけている生徒はアリウス分校の生徒だとひと目でわかった。

クーデターを起こしたミカを鎮圧する際に1度交戦していたからだ。

 

しかしその後ろに立っていたのは、シスターフッドの礼装を着た、何者か。

 

いやサクラコはわかっていた。

 

 

戒律の守護者(初代聖徒会)がどうして......」

 

しかも1人では無い、無数に立っている。

 

「サクラコ様!!」

 

後輩達の言葉で我に返る。

 

「皆様、アレと戦ってはなりません!!

ここは退きます!!」

 

「「は、はい!!」」

サクラコの気迫に押された生徒たちは怪我人に肩を貸し行動を開始する。

 

そして一方的な攻撃が始まる。

 

〈ダダダダダダダダッ!!〉

 

〈バリバリバリバリッ!!〉

 

「サクラコ様!!このままでは!」

 

シスターフッドの1人が銃をアリウス生徒に向ける。

 

「銃弾を一発足りとも撃ってはなりません!!」

 

「ど、どうしてでしょう!?応戦しなけれこちらが──」

 

「ご覧ください、今はアリウス生徒からの銃撃しかありません。」

 

全員が後ろを振り返る。

確かにアリウス生徒からの攻撃は激しいが、黒い異質な人影からの攻撃は一切無かった。

 

「ど、どうして。」

 

「いいですか?!アレはユスティナ聖徒会です。

どういう訳かは私にも分かりませんがアリウス生徒の手によって顕現しているようです。

 

ユスティナ聖徒会はエデン条約の執行人でしたが、それがアリウス生徒の味方に着いているという事は何らかの方法によって概念が捻じ曲げられてしまっています。」

 

「では敵ではありませんか!!」

 

「それでもいけません!!

シスターフッドのルーツはユスティナ聖徒会です。

今彼女達が攻撃してこないのは概念として私たちがユスティナ聖徒会の一員として認識されている為かもしれません。

 

すなわち敵対行動をとった場合どうなるか皆目見当もつきません!!!

 

私達はこの2倍以上の攻撃を受けながら逃げなければならなくなってしまいます!!」

 

サクラコが銃を地面に向けさせる。

 

「いいですか、撃ってはいけません!

これはシスターフッドの長としての命令です!」

 

「わ、わかりました....!」

 

サクラコの顔色を見て彼女達は黙って後退を続けた。

 

 

しかし当然ながら一方的に攻撃されているため、被害は増え続ける。

アリウス生徒との距離はどんどんと縮まる。

 

それでも彼女達は撃たれながら瓦礫の道を進み続けた。

 

そしてついにその時が来た。

 

「......」

〈スチャ.....バリバリバリバリ!!!〉

 

ユスティナ聖徒会がシスターフッドを攻撃し始めたのだ。

 

「きゃぁぁぁっ!!」

「痛い痛いっ!!」

 

「そんな....では今まで動かなかったのは....!?うっ....」

 

ユスティナ信徒の銃弾がサクラコにも命中する。

 

彼女は知る術がなかった。

この時、先生を逃がすためにヒナタがユスティナ聖徒会に銃を向けた事を。

それにより認識が切り替わり、シスターフッドも攻撃対象となった事も。

 

 

「くっ....仕方ありません....皆様、銃をお取りください。

動ける方で彼女達を引き付けますので、怪我をした方は全速力でこの場を離脱してください!」

 

サクラコは数名のシスターにお願いをして銃を構えた。

 

「サクラコ様!?無茶です!!貴女様も足と腕が....」

 

「私はシスターフッドの責任ある立場です。

ですのでここに残ります!

 

さぁお早く!」

 

 

「すみません、シスターサクラコ.....」

 

「ご無事で帰ってきてください!サクラコ様!!」

 

サクラコ達は彼女達が去るのを見守りながら、自由の聞かない体で戦闘に入った。

 

「あれほど撃つなとお願いしておきながら....

皆様、申し訳ありませんが少しばかりお付き合い下さい。」

 

「は、はい!」

 

圧倒的不利な戦闘が始まった。

 

相手の凶弾に倒れていくシスター達。

 

ここで倒れてしまった彼女達、それは先に逃がした彼女たちと何の違いがあるのだろう。

 

 

彼女の信念がぶれる。

 

足は激痛でとっくに歩けない。

まともに銃を保持する力もない。

 

それでも彼女達は撃ち続けた。

〈ダダダダダダダダッ!!〉

 

〈パンッ!!パンッ!!〉

 

 

〈バリバリバリバリッ!!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、全員が力尽きた。

 

 

「やっとか、無駄な足掻きを.....

 

シスターフッドを仕留めた。

 

──あぁ、リーダーは生きている。」

 

 

(嗚呼、もうダメなのですか?

 

|ēli ēli lemā sabachthani《"主よ、貴方様は私たちをお見捨てになったのですね?"》

 

では.....仕方がありませんね........)

 

 

 

サクラコは誰も守れないまま。

 

自分の無力感に打ちのめされて、意識が遠のいた───

 

 

 

 

〈ダダダダダダダダッ!!〉

 

「うわっ!!」

「な!?何処から。」

 

鳴り響くはやはり銃声。

 

(アサルトライフル....一体誰が...?)

 

シスターフッドのメンバーは全員地に伏せている。

 

 

銃声の音源を見る。

 

「.....まだ無事なようだな。」

 

そこに立っていたのはサクラコがアヴァロンダムで保護した、1人の生徒だった。

 

 

「貴女は.....どうしてここに。」

 

「説明している余裕はない。」

 

その生徒はサクラコを見ては足に応急処置をし、立たせる。

「10分間だけ時間を稼ぐ、その間に動けるものをまとめて撤退しろ。」

 

「ですがそれでは貴女が!」

 

その生徒は制服もボロボロで体の至る所から血を流していた。

 

「いいから早くしろ!時間が無い!」

 

そう言うと彼女は立ち上がり、アリウス生徒と戦闘を開始した。

 

サクラコは彼女が置いていった医療箱を使用し、傷ついた生徒達を最低限治療していく。

 

そして意識があるシスター達を連れてその場を意識朦朧とした状態で立ち去った。

 

 

 

 

 

次に気づいたのは古書館だった。

 

「サクラコ様!!」

 

「ご無事ですか!?」

 

目を覚ました途端に生徒が駆け寄ってくる。

「ここは....」

 

「古書館でございます。救護室は満床とのことでこちらで我慢いただけますか?」

 

「古書館...」

 

辺りを見回せば、あの場所に置いていった生徒の姿があった。

 

「夢....だったのでしょうか。」

 

ベッドの隣には彼女が置いていった医療箱があった。

 

「夢ではないようですね....」

 

サクラコはベッドから降りる。

「サクラコ様!?そのようなお怪我でどちらに!?」

 

「見た目より怪我は酷くありません。

 

それより今の状況を教えてください。」

 

サクラコはティーパーティのシスター達に現状を聞いた。

 

・エデン条約調停式の会場である古聖堂に巡航ミサイルが飛んできたこと。

・発射地点がトリニティ自治区内であること。

 

・主犯は未だに不明であること。

 

・現場では控えていたティーパーティとシスターフッドがゲヘナと交戦中。

・ホストであるナギサは行方生死共に不明である事。

・正義実現委員会はほぼ全滅でツルギは重症、ハスミは意識不明の重体である事を。

 

・そして先生が銃で腹部を撃たれたこと。

 

「先生が!?」

 

「はい....命に別状はありませんが、意識が戻らないそうです。

 

 

今はどうにか浦和ハナコさんがシスターフッドとトリニティを取りまとめてますが....パテル分派の一部の生徒がゲヘナを事件の首謀者に仕立てて武力をまとめて侵攻しようと言う動きもありトリニティは混沌の中です......」

 

 

「そうですか.....ハナコさん、辛うじて約束は守っていただけたのですね.....?」

 

 

ハナコはサクラコとの約束を守りシスターフッドの──引いてはトリニティ崩壊を防ぐために動いていた。

 

「どうしましょう、サクラコ様.....」

 

サクラコは考えた。

 

ハナコが仕切っている今、自分が表舞台に出ていっては指示系統の更なる混乱に繋がる。

 

しかしシスターフッドの長である自分が何もしない訳にはいかない。

 

となれば───

 

「『サクラコはそちらに力添えはできない。』

と、そうハナコさんにお伝えいただけますか?」

 

サクラコは現状報告した生徒に伝言を託した。

 

 

「わ、わかりました!直ぐお伝えして来ます。」

 

 

「では残った皆様、手を貸してくださいますか?」

 

その言葉にその場にいたシスター全員が顔を見合わせる。

 

 

「とうとう動かれるのですね.....サクラコ様。」

 

「シスターフッドがトリニティを....」

勘違いしているシスター達にサクラコは頭を抱えた。

 

「ち、違います!

 

現場に行き、負傷者や現場に取り残された生徒を取りまとめます!

 

微細ながらでもハナコさんの指示が通りやすいように、それと入手した情報は私より先にハナコさんへ。

 

私は古聖堂へ向かいます。」

 

 

「サ、サクラコ様お独りで!?危険です!!」

 

 

「分かっています、ですが、あの顕現しているユスティナ聖徒会の問題を解決しない限り、トリニティは近いうちにおそらく.....いえ、きっと無くなってしまうでしょう。

 

アリウス生徒の戦力の要は彼女達ですから、その顕現と使役条件を把握し、対策を取らねばなりません。

 

皆様の思う通り、今やあの古聖堂は敵の本拠地です。

なので、私一人で参ります。

 

そちらの方が潜入しやすいでしょうし。」

 

シスター達の顔が暗くなる。

 

「私達は足でまとい、そういう事なのですね... 」

 

 

「はい?どうしてそう思われるのですか?

 

皆様にはやって頂くべき事があります。

そちらも現地へ行き、おそらく銃を構える事になるでしょう。

 

私の成すこととそう変わりありません。

 

 

トリニティがバラバラな状況で、頼れるのは今ここにいる貴女方だけなのです。

 

分かってくださいますか?」

 

 

その言葉を聞いた皆は顔を上げ一言。

「わかりました!」と了承した。

 

「───もし、私に何かあれば、シスターフッドはヒナタさんにお任せします、と、お伝えください。

 

では皆様、行動を開始してください。」

 

「「かしこまりました!」」

 

 

 

「私も、覚悟を決めるべきでしょうか......いえ、先程揺らいでしまいましたし、今はあの服を着ることは....

 

迷っている暇はありません...」

 

サクラコは銃を十字架を取り、病室を後にした。

 

重体である彼女の姿が無くなったと騒ぎになるのはまた別の話である。

 

 

 

サクラコが古書館に運び込まれたのは彼女にとって都合が良かった。

 

彼女は禁書の棚へ通ずる扉を開けエデン条約に関する資料を読みふけった。

 

ユスティナ聖徒会を顕現させる条件を推理する。

 

今回のこの事件は状況は違えど第1次公会議の再現だ。

 

だとすれば

 

トリニティ生徒

ゲヘナ生徒

アリウス生徒

 

3校が古聖堂に集まることで当時の状況と同じにしたのだろう。

 

違う点は書き換えられた真実である。

排斥されたのは本来アリウス分派(分校)、それがユスティナ聖徒会と共にE.T.Oという枠組みで動いているとするならばやはり解釈がねじ曲げられている。

 

「......正面切っての戦いでは、私達に救いはないでしょう。

 

やはり締結されてしまった(・・・・・・・・・)条約をどうにかしなければ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨が降り注ぐ中、サクラコは古聖堂前に着いた。

 

「経典が残っていれば.....」

 

思考を巡らせていたサクラコは周囲に気を配りきれていなかった。

 

それ故に、後ろから近づいてくる生徒の足音に気づかない。

 

 

「何故........戻ってきた。」

 

「えっ!?」

 

 

サクラコは振り返る。

そこに居たのは窮地の彼女たちを助けた1人の生徒だった。

 

 

 

──────────────────────

 

クーデターの収束後、彼女達シスターフッドは救助活動の為、ベルカ自治区にあるアヴァロンダム周辺の生存者の捜索を行っていた。

 

そこでサクラコ達が発見したのが、彼女である。

 

発見したシスターから聞いた話だと倒れていたのではなく、呆然と立ち尽くしていたと言う。

 

発見してから敵意があるのかわからず、話しかけられなかったがその間ずっと呆然と、雨の中を。

 

 

サクラコの指示でトリニティの病院へ運ばれた。

 

外傷も対したことなかったのだが、彼女は一度も口を開かなかった。

 

ベルカ戦争は終戦を迎え、ベルカ自治区周辺の学校も解体された。

 

故に、彼女の身元も名前も、何一つわからなかった。

 

ずっと窓の外からトリニティの街並みを眺めている生徒をサクラコは時々見舞いに訪れた。

 

「何を見ていらっしゃるのですか....?」

 

「..............」

彼女は答えない。

あの戦争で何を体験したのかサクラコには想像もつかなかった。

 

何しろ自分は何も知らなかったからだ。

 

そもそもシスターフッドは政治に対しても学園間の対立に関してもなるべく干渉しない様に務めていた。

 

 

 

「トリニティはいかがですか?」

 

「...........」

 

 

 

 

 

 

サクラコはミネに相談した。

 

 

「間違いなく心の病でしょう。」

 

「やはりP T S D(心的外傷後ストレス障害)ですか.....」

 

「そっとしておくのが無難でしょう....。トリニティもあのお二人が居なくなってから、少し活気が─」

 

「ナギサ様は?」

 

ミネは首を横に振る。

 

「忘れていらっしゃるのか、多忙で考える暇がないのか分かりませんが普段通りです。」

 

「.....そうですか...、このままが良いとも思えませんが....」

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

彼女の声をサクラコは初めて聞いた。

 

「聞きたいことはたくさんありますが、何故戦場(此処)に?」

 

目の前にいる彼女はベルカ戦争で散々嫌な思いをしたのだろうことはサクラコは理解していた。

故にいま彼女がどうして戦っているのか、その理由がわからなかったのだ。

 

彼女はうつむき、目を閉じて答えた。

「いつか.....できなかった選択を、差し伸べられなかった手を、誰かに伸ばすために。

 

あの時守れなかったものを守る為に......」

 

彼女は胸に手を当てまるで誓いをたてるかのように言った。

 

サクラコは決意した。

 

「ではこの状況を。この街を。

しいてはトリニティだけではなくキヴォトスの罪なき善良な市民と生徒の為にもご協力いただけないでしょうか?」

 

「『罪なき善良な市民と生徒』か.....それは本心で言ってるんだろうな、名前も知らない生徒の病室に一週間に一度は花を取り換えにくる、お人好しだ。

 

でなければ監視役か.....」

 

「か、監視など、ただ私は.....」

 

サクラコは肩を落とした。

 

「わかってる...ただ一つ聞きたい。

 

お前にとって"平和"とはなんだ?」

 

「それはどういう.....」

 

サクラコは質問の意図が理解できず首をかしげるサクラコ。

 

「平和とは、苦しんでいる生徒たちを踏み台にして作るものなのか?」

 

その言葉を聞いてサクラコはすぐさま否定した。

 

「いいえ!違います!他人の不幸の上に成り立つ平和など──」

 

「こうなるまでの日々が全てそうだったとしてもか?」

 

「それは...」

 

「アリウス分校、ベルカ学園、ウスティオ、その他沢山の生徒。

 

そのすべてを土台にして今のキヴォトスは成り立っている。

それでも取り戻したいのか?」

 

サクラコは考えた。

彼女は少なくとも病室からよい気持ちでトリニティの街並みを眺めていたのではないだろう、

 

きっと気に病んでいたのだ

 

「それでも、ここには平和に暮らしていた方がいます、その幸せを奪う権利など誰にもありません。

 

それとも、目の前の苦しんでいる方々を救いたい、というのは間違っているのでしょうか?」

 

サクラコの答えを聞いた彼女はフッとほほ笑んだ。

「──────いや、それでいい。

 

元ウスティオ傭兵育成学校のサイファーだ。

 

シスターフッドに全面的に協力しよう。」

 

 

 

サイファーはサクラコに手を差し伸べた。

 

「......ありがとうございます。」

 

サクラコはその手を微笑んでとった、

 

 

 

 

「とりあえず現状を教えてくれ。」

 

 

 

 

 

「わかりました、これは内密にお願いしますね。」

 

 

「了解だ、話すような相手もいないがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、お前が古聖堂に辿り着ければ、このいびつな状態をどうにかできる糸口が見つかるかもしれない、と?」

 

「あくまで可能性ですが....」

 

「....わかった古聖堂にお前がいる間、アリウス生徒とユスティナ聖徒会は私が抑える。」

 

 

サクラコは彼女を見た。

 

ここで最初に出会った時よりボロボロになっている。

 

左腕には添え木をし、片目はずっと閉じたまま。

「無理を申し上げていることはわかっています。ですが──」

 

「心配するな、無茶ぶりには慣れている。」

 

 

「ご協力感謝いたします。」─────────────────────────

 

 

 

 

 

〈ダダダダダダダダッ!!!!〉

 

「逃がすな!追え!!」

 

 

 

 

サクラコが古聖堂に着くまでの時間稼ぎとして、サイファーは目立つようにアリウス生徒とベルカ生徒と戦っていた。

 

 

《奴だ!『円卓の鬼』だ!!!》

 

 

《殺せ!ここで殺せ!!》

 

 

 

 

 

〈ダダダダダダダダッ!!!!〉

 

 

「クソっ....!!」

 

 

いくらサイファーとはいえ、数ヶ月寝たきりの上、傷ついた体で数多くの生徒を相手にするのは困難だった。

 

故にヒットアンドアウェイを繰り返す。

 

 

 

利き腕は無事だが、重体支える腕が心もとない。

 

 

 

しかし、状況は一変する。

 

 

(銃撃が止んだ?)

 

 

 

遮蔽から顔を覗かせれば、そこに居たのはベルカ生徒を撃ち抜いているアリウスの生徒らしき女子。

 

それは過去、円卓で戦ったアリウススクワッドそのものだった。

 

 

 

 

「......また会ったな。『鬼』

 

その状態で戦うのは辛いだろう。

せめて楽に殺してやる。」

 

 

 

「.....何故味方を撃った?」

 

 

サイファーの問いかけにサオリは答える。

 

「状況が状況だけに後詰めとして置いていたが、お前が出てきた途端に勝手に動き始めた。

 

だからだ。」

 

 

 

 

「......」

 

 

サイファーは今戦っても勝てないと悟った。

 

 

それでも、銃を構えなければいけない。

 

 

 

 

「私はお前ほど甘くない。

 

お前のように見逃すつもりは毛頭ない。」

 

 

 

 

「だろうな。

 

 

 

もうひとつ聞いておきたい。

 

 

「全ては虚しい」と言いつつ、どうしてこんな真似を?」

 

 

「.....」

 

 

サオリの後ろから計3人、2人は円卓で見覚えのあるロケットランチャーと大口径ライフル持ちの少女。

 

 

そしてもう1人───

 

 

 

「あぁ、そこに居たのか、()()()。」

 

 

「.......」

 

アツコはサオリに耳打ちする。

 

 

 

「いや、ダメだ。

 

ここでコイツは仕留める。」

 

 

サオリの意思を聞いてその少女は沈黙したまま後ろに下がった。

 

 

 

 

「お前達は周囲の警戒をしてろ、なにか気づいたらすぐ連絡をよこせ。」

 

 

「....了解、リーダー。」

 

「へへ...わかりました。

 

そ、そんなボロボロでサオリさんと戦うなんて....辛いでしょうね....痛いでしょうね...」

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と余裕だな。」

 

 

「死に損ないの処理など、私一人で十分だ。」

 

 

 

 

そして、サオリとサイファーの戦闘が始まった。

 

 

《ダダダダダダダダダダッ!!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンディション最悪ながらも、サイファーの弾丸はサオリに命中する。

 

 

 

しかし、サイファーの被弾はその倍以上になっていた。

 

 

 

 

「『円卓の鬼』、所詮この程度か。」

 

 

「......自分で名乗ったつもりはない。

 

しかし、そんな言葉を投げるくらいならさっさと仕留めればいいものを。」

 

 

「....減らず口を....いいだろう。

そんなに死にたいのなら今ここで望み通りにしてやる。」

 

 

 

サオリはサイファーに急接近し、アサルトライフルの弾幕をサイファーが身を隠す遮蔽物に浴びせた。

 

 

遮蔽物として利用していた建物の瓦礫ははいとも簡単に破壊され、そのまま被弾する。

 

 

「....ぐっ!!!」

 

撃ち返そうとするサイファー。

 

しかし蓄積されたダメージは彼女の体を確実に蝕んでいた。

 

 

「.....判断も動作も遅い!」

〈ドンッ!!〉

 

それ故に、接近してきたサオリに遅れをとり、腹を蹴られ、そのまま地面に倒れ込む。

 

 

「ごほっ.....うっ.....」

 

 

 

〈カチャ〉

 

 

サイファーの顔面に銃口を向け、躊躇いなく引き金を引くサオリ。

 

 

〈ダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッッ!!!!!!〉

 

 

サオリは1マガジンをまるまる撃ち尽くした。

 

しかし、それで終わることは無く、彼女はリロードして引き金を引く。

 

 

〈ダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッッ!!!!!!〉

 

 

2マガジンを消費してサオリの攻撃が終わった。

 

 

 

 

「.......」

 

 

サオリは動かなくなったサイファーを蹴り飛ばす。

 

 

 

「これで終わりか。あの時はさぞ英雄としてもてはやされて満足だったろう。

 

 

惨めだな。」

 

 

 

 

 

そしてサオリが脳幹を撃ち抜こうとしたその時。

 

 

 

《リーダー!アズサがこっち来てる!》

 

 

「何!?」

 

 

 

ミサキからの報告を受けサオリはサイファーに目を向ける。

 

 

 

 

「どうせ動けない。」

 

 

サオリはアツコに傷を負わせたアズサに報いを与えるため、その場を後にした。

 

 

 

 

────────────────────────────

 

 

古聖堂には教壇と経典が残されていた。

 

「やはり、残っていましたか......」

 

あの爆発の中どうやって残ったのかは分からないがら、残っている以上、何らかの力によって守られているのだろう。

 

周りの目を伺い、問題ないことを確認して近寄り経典を開いた。

 

 

その経典に書かれているのはエデン条約、もとい第1公会議の内容だった。

 

(やはり普通のやり方ではE.T.Oとして成立してしまっているユスティナ聖徒会をどうこうすることは不可能ですね.......

 

ですが.......アリウス生徒のやり方には何かが......)

 

経典を読み直すサクラコ、

 

ふと1つの単語に目が止まった。

 

 

「『連邦生徒会長同伴の元』.......これは」

 

 

「チッ!いたぞ!シスターフッドだ!!!

 

アリウス生徒の奴ら何してやがる.....」

〈ダダダダダダダダッッ!〉

 

「ッ!あの制服は、アリウス分校の生徒では....ない?」

 

黒い制服に身を包んだその生徒達は見覚えがあった。

 

 

「ベルカ生徒!?何故ここに....」

 

サクラコは遮蔽物に身を隠した。

 

 

彼女達ベルカ生徒は自分達の自治区を制圧し、資源争いで揉める各学園に嫌気がさした生徒達で構成されたクーデター組織〈学籍無き世界〉を立ち上げ、秘密兵器が隠されたアヴァロンダムに立て篭もった。

 

幸い生徒会連合によってクーデター組織は撃滅されたが、その残党は未だに残っていた。

灰色の少女達(grey girls)ですか......。

 

彼女達も私達に対する恨みや憎しみはアリウス分校に引けを取らないでしょう。」

 

あの戦争において自治区境界を何度も「上塗り」した─────

 

 

「上塗り......なるほど.....その手がありましたか!!」

 

サクラコは思いつくと端末を取りだし電話をかけた。

 

(お願いします、どうか、

 

────先生 ......)

 

『"もしもし?サクラコ?

意識不明の重体って聞いていたんだけど───"』

 

「繋がりました!!

 

先生!現状は理解してらっしゃいますか?」

 

『"────うん、ハナコから一通り聞いたけど。"』

 

「詳しく説明している時間はありません。

 

アリウスの行ったエデン条約の穴を突きます。

 

分の悪い賭けになってしまうかもしれません.....しかし。」

 

 

『"うん、サクラコの考えを聞かせてほしいな。"』

─────────────────

 

「──という事です。

 

これにはトリニティだけではなく、ゲヘナの協力も必要です。

 

しかし、アリウスが施行したE.T.Oには先程話した不完全が箇所があります。

 

実行出来ればE.T.Oとしての権限を取り戻すことは可能かと。」

 

『"初代公会議と違って、あの場に生徒会長が居ない事を利用して、連邦生徒会の設立したS.C.H.A.L.E所属の私を連邦生徒会長の役割に置く....."』

 

「はい、これは先生にしかお願いできません....」

 

『"うん、わかってる。今現場で色々調べてくれているんだね。

 

ありがとう、ここから先は私に任せて。"』

 

「先生、どうか、トリニティ───いえ、キヴォトスを、宜しくお願いします。」

 

『"あ、待ってサクラコ───"』

 

そうしてサクラコは通話を切った。

彼女は銃を構え、ベルカ生徒と交戦した。

 

託すべき事柄は託した。

 

(信じております、先生。)

 

 

 

 

 

そして、サクラコの作戦が功を奏し、E.T.Oの概念は揺さぶられ、ユスティナ聖徒会の制御は不安定になり、エデン条約の騒動は収束を迎えた。

 

 

 

 

 

サクラコは古聖堂周辺で彼女を探し回った。

 

「あの方は.....」

 

そして彼女は遮蔽物の裏で蹲って倒れていた。

 

 

「サイファーさん!!」

 

サクラコは駆け寄りサイファーに応急処置をしてトリニティの大聖堂へ連れ帰った。

 

 

 




後書き

2度目のサイファーVSサオリ戦

これはpixv版には存在しない新たに追加したパートです。


もとより構想があったのですが、ちょっと(というかかなり)サオリの扱いで叩かれそうな展開になっているので反響次第ではここでも消すかもしれません。

まぁサオリはアツコを怪我させたアズサへ怒りを募らせてるところに屈辱を与えた相手がいたら躊躇いなく潰しにかかると思います。

アズサにも躊躇いなく至近距離で銃弾浴びせてますからね。

エスコン×ブルアカの小説で読みたいナンバリングを教えてください(04、5、6、7)

  • 04、メビウス1無双が見たい。
  • 5、ZEROのねじ曲がったもう1つの未来
  • 6、ブルアカは群像劇だぞ?
  • 7、高性能ロボに苦戦する生徒達
  • もう満足
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