BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
戦闘を終えた私とホシノ達は臨時で設置された休憩所で座ってサクラコの報告を聞いていた。
『そして先程まで
大聖堂の地下にある部屋に私が看病するという形で匿っていたのです。』
『.....そうですか....。』
ナギサは仕方ないと諦めた。
情報と言うのはどこから漏れるのか分からない。
ハナコがナギサのセーフハウスの数と位置、ローテーションまでも知っているように。
ホシノがほっとした表情で呟く。
「そっか、サイファーちゃん、トリニティにいたんだ....」
「ん、銀行強....
ショッピングに行く。
やっと長年の願いが叶う。」
「長年ってまたホシノ先輩みたいに!私たち一歳違いでしょ!」
「頑張った分芝関ラーメン沢山食べさせてあげましょう☆」
「んじゃあ~先生の奢りで~。」
「"はいはい"」
シロコとノノミも心から嬉しそうに笑う。
『ですが、それも今日までのようです。』
サクラコが捕縛されたシスターに話しかけていた。
『これから貴女には沢山
ホログラムに映ったそのシスターは悲鳴をあげ、顔を強ばらせている。
『ヒィィッ!?』
「"サクラコさん?他意はないんだよね?"」
『いえ、これは本気で怒ってますね、サクラコさん♡』
私の言葉を楽しそうにハナコが否定した。
「"え?"」
『それよりも飛び出していたサイファーさんとは連絡はつきませんか?』
端末にイチカが映った。
『あ、こちらイチカっす。
今まさに目の前からサイファーさんがベルカ生徒を引き連れてどっか逃げて行ったっす!!』
『『はい!?』』
ナギサ達が報告内容に呆気にとられている中端末からはユズの声が聞こえてくる。
『あの....イチカさん、その言い方は誤解されてしまうんじや....』
『あ、違ったっす。
サイファーさんは今もベルカ生徒を相手に戦ってるっす。
フェリお姉様のお話だとあの生徒達の目的はどうやらサイファーさんっぽくてそれに気づいた本人が今被害を広げないようにトリニティ郊外に向かってるみたいっす。』
「"どこに行ったか分からないんだよね?わかった。"」
『イチカさん達は今どちらに?』
ハナコが現在地を聞いた。
『右腕が無くなったお姉様とティーパーティーの連絡係の子に付き添ってもらいながらそっちに向かってるっす。』
その報告にナギサが食いついた。
『お姉様が!?
ご無事なんですよね!?』
イチカと入れ替わりにフェリの姿が映る。
その右腕は肩から先が確かになかった。
『.....大丈夫、私は無事よ。
それよりナギサ、それから先生と、皆にお願いがあるの。』
『.....なんでしょう。』
ハナコはおおよその予測が着いていたのか、真面目な顔で通信を聞いていた。
『あの子を、助けてあげて。
これは先輩でも元ホストとしての命令ではないわ。
ベルカ戦争を経験した1人の生徒としてのお願い....』
「.....
ホシノは目配りし、対策委員会の皆に弾薬の確認をさせ始める。
ハナコがナギサを見て判断を仰いだ。
『..........』
ナギサは黙ったままだ。
ハスミがそれに対して抗議する。
『お言葉ですがナギサ様、今は正義実現委員会もシスターフッドもティーパーティも動けません。』
ツルギもハスミの意見に賛成する。
『私も....各部隊を再編成する事を提案します...』
『動きたいのは山々ですが....』
『そうだね、ナギサ、彼女達を動かす事はできない。
どうするつもりだい?』
セイアが最終確認のようにナギサに聞いた。
『まだ、動ける方がいらっしゃいます。
ホシ───』
ホシノは椅子から立ち上がった。
「私達が行くよ、ううん、行かせて欲しいな。
皆、準備はいい?」
「大丈夫....もう動けるよ。」
「はい☆準備完了です!」
「私もいつでも行けるわっ!」
《サポートはお任せ下さい!!》
「おっけ~。じゃ、皆で迎えに行こー」
「はい☆他人に頼るのが下手な誰かさんを♪」
『ホシノ......お願いね....』
「わかってるって。」
私は寂しそうなフェリの声を聞いてふと思いついた。
電話をかける。
『先生、どうしました?
まさかモモイ達が何かしたんじゃ....』
「"ユウカ、お願いしたいことがあるんだ。"」
───────────────────
私はホシノ達を先に出発させ、ナギサ達に合流した。
「"ナギサ、お疲れ様。"」
そこにはフェリの身を気遣うナギサとミカが居た。
「あ、先生~、おかえり。
みて、フェリお姉様を。
ほんとに機械の腕だったんだね~」
ミカとは対象的にナギサは相当ショックを受けていた。
「.......そうですか、連邦生徒会が....
ゲヘナ生徒を騙ってお姉様を.....!!」
ナギサが怒りをあらわにし、虚空を睨みつける。
その顔を見てフェリはゾッとしたようだった。
「い、いいのよ?!防衛室長はそれだけの罰は今受けてるし.....」
「お姉様....しかし。」
「そうね、困ったわね.......」
亡くなった右腕を見るフェリ。
私は問う。
「"その右腕は元々ミレニアム製だったよね?"」
「ええ、そうよ?
って言っても、先程なくなっちゃったけど。
もう繋がりのあった友人も居ないでしょうし....イーグルアイも、卒業したんでしょうね、きっと。」
彼女は窓から空を眺めた。
「"大丈夫だよ"」
「....え?」
「"君は向き合わなくちゃ。"」
「先生....?何を....」
ナギサが困惑した表情でこちらを見る。
そして
ティーパーティ部室の扉が開いて生徒が入ってくる。
「ナ、ナギサ様!!大変です!」
「どうしました?」
「ヘリコプターが2機、本校まで接近中です!!!」
ハスミが立ち上がる。
「ベルカ生徒ですか!?」
「.....落ち着け、ハスミ。」
ツルギがその肩に手を置いてなだめる。
「...すみません、ツルギ。
それで所属はわかりますか?」
ティーパーティの連絡生徒は答えた。
「それが.....ミレニアムサイエンススクールです....」
ナギサが困惑した。
「どうして、あの学園が....」
「"ごめん、何の連絡もなしに"」
私は謝罪する。
皆の視線が私に向いてから説明した。
「"私が呼んだんだ。"」
「先生、何を....まさか?」
ナギサはフェリの無い腕を見る。
「"とりあえずフェリ、グラウンドに行こうか。
それとユズ達も着いておいで。"」
フェリとゲーム開発部は困惑したまま頷いた。
セイアはナギサの気持ちを察したのか、その背中を押した。
「ナギサもミカも行ってきたらどうだ?」
「しかし、セイアさん──」
「行こうよ、ナギちゃん!」
ミカがナギサの腕を掴んでひっぱる。
「は、はい。ではセイアさんのご好意に甘えて少しだけ席を外します。」
「あぁ、行ってきたまえ。」
私はフェリとナギサとミカを連れてグラウンドに着いた。
ちょうど目の前にヘリコプターが着陸した。
「やぁ、先生。」
ヘリコプターの中から登場したのはウタハだった。
「"手間をかけてごめんねウタハ。"」
「いや、構わないよ。」
そしてもう1台のヘリコプターからは聞きなれた声が聞こえる。
「先生!こんな横暴が許されるのは今回だけなんですからね!!」
「え、お姉ちゃん!ユウカも居るよ!」
モモイが苦い顔をする。
「げっ!!ユウカ!?
今回私たち何にもしてないよ!?」
「むしろ、アリス達はあまりお役に立てませんでした....パーティー追放です....。」
「アリスちゃん....」
未だに涙目なアリスをミドリがなだめる。
「な、なんでそうなるのよ!!」
「そうですよ、ユウカちゃんは別にお説教にきた訳じゃないですよ?」
ユウカに続いてノアがヘリから降りてくる。
そしてもう1台のヘリからはネルが───
「"え!?なんでネルまで?"」
私の疑問にウタハが答えた。
「私達の護衛....らしいけど.....」
その言葉とは裏腹にネルは何処かに向かう気満々だった。
「よっしゃ、テメェら、1年前の借りを返しに行くぞ!!」
「「了解!リーダー!」」
ユウカが頭を抱えた。
「すみません、ここにトリニティの代表の生徒さんはいらっしゃいますか...?」
ナギサがユウカと対面する。
「はい、ティーパーティホストの桐藤ナギサです。
貴女は?」
「ミレニアムサイエンススクールのセミナー会計、早瀬ユウカです。
お騒がせしてしまって済みません。
"先生からの要請"で訪問させていただきました。」
ユウカは私が頼んだことを強調する。
ナギサが私の顔を見る。
「先生、どういう事でしょう....?」
「"ミレニアムにフェリのスペアアームが無いか確認したら「エンジニア部の特注だからありません」って返事が帰ってきた。"」
「ではどうして──」
「"でも設計図はあったから大急ぎで作ってもらったんだ。"」
「正直成長による補正は計算に入れていないよ。」
ウタハが持っていたアタッシュケースを開いた。
フェリが驚く。
「これ....全くの別物じゃない....!」
そう、これまでフェリが付けていたのは金属製の誰が見ても「機械の腕」だった。
それがアタッシュケースの中に入っていたのはほぼ人間の腕そのものの色をしている。
「あぁ、今回は新素材開発部の力作、『人工皮膚』を使ったんだ。
骨格と回路も最適化しておいた。」
「こ、この短時間で.....?」
フェリが驚く。
「いや、これは卒業していった
材料も倉庫に
これだけじゃない、時刻、地図表示や通話機能。
GPS発信機、Bluetooth機能も付けてある。
極めつけは5.56mmや7.62mm用の予備弾倉収納スペースも確保してある。
なんなら手を添えるだけでリロードできる
この設計図を見た時に
『いっその事、腕自体を銃に変えてしまおう』
という意見も出たんだがね、安全性と多様性を考えた結果、そのまま活かした形だ。」
「イーグルアイが...?」
フェリの言葉にウタハは肯定する。
「発案書というより仕様書に近い熱意を感じたね。
メモの端切れにはこう書いてあったよ。
『今度アイツを見つけたら絶対M.I.Aになんてさせるものか』
ってね。
アイ先輩はとある時期から「どんな製品にもGPS発振器は付けろ」ってうるさくなったんだ。
何だか分からないけど、これを渡そうとしていた人はアイ先輩にとって、とても大事な友人だったんだろうね。」
ウタハがフェリの瞳を真っ直ぐ見つめて言った。
「....まったく......過保護過ぎない...?」
「それで?付けるかい?」
ウタハの問いかけに
「 ....私にそれをつける資格があるのかしら...」
そう言ってフェリはアタッシュケースを閉じた。
「".....フェリ?"」
「お姉様...?」
「もっと早く、こんなキヴォトスでも誰かが、誰かに優しく出来るって知っていたら......」
「気に入らなかったのかい?」
ウタハの質問内容をフェリは否定する。
「そうじゃないの。
ただ、彼女達に銃を向けて、この世界を、消そうとした私に、この腕を、
──────いえ、それ以前にこうして大事な後輩達と話す権利があるのか、私にはわからないの....」
「"この世界を、消そうとした?"」
私の質問は遮られた。
「力には!」
それまで涙目だったアリスがフェリの目の前までやってきて彼女の唯一の手を取った。
「力には!資格が必要です!」
「....そうね、だから私にはそんな資格───」
「でも、責任も伴います!」
「!!...え?」
フェリがアリスの顔を見る。
「アリス、片羽さんと鬼神さんを見てて思いました!
『アリスもこの人達みたいに、誰かを守れるだけの強さが欲しい』と!!」
「"アリス...."」
「....でもアリスちゃんにもあるじゃない、その
「はい!アリスにはこの"光の剣"だけじゃなくて....今は使えませんが"勇者"としての力もありました。
でもアリスには足りないものがあります....それは自分自身のレベルです!
経験値です!」
「レベル....?経験値....?」
ユズがアリスにフォローを入れた。
「多分....そのまま経験や磨いた技術だと思います。」
「ユズの言う通りです!」
フェリは繰り返し聞いた。
「それが貴女の言う力の責任.....?」
「はい!
片羽さんにあるのはそれだけじゃありません!
感じました、誰かを守りたいという強い意志、それに鬼神さんに会いたいという感情です!!」
「.....」
「アリスは確かに感じたのです。
貴女が昔の話....鬼神さんの話をしている時、悲しい表情と同じくらいとても楽しそうに笑っていたのを....!」
「.....アリス、私は── 」
「そうだよ!!私達もアリスと永遠にお別れになっちゃいそうな時があったけど『絶対に嫌だ』っておもったもん!!」
「だから私達はアリスちゃんと一緒にいる為に皆と手を取り合って会長にすら銃を向けました!」
「.....会いたい理由は、それで充分だと思います....!」
「........」
フェリは黙ってしまう。
「"フェリ、確か君はナギサに
『1度や2度のミスで何もかもダメになる、なんてそんな事有り得ないんだから。』
って言ってたよね?
それは君にも当てはまるんじゃないのかな?"」
「でもそれはナギサ達のした事なんて比べ物にならないくらい....!!」
「"うん、でもそれはフェリ自身『今は間違ったことをした』っていう認識があるから出てくる言葉だよね?
『教訓』はもう、得たんじゃないかな?"」
「先生......」
「"無理強いはしないよ"」
「....」
「"私はあくまでも『先生』だからね。
選ぶのは君だよ。"」
「お姉様、」
次に声をかけたのはナギサだ。
「ナギサ....」
「例えどんな事があったとしても、どんな行いをしたとしても。
貴女は私たちの「お姉様」です。
今、私達を守るために動いてくださいました。」
「私たちはそれで充分だよ☆!」
「ミカまで....」
「だから、貴女がやりたいことをなさって下さい。
今度は私達がそれをサポートする番です。」
「よう!『片羽』困ってるみたいじゃねぇか。」
「.....!美甘ネル!?」
「へっ....久しぶりの戦友との対面だってのに随分な挨拶だな。
あたしらもな、アイツに会いたくて先生に許可取らず来ちまった。
誰かに会いてぇってのはそれだけで理由にも免罪符にもなるんだよ。」
「でもその責任は誰が取るのよ!」
ネルの言葉にユウカが怒った。
「悪ぃ悪ぃ」と謝るネル。
「"教えて、フェリ。
今君が1番したいことを。"」
「わ、私は....」
私達はその言葉を待った。
「私は、あの子と話がしたい......しっかりと話せずに、すれ違って、銃を向けあって、殺しあってしまったけど....今度は─────」
フェリがアタッシュケースの中の腕を残った左腕で掴んだ。
「今度こそ、彼女を理解する為に、私は、私の意思で『銃』を取るわ。」
その言葉に納得したウタハは折りたたみの椅子を設置してそこにフェリを座らせた。
「うん、わかった。調整は任せて。
それに、アリスのレールガンもバッテリー切れだろう?
そんなこともあろうかと予備バッテリーを持ってきた。」
アリスの顔がパァ、と明るくなる。
彼女は渡されたカートリッジを交換する。
「さっすがエンジニア部!気が利くじゃん!!」
「これで戦えます!!」
喜ぶゲーム開発部を微笑ましく眺めていたフェリが話しかけてくる。
「先生、ネルとアリス達を連れて先に行ってちょうだい。」
「"でも...."」
「先生、お姉様は1人ではありません。」
ナギサが校舎を向く。
そこにはヒフミとコハル、ハナコがいた。
「私達がナギサ様とフェリ様のお手伝いをします!」
《戦闘に参加出来ない私も、サポートくらいさせて欲しい。》
通信からアズサの声がする。
「ありがとう、皆。」
「そういう事、フェリお姉様は私達が一緒に連れていくから☆」
「"わかった、じゃあ行こう、ネル、モモイ。"」
「あぁ、そう来なくちゃな!」
「よーーし!!行くよ!皆」
「「うん!」」「はい!!」
後書き
感想は言葉選んで欲しいですけど。
評価はバリバリ低評価押してもらって構わないんで。
よろしくお願いします。
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