BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
「チッ!」
《ダダダダダダッッッ!!!》
《バリバリバリバリッッ!!》
土地勘のないトリニティの街を走り回る。
半年以上も体を動かしていなかった為息は乱れている。
「思った以上にスタミナが落ちている....」
かろうじて銃弾だけは避ける。
しかしベルカ生徒との距離はだんだんと縮まっていた。
あの時のシスターの言葉が脳裏にちらつく。
『───この街を。
しいてはトリニティだけではなくキヴォトスの罪なき善良な市民と生徒の為にも──』
キヴォトスではそこかしこでいつ銃撃戦が起こってもおかしくない。
別にここで引き金を引くこと自体はおかしくは無い。
単に、そうしないのは過去にベルカの街を焼いたあの時を省みているからだ。
「まだだ....こんな街中を戦場にするわけには....!」
では身を差し出すか?
否、それはできない。
次の標的が何であるか、それはこのキヴォトス全域の学校であるのは想像に固くない。
またいつか、矯正局から脱獄するのだとしても、
負の連鎖はここで止めなければならない。
──それに、今でも小さな望みくらいは持っている。
私は走った、
ただ、ひたすらに街の外を目指す。
道中、トリニティの生徒は騒ぎに気づいて建物中に隠れて様子を伺っているようだった。
昔、トリニティの生徒は大体性格が悪いとアリウスの上級生から散々聞かされた。
飛び火はしていない。
その1点において、今は生徒達の無干渉さに助けられた。
フェリやホシノ達と出会う前の私なら、迷う事など無く戦うことを選んだのだろう。
だが、それは今の私の
「はぁ....はぁ....」
息を切らしながらトリニティ郊外までやってくる。
奇しくもそこは昔ベルカ学園の残党と戦った場所だった。
「やっと諦めたのかよ....」
「随分遠くまで逃げたじゃん、褒めてやるよ!」
〈スチャッ.....〉
ベルカの生徒達は銃をこちらに向ける。
〈ダダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!〉
飛んでくる弾丸をかいくぐりながら射撃をして数人ずつ倒していく。
「───ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
〈ダダダダダダダダダダダッ!!!!〉
《こいつあれだけ走ってまだこんな余力が────》
《怯むな!どうせ最後っ屁だ!!》
被弾が増え始める。
「うっ......!」
(....構うな!)
〈スチャ....〉
〈ダダダダッ!!ダダダダッ!!ダダダダッ!!〉
転がりつつ近距離からの銃撃を浴びせる。
《グハッ....!》
《 《うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!》 》
押し寄せるベルカ生徒達。
私はため息をついて銃を構え直した。
その時だった。
〈バリバリバリバリバリバリッッッ!!!〉
〈バァァン!!!パンパンッ!!!〉
彼女達のとはまた違った銃声が鳴り響く。
そして突如画面がひび割れた私の端末が鳴り響いた。
『やぁ~、サイファーちゃん、まだ生きてる~?』
「この声は......」
そしてアビドス高校の校章が記されたヘリコプターがやってくる。
「お迎えにあがりました~☆」
「.....久しぶり、サイファー。」
「お、前たち.......」
「やっほ~♪サイファーちゃん元気?」
そこにいたのはやはりというか当然というか、アビドス対策委員会の三人.....いや
「....そうか。今年も新入生が入ったんだな.......ホシノ....」
「そだよ~。とても大事な後輩ができたんだ~。
『これ』が済んだら紹介してあげるね。」
「ホシノ....」
「任せてってば!おじさんはこれでも前より強くなったんだよ?」
その言葉がおかしくて、私の口元は少し緩んでしまう。
「何を言ってるんだか.....お前はもとから強かっただろう?」
「あ、初めてサイファーが笑った。」
「あ、ほんとですね~☆ あれだけ表情を変えなかったサイファーさんが♪」
場違いに談笑する私たちに噛みつくように黒髪の少女がツッコミを入れた。
「ちょっと!!立ち話してる場合じゃないでしょ!!」
見れば敵の攻撃はすべてヘリコプターに向けられていた。
《ホシノ先輩!!対空兵装を持っている生徒を確認しました!!お願いします!!》
「おっけ~。
さ、行こ?」
ホシノはしゃがみこんでいた私に手を差し伸べてくれた。
それを握り、立ち上がってシロコから予備マガジンを受け取る。
偶然にも彼女と私の使っている銃の弾倉規格は同一だったのだ。
「ありがとうシロコ、助かる。」
「ん、役に立ててよかった。」
「いや、お前がいてくれるなら心強い。
頼りにしてるぞ。」
「これが終わったらみんなでショッピングモールですからね☆」
ノノミはウインクをしながらほほ笑んだ。
〈こくり〉
私はあえて何も言わずうなづく。
「じゃあ張り切って行こーー」
「ああ!」「「おー!」」
私達はヘリをかばうように走り出す。
「ちょっ!?私だけ仲間外れ?!そんなのゆるさないんだからぁーーー!!」
────────────────────────────────────────────────
私はC&Cとゲーム開発部と一緒にトリニティの街を走っていた、はずだった。
とはいえ、私の持久力では彼女達の様に走れるわけもなく──
「"ぜぇ....ぜぇ"」
「ったくよぉ....先生ちと運動不足なんじゃねぇのか?まだ10kmも走ってねぇぞ?
せいぜい5~7kmって所だ。」
私の足が止まったせいで立ち往生していた。
「あれ?ユズちゃんもですか?」
ゲーム開発部に対してはアカネが気を配っていた。
「ユズ!モモイ!ミドリ!頑張りましょう!アリスはまだまだ沢山走れます!!」
「それはアリスちゃんは普通の体じゃないから.....」
「うわー .....もうダメ。これ以上走れないよぉ...」
「ご、ごめんなさい....もっと運動するようにします....」
「でもどうするの?リーダー。」
カリンが現状を見てネルに問う。
「どうすっかなぁ.....唯一の足のヘリコプターはグラウンドに置いてきちまったしなぁ.....」
その時アスナが瞳を閉じて意識を済ましていた。
それを見たネルがみんなに静かにするように言う。
「なにか聞こえるの?アスナ先輩?」
ミドリが聞くとアスナが答えた。
「うーんとね.....戦車の音!!」
アスナが指さす方にはトリニティの戦車が1台、見覚えのある生徒の顔を覗かせてこちらにやって来ていた。
「ごめんなさーい!!緊急事態です!!道を.....あれ?
貴女達は....」
「おう!あの時のトリニティの変なリュック背負ってたヤツじゃねぇか!!
確か名前は....そう、ヒフミつったな?」
「変なリュックじゃありません、と何度言えばわかってもらえるんですか!!
ペロロ様です!!ペ ロ ロ 様 ! !」
「お、おう。
で、悪いんだけどよ、戦車の外装の上でもいいから乗せてってくれねぇか?」
「まったくもう.....いいですよね?皆さん?」
「わ、わたしは別に構わないけど....」
「ええ、よくってよ、ヒフミ。」
「"乗っているのは...."ヒフミとコハルとフェリ?"」
私がそう聞くと「私も居るよ!」とミカの声がする。
「なるほどなぁ...オールキャストじゃねぇか。
後はあのツルギって言う正義実現委員会の委員長がいりゃあな。」
「"残念だけどそれは難しい....かな。"」
「とにかく急いで乗ろ!」
モモイとミドリがユズに肩をかして戦車の外装に登った。
「はい。こうしている間にもアビドスの方々が時間を稼いでくれていますので.....」
アカネの言葉に反応したのか、この場にはいないハナコからの報告が上がった。
《敵ベルカ生徒の増援も来つつあるといいます。皆さん急ぎましょう!》
「「おう!」「はい!」」
そうして戦車に乗せてもらい、私達はトリニティの外郭を目指して洗車を走らせた。
「へぇ....エンジニア部もすげぇもん作るな、
まるで腕が生えてきたみたいだぜ。」
ネルは上部ハッチから車内を覗き込み、新調されたフェリの腕を見て正直な感想を言った。
「またミレニアムには貸しが出来ちゃったわね。」
「....報酬はいらない。
ただレポート提出でもしてくれたら私達はそれでもいいかな?」
戦車には迫撃砲を積んだヒビキが同乗していた。
「これだけの物を無償で受け取る訳にはいかないわよ。」
「いいの、別に作った物を売って生計を立ててるわけじゃないもの。」
「いいじゃん!お姉様!
貰えるものは貰っとこうよ☆」
「あのねぇ、ミカ。
ただより高いものは無いって言葉知ってる?」
「知らないよ☆!だって高いアクセサリとか化粧品しか買ったことないもの!」
「...はぁ...」
たしなめようとしたフェリはミカの口から出てきた言葉に肩を落とした。
「あはは....」
「いいなぁ....って!別に羨ましくなんて思ってないもん!」
これには思わずヒフミも苦笑いを浮かべる。
対象的にコハルはミカの立場を羨ましく思っていた。
「じゃあまた今度ショッピングに行こうね、コハルちゃん☆」
「え!?いいの....!?」
「うん♪」
談笑している皆の空気を読んで邪魔にならないように戦車の上部ハッチを静かに開けて外に出ようとする。
が、流石に速度が出ていたのか強風で体が揺らいだ。
仕方なく上半身だけを覗かせる。
「──────...にロケットが飛んで行って片羽さんは右腕部位を損傷してしまいました。
それを見て、物陰から出ていこうとする正義実現委員会の生徒達をアリス達は必死に止めたんです!」
「────そしたらね?!急に後ろからビューン!って風のように何かが飛んできて!!
私たちを横切りながら言ったの!
「後は任せろ」って!」
「凄い、目付きが鋭くて...怖かったけど...なんでか凄く安心したんです。」
「アイツ、無駄にクールな所あったからなぁ.....」
「でもリーダー。『アレ』多分素だよ?激情的なリーダーがやっても似合わないと思うよ?」
「ッッ!バカ!別に羨ましいとは思ってねぇよ!///」
そこにはモモイとアリスが両腕を使ってサイファーと遭遇した時の話をネル達にしていた。
「"私も混ぜてくれる?"」
全員の視線がこちらに向いた。
「よぉ、先生。あんたもサイファーの話聞きに来たのか?」
「"別にそういう訳じゃなかったけど、凄い気になる。"」
「わかりました!じゃあまたアリスが最初からお話を聞かせてあげます!!」
そして、目的地に近づくまで私はフェリとサイファーの近代戦闘を実際に見た彼女達から話を聞いた。
──────────────────────
話し疲れたのかモモイがウトウトし始める。
その身体をカリンが受け止めた。
「...(スピーー ....)」
「うん、完全に寝てるね」
「おいおい!どうすんだよこれからまた戦いに行くんだぞ?」
「"まぁ着いたら起こそう、
それまでは戦車内に入れさせてもらおう。"」
そうしてゲーム開発部の数人と入れ替わりにミカとフェリ、そしてコハルがでてくる。
「あ?あのヒフミって奴はどうした?」
コハルがビクビクとしながら返事をした。
「ひ、ヒフミならコレを運転してるけど───」
「え?あの子が運転してるの....?」
不安そうになるカリン。
「ただモンじゃねぇな .....」
『私は至って普通の女子高生ですよ~!!』
と戦車内から聞こえてくる。
「先生....彼女は」
アカネからの質問に答えた。
「"ちょっと変わってるけど、ヒフミは別に特別な訓練を受けてる訳じゃないよ。
普通に現代を楽しく生きる、1人の女子生徒だよ。"」
「まぁ、ちょっと変わってるよね☆!」
そしてフェリは少し悲しそうな顔をしていた。
「『ペロロ様』ね....まるで、あの子みたい。」
その言葉にネルが反応する。
「そういや居たな、SRTの奴に。
P.Jて言ったっけ?
アイツは?どうしたんだ?」
フェリは顔を見せずに呟いた。
「あの子は........死んだわ。」
「は?」「え.....?」
ネルとアカネとは違う反応をする者がいた。
「もしかして、貴女が....あの子を」
アスナだった。
「ええ、私よ。
私がP.Jを殺したの。」
『え....嘘ですよね!?』
ヒフミの声からも動揺が見て取れた。
「"知ってるの?ヒフミ。"」
『はい、P.Jといえばペロロ様好きとしてSNSでもかなり有名になっていました。
最近呟きが
「私はサイファーとP.J、このキヴォトスに住む貴女達全てに銃を向けたの。
きっかけは....10年以上前に、遡るわ。」
『はい、それと情報源不明なのですが、フェリさんの出身地はトリニティではなく別の自治区である、なんていう噂話もあります.....。』
そして、私はハナコが言っていた言葉を思い出すことになる。
「私は、幼少、ほとんどベルカの自治区で育ったの。」
後書き
いやぁ、
「アリウス紛争で敗北してた派閥に入っていた錠前サオリ」
をイメージしたのがサイファーなんですけど、
まさか、大当たりするとは思いませんでした。
今作でシロコが無造作に自分のマガジン渡してるじゃないですか?
「そんな都合よく企画が合うわけないだろ」
と思った方、少なくないと思います。
しかし、サイファーが使っているのがM4 カービンで
シロコのアサルトライフル「WHITE FANG 465」の元ネタ
「SIG556」はまさかのM4やM16用のマガジンに対応しているアサルトライフルなんですよね。
いや、私もここでこの設定が大当たりするとは本当に思ってなかった。
さすがに弾切れするだろうな、起きたばかりでまともに装備ないだろうし。
と思って、「なら補給するなら対策委員会の生徒から渡される」だろう、と思って調べたらこの展開になりました。
我ながら想像外の伏線回収。
よく考えたらM4ベースのライフル持ってるモブ生徒も沢山いますし、もしかしたらM4やM16はキヴォトスで広く使われてるのかもしれませんね。
それはそれとして、アンケート追加しました。
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